コツコツと綺麗な廊下に小気味いい音が響く
時間は夜中の3時半
電気も消え、真っ暗な廊下に一定に流れるリズムは不気味さを感じさせる
メイド「......」
窓から付明かりが差し込み、その姿が露となった
それと同時に、彼女は足を止め
ふと窓の外に目をやった
メイド「......嫌な月ですね。」
彼女は綺麗に輝く月を見て、吐き捨てるようにそう言った
その表情は分かりやすく嫌悪の感情が見える
メイド「......あの日も、このような月でしたね。」
彼女は小さく呟くと、ポケットに手を入れた
そして、そこから、銀色の輝くペンダントを取り出し
指先でピッとはじき、蓋を開けた
メイド「......」
その中に入っているのは、一枚の写真だった
写っているのは子どもたちの集合写真だ
それを見て、彼女は少し、寂しげな表情を浮かべた
メイド「覚えていては貰えませんでしたね。残念です......」
そう呟き、彼女はペンダントの蓋を閉め、ポケットに入れた
そして、ハァっと小さくため息をつき
また、コツコツと一定のリズムで歩き出した
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“蓮”
朝、俺はいつも通りの時間に目を覚ました
時刻は6時30分
健康的な起床時間だ
麻弥「すぅ......すぅ......」
はぐみ「んむぅ......ころっけ......」
蓮「よく寝てるな。」
はぐみ「せんぱい......」
蓮(なんの夢見てるんだ?)
今、コロッケ先輩って言ったぞ
ま、まぁ、いいか
夢の中なんて個人の自由だしな
蓮(偶には、普通に寝るって言うのもいいな。)
珍しいことに、昨晩はそう言う事をしたわけじゃない
普通に一緒に寝ただけだ
やっぱり、こういうのもいいよな
蓮(今日はなんかあったっけか。)
携帯を見て、今日の予定を確認したが、今日は空白だ
仕事も終わらせてるし、誰かと出かける予定もない
ふむ、困った
蓮(今日はトレーニングでもするか。特にやることもないし。)
俺は携帯を机に置き、軽く背筋を伸ばした
なんか、全身がすっきりした感じがっする
はぐみ「んん......れんくんせんぱい......?」
蓮「ん?起きたのか?」
はぐみ「んー......」
はぐみは寝起きだからか、すごく眠たそうだ
別にまだ寝ててもいいんだけど
起きようとしてるのも止めるのもな
はぐみ「お腹すいた......」
蓮「朝ごはん食べるか?」
はぐみ「うん......んー。」
蓮「?」
はぐみはコクンと頷くと、こっちに手を伸ばしてきた
どうしたんだ?
はぐみ「れんくんせんぱい、だっこしてー......」
蓮「!!(可愛すぎるっ!!)」
俺はその言葉に反応し、すぐにはぐみの前に移動した
そして、そのままはぐみを抱きかかえた
小柄なはぐみは、想像以上に軽い
麻弥「どうしたんですかー.......?」
蓮「お、麻弥も起きたか。」
麻弥「あれ、お二人はどこに......?」
俺の動きがうるさかったんだろう
麻弥も目を覚まして、眼鏡をかけた
寝起きの麻弥は何とも美人だ
可愛いもあるけど、美人だ
蓮「俺たちはこれから朝ごはん食べに行くけど、麻弥はどうする?」
麻弥「ジブンも行きますー。今日、撮影のお仕事なのでー。」
蓮「そうだったな。じゃあ、一緒に行くか。」
麻弥「はい。」
麻弥はそう言って立ち上がり
のそのそと俺の隣まで歩いて来た
はぐみ「麻弥さんおはよー。」
麻弥「おはようございます、はぐみさん。今日は甘えてますねー。」
はぐみ「蓮君先輩の抱っこ、好きだもん。」
麻弥「ふふっ、そうですねー。」
麻弥とはぐみが笑いあってる
なんて平和な光景なんだ
心が浄化されてる気がする
麻弥「行きましょうか。」
蓮「だな。」
はぐみ「はっしーん!」
俺ははぐみを抱きかかえたまま、麻弥とダイニングに向かった
穏やかな朝ってのは、こういうのを言うんだろう
なんだか朝からすごい癒された
これなら、1日がんばれそうだ
まぁ、今日は頑張る事、ないんだけどな
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俺はトレーニングをした後、シャワーを浴び、今は散歩してる
特にやることもないけど、ダラダラするのもあれだし
歩くのもいいものだろ
蓮「~♪」
りみ「れ、蓮さん。」
蓮「ん?りみ?」
口笛を吹きつつ歩いてると、りみと出くわした
こんなところでどうしたんだ?
りみ「聞きたいことがあるんですけど、いいですか......?」
蓮「おう、いいぞ。」
りみ「あの、蓮さんって欲しいものとかありますか?」
蓮「欲しいもの?」
俺は首を傾げた
なんで、いきなりそんなことを?
女子高生はそう言うのが流行りなのか?
蓮「んー、特にないなー。」
りみ「そ、そうなんですか......!?」
蓮「う、うん。今でも十分に満たされてるし、何かに困ることもないし。」
りみ「そうですか......」
え、俺なんかマズった?
すごい残念そうにしてるんだけど
どうしよ
りみ「あ、ありがとうございました......」
蓮「お、おう。なんか、ごめんな?」
そう言って、りみは歩いて行った
な、なんだったんだろうか
そんなことを考えながら、俺は散歩を再開した
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“会議室”
蓮たちが住む家の中にある、広い会議室
主に、合同ライブや旅行などの企画の際に使用されるこの部屋
そこに、今日は大人数が集まっている
蓮の彼女たち、未玲に明日香、雄馬達4人、成海など、全員が蓮に縁のある人物たちだ
リサ「本日はお集まりいただきありがとうございます。」
そんな中、リサは丁寧にあいさつをした
中々見ることのない、真剣な表情をしている
一誠「ね、ねぇ、これ何の集まり?」
雄馬「分からん。」
昴「でも、なんかすごい厳かやで。」
勇人(神谷の姿が見えないな。ということは、神谷に関連する内容か?)
この中で、雄馬達4人と未玲、明日香は状況が掴めずにいた
特に、未玲と明日香の2人は心配そうな面持ちだ
もしかして、蓮に何かあったのだろうかと考えてるのだろう
成海「恐らく、君たちが思ってるようなことじゃないよ。」
未玲、明日香「!」
一誠「えっと、君は蓮ちゃんの友達かな?」
成海「あぁ、僕は久城成海。蓮とは幼馴染なんだ。仲良くしてあげてね。」
成海はにこやかに自己紹介をした
その後、勇人が口を開いた
勇人「その様子だと、これがどういう集まりなのかは分かっているのかな?」
成海「まぁ、大体ね。」
勇人、雄馬、昴、一誠「?」
そういう成海の顔は苦笑いを浮かべている
その様子に4人は首を傾げた
リサ『それでは、さっそく本題に入らせていただきます......』
リサはそう言うと、少し間を置いた
全員に緊張が走る
そして__
リサ『__今日は、蓮の誕生日パーティーについての会議をします!』
彼女たち、未玲、明日香「キャー!///」
一誠、昴(ズコー!)
成海「やっぱりか。」
雄馬「あの雰囲気は何だったんだ?」
勇人「そ、そういうことか.......」
リサの言葉を皮切り、女子からは黄色い声援が上がり
男子の内3人は苦笑いを浮かべ、2人はずっこけた
リサ『と言うわけで!今日は企画と役割分担を決めちゃうよー!みんな、頑張ろう!』
成海「なんだか悪いね。」
勇人「いや、神谷は良き友人だし。誕生日を祝うのは楽しみだ。」
雄馬「まぁ、そうだな。」
一誠「蓮ちゃんには恩あるしねー。」
昴「1人の誕生日でここまで人が動くって、かみやんの人徳あってこそやなー!」
4人はそれぞれ、笑みを浮かべながらそう言った
その様子を見て、成海はフッっと笑い
部屋全体を見渡した
成海(よかったね、蓮。いい彼女だけじゃなく、いい友達も出来て。)
成海は内心そう思いながら、蓮の彼女たちの会議を眺めていた
その後、会議は3時間ほど続き
誕生日会における役割、企画がすべてまとまり
各々、その日に向けて動くことが決まった
“そのころの蓮”
蓮「__はっくしゅん!(風邪かな?)」