蓮(__結構仕事多いな。)
俺は事務所に呼び出されパスパレの収録の後始末中だ。
蓮(たく、俺にはやることが山ほどあるってのに。)
書類仕事なんて咎を使えばすぐに終わる。
俺はしばらく仕事をした。
__________________
蓮「__ふぅ、終わった。」
時計を確認すると午後5時。
仕事を始めたのが2時だから、ちょうど3時間、時間切れだ。
入ってくる情報の量が減った。
千聖「__お疲れ様。蓮。」
蓮「千聖?仕事上がりか?」
千聖「打ち合わせだけよ。」
蓮「そうか。」
千聖「蓮は何の仕事だったの?」
蓮「お前らの収録の後始末だよ。事務所に呼び出されてな。」
俺は椅子にもたれかかった。
能力に慣れてもこの疲労感は付きまとうな。
千聖「......また、能力を使ったの?」
蓮「あぁ。仕事を終わらせるには必要だからな。」
千聖「全くもう......」
蓮「なんだ?」
千聖「あなたはあまり能力を使わないで。またあんなことになったら......」
蓮「大丈夫だっての。もう和解して負担も軽減されてるから。」
千聖「そうは言っても__まぁ、いいわ。」
千聖は何か言おうとしたが、言うのをやめた。
千聖「何を言ってもあなたは聞かないわよね。」
蓮「おー、よく分かってるじゃねぇか。」
千聖「あなたを信用してるのよ。」
蓮「さんきゅ。」
千聖「あ、そうだわ。」
蓮「?」
千聖は何かを思いついたような声を上げた。
そして、こんな提案をしてきた。
千聖「今から私とお茶しないかしら?」
蓮「お茶?別にいいぞ。」
千聖「そう。じゃあ、準備するわね。」
蓮「え?あるのか?」
千聖「えぇ。」
そう言って千聖はお茶の準備をした。
そして、お茶を始めた。
蓮「__じゃあ、いただく。」
千聖「えぇ、どうぞ。」
俺は紅茶を口に含んだ。
美味い。
専門知識はないからうまく言えないが、ともかくうまい。
蓮「美味いな。」
千聖「そう、よかったわ。私のお気に入りなの。」
蓮「千聖のか。うん、良い目だ。」
千聖「ありがとう。」
こういう時間は悪くない。
でも、こういうゆったりとした時間になって、頭を整理すると色々なことを思い出す。
蓮「......はぁ。」
千聖「どうしたの?」
蓮「色々考え事があってな。」
千聖「考え事?それはあなたの疲れた様子と関係があるの?」
蓮「まぁ、あんまり寝れてないからな。」
ここ最近、俺はこころと蘭の事を考えるあまり寝れてない。
でも、そこまであからさまに出てるのか。
千聖「......何があったの?」
蓮「うーん、これに関しては人に話すことじゃないからな。」
千聖「大丈夫よ。私は他言しないわ。」
蓮「うむ。」
俺は少し迷ったが、人の意見も必要と思い、話すことにした。
蓮「実はな。」
千聖「実は?」
蓮「......ある二人に告白されたんだ。」
千聖「......え?」
蓮「それで、今までそんな素振りのない二人だったから色々考えててな。」
千聖「......そう。それで、蓮は何を考えてるの?」
蓮「俺には分からないんだ。あの二人は俺の好きなところを言ってくれた、でも、それでも、なんで俺なんかを好きなのか分からないんだ。」
千聖「......」
千聖は何やら考え込んでいる。
かなり難しい顔だ。
蓮「ほんとに、あいつらはなんで__」
千聖「私には分かるわ。」
蓮「え?」
千聖は静かにそう言った。
真っ直ぐこっちを見てる。
千聖「蓮、あなたは魅力にあふれてるのよ。」
蓮「魅力?」
千聖「えぇ。あなたは私達を助けてくれたわ。」
蓮「あれは日菜に頼まれたからだ。」
千聖「アリスちゃんは?」
蓮「!」
千聖「あれはあなたが助けるのを決めたと聞いたわ。」
蓮「......そうだったかもしれん。」
千聖「どんなことでも困ってる人に手を差し伸べる、優しさ。皆、それに惹かれるのよ。」
蓮「俺はそんなんじゃない。助けるのも俺の勝手な行動だ。」
千聖「......ほんとに、そう言うところなのよ。」
蓮「?」
千聖は何かを呟いたが、上手く聞き取れなかった。
千聖「本当にあなたは重度の鈍感な用ね。」
蓮「鈍感?」
千聖「えぇ。人の気持ちにも自分に対しても、鈍感すぎるわ。」
蓮「何?」
千聖「そう、人の気持ち、にもね。」
蓮「おい、どういう事だ__!?」
千聖「ん......///」
俺の視界一杯に千聖が写ってる。
そして、唇にはやわらかい感触、これは......キスだ。
蓮(ち、千聖!?)
千聖「__ふぅ。」
蓮「お、おい、何を__」
千聖「私もあなたが好き。」
蓮「!」
千聖「私たちを助けてくれたあなたを愛してるわ。だからこそ。」
千聖は俺を見据えるような目で見てる。
大きな目には自分の姿がはっきり見える。
千聖「__あなたは自分の魅力としてきた事を自分で分かった方がいいわ。」
蓮「!」
千聖「じゃ、じゃあ、私はこれで。」
蓮「お、おい!」
千聖はそそくさと去ろうとした。
その刹那、千聖はこう言った。
千聖「まだ、こんなものじゃないわよ。」
蓮「何__」
千聖は部屋を出ていった。
俺は一人残された。
蓮「どういう事なんだ......?」
まだこんなものじゃないってどういう事なんだ。
俺はこの時、千聖の言葉の意味を理解できなかった。
こうして、俺の夏休みは過ぎていった。
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