覚醒救世主と夢を目指す少女達   作:火の車

34 / 170
千聖です。


千聖の忠告

蓮(__結構仕事多いな。)

 

 俺は事務所に呼び出されパスパレの収録の後始末中だ。

 

蓮(たく、俺にはやることが山ほどあるってのに。)

 

 書類仕事なんて咎を使えばすぐに終わる。

 俺はしばらく仕事をした。

__________________

 

蓮「__ふぅ、終わった。」

 

 時計を確認すると午後5時。

 仕事を始めたのが2時だから、ちょうど3時間、時間切れだ。

 入ってくる情報の量が減った。

 

千聖「__お疲れ様。蓮。」

蓮「千聖?仕事上がりか?」

千聖「打ち合わせだけよ。」

蓮「そうか。」

千聖「蓮は何の仕事だったの?」

蓮「お前らの収録の後始末だよ。事務所に呼び出されてな。」

 

 俺は椅子にもたれかかった。

 能力に慣れてもこの疲労感は付きまとうな。

 

千聖「......また、能力を使ったの?」

蓮「あぁ。仕事を終わらせるには必要だからな。」

千聖「全くもう......」

蓮「なんだ?」

千聖「あなたはあまり能力を使わないで。またあんなことになったら......」

蓮「大丈夫だっての。もう和解して負担も軽減されてるから。」

千聖「そうは言っても__まぁ、いいわ。」

 

 千聖は何か言おうとしたが、言うのをやめた。

 

千聖「何を言ってもあなたは聞かないわよね。」

蓮「おー、よく分かってるじゃねぇか。」

千聖「あなたを信用してるのよ。」

蓮「さんきゅ。」

千聖「あ、そうだわ。」

蓮「?」

 

 千聖は何かを思いついたような声を上げた。

 そして、こんな提案をしてきた。

 

千聖「今から私とお茶しないかしら?」

蓮「お茶?別にいいぞ。」

千聖「そう。じゃあ、準備するわね。」

蓮「え?あるのか?」

千聖「えぇ。」

 

 そう言って千聖はお茶の準備をした。

 そして、お茶を始めた。

 

蓮「__じゃあ、いただく。」

千聖「えぇ、どうぞ。」

 

 俺は紅茶を口に含んだ。

 美味い。

 専門知識はないからうまく言えないが、ともかくうまい。

 

蓮「美味いな。」

千聖「そう、よかったわ。私のお気に入りなの。」

蓮「千聖のか。うん、良い目だ。」

千聖「ありがとう。」

 

 こういう時間は悪くない。

 でも、こういうゆったりとした時間になって、頭を整理すると色々なことを思い出す。

 

蓮「......はぁ。」

千聖「どうしたの?」

蓮「色々考え事があってな。」

千聖「考え事?それはあなたの疲れた様子と関係があるの?」

蓮「まぁ、あんまり寝れてないからな。」

 

 ここ最近、俺はこころと蘭の事を考えるあまり寝れてない。

 でも、そこまであからさまに出てるのか。

 

千聖「......何があったの?」

蓮「うーん、これに関しては人に話すことじゃないからな。」

千聖「大丈夫よ。私は他言しないわ。」

蓮「うむ。」

 

 俺は少し迷ったが、人の意見も必要と思い、話すことにした。

 

蓮「実はな。」

千聖「実は?」

蓮「......ある二人に告白されたんだ。」

千聖「......え?」

蓮「それで、今までそんな素振りのない二人だったから色々考えててな。」

千聖「......そう。それで、蓮は何を考えてるの?」

蓮「俺には分からないんだ。あの二人は俺の好きなところを言ってくれた、でも、それでも、なんで俺なんかを好きなのか分からないんだ。」

千聖「......」

 

 千聖は何やら考え込んでいる。

 かなり難しい顔だ。

 

蓮「ほんとに、あいつらはなんで__」

千聖「私には分かるわ。」

蓮「え?」

 

 千聖は静かにそう言った。

 真っ直ぐこっちを見てる。

 

千聖「蓮、あなたは魅力にあふれてるのよ。」

蓮「魅力?」

千聖「えぇ。あなたは私達を助けてくれたわ。」

蓮「あれは日菜に頼まれたからだ。」

千聖「アリスちゃんは?」

蓮「!」

千聖「あれはあなたが助けるのを決めたと聞いたわ。」

蓮「......そうだったかもしれん。」

千聖「どんなことでも困ってる人に手を差し伸べる、優しさ。皆、それに惹かれるのよ。」

蓮「俺はそんなんじゃない。助けるのも俺の勝手な行動だ。」

千聖「......ほんとに、そう言うところなのよ。」

蓮「?」

 

 千聖は何かを呟いたが、上手く聞き取れなかった。

 

千聖「本当にあなたは重度の鈍感な用ね。」

蓮「鈍感?」

千聖「えぇ。人の気持ちにも自分に対しても、鈍感すぎるわ。」

蓮「何?」

千聖「そう、人の気持ち、にもね。」

蓮「おい、どういう事だ__!?」

千聖「ん......///」

 

 俺の視界一杯に千聖が写ってる。

 そして、唇にはやわらかい感触、これは......キスだ。

 

蓮(ち、千聖!?)

千聖「__ふぅ。」

蓮「お、おい、何を__」

千聖「私もあなたが好き。」

蓮「!」

千聖「私たちを助けてくれたあなたを愛してるわ。だからこそ。」

 

 千聖は俺を見据えるような目で見てる。

 大きな目には自分の姿がはっきり見える。

 

千聖「__あなたは自分の魅力としてきた事を自分で分かった方がいいわ。」

蓮「!」

千聖「じゃ、じゃあ、私はこれで。」

蓮「お、おい!」

 

 千聖はそそくさと去ろうとした。

 その刹那、千聖はこう言った。

 

千聖「まだ、こんなものじゃないわよ。」

蓮「何__」

 

 千聖は部屋を出ていった。

 俺は一人残された。

 

蓮「どういう事なんだ......?」

 

 まだこんなものじゃないってどういう事なんだ。

 俺はこの時、千聖の言葉の意味を理解できなかった。

 こうして、俺の夏休みは過ぎていった。

 




感想などお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。