覚醒救世主と夢を目指す少女達   作:火の車

52 / 170
薫とはぐみ

 僕は今、外に出てる。

 

 理由は散歩だ。

 

蓮「ふんふーん。」

 

 日の光を浴びると何だか生命力がみなぎってくる気がする。

 

 気持ちがいいな。

 

蓮(あ、もう商店街か。)

 

 気づくともう商店街まで来てた。

 

はぐみ「__あ!蓮君先輩だ!」

蓮「ん?はぐみ?」

薫「やぁ、蓮。」

 

 商店街の中からはぐみと薫が歩いてきた。

 

 何故かボールとグローブを持ってる。

 

はぐみ「珍しいね!何してるの?」

蓮「最近、外に出てなかったから散歩でもしようと思って。」

薫「いい意識だね。儚い。」

蓮「二人は何しに行くんだ?」

はぐみ「はぐみ達はね!今からキャッチボールするんだよ!」

薫「あぁ。バンドの練習の息抜きにでもと、はぐみが誘ってくれたんだ。」

蓮「へぇ、楽しそうだな。」

はぐみ「あ!蓮君先輩も来る?」

蓮「いいのか?」

 

 はぐみがそんな事を言い出した。

 

 見たところグローブは二個しかないように見えるけど。

 

蓮「じゃあ、俺も行こうかな。運動したいし。」

はぐみ「じゃあ!決まりだね!行こ!」

薫「あぁ。」

蓮「分かった。」

 

 僕と薫ははぐみについて行った。

__________________

 

はぐみ「__着いたー!」

 

 僕たちが来たのは近くの広場だ。

 

薫「まずは私が行こう。」

はぐみ「そうだね!」

 

 そう言うと、薫とはぐみは距離を取った。

 

はぐみ「ねぇ、薫くーん?」

薫「なんだい、はぐみ?」

はぐみ「そんなに近くていいのー?」

薫「大丈夫さ。」

はぐみ「そう?じゃあ、行くよー!」

 

 はぐみはそう言うと、おおきく振りかぶって薫の方にボールを投げ込んだ。

 

薫「え、ちょ、はや__」

 

 ボールは薫の顔の横を通過していった。

 

 通過していったボールを確認した薫の顔はみるみる内に青くなっていった。

 

蓮「いや、速すぎだろ。」

薫「は、ははは。こ、これは、ハードだね。」

 

 動揺が顔だけじゃなくて、発言にもにじみ出てる。

 

はぐみ「大丈夫ー?」

薫「ひっ......」

蓮「......はぁ。」

 

 薫完全に怖がってるな。

 

蓮「薫ー、早いけど交代しないかー?」

薫「だ、大丈夫さ。蓮を危険に晒すわけにはいかない。」

 

 薫はそう言いながらも足がブルブル震えている。

 

蓮「いやいや、そんな震えながら言われても。」

 

 俺はそう言いながら薫に近づきながらそう言った。

 

 そして、グローブを奪い取った。

 

薫「蓮!」

蓮「任せろ。はぐみの球筋は見切った(多分)」

薫「なんだって!?」

蓮「だから、まぁ、まかせろ(?)」

薫「......あぁ、分かった。」

 

 薫はそう言うと、俺が座ってたベンチに行った。

 

蓮「さぁ!来い!はぐみ!」

はぐみ「分かった!いっくよー!」

 

 はぐみは振りかぶって、ボールを投げた来た。

 

蓮「うお!」

 

 バシ!!!

 

 投げて来たボールはグローブの中に納まった。

 

はぐみ「蓮君先輩、上手だねー!」

蓮「あ、あぁ。ありがとう。」

 

 なんてボールだ。

 

 早いし、真っ直ぐで強い。

 

 しかも浮いてるように見えるから、すごく怖い。

 

はぐみ「投げてきていいよー!」

蓮「よ、よし、行くぞ!」

 

 僕はボールを投げた。

 

 ボールははぐみとは違って山なりにふらふらと上がっている。

 

 届きはしてるが、勢いが全くない。

 

はぐみ「うん!上手だよ!蓮君先輩!」

蓮「あ、ありがとう。」

薫「蓮、なんて立派なんだ......!」

 

 いや、どう考えても反応が過剰だよ。

 

 特に薫。

 

はぐみ「じゃあ!行くよー!」

蓮「おー!」

子供「__お兄ちゃん、何してるの?」

蓮「え?」

 

 はぐみが投球モーションに入った瞬間、子供が後ろから出て来た。

 

蓮「ちょ、下がって!」

子供「?」

 

 やばい、はぐみのモーションは止まってない。

 

 はぐみはさっきより勢いのあるボールを投げ込んできた。

 

蓮「危ない!」

 

 僕は子供に覆いかぶさった。

 

 ゴン!!!

 

 ボールは僕の頭に当たった。

 

薫「蓮!」

はぐみ「蓮君先輩!」

 

 僕の意識はそこで途絶えた。

__________________

 

 ”夢”

 

蓮『__ん、ここは?』

?『やっと起きたか。』

蓮『君は?』

?『俺はお前だ。神谷蓮。』

蓮『僕?』

 

 僕、と名乗った人物は顔がよく見えない。

 

 でも、声は全く一緒だ。

 

蓮?『それにしても、気絶してここに来るって、俺は俺だな。』

蓮『はは、そうかも。』

蓮?『まぁ、冗談は置いといて。』

 

 僕?は少し咳ばらいをした。

 

蓮?『お前は気づいてるか?』

蓮『何に?』

蓮?『お前の記憶は戻ろうとしてる、って事だ。』

蓮『!』

蓮?『まぁ、それもこれも、あいつら次第だ。だが、仮に記憶が戻った時。』

 

 僕?は僕に向けてこう言ってきた。

 

蓮?『今のお前は確実に消える。』

蓮『......そっか。』

 

 何となく、分かってた。

 

 記憶が戻ったら僕はどうなるんだろうって。

 

 少なくとも、今の僕という人格は消えるって。

 

蓮『大丈夫だよ、分かってる。』

蓮?『そうか。ならよかった。』

 

 そう言うと僕はどこか遠くを眺めた。

 

蓮?『......お姫様がお呼びだぜ。』

蓮『?』

蓮?『え?』

蓮?『じゃあな。』

 

 そう言われると、目の前の景色が一転して、体が浮くような感覚に襲われた。

 

 ”現実”

 

蓮「__ん。」

はぐみ「蓮君先輩!」

蓮「はぐみ......?」

 

 目を開けると、はぐみの顔が真上にあった。

 

 下は何か柔らかい感触がある。

 

蓮「膝枕?」

はぐみ「うん。」

蓮「そっかそっか。」

 

 女の子は膝枕をするのが好きなんだろうか。

 

 イヴもしてたし。

 

蓮「薫は?」

はぐみ「薫君は飲み物とか冷やすものを買いに行ったよ。」

蓮「そっか。」

 

 僕が起き上がろうとすると、はぐみに止められた。

 

蓮「はぐみ?」

はぐみ「......ごめんね。蓮君先輩。」

蓮「え?」

はぐみ「はぐみ、楽しくって子供に気付かなくって......」

 

 はぐみはいつもからは考えられないような沈んだ声でそう言った。

 

 目には若干、涙が溜まってる。

 

蓮「気にしなくていいよ、はぐみ。」

はぐみ「でも、痛かった、よね?」

蓮「うーん、まぁ。」

はぐみ「やっぱり......」

 

 はぐみは今にも涙を流しそうだ。

 

蓮「はぐみ?」

はぐみ「どうしたの......?」

蓮「いや、はぐみの投げるボールってすごいなって思って。」

はぐみ「え?」

蓮「あんなに速くて、真っ直ぐで、強いボール、初めて見た。」

 

 僕ははぐみに微笑みかけながらそう言った。

 

蓮「だから、そんなボールを投げられるはぐみってすごいよな。」

はぐみ「蓮君先輩......」

蓮「こういう時なんて言うんだろ。」

 

 確か、モカが持ってきた漫画に......

 

蓮「ナイスボール!って言うんだっけ?」

はぐみ「!」

 

 僕は笑顔でそう言った。

 

はぐみ「蓮君先輩。」

蓮「うん?」

はぐみ「はぐみね、怖かったんだ。」

蓮「?」

はぐみ「もし、あのボールが当たったせいで死んじゃったらって、蓮君先輩がいなくなったらって。」

 

 はぐみは呟くようにそう言った。

 

はぐみ「もし、そうなってたら、はぐみ、二度とボールを投げられなくなってた。」

蓮「......」

はぐみ「でも、蓮先輩ははぐみにボール、褒めてくれた。」

蓮「そうだぞ。いいボールだった。」

はぐみ「すごく嬉しいよ。」

蓮「そうかそうか!」

 

 はぐみに少しずつ笑顔が戻ってきた。

 

はぐみ「蓮君先輩。」

蓮「うん?」

 

 はぐみが僕の名前を呼んだ。

 

 なんだろう、少し雰囲気が違う。

 

はぐみ「はぐみね、蓮君先輩が大好きだよ///」

蓮「!!」

はぐみ「こころん、かのちゃん先輩、薫君、みーくんや皆とは違う好き///」

蓮「はぐみ......」

はぐみ「蓮君先輩は、はぐみの事、好き?」

蓮「俺は__」

薫「__ただいま、二人とも。」

蓮、はぐみ「!」

 

 俺が話そうとすると、薫が戻ってきた。

 

 手には袋が握られてる。

 

はぐみ「か、薫君!///」

薫「どうしたんだい?」

はぐみ「はぐみ、ちょっと用事思い出しちゃったから!帰るね!」

薫「え?あぁ。」

はぐみ「じ、じゃあね!二人とも!」

 

 はぐみはそう言うと、走って行った。

 

蓮(そっか、はぐみまで。)

薫「蓮、どうぞ。」

 

 薫はぺっどボトルを差し出してきた。

 

蓮「ありがとう。」

 

 俺はそれを受け取って、飲み物を飲んだ。

 

蓮「ふぅ。」

薫「落ち着いたようだね。」

蓮「あぁ。」

 

 薫は僕の横に座った。

 

薫「それにしても、蓮は災難に好かれているようだね。」

蓮「そうか?」

薫「あぁ。記憶があった時も、君は何かに巻き込まれていた。」

蓮「......そうか。」

 

 俺はもう、そう言う体質なのか?

 

 トラブルに巻き込まれる確率が上がるって言う。

 

薫「だがね、どんな災難に巻き込まれても、蓮は嫌な顔をしないで最善を尽くしていた。」

 

 薫は静かにそう言った。

 

薫「そして、いつも蓮はたった一人ですべての痛みを背負い続けていたよ。」

蓮「痛み?」

薫「いつも血を流すのも、危険な目に遭うのも、傷を残すのも、蓮だけだった。」

 

 薫は唇をかんだ。

 

 悔しい、という感情が表情から伝わってくる。

 

薫「だから、私は蓮を守りたいと思った。」

蓮「守る?」

薫「あぁ。あらゆる災難から蓮を守る王子でありたいと、心の底から思った。」

 

 薫はそう言うと、僕の方をじっと見た。

 

薫「私は蓮を愛している。」

蓮「!」

薫「蓮、私は君を守るよ。そんな時だって。」

 

 薫は真剣な表情でそう言った。

 

 すると、薫はすぐに立ち上がった。

 

薫「......私は何があっても、君を守る。」

 

 薫はそう言いながら手を差し出してきた。

 

薫「君にはたくさんのお姫様がいるけれど、その中で私は君の王子でありたい。」

蓮「薫......」

薫「今日は帰ろう。送って行くよ。」

蓮「......あぁ。」

 

 俺は薫の手を取った。

 

薫「蓮が私を選んでくれるなら、私は君を迎えに行くよ。」

蓮「......僕の記憶が戻ったら、答えは出るよ。」

薫「そうだね。」

 

 僕と薫は僕の家に帰って行った。

 

 少し前を歩く薫の背中は本物の王子のようだった。




新バンド追加ですね!
ましろちゃんはかなり好みです!

さて、どこのシリーズで上手く登場させられるでしょうか。
進み具合的に狂犬あたりが現実的?

流石にこのシリーズで出すのは、難しい、と言うか不可能ですね。

まぁ、まずは追加されて、ストーリーを読んで、話はそれからですね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。