俺は歩いて敷地内の練習場に来た
ここはちょっとしたライブハウス位の設備がある
まぁ、家の中にあるには過ぎたものだな
蓮「__レイ、ますきー。」
レイ「あっ、蓮。」
ますき「珍しいな?どうした?」
2人とも休憩中だったらしく、椅子に座って水を飲んでいた
にしても、この2人は絵になるな
すごい腕のボーカルとドラマーだし
何と言うか、オーラがある
蓮「今、お前らの進路調査中なんだ。」
ますき「進路調査だぁ?」
レイ「これまた急だね?」
蓮「ちょっと気になってな。」
まぁ、2人とも学力は問題ない
ますきに関してはお嬢様学校だし
なんなら、バンドに集中するって道もある
ますき「私はー......まぁ、進学か。」
蓮「ますきの学校厳しいし、相当なレベルを求められるんじゃないのか?」
ますき「いや、蓮と同じとこに行く。」
蓮「おぉ。」
その言葉に俺は驚いた
家の大学もまぁまぁなレベルだけど、ますきならもっといい大学に行けるだろうに
ますき「お前と同じ大学に行けないと退屈だし、憂鬱なだけだ。」
蓮「お、おう、そうか。」
レイ「照れすぎだよ、蓮。」
蓮「勘弁してくれ......」
男の照れ姿とか誰得だよ
たくっ、ポーカーフェイス鍛えないと
あんまり分かりやすいと格好付かないし
蓮「れ、レイはどうするんだ?」
レイ「(話そらした。)そうだなぁ、私は......」
レイは考える素振りを見せた
まぁ、まだなだ6月だしな
俺なんて進路の『し』もなかった時期だ
考えてなくても不思議じゃない
レイ「まだ確定じゃないけど、専門学校とかいいかも。」
蓮「音楽関係のか?」
レイ「うん、もっと理解を深められればいいなって。歌や演奏にも幅が出るし。」
蓮「うん、いいんじゃないか?やりたいことをやるのはいい事だ。」
RASの場合は特に技術が物を言う
音楽への理解を深めるのはいい事だ
レイは流石にしっかりしてる
ますき「いいのか?蓮はいねぇけど。」
レイ「家に帰ってくればいるし、私達が離れる時間だって必要だろうしね。」
蓮(良妻かな?)
レイ「あくまでまだ仮だけどね。」
蓮「うんうん、いいと思うぞ。」
この2人は安心だな
まぁ、俺なんかが心配する必要もないか
基本的に出来る2人だし
蓮「レイとますきは安心だな。」
ますき「ほんとにただの進路調査なんだな。」
蓮「まぁな~。じゃ、俺は他にも聞く子がいるから行くな~。」
ますき「なんだ、もう行くのか?」
レイ「もう少しゆっくりすればいいのに。」
蓮「魅力的な提案なんだが、急を要する事でな。あと、イヴ、こころ、はぐみ、美咲、アリスに聞かないといけないんだ。」
多いな
まぁ、基本的にまとまって動いてることが多いし
別に何か困ることはないだろう
スムーズに終わらせて、さっさと考えないと
蓮「じゃあ、俺は行くよ。」
レイ「うん、またね。」
ますき「また一緒に練習しようぜ。」
蓮「時間があればな。」
俺はそう言って練習場を出ていった
さて、次は誰の所に行くか
そんな事を考えながら、俺は家の中を歩いた
__________________
さて、次は誰に聞きに行こうか
出来れば何人かまとまっておいて欲しいんだけど
まぁ、そんな上手くは__
イヴ「__アリスさん!もう少しです!」
アリス「は、はい......!」
蓮「行っちゃうのか。」
イヴ「あ!レンさん!」
敷地内を歩いてると、向こうからジャージを着たイヴとアリスが走ってきた
なにしてるんだ?
ダイエット......な訳ないか
蓮「どうしたんだ?ランニングなんかして。」
アリス「これからの歌にパフォーマンスを導入していこうと思って、アイドルであるイヴさんに特訓してもらってるんです。」
イヴ「アリスさんはとっても修行熱心です!」
蓮「そうかそうか。それは良い事だな。」
アリスの歌に派手なパフォーマンスか
確かに、そうなれば客のウケもいいだろう
何より、俺が見たい、是非とも見たい
アリス「蓮さんは何をしてるんですか?」
蓮「あー、今、お前ら高3組の進路調査中でな。」
イヴ「進路ですか?」
アリス「そう言えば、そろそろ絞らないとですね。」
まぁ、アリスは成績優秀
イヴもアイドルにモデルと仕事がある
あれ、実は今の高3って超優秀なんじゃないか?
イヴ「私はお仕事に専念して、家計を支えられればと思っています!」
蓮「おぉ。」
アリス「そうなんですか?」
イヴ「はい!進学もいいですが、今はパスパレもモデルのお仕事も楽しいので!」
イヴは元気な声でハキハキとそう言った
これはこれで良い道だな
金はさほど問題ないし、家計は気にしなくていい
けど、心意気は伝わってきて嬉しいな
蓮「家計の事は気にしなくてもいいけど、イヴがそうしたいならそうすればいい。俺も応援するよ。」
イヴ「ありがとうございます!」
蓮「その道で決めるなら、事務所にも早く連絡しておくんだぞ?俺もイヴの仕事、持って来る。」
まっ、今のイヴには仕事がたくさんあるし、探してくるまでもなくオファーが来るだろ
俺も事務所での仕事を頑張らないと
これから、もっと大変そうだ
アリス「私は......少し考えてる道があって。」
蓮「なんだ?(ん?)」
アリスは少し難しい顔をしてる
最初は軽い雰囲気を出してた俺だけど、アリスが放つ空気を察して息を呑んだ
なんだ、考えって
アリス「お父様の会社を継ごうと思っています。」
蓮「なに!?」
イヴ「会社!?」
俺とイヴは驚いてそんな声を出した
アリス父の会社は社長が空席で今は俺が守ってる状態だ
そして、後継者はアリスしかいない
だから、いつかはそんな話もするつもりだったが......まさか、アリスから言ってくるなんて
蓮「......そうか。」
イヴ「!」
俺は小さくそう呟いた
正直、かなり心配だ
経営は大変だし、社長でいるのは辛いこともある
けど、アリスはちゃんと覚悟してると思う
そんな雰囲気を身に纏ってる
蓮「分かった、そういう風にしよう。でも、周囲に認められるには努力は勿論のこと結果だって求められるし、厳しいことを言われることもある......だから、まぁ......」
アリス、イヴ「?」
蓮「何か暴言吐かれたら俺に言うんだぞ?黒服の人に頼んで消してもらうから!」
イヴ「結局甘やかしてます......」
イヴは呆れたような声でそう言った
あれ、俺、イヴのこんな声初めて聴いた
蓮「心配なんだよ!真面目に働いてても『若いから~』とか言って意味の分からない暴言を吐いてくる奴もいるし!アリスがそうなったらマジで俺はどうにかなるぞ!?」
アリス「もう、蓮さんったら......」
イヴ「娘さんへの愛情が重いです......」
イヴ、今日はなんだか辛辣じゃないか?
俺が悪いのかもしれないが......
そこはもう許してほしい
蓮「ま、まぁ、2人の事は分かった。残りの高校生活を是非とも楽しんでくれ。俺も出来る限り協力する。」
イヴ「はい!モチロンです!」
アリス「蓮さんも、私達と一緒に楽しんでくださいね!」
蓮「......あぁ。」
イヴ「それでは!」
アリス「ランニング、再会しますね!」
イヴとアリスは元気に走って行った
その背中を見送り、姿が見えなくなったころ
俺は地面に片膝を付き、左手で顔面を抑えた
蓮(天使!!まごう事なき天使2人!!)
駄目だ、あの2人が眩しい
あの2人は一生俺が守ろう
こころ「__蓮、なにをしているの?」
美咲「錬金術でもしてる?」
はぐみ「あはは!蓮君先輩、変なのー!」
蓮「!?」
庭の通路の真ん中でうなだれてると
こころ達が俺の顔を覗き込んでいた
俺はそれに気づいた瞬間に立ち上がり
咳払いをした後、3人の方を見た
蓮「どうした?こんな時間に散歩か?」
美咲「いや、取り繕い方雑過ぎでしょ。」
蓮「天使のオーラに当てられたんだ。許してくれ。」
はぐみ「天使?いるの!?」
こころ「とーっても素敵ね!ぜひ会いたいわ!」
ちょっとした控えめな例えなんだが
まぁ、彼女全員天使か女神と思ってるし
うん、もういいや(適当)
蓮「あ、そう言えば、お前らって進路決まってる?」
美咲「いや、急に話題替えすぎでしょ。」
蓮「今、皆に聞き回ってて、美咲たちで最後なんだよ。」
はぐみ「そうなの?」
こころとはぐみは首を傾げた
うーん、この2人、ちょっと心配だな
進路とか全く考えてなさそうだし
はぐみ「はぐみはスポーツ推薦、ほぼ決まってるよ?」
蓮「そうなの!?」
美咲「あー、そう言えば。」
はぐみ「だから、勉強も必要だけど、多分大丈夫だよ!」
蓮「そ、そっかぁ......」
そうだ、推薦とかあったんだ
誰も推薦資格取らないから完全に忘れてた
9割くらいは俺の責任だけどね......
美咲「まぁ、私は蓮さんがいる大学に行くよ。学部も一緒。」
蓮「あ、そうなのか。」
美咲「大学は縦のつながり大事だし、期待してるよ。」
蓮「あぁ、分かってる。(俺は全くないけど。)」
美咲(あっ、俺は縦のつながりなんてないって言いたそうな顔してる。)
なんだー、これならもう安心じゃないか
あとはこころ1人だろ?
それなら俺でも面倒見れるし
美咲「こころはどうする?」
こころ「そうねぇ、じゃあ、蓮のお嫁さんね!」
蓮「!?」
美咲、はぐみ「あっ。」
蓮「美咲もはぐみもその手があったみたいな顔しないで!?急ぐことでもないし!!」
いや、大歓迎なんだけどね?
全員を嫁に貰って責任取る覚悟はあるし
一生面倒見る準備だって出来てる
だから、別に大丈夫ではあるんだが......
こころ「高校を卒業したら結婚するわ!きっと、蓮も必要としてるもの!」
蓮「!」
こころ「5人なんでしょ?あたしも入れれば可能性も広がるわ!」
美咲「?(5人?)」
蓮「ま、まぁ、そうだが。」
そうだ、それが目的で進路聞いてたんだった
途中から目的の事忘れてた
てゆうか、なんでこころが知らないと思ってたんだろ
こころの父親から言われてるんだし、知ってても不思議じゃないじゃないか
こころ「それでいいでしょ?蓮?」
蓮「まぁ、いいが。」
こころ「決まりね!」
美咲、はぐみ「!」
こころはそう言って美咲とはぐみの手を取った
そして、こっちに向けて笑いかけて来た
こころ「あと3......2人かしら?頑張りなさい!」
蓮「あ、あぁ、頑張るよ。」
こころ「行くわよ!美咲、はぐみ!」
美咲「ちょ、こころ!」
はぐみ「わーい!またねー!蓮君先輩ー!」
3人はわちゃわちゃとしながらどこかに走って行った
そう言えば、何してたんだ?あの3人
俺はそんな事を考えながらこころ達を見送った
蓮「はぁ......」
その後、俺は小さくため息をついた
モカ、こころ、もしかしたら有咲
これでやっと3人か
蓮「これでも、結構苦渋の決断なんだぞ......」
俺はそう呟いた後、ゆっくり歩き始めた
今日は部屋に戻って、今後の事を考えよう
まだ、猶予は約2年ある
焦らず、あいつらへの被害を最小限に抑える道
当面は日常生活を送りつつ、可能な限りそれを模索しよう
俺はそう方針を固め、部屋に戻って行った