”友希那”
最近、蓮の様子がおかしい
頻繁に外出して、帰宅すると溜息をつく
元から悩みが尽きない蓮だけれど
今回に関しては少しだけ違う気がする
何かあったのかしら?
友希那「__と言うわけで、集まってもらったわ。」
リサ「蓮の悩み?また、女子にモテすぎるとかじゃないの?」
つぐみ「あ、あはは、確かにその可能性は高いですよね。」
有咲「あの人、いっつもなんか悩んでるな。」
七深「蓮先輩ですもんね~。」
美咲(うーん、何だこのメンバー。)
皆、各々の反応を見せている
正直、私も最初はそんな風に思ってた
けど、あの雰囲気はいつもと違う
モテるとかの悩みではない
友希那「今回は少し様子がおかしいのよ。」
七深「確かに、女子に追いかけられた後とかはイライラしてることが多いのに、最近は真面目に悩んでるって感じですよね~。」
美咲(真面目に悩むとは。)
有咲「本人に聞くのが1番じゃないですか?」
つぐみ「でも、教えてくれるかな?」
リサ「大事なことはなーんにも話さないもんね。」
リサの言う通り、蓮は何も話さない
だからこういう場合、私達から歩み寄る他ない
友希那「なら、私が聞きに行くわ。」
美咲「あ、あー。」
友希那「どうしたの?」
美咲「その、それは私が聞きに行きますよ。」
リサ「おっ、心当たりある感じ?」
美咲「まぁ、蓮さんの性格的に、なんとなく。」
友希那「なら、ここは奥沢さんに任せるわ。」
美咲「はい。」
私がそう言った後、この話し合いは終わり
奥沢さんは蓮の所へ行き
他の皆もそれぞれ部屋に戻って行った
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”蓮”
美咲「__蓮さん、入るよ。」
蓮「ん?美咲か?」
部屋で仕事をしてると美咲が入ってきた
珍しい
仕事中は用があっても入って来ないのに
何か大切な用か?
美咲「あ、ごめん、まだ仕事中だった?」
蓮「いや、ノルマはもう終ってるよ。美咲が来てくれて丁度良かった。」
美咲「......そっか///」
美咲は顔を赤らめながら短くそう答える
可愛い、最高の目の保養だ
疲れが全部飛んでいった
蓮「それで、どうしたんだ?何か用があるんだろ?」
美咲「いやー、湊さんが蓮さんが悩んでるって言うから来たんだよ。」
蓮「あー......」
大体の流れは分かった
てか、友希那は俺の事分かりすぎだろ
そんなに分かりやすい?俺
美咲「まぁ、あたしは大体わかってるけどね。」
蓮「美咲も大概だな。」
美咲「まぁ、ちゃっかり正妻狙ってるしね。」
蓮「抜け目ないな。」
正妻とかは全く決めてないんだけどな
いつかは決めないといけないって言われたけど
まぁ、それはまた今度で
美咲「期日は今日でしょ?それ。」
蓮「あぁ、そうだよ。」
美咲はチラッと机の上に置かれてる箱を見た
ほんと、これは扱いに困る
なんでこんなの買っちゃったんだか
美咲「折角だし渡しなよ、母の日のプレゼント。」
蓮「ははっ、そうは言うけど、結構渡しずらいぞ?」
俺は笑いながらそう言った
これは、母の日用に買ったプレゼント
中身は財布だ
一応、再会したし買ってきたけど......まぁ、記憶消してるし渡しずらい
蓮「まぁ、渡しに行くよ。今から。」
美咲「あっ、そうなんだ。蓮さんの事だからヘタレ発動して行かないと思ってた。」
蓮「失礼だな。これでもヘタレはマシになったんだぞ?」
美咲「まぁ、夜はけもn__」
蓮「それは言っちゃダメだ。」
美咲「はいはい、冗談だって。」
美咲、こういう子だっけ?
こんな下ネタぶっこんでくる子だった?
なったんだとしたら俺の責任だろうけど
蓮「じゃ、行ってくるよ。美咲。」
美咲「行ってらっしゃい。蓮さん。」
俺は美咲とそう言葉を交わした後
変な緊張を感じつつ
そこまで遠くない孤児院に向かった
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孤児院に着いた
園庭では子供たちが走り回ってて
その中に今回の目的の人物
俺の母親、小田佳奈恵がいる
瑠奈「__神谷様ー!」
蓮「瑠奈、元気そうだな。」
瑠奈「はい!」
俺はしゃがんで瑠奈の頭を撫でた
嬉しそうに目を細める姿は可愛らしくて
近い将来、自分に子供が出来たら、とか
そんな事を少し考えてしまう
成海「やぁ、蓮。」
蓮「よう、成海。」
成海「どうしたんだい?そんな緊張した面持ちで。」
瑠奈「きんちょう?」
蓮(こ、こいつ。)
成海の奴、分かって言ってやがる
見た目の割に性格の悪い奴だ
てか、瑠奈の前で言うなよ
まだ、かっこいい人枠に入ってるんだから
成海「先生は用事で出てるし、折角だ、親子水入らずで語らうのもいいんじゃないか?」
蓮「......はい?」
成海「小田さん!蓮が用があるみたいですよ!」
佳奈恵「あ、はい!」
蓮「ちょ、ばかっ、おま__」
成海「ほら、ここは俺に任せて。瑠奈ちゃん、皆と遊ぼうか。」
瑠奈「はい!」
成海「それでは、ごゆっくり。」
成海はそう言って、俺の背中を押して来た
あの野郎、覚えてやがれ
いつか、あいつの嫌いなもの口にぶち込んでやる
そう思いながら、俺は小田佳奈恵と一緒に建物に入った
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孤児院の中にある応接室
俺達はそこで机を挟んで対面に座ってる
蓮「きょ、今日はいい天気ですね。」
佳奈恵「そうですね!」
蓮「......」
いや、なんで天気なんだよ
この話題は広げるのが難しいって常識だろ
やばいやばい、思ったよりテンパってる
蓮「こ、ここの仕事には慣れましたか?」
佳奈恵「はい、先生も久城君も子供達も親切で、とても楽しく働いてます!」
蓮「それはよかった。安心しました。」
佳奈恵「今日も、母の日だって皆がお花をプレゼントしてくれて。」
小田佳奈恵は嬉しそうにそういう
俺だって貰えば嬉しいし、気持ちは分かる
よかった、幸せそうで
佳奈恵「でも、少し違和感を感じたんです。」
蓮「違和感、というと?」
佳奈恵「なんだか、私にも子供がいた気がして。」
蓮「!!」
佳奈恵「変ですよね?私、この年になって結婚もしてないし......」
やばい、変な汗が出て来た
なんで、こんなに勘がいいんだ
いや、記憶の消去が不完全だったのか?
佳奈恵「神谷さん?どうかしました?」
蓮「い、いえ、なんでも。」
佳奈恵「でも。」
蓮「大丈夫です。」
分からない
俺は自身の母親をどう思ってるんだ?
捨てられたと思って18年生きてきて
けど、実際に会ってみれば命の恩人で
ほんと、よく分からない
蓮「......もし。」
佳奈恵「?」
蓮「もし、自分に子供がいるとしたら、あなたはどうしたいですか?」
佳奈恵「いきなりですね?ですが、そうですね......」
小田佳奈恵は難しい顔をして考え込んでる
そりゃそうだ
こんな質問、普通されることはあり得ない
迷わない方がおかしい
佳奈恵「会ってみたい、です。」
蓮「!」
佳奈恵「そして、出来るなら、普通の親子みたいに話したりしたいですね。」
蓮「......そうですか。」
ここで、実は俺があなたの子供です、とか
そんな事言ったらどんな反応をするだろう
碌なことにならないのだけは分かる
もしかしたら、精神が壊れるかもしれない
それくらい、小田佳奈恵の抱えてたストレスは大きかった
蓮「これ、どうぞ。」
佳奈恵「え?」
蓮「母の日のプレゼントです。俺もここには大変お世話になったので。」
俺はそう言って席を立った
今日は帰ろう
完全に踏み込み過ぎだし、話し過ぎだ
仕事だってあるんだし
蓮「これからも、あの子達の母親として、頑張ってください。」
佳奈恵「はい?もちろん?」
蓮「それでは。」
そう言ってから微笑みかけ
俺は部屋を出て行った
蓮(よくわからんな。母親も、自分自身も。)
取り合えず、母の日のプレゼントは渡せた
これで、少しくらい、小田佳奈恵も報われてればいいんだが
まぁ、記憶消えてるし、関係ないか