蓮「暇だな。」
咎『そうだな。』
蓮「記憶がない間、俺たちは出番なしだからな。なんかキャラも変わりまくってるし。」
咎『俺なんて使用できなくなってるからな。』
蓮「果たしていつ俺は戻れるのやら。」
咎『まぁ、ガールズバンドのメンバーに任せようぜ。』
蓮「......そうだな。」
蓮「__ここは......?」
目を覚ますと、真っ暗な空間に立ってた。
本当に真っ暗で何も見えない。
蓮?「__よう、俺。」
蓮「だ、誰?」
蓮?「俺はお前だ。」
何も見えないはずなのに、目の前の僕?ははっきり見える。
蓮?「記憶は戻りそうか?」
蓮「......まだ、分からない。」
蓮?「ま、そうだよな。」
蓮「僕は記憶を戻す方法を知ってるの?」
蓮?「うーん......」
僕?は考えるような仕草をした。
蓮?「分からん。」
蓮「え?」
蓮?「ただ。」
蓮「?」
蓮?「お前の周りにいるガールズバンド。あいつらを信じてろ。」
蓮「皆を?」
蓮?「あぁ。きっと、あいつらを信じてれば答えは見えてくるはずだ。多分。」
蓮「多分って......」
蓮?「ま、俺は行くから。じゃあな。」
蓮「あ、待って!」
僕?はどこかに歩いて行った。
もう少し、情報を聞かないと、もう少し。
そう思っても遠ざかっていく、そして、また真っ暗になった。
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「__蓮。」
蓮「......ん......?」
誰かの声が聞こえる。
僕は目をゆっくり開けた。
蘭「おはよ、蓮。」
蓮「美竹さん......?」
蘭「調子はどう?」
蓮「大丈夫です。元気です。」
蘭「そう。よかった。」
蓮「んっ。」
美竹さんは微笑みながら僕の頭を撫でた。
手つきが優しくて、すごく安心する。
蘭(......可愛い。ロゼリアの言ってた通りだ。)
蓮「あ、あの、美竹さん?」
蘭「あ、ごめん。つい。」
蓮「い、いえ。とても安心しました!」
蘭「!//」
僕は笑顔でそう言った。
美竹さんは口元を抑えてそっぽを向いた。
蓮(どうしたんだろ?)
蘭(守りたい、この笑顔......!)
モカ『蘭ー?』
蓮、蘭「!」
モカ「何してるのー?朝ごはんの用意出来てるよー?」
蘭「ごめん。今から行くよ。」
蓮「ごめんなさい......」
モカ「おー、こんなに可愛らしくなっちゃってー。」
青葉さんは僕の方を見て緩い笑顔を向けた。
モカ「まー、おいでよー。モカちゃんもお腹がすいたよー。」
蓮「はい。」
蘭「じゃあ、行こっか。」
僕は二人とリビングに歩いて行った。
__________________
巴「__お!来たか三人とも!」
リビングに行くと、宇田川さん、羽沢さん、上原さんがいた。
三人ともエプロンをつけてて、朝ごはんの用意をしてくれたと分かる。
つぐみ「おはようございます!すぐに用意するので座っててください!」
ひまり「蓮さんの席はここだよね!」
蓮「は、はい?」
僕に決まった席があったのは知らなかったけど、僕は言われた席に座った。
席に座ると、あっという間に目の前に朝ごはんが運ばれてきた。
とてもおいしそう。
蓮、アフターグロウ「いただきます。」
僕たちは朝ごはんを食べ始めた。
ひまり「蓮さんって目玉焼きに何かけましたっけ?」
蓮「えっと......」
モカ「ケチャップー?」
つぐみ「何もかけないかも?」
巴「......いや、違うな。」
ひまり「!」
巴「蓮さんが目玉焼きにかけるのは......」
蘭(あ、察した。)
巴「__ソイや!」
空気が凍ったように感じた。
美竹さんどころか青葉さんまで冷めた目をしてる気がする。
巴「な、なんつってー......?」
ひまり「巴、流石にそれは......」
つぐみ「うん、そうだね......」
巴「うぐっ」
モカ「ともちん、さむーい。」
蘭「......もう、冬だっけ?」
巴「」
蓮「で、でも、僕はいいと思いますよ!醤油!」
空気に耐えかねて、そう言った。
宇田川さんが不憫すぎる?ような気がするし。
蓮「醤油かけると美味しいですし!う、宇田川さんのギャグ?も僕はいいと思いましたよ!」
巴「蓮さん......」
ひまり(何この尊い生物。)
つぐみ(すごく抱きしめたい)
モカ(......家に持って帰ったらダメかなー?)
蘭「......可愛い。」
巴「蓮さん、あたしの弟にならねぇか?」
蓮「えぇ!?」
蘭(これはロゼリアから聞いてた通りだね。すっごい可愛い。持ち帰りしたい。)
ひまり「巴何言ってるの!?蓮さん困ってるよ!?」
つぐみ「あと、蓮さんは年上だよ!」
モカ「ともちんー?」
巴「じょ、冗談だって。てか、モカの名前呼ぶだけが一番怖い。」
モカ「大丈夫大丈夫ー。モカちゃんは何もしないよー......蓮君に手を出さない限りー。」
巴(モカ、若干病んでねぇか?)
蓮(仲良しだなー。記憶がある時の僕はこのくらい仲良かったのかな?)
そんな事を考えながら、僕は朝ごはんを食べた。
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朝ごはんを食べ終わった後、僕は考え事をしてた。
蓮(どうやったら記憶が戻るんだろう......)
皆と話せば話すほど、皆が望んでるのが記憶がある時の僕を望んでるのが分かってきて、早く記憶を戻さないとって思う。
蓮「......何かないかな。」
モカ「どうしたのー?」
蓮「あ、青葉さん。」
モカ「何か探し物かなー?」
蓮「はい。記憶を戻す手がかりになる物がないかなって。」
ひまり「手がかりですか?」
つぐみ「何かあるかな?」
巴「写真とかは?」
蓮「あ、そう言えば。小さい時の写真とかないのかな?」
蘭「っ!」
ひまり「巴!」
巴「あ!しまった!」
蓮「?」
蘭「小さい時の写真は蓮のお父さんとお母さんが持って行ったんだよ。」
蓮「え?そうなんですか?」
どうやら僕の両親は海外に行ってるらしくて、そんな僕の面倒をみんなで見てくれてるらしい。
蓮「うーん、じゃあ、何かあるかな......」
蘭「やっぱり記憶があった時の事を話すとかかな。」
蓮「それは聞きました。今とはだいぶ違うと。」
モカ「そうだねー。記憶があるときはかっこよくて、今は可愛いからねー。」
ひまり「私達に演奏を教えてくれたり!」
つぐみ「合同ライブの時はお世話になった......けど、蓮さんも危なくなって......」
巴「蓮さんは自分の事を後回しにして誰かのために行動する、そんな人だったよ。すごい優しい人だった。」
蘭「自己犠牲が過ぎるよ。今回だって子供を庇って事故に遭ってるし。......でも、それが私たちの好きな蓮なんだって思う。」
蓮「好き?」
蘭「......あっ///」
好きってどういう意味なんだろう?
友達としてかな?
モカ「蘭ー。モカちゃん達まで巻き添えなんだけどー///」
ひまり「で、でも記憶ないからセーフ!///」
つぐみ「うぅ......///」
巴「ら、蘭!///」
蘭「ごめん///」
蓮「どうしました?」
みんなの顔が赤い。
どうしたんだろう?
蓮「好きってどういう意味のなんですか?」
蘭「え!?」
蓮「一つの言葉でも意味は何通りもありますし、正しくとらえないと駄目かなって。」
ひまり(れ、蓮さんが攻めてきてる!?)
つぐみ(き、記憶がないって言っても///)
巴(今、言うべきではないよな......)
モカ「今は気にしなくてもいいよー。」
蓮「え?」
モカ「今は蓮君の記憶を戻すのが大事だからねー。それをがんばろー。」
蘭「そ、そうだね。」
蓮「まぁ、そうですね?」
確かに、今の僕がそれの意味を分かっても意味がない。
だって......
蓮(どんな意味の好きでも皆が好きなのは記憶がある時の僕だから......)
それから、記憶のある時の僕の話を色々聞いたけど何もしっくりくることはなかった。
僕の記憶は戻るのかな......
”記憶がない蓮”
蘭「そう言えば、記憶がない蓮って何が好きなの?」
蓮「そうですね......笑顔、でしょうか。」
蘭「笑顔?」
蓮「はい。人の笑顔を見るのは好きです。」
蘭「そっか。(こういうとこは元の蓮とあんまり変わらないのかな。)」
蓮「だから、皆を笑顔にするために出来るだけ早く記憶を戻しますね!」
蘭「焦らなくてもいいから。頑張ってね。」
蓮「はい!美竹さん!」
蘭「じゃあ、次回に続くよ。」