こころ「れーん♪」
夏休みももう残すところ一週間。
朝起きたら、何と俺の上にこころがいるじゃありませんか。
日ごろは分かりずらいが、こころはスタイルがいい、そんな彼女が薄着で上にまたがってるんだ、事件だろ。
蓮「......何やってるんだ、こころ?」
こころ「蓮に甘えてるのー♪」
蓮「あ、はい。」
おかしい。いや、いっつも普通ってわけじゃないが、俺の寝てるうちに上に乗ったりすることは今までになかった。
だが、今日のこころは何と言うか、甘えてきてる。どういう事だ?
黒服「__神谷様。」
蓮「あ、黒服の人?なぜ、ベッドの隙間から?」
黒服「時間がないので手短にお話しします。今のこころ様は自身の欲望に素直になっているのです。」
蓮「欲望に?なぜそんな事に?」
黒服「実は、弦巻財団の開発部がひそかに開発していた自白剤を何故かこころ様が吸ってしまいまして。」
蓮「......弦巻財団の闇を見た。」
黒服「なので、こころ様の相手をお願いします。一応、2時間ほどで効果は切れると思いますので。」
蓮「あ、はい。」
それだけ言うと、黒服の人は消えた。
こころ「れーんー?」
蓮「ん?なんだ?」
こころ「ご飯を作ったの!食べましょう?」
蓮「ご飯?」
こころ「えぇ!行きましょ!」
蓮「あぁ。」
俺はこころに手を引かれ、リビングに行った。
こころは終始、嬉しそうに鼻歌を歌ってたりしていた。
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リビングに来ると、そこには豪華な朝食......ではなく、純和風な朝食が並べられていた。
蓮(これを、こころが?)
こころ「どうしたの?早く座りましょ!」
蓮「お、おう。」
俺は心に言われ、席に座った。
こころは白米と味噌汁を持ってきた。
こころ「これで、準備オッケーよ!」
蓮「美味そうだな。」
こころ「そう?じゃあ、食べましょう!」
蓮「そうだな。いただきます。」
こころ「いただくわ!」
俺たちは朝食を食べ始めた。
料理はどれもこれもすごく美味い。まるで何年も経験を積んだプロが作ったみたいだ。
こころ「れ、蓮?」
蓮「うん?」
こころ「えっと、その......///」
こころを見るとそわそわしてたりモジモジしてたりしていた。
どうしたんだろう?
こころ「その、料理はどうかしら......?///」
蓮「料理?すごい美味いぞ。和食好きだし、朝から食えて幸せだな。」
こころ「そう、よかったわ///」
こころはどこか満足そうだ。
でもさっきから顔が赤いな、風邪か?
そんな事を思ってるうちに俺たちは朝食を食べ終えた。
蓮「__ごちそうさま。本当に美味しかった。」
こころ「お粗末様!じゃあ、私は洗い物をするわね!」
蓮「俺もするぞ。」
こころ「え?」
蓮「美味い物食わせてもらったし、洗い物くらいしないとな。」
こころ「ダメよ!」
蓮「なんで!?」
こころ「だって、もしもお皿で指を切ったりして蓮が死んじゃったりしたら......」
蓮「いや、どんなに俺は貧弱なんだ!?流石にないわ!」
こころ「でも......」
蓮「大丈夫だって。俺を信じろ。」
こころ「......分かったわ。」
なんとか、こころを説得できた。
俺たちは洗い物を始めた。
蓮「__何と言うか、洗い物をしてると気持ちがよくなってくるな。」
こころ「素晴らしい感性ね!」
最近は有無も言わさない勢いで皆が家事をしてくれるからやる機会がなかったが、家事は嫌いじゃない。
掃除をすればすっきりするし、洗濯物を干せば晴れやかな気持ちになる。
蓮「それにしても、あれだな。」
こころ「どうしたの?」
蓮「少し前じゃ考えられなかったが、いつかは俺も結婚して、こんな風に一緒に家事したり......とか思うなぁ。」
こころ「えぇ!?///」
蓮「どうした?って、こころ!」
こころ「え?__あっ。」
こころは皿を落とした。
落とした皿は重力に従って床に落ち、割れた。
こころ「ご、ごめんなさい......」
蓮「あー、危ないからこっち来い。」
こころ「いえ、あたしが拾うわ......」
蓮「いいからいいから、大人しくしとけって。」
俺はそう言ってこころを抱き寄せた。
あのままじゃ言うこと聞かないからな。
こころ「っ!///」
蓮「大人しくしてろよー。」
俺はこころを話して皿の破片の片づけを始めた。
こころは口をパクパクさせてる。
蓮(やっぱり違和感あるな。いつものこころじゃないって言うか、反応が違うな。)
「__っつ。」
こころ「__れ、蓮!?」
考え事をしてると、破片で指を切っちまった。
こころ「蓮!大丈夫!?」
蓮「このくらい大丈夫だっての。」
こころ「ダメよ!早く手当てをしないと!」
こころはそう言うと俺をソファに引っ張っていった。
こころ「__切った所を出して。」
蓮「お、おう。」
俺はこころに言われるがまま指を出した。
こころはすぐに手当てを始めた。
こころ「......ごめんなさい。あたしがお皿を落としたから......」
蓮「大丈夫だって、これくらい。」
こころ「蓮はいつもそう。」
蓮「?」
こころ「誰も知らないうちに頑張て、一人で血を流すの......」
蓮「いや、そうでもないだろ。」
こころ「......合同ライブの時もアリスの件の時も、蓮は絶対に血を流してたわ。」
蓮「でも、まぁ、大丈夫だっただろ?」
こころ「それだけじゃない、蓮は過去にも傷ついたわ......」
蓮「......まぁ、そうかもしれないが。」
こころ「......もう、いいじゃない。」
蓮「え?」
こころ「蓮はもう、傷つかなくても、いいじゃないの......」
蓮「こ、こころ、なんで泣いてるんだ......?」
こころの涙なんて初めて見た。
いや、決して出会って長いわけじゃないが、いつも明るいこころが泣くところなんて想像できてなかった。
それだけに、こころ涙は効く。
蓮「こころ。」
こころ「なに__!」
俺は気づけば、こころの頭を撫でていた。
こころは俺を心配してくれてるんだ、本当に心が優しい子なんだよ。だから、泣いてるのをほっておくことなんてできない。
蓮「ありがとな、こころ。」
こころ「......うん。」
蓮「でもさ、俺はやっぱり皆が大切なんだ。」
こころ「蓮?」
蓮「俺を過去、つまりこの背中の傷と一緒に受け入れてくれたみんなが俺は大切なんだよ。もちろん、こころもな。」
こころ「......」
蓮「だから、俺は血を流してでも、皆といる日常、俺にとっての平穏を守りたいんだ。」
こころ「蓮......」
蓮「......まぁ、あんまり心配はかけないようにはするよ。な?」
こころ「うん......!」
俺はしばらく、こころを撫で続けていた。
蓮「__なぁ、こころ。」
こころ「なぁに?」
蓮「いつまで撫でてればいいんだ?」
こころ「うーん、もういいわ!」
蓮「そうか?」
俺は撫でるのをやめた。
すると、突然心が俺に抱き着いてきた。
蓮「どうしたんだ?」
こころ「なんでなのかしら、とても眠たいの......」
蓮「眠たい?あっ(もう二時間経つのか。)」
時計を見ればもう、効果が切れると言われた2時間が経とうとしていた。
恐らく、効果が切れるときは眠るのだろう。
こころ「ねぇ、蓮......?」
蓮「どうしたんだ?」
こころ「ずっと、言いたいことがあるの......」
蓮「なんだ?」
こころ「__あたしはどんなものを抱えてても皆のために頑張る、蓮が好き......///」
蓮「え、それはどういう__」
こころ「すぅー......」
蓮「ね、寝た、のか?」
黒服の人「__神谷様。」
蓮「黒服の人?」
黒服の人「こころ様のお相手、ありがとうございました。」
蓮「いえ、俺も楽しかったです。」
黒服の人「こころ様は私達で引き取りますので。」
蓮「はい。しっかり寝かせてあげてください。」
俺はそう言って抱き着いて来ていたこころを黒服の人に引き渡した。
黒服の人「それでは私達はこれで__と、言いたい所なのですが。」
蓮「はい?」
黒服の人「一つ、報告ミスがありました。」
蓮「報告ミスですか?」
黒服の人「はい。それは今回の薬の効果についてです。」
蓮「?」
黒服の人「今回の薬の効果は『自分の欲望に素直になる』じゃなく『自分の気持ちを素直に表現してしまう』でした。」
蓮「え?」
黒服の人「それだけです、では。」
蓮「ちょ、ちょとま__って、いっちまった。」
俺はソファに座った。
そして、脳内にはさっきの言葉が残ってる。
『蓮が好き......///』
『自分の気持ちを素直に表現してしまう。』
蓮「__んだよ、どういう事なんだよ......」
俺は理解できなかった、だって、その話のまま行くと
蓮「......こころが俺を好きって事になるじゃねぇかよ。」
分からない、本当に何が何だか、分かんねぇよ。
俺は今日1日、これで頭を悩ませることになる。
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