覚醒救世主と夢を目指す少女達   作:火の車

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ミスコン③

 ミスコンはなんだかんだで順調に進んでる

 

 会場も盛り上がってるし

 

 新しい取り組みは成功してるだろう

 

つぐみ『それでは、本日最後のプログラム!「大切な人へ感謝を!お手紙朗読~!」』

 

 最後はこれか

 

 感謝の手紙か~

 

 親とか、友達とか、その辺に向けてかな

 

つぐみ『このプログラムではその名の通り、それぞれが書いた大切な人への感謝のお手紙を読んでいただきます!ここでは点数を出さず、最後に優勝者発表を行います!』

 

 なんて言うか、こういう所は学校行事だよなー

 

 こういうの見るのは小学生の時以来だな

 

 俺も先生に向けて書くときは真面目に書いてた気がする

 

つぐみ『それでは、美竹蘭さん!おねがいします!』

蘭「うん。」

 

 最初は蘭だ

 

 エントリーナンバー順だな

 

 さて、蘭はどんな感じで来るかな

 

蘭「あたしの大切な人へ。あなたは自分の抱えるすべての苦労、苦痛を押し込めて、笑いかけてくれる。」

蓮「ん?」

成海(これは......)

巴(まっ、そうなるよな。)

 

 なんか、あれだな

 

 親に向けて書いてるって感じじゃないな

 

 てか、これ.......

 

蘭「あたしが何をしても受け入れてくれて、悩んでたら話を聞いてくれる。でも、あなたはあたしには何も負の感情を吐き出してくれない。そんな度を越えた優しさが嬉しくもあり、もどかしくも感じる。」

 

 これ、そう言う事だよな

 

 そっか、そうなるのか

 

蘭「人を愛するのがどういう感情なのか、あたしはつい最近まで分からなかった。けど、あなたとの出会いが教えてくれた。愛するって、その相手と色んなことを共有したいし、してほしい。それが嬉しいことなら自分も嬉しくなるし、悲しいことだと悲しくなる。そう言うものだって、あなたと出会ってから思うようになった。」

 

 蘭は落ち着いた声で言葉を紡いでいく

 

 感情を込めるというか、感情そのもの

 

 そう感じるのは俺の気のせいではないだろう

 

蘭「あなたは子供なあたしに負の感情を共有してくれない。けど、あたしはいくらでも待つよ。そして、あなたがあたしに共有してくれれば、あたしは何でも協力する。だからね、いつか、あたしにもあなたの辛い部分を少しでも背負わせてね。そうすっと思ってる。だって、あたしはあなたを愛しているから。」

 

 その言葉を最後に蘭は口をつぐんだ

 

 会場が静寂に包まれる

 

 誰もが呼吸を忘れてるような感じだ

 

 そして、その沈黙が数秒続くと......

 

「__おっ。」

『おぉ.......!』

 

 会場から、驚いたような声が上がった

 

 緊張から解けたような感じもする

 

 この会場をそうするくらいに蘭の感情が強かったからな

 

成海「盛大なラブレターだったね。」

蓮「え、俺、今から全然泣くぞ?」

成海「それはやめた方がいいんじゃないかな。」

巴「バレるのは不味いしな。」

 

 蘭がこんな風に思ってたなんてな

 

 なんていうか、こういう変化ってジーンとくるよ

 

つぐみ『素晴らしいお手紙でしたね!私も呼吸するの忘れちゃいました!それでは、次の人です!』

 

 つぐみは心配になるようなことを言いつつ、進行した

 

 この調子で来たらマジで俺どうにかなるぞ

 

 大丈夫かな......

 

モカ「次はモカちゃんだよ~。じゃあ、読むね~。あたしの大切な人へ。」

 

 モカは蘭と交代出てくると、すぐに手紙を読み始めた

 

 モカはどういう感じかな

 

モカ「あなたはいっつも優しいね。あたしが眠たいときは膝枕してくれるし、遊びにも付き合ってくれるし、頑張った時にたくさん撫でてくれる。」

 

 モカはいつもとは違う落ち着いた声で手紙を読んでいる

 

 これも、うん、多分そうだよな

 

モカ「あたしだけじゃない。あなたは苦手な人にも、嫌いな人にも、絶対にどこかで優しさを見せてしまう。どこかで情けをかけてる。でも、この世でただ一人、自分自身だけには情けも容赦もない。どんな無理も、辛い道も迷わず進んでいってしまう。そして、あたしをそれに付き合わせてくれない。」

 

 少し目尻を落としつつ、モカはそう言う

 

 耳が痛い話だ

 

 もう何回言われてきたかわかんねぇ

 

モカ「そんな、優しくて、少しおバカなあなたがあたしは大好きだよ。でも、もし一人で抱えきれないくらい辛いことがあったら、あたしに言ってほしい。言ってくれないと悲しいから。もし、あたしに言ってくれたら、どこまでも付き合うよ。あなたと一緒なら、地獄でも楽しいだろうからね。」

 

 その言葉を最後にモカの手紙は終わった

 

 なんていうか、あいつらの考えてることがよくわかるな

 

 俺は別にそんなつもりないんだけど

 

 もう少し、話しをしないとか?

 

成海「どれだけその相手が大切かが伝わって来るね。」

巴「そうですね。」

成海、巴(両方、同一人物なんだけど。)

 

つぐみ『ここまではお互いに大切に思いあってるのが伝わってきますね!ではでは!お次の出場者です!』

ひまり「はーい!」

 

 次はひまりだ

 

 元気に手を挙げる姿、可愛いな

 

ひまり「私に大切な人はすごい人です!いつも、色んな人を気にかけて、困っていたら手を差し伸べてて、私の理想のかっこいい人!私もそう言う風になりたいけど今は失敗ばっかりです!」

 

 ひまりは胸を張りながらそう言った

 

 む、胸を張って言う事なのか?

 

 本人がいいならいいんだけど

 

ひまり「だからこそ、すごいんだって思えるし、挑戦したいって思える!いつかあなたみたいになれたら、お互いに支え合って、今よりもっといい関係になれるって思ってます!」

 

 ここまでの2人とは違う、明るい感じ

 

 これはひまりの良さだな

 

 この笑顔が心を温かくしてくれる

 

ひまり「優しくて、かっこよくて、いっぱい頑張ってる!私はその人を大好きだし、尊敬してます!いつか私も、色んな人に頼られる、その人みたいなかっこいいリーダーになりたい!だから、私の一番近くで見ててくださいね!」

 

 ひまりはそう言うと「以上!」と言い、下がっていった

 

 何というか、会場の空気が変わったな

 

 本当にすごい子だ

 

つぐみ『なんだかほっこりしましたね!ひまりさんには頑張って欲しいです!それでは、次の出場者です!』

あこ「はーい!」

 

 次はあこか

 

 あこもひまりと同じで元気だ

 

 いやー、空気が明るくなるな

 

あこ「あこの大切な人は世界一かっこいい人です!一言で言えば、この世の主人公!完璧っぽいけど完璧じゃなくて、なんか色んなものを抱えてる、あこの大好きで憧れてる!それがあこの大切な人です!」

 

 あこもそう言う感じか

 

 なんていうか、俺のこと盛りすぎじゃない?

 

 いや、今に始まったことでもないけど

 

あこ「あこ達がピンチになったらサッと現れて、どんな状況でも解決してくれる、そして、全部終わったら笑いかけてくれる。まるでスーパーヒーロー!最近は色んなことを頑張ってて、もっとすごくなって、あこは少しだけ置いて行かれちゃってるけど......だからこそ、頑張って、目指す意味がある!」

 

 やばい、ハードル上がりまくってる

 

 俺ってどんな存在になってるの?

 

あこ「いっぱいいっぱい頑張って、私は憧れの人に追いつきたい!だからね、これからもあこのこと見逃さないでね!」

 

 あこはそう言うと、こっちにウィンクをして、下がっていった

 

 いやー、あこの中の俺、とんでもないことになってるな

 

 どうしよう......

 

成海「ははは、いやぁ、すごいねぇ、スーパーヒーロー。」

巴「まっ、蓮さんはかっこいいからな!」

蓮「そういうんじゃないんだけどなぁ......」

 

つぐみ『なんだか、皆さん、すごい人とお知り合いなんですね!(同一人物なんだけど)では、お次の出場者です!』

未玲「はい!」

 

 未玲か

 

 未玲はそうだな......難しいな

 

未玲「私には大切な人がたくさんいます。両親、お兄ちゃん、祖父母。みんな、私が大変な時に支えてくれた人です......でも、今回、私が感謝を伝えたいのは私を暗闇から救い出してくれた人です。」

蓮「!」

 

 未玲はそう言うと、こっちに視線を送って来た

 

 なるほど

 

 未玲もそうするのか

 

未玲「私の大切な人へ。あなたは多分、助けるべきだと思えばだれでも助ける人だと思います。困ってる人を面倒と思いつつも見捨てられない、そう言う人だから。」

 

 未玲の言う通りなんだろうな

 

 多分、そう言う体質っていうか

 

 そう言うのを引き寄せて、それに首を突っ込まざるを得ないのかもしれない

 

未玲「優しいとかの言葉だけじゃ表せない何か。あなたにはそれがあります。まるで、物語の主人公みたいに、あなたはトラブルに遭い、それを解決してしまう。だから、あなたは助けた相手をヒロインだと思わせてしまう。私もそうです。あなたの人とは違う不思議な部分に触れて、私は一目であなたを好きになった。」

 

蓮「!」

 

 未玲は手紙を読みながら、胸を押さえてる

 

 大丈夫なのか?

 

 その辺の記憶は思い出したくないのも思い出すんじゃないのか?

 

未玲「あの時、見渡す限り暗い世界から救い出してくれたあなたを、私は好きで好きでたまらない。私はあなたに選ばれたとき、これ以上ないくらい幸せを感じました。これからもあなたと離れたくない。これからも私と未来を歩きましょう。そして、この人生が終わるとき、私と同じくらい、幸せだったって思ってくれたら、嬉しいです。」

 

 未玲はそう言い終えると、ペコっとお辞儀をして、下がっていった

 

 別にそんなつもりなかったんだけど

 

 過度に美化されるのは俺の呪い的なやつなのかね

 

成海「随分、無理したみたいじゃないか。」

蓮「別に。」

巴「あ、蓮さん、結構来てるな?」

蓮「あんまり見ないで。」

 

 いい手紙だった

 

 そして、今ので未玲について分かったこともある

 

 やっぱり......

 

つぐみ『未玲さんの大切な人は主人公のようですが、未玲さん自身もヒロインのように輝いていますね!それではお次の出場者です!』

 

イヴ「はい!若宮イヴ、参ります!」

 

 イヴはそう言いながら出て来た

 

 いつも通りって感じだ

 

イヴ「私の大切な人は私はかっこいいです!私たちに苦しい顔なんて見せず、どんな悪い人もバッと切り捨ててしまう!どんな強大な相手にも一人で立ち向かっていく。そんな、かっこいい武士です。でも......私は少しだけ、自分のかっこいいを疑うようになりました。」

 

 イヴは最初の元気な態度から一変、声のトーンが落ちた

 

 会場の空気も一変する

 

イヴ「私の大切な人は、苦しいことに立ち向かうとき、私が隣に立つことを許してくれません。私に辛い思いをしてほしくない、幸せでいて欲しい。そう願っているから、あなたは必ず一人で行ってしまう......私はそれが悔しくて、何かを変えないといけない。だから私は進路を決めて、せめてあなたの支えになれるようになろうと思いました。」

 

 イヴはすぅっと息を吸う

 

 数秒の沈黙

 

 会場にいる誰もが固唾をのんで見守っている

 

 そして、イヴが口を開く

 

イヴ「私は芸能活動を頑張りたいと思います。失敗するかもしれませんが、あなたに少しでも追いつくために、私は頑張りたいです!」

『おぉ......!!』

 

 会場から声が上がる

 

 俺は知ってたけど、まだ公には発表してなかったな

 

 まぁ、なんていうか

 

 イヴは強い子だと思う

 

 本人が気付かないだけで、俺なんかよりずっと

 

つぐみ『すごい発表と素敵な気持ちですね!それでは、最後の出場者です!』

アリス「はい。」

 

 最後のアリスだ

 

 正直、今の俺は相当ヤバいが

 

 アリスだとなおヤバい気がする

 

アリス「私の大切な人。父であり、兄であり、恋人......そう言って、今も頑張ってくれている。深い絶望へ私を二度と堕とさないために、ずっと私を大切に愛してくれる。私の愛しい人。」

 

 アリスは静かな声だがはっきりした声で話し始めた

 

 これで、全員俺のこと言ったことになるのか

 

アリス「あなたは私を救ってくれた。絶望の底にいた私の手を引いてくれて、今の楽しい場所に連れて来てくれた。もし、あなたがいなければ、私はこの世にいなかったかもしれません。」

 

 会場がざわつく

 

 アリスのことは俺たち以外知らなかったはずだ

 

 とんでもない情報が出たって感じだろう

 

アリス「でも、あなたは私の手を引いてくれた。あなたは太陽な人ではありません。でも、暗闇の中を進んで、温もりを与えてくれる。この温もりを私は忘れられない。それがないと、私はもう生きていけない。だから、これからも一生、一緒にいて欲しいです。絶対絶対絶対、離れないでくださいね?あなたがいるから、私が存在出来てるんですから。」

 

成海(ゾワッ)

巴(ま、マジか。)

蓮「......」

 

 アリスはそう言うと、ペコっと頭を下げた

 

 成海も巴も会場も凍り付いてる

 

 まぁ、さっきのアリスは滅多に見られないからな

 

 流石に驚いただろう

 

つぐみ『す、すごく大きな気持ちが伝わってきましたね!そ、それでは、出場者の皆さん、舞台に並んでください!結果発表に移ります!』

 

成海「蓮、君は知っていたのかい?彼女の気持ち。」

蓮「もちろん。百も承知だ。」

巴「あたしも初めて見たな。アリスのあんな表情。」

蓮「あれもアリスだよ。俺は全部含めて、愛するさ。」

 

 人には一つや二つ、別の顔がある

 

 アリスの本音があれだとしても、俺は愛するさ

 

 そうしたいから、そうするしかないだろ

 

成海「じゃあ、優勝はどうする?」

蓮「まっ、お前らの点数もあるし。決まってるだろ。」

つぐみ『それでは!審査員長の神谷蓮さん!優勝者の発表をお願いします!』

巴「おっ、来たぞ。言って来いよ。」

蓮「おーう。」

 

 俺はそう言って、つぐみの方に歩いた

 

 あぁ、心苦しい

 

 全員優勝にしたい

 

 けど、そうするわけにはいかないんだよな

 

 それじゃ、頑張った皆に失礼だから

 

蓮『それでは、今回のミスコンの優勝者を発表します。』

 

 みんな、俺の方を凝視してる

 

 そんな視線を受けながら、俺は軽く空気を吸い込んで

 

 ゆっくり口を開いた

 

蓮『今回、僅差の戦いを制し、初代ミス羽丘に輝くのは......堂本未玲!』

 

 “未玲”

 

未玲「__へ?」

 

 神谷さんが発した名前に私は耳を疑った

 

 え、私のこと呼んだ?

 

 間違いじゃない、よね?

 

蓮「おめでとう。未玲。」

未玲「え、や、やった......んですか?」

蓮「あぁ。」

未玲「そっか......」

 

 なんていうか、現実感がない

 

 みんな、すごかった

 

 特にアリスさんなんか、特に神谷さんから愛されてるし

 

 正直、アリスさんが優勝だと思ってた

 

未玲「やったー!」

 

蘭「ダメか......」

モカ「まぁ、仕方ないね~。」

ひまり「う~ん、最初の失敗だね......」

あこ「未玲、よかったね!」

イヴ「おめでとうございます!」

アリス「おめでとうございます、堂本さん。(ちょっと、悔しいな。)」

 

 私は少しして、喜びが爆発した

 

 色んな嬉しいが混ざり合ってる

 

 神谷さんに選ばれたこと、転校してすぐにこんな思い出が作れたこと

 

 全部全部、嬉しい

 

蓮『みんな、すごい僅差だった。誰が優勝してもおかしくないくらい。出場者のみんな、お疲れ様。文化祭はまだまだ続く。出場者の皆も、在校生の皆も、この文化祭で美しい思い出を作って欲しい。』

女子生徒『きゃー!///』

男子生徒『か"み"や"~!!!』

蓮「最後まで!?(なんかいい感じな流れじゃないの?)」

 

成海「いやぁ、なんていうか、蓮らしいね。」

巴「そうですねー。」

 

 その神谷さんの言葉で、ミスコンは終わった

 

 女子からは黄色い声、男子からは怨念のこもった声を浴びせられていて

 

 その様子がなんだかおもしろくて、舞台の上にいる皆は笑ってしまいました

 

 

 

 

 

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