ますき「ごきげんよう......じゃなかった。」
六花「ますきさんってお嬢様学校だったんですね?」
ますき「あぁ、まぁな。」
六花「その上、ドラムも叩いてて......」
ますき「親父の影響だ。」
六花「これがほんとの箱入り娘ですね!」
ますき「箱入り、なのか?」
朝、目を覚ますとまず見えるのは白い天井。
カーテンの隙間から入ってくる陽の光ですごくきれいに見える。
蓮「ん、朝......?」
ここに入院してから少し経ったけど、毎日、僕の友達って言う人が来る。
それで、記憶があった時の僕の話をしてくれる。
でも、いくら聞いてもしっくりこない。
本当に記憶があった時の僕なんて居たのか、本当にあの人たちが友達だったのか、何一つとしてしっくりこない。
蓮(僕の名前は神谷蓮で、高校3年生。)
自分の事について分かるのは今の所これだけ。
それ以外の必要な事は覚えてる......と思う。
友希那『__蓮、入るわよ?』
蓮「!」
考え事をしてると、5人が病室に入ってきた。
確か、ロゼリアの5人だったはず......
リサ「おはよー!蓮!」
友希那「おはよう、蓮。」
紗夜「おはようございます、神谷さん。」
あこ「おっはよー!蓮君!」
燐子「おはようございます......蓮君。」
蓮「は、はい。おはようございます。」
5人は入ってくると、挨拶をしてくれた。
どうやら今日はこの5人が来る日、らしい。
友希那「調子はどうかしら?」
蓮「体は元気です。湊さん。」
友希那「そう......(湊さん、なのね......)」
僕が湊さんの名前を呼ぶと少し悲しそうな顔をした気がした。
他の4人も複雑そうな表情をしてる。
蓮「あ、あの、何かしてしまいましたか......?」
紗夜「いえ、なんでもないですよ。」
燐子「そうですよ......少し考え事をしていただけです......」
あこ「そうだよ!」
蓮「は、はい。」
皆がそう言うなら、きっとそうなんだろうな。
僕はある事を尋ねることにした。
蓮「あの、今日は何のご用で?」
友希那「あ、忘れてたわ。」
リサ「今日はね、蓮が退院する日なんだよ!」
蓮「退院?」
紗夜「えぇ。体の方はもう問題ないようですし、退院してもいいと。」
蓮「そうですか。」
燐子「蓮君は少しの間......自宅療養になりますよ。」
あこ「だから、あこ達と一緒に遊ぼうね!」
蓮「は、はい。」
記憶がなくなったと言われた時から、病院の外に出るのは初めて。
どんな世界が広がってるのか、それを考えるだけで少し怖くなってくる。
蓮(ど、どうしよう。外が怖い......)
紗夜(震えてる?)
燐子「蓮君?」
蓮「は、はい?」
燐子「大丈夫、ですよ?私達がいます。」
蓮「白金さん......?」
白金さんはそう言うと僕の手を握った。
手は僕の方が大きいのに、包まれてるような感じがして、とても優しい感じがした。
蓮「ありがとうございます。頑張ります......」
燐子「はい......!」
友希那(さ、先を越されたわ......)
リサ(やるなー燐子ー。)
あこ(りんりん、ずるいよー!)
紗夜(......気づいていたのに。)
燐子「じゃあ、行きましょう、蓮君。」
蓮「はい!」
僕は5人に付き添われて、病院を出た。
__________________
蓮「__すごい......!」
外に出ると僕が知らない世界が広がってた。
大きい建物がたくさんあって、窓越しでしか感じてなかった陽の光を感じる。
蓮(太陽が気持ちい。今の僕の感覚だと、初めまして太陽、になるのかな?)
僕は空を見上げてみた。
空は病室から見た通り綺麗な青色で、心が落ち着く気がする。
紗夜「どうしました?」
蓮「い、いや、空がきれいだと思って。」
紗夜「今日は晴天ですからね。確かに綺麗ですね。」
リサ「蓮は感受性が豊かだねー!えらいぞー!」
蓮「そ、そうなんですか?」
友希那「えぇ。とてもいい感性よ。流石蓮ね。」
蓮「そ、そうですか__」
話してると、何か異質な音が聞こえた。
風の音じゃない、何か異質な音。
僕はその音を怖いと思った。
蓮「っ!!!」
僕は耳を抑えた。
この音を聞きたくない、怖い、早く止まってほしい。
そう心で叫び続けた。
友希那「蓮!どうしたの!?」
蓮「お、音が......」
燐子「音......まさか......!」
あこ「どうしたの、りんりん?」
燐子「皆さん、蓮君を移動させてください......!」
リサ「う、うん!」
紗夜「神谷さん、こっちに来てください。」
蓮「......」
僕は耳をふさぎながらその場を離れた。
__________________
蓮「__もう、大丈夫です。」
僕たちは近くにある公園に来た。
ここは静かでいい。
紗夜「それで、さっきはなんであんなことに?」
蓮「音が、聞こえたんです。」
リサ「音?」
燐子「多分、車だと......思います。」
あこ「車?なんでなんで?」
友希那「......蓮は車を怖がってるの?」
燐子「恐らく......」
リサ「でもなんで?__って、まさか!」
紗夜「本能的に轢かれたことのある車を恐れてるのでしょう。」
車、あの音の正体はそれらしい。
あの音を聞くと、どうしようなく怖くて、足がすくんで、動けなくなった。
紗夜「ですが、それだと神谷さんが家に帰れませんよ?」
友希那「そうね、それが問題だわ。」
あこ「うーん......あ!そうだ!」
リサ「あこ?」
あこ「ねぇねぇ!蓮君!」
蓮「は、はい?」
あこ「車が怖いなら、あこと手を繋いで帰ろうよ!」
友希那、リサ、紗夜、燐子「!?」
あこ「そうすれば、きっと大丈夫!怖くないよ!」
蓮「!」
宇田川さんが僕の手を握った。
僕よりも小さいのに、頼りがいがあるように感じた。
あこ(れ、蓮君の手、握っちゃった......///)
蓮「なんだか、安心する......」
あこ「そ、そう!?よかったー!///」
蓮「これなら、大丈夫かもです。」
友希那「じゃあ、もう片方は私が__」
リサ「あ!友希那ずるい!あたしも!」
紗夜「ここは安全を考えて私が。」
燐子「私が......!」
蓮「?」
友希那「争いは避けられないようね。」
リサ「負けないから。」
紗夜「絶対に勝ち取ります!」
燐子「蓮君のためなら......絶対に負けません......!」
何か雰囲気がおかしい。
どうしたんだろう?
あこ「__いい加減にして!4人とも!」
友希那、紗夜、リサ、燐子「!」
あこ「今は蓮君が大変な時なんだよ!?そんな子供みたいな喧嘩してる場合じゃないよ!」
宇田川さんはかなり怒ってるみたいだ。
一番年下って聞いてたけど、他の4人が何も言えなくなってる。
あこ「行こ!蓮君!」
蓮「は、はい。」
僕は宇田川さんに手を引かれて歩きだした。
どこか、宇田川さんの背中が大きく見える気がした。
友希那「......あこの言う通りね。」
リサ「......ごめん。」
紗夜「私も冷静じゃなかったです......」
燐子「私も......です。」
友希那「今回はあこ一人に譲りましょうか。
紗夜「そうですね。常識的に三人が横に並ぶのは迷惑ですし......」
あこ「4人ともー!早く来てください!」
蓮(宇田川さん、たくましいな......)
僕はそう思いながら、家と言われる場所に帰って行った。
帰り、車が一杯あったけど、手を握ってくれてて皆が言葉をかけてくれたから怖がらずにいられた。
__________________
しばらく歩くと、僕の家と言われる場所に来た。
かなり大きくて、僕はどんな生活をしてるんだろうと思った。
そう思いながら、僕は家の中に入った。
蓮「__ここが、僕の家?」
友希那「そうよ。」
リサ「何か思い出せそう?」
僕は周りを見てみた。
あまり物がなくて、綺麗な家。
ここで生活してる自分が思い浮かんでこない。
蓮「......あまり、しっくりこないです。」
紗夜「そうですか......」
僕の部屋と言われる場所にも行った。
学校の制服に鞄、教科書に、寝るためのベッド、それと......
蓮「あれは......?」
僕はあるものを手に取った。
ペン?いや、万年筆?
蓮「これは、なんで飾ってあるんですか?」
リサ「それは、蓮が大切にしてるものだよ。」
蓮「僕が?」
僕は万年筆を見た。
とても高価そうだ。
蓮(なんでだろう、なんでかこれを置いておかないといけない気がする。)
僕は静かに万年筆を戻した。
リサ「蓮?__って、なんで泣いてるの!?」
蓮「泣いてる?......ほんとだ。」
紗夜「どうしました!?何か悲しい事が!?」
蓮「い、いえ。何もないはず、です。」
なんで、僕は泣いてたんだろう。
よく分からない、勝手に......
友希那「もうお昼だし、ご飯にしましょう?蓮はお腹がすいたかしら?」
蓮「言われてみれば、少し?」
リサ「そっか!じゃあ、何か作るね!」
紗夜「私も手伝います。」
あこ「あこもー!」
燐子「私は......蓮君に付いておきます。一人じゃ不安でしょうし......」
友希那「私もそうするわ。」
リサ「うーん、いいんだけど。......手を出したりしたら駄目だよ?」
友希那、燐子「!?///」
紗夜「い、今井さん、何を!?///」
あこ「手を出す?」
蓮(どういう意味だろ?手を出す?何か駄目な事っぽいし......叩くとかかな?)
リサ「いや、だって、ね?」
友希那「しないわよ!///」
燐子「そ、そんなことしません......!///」
湊さんと白金さんが困ってるみたいだ。
うーん、どうしたら......
蓮「あの、今井さん?」
リサ「うん?」
蓮「湊さんも白金さんもそんなことしないと思います。」
友希那、燐子「!」
蓮「二人とも優しい人だし、そんなに疑わなくてもいい、と思います。」
リサ「いや、でもね?手を出す可能性も__」
蓮「大丈夫ですよ。」
友希那、燐子「蓮(君)......」
蓮「二人とも、僕を叩いたりする人じゃありません。」
友希那、燐子、リサ、紗夜「え......?」
蓮、あこ「?」
僕が話すと、4人が固まってしまった。
あこは僕と一緒に首をかしげてる。
蓮「あの、手を出すって叩くとか、そう言う意味じゃないんですか?」
リサ「あー......」
紗夜「ま、まさか、こういう記憶も......?」
燐子「消えてるみたい......ですね。」
友希那「三人とも。集合。」
4人が部屋端で集まった。
”4人”
友希那「__三人とも、分かったわね?」
紗夜「はい。」
燐子「今の蓮君は......すごく、純粋、です......」
リサ「あー......可愛すぎ......」
紗夜「本音が漏れてますよ?今井さん?」
リサ「あ、やば。」
友希那「いえ、リサの気持ちもわかるわ。」
紗夜「ただでさえ、いつもよりも内気になっていて、その上純粋なんて。殺人的です。」
燐子「弟......みたい......///」
友希那「私達はあの蓮を守らないといけないわ。」
リサ「そうだね。」
紗夜「異論ありません。」
燐子「私もです。」
この時、4人は蓮を守ることを心に誓った。
その間、蓮とあこの二人は__
あこ「何して遊ぶ?」
蓮「宇田川さんのおすすめの遊びがいいです。」
あこ「じゃあ!ゲームしよ!他の皆も蓮君が頼めばやってくれるよ!」
蓮「そうですか?じゃあ、みんなでしましょうか。」
あこ「うん!そうしよっか!」
二人はどこまでも平和だった。
友希那「待たせたわね。」
蓮「あ、湊さん。」
リサ「いやー、ごめんねー!ご飯作ろっかー!」
紗夜「そうですね。時間もたってしまいましたし。」
蓮「あ、皆さん。」
友希那、紗夜、リサ、燐子「?」
蓮「後、みんなでゲームしませんか?宇田川さんがおすすめだって......」
燐子「NFOかな......?」
あこ「うん!そうだよ!」
紗夜「神谷君がしたいなら。」
リサ「楽しみだね!」
友希那「蓮が言うなら仕方ないわね。」
皆と後でゲームすることが決まった。
僕たちはご飯を食べるために部屋を出ようとした。
その時、ある事を聞くのを思い出した。
蓮「あの......」
友希那「どうしたの?」
蓮「僕の両親は、いないんですか?」
ロゼリアメンバー「っ!!!」
僕がそう言うと、空気が変わった気がした。
それから、皆の口数が減ったように感じたのは気のせいだったのかな......?
かなり強い要望があったのでこちらを投稿します。