僕は今、外に出てる。
理由は散歩だ。
蓮「ふんふーん。」
日の光を浴びると何だか生命力がみなぎってくる気がする。
気持ちがいいな。
蓮(あ、もう商店街か。)
気づくともう商店街まで来てた。
はぐみ「__あ!蓮君先輩だ!」
蓮「ん?はぐみ?」
薫「やぁ、蓮。」
商店街の中からはぐみと薫が歩いてきた。
何故かボールとグローブを持ってる。
はぐみ「珍しいね!何してるの?」
蓮「最近、外に出てなかったから散歩でもしようと思って。」
薫「いい意識だね。儚い。」
蓮「二人は何しに行くんだ?」
はぐみ「はぐみ達はね!今からキャッチボールするんだよ!」
薫「あぁ。バンドの練習の息抜きにでもと、はぐみが誘ってくれたんだ。」
蓮「へぇ、楽しそうだな。」
はぐみ「あ!蓮君先輩も来る?」
蓮「いいのか?」
はぐみがそんな事を言い出した。
見たところグローブは二個しかないように見えるけど。
蓮「じゃあ、俺も行こうかな。運動したいし。」
はぐみ「じゃあ!決まりだね!行こ!」
薫「あぁ。」
蓮「分かった。」
僕と薫ははぐみについて行った。
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はぐみ「__着いたー!」
僕たちが来たのは近くの広場だ。
薫「まずは私が行こう。」
はぐみ「そうだね!」
そう言うと、薫とはぐみは距離を取った。
はぐみ「ねぇ、薫くーん?」
薫「なんだい、はぐみ?」
はぐみ「そんなに近くていいのー?」
薫「大丈夫さ。」
はぐみ「そう?じゃあ、行くよー!」
はぐみはそう言うと、おおきく振りかぶって薫の方にボールを投げ込んだ。
薫「え、ちょ、はや__」
ボールは薫の顔の横を通過していった。
通過していったボールを確認した薫の顔はみるみる内に青くなっていった。
蓮「いや、速すぎだろ。」
薫「は、ははは。こ、これは、ハードだね。」
動揺が顔だけじゃなくて、発言にもにじみ出てる。
はぐみ「大丈夫ー?」
薫「ひっ......」
蓮「......はぁ。」
薫完全に怖がってるな。
蓮「薫ー、早いけど交代しないかー?」
薫「だ、大丈夫さ。蓮を危険に晒すわけにはいかない。」
薫はそう言いながらも足がブルブル震えている。
蓮「いやいや、そんな震えながら言われても。」
俺はそう言いながら薫に近づきながらそう言った。
そして、グローブを奪い取った。
薫「蓮!」
蓮「任せろ。はぐみの球筋は見切った(多分)」
薫「なんだって!?」
蓮「だから、まぁ、まかせろ(?)」
薫「......あぁ、分かった。」
薫はそう言うと、俺が座ってたベンチに行った。
蓮「さぁ!来い!はぐみ!」
はぐみ「分かった!いっくよー!」
はぐみは振りかぶって、ボールを投げた来た。
蓮「うお!」
バシ!!!
投げて来たボールはグローブの中に納まった。
はぐみ「蓮君先輩、上手だねー!」
蓮「あ、あぁ。ありがとう。」
なんてボールだ。
早いし、真っ直ぐで強い。
しかも浮いてるように見えるから、すごく怖い。
はぐみ「投げてきていいよー!」
蓮「よ、よし、行くぞ!」
僕はボールを投げた。
ボールははぐみとは違って山なりにふらふらと上がっている。
届きはしてるが、勢いが全くない。
はぐみ「うん!上手だよ!蓮君先輩!」
蓮「あ、ありがとう。」
薫「蓮、なんて立派なんだ......!」
いや、どう考えても反応が過剰だよ。
特に薫。
はぐみ「じゃあ!行くよー!」
蓮「おー!」
子供「__お兄ちゃん、何してるの?」
蓮「え?」
はぐみが投球モーションに入った瞬間、子供が後ろから出て来た。
蓮「ちょ、下がって!」
子供「?」
やばい、はぐみのモーションは止まってない。
はぐみはさっきより勢いのあるボールを投げ込んできた。
蓮「危ない!」
僕は子供に覆いかぶさった。
ゴン!!!
ボールは僕の頭に当たった。
薫「蓮!」
はぐみ「蓮君先輩!」
僕の意識はそこで途絶えた。
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”夢”
蓮『__ん、ここは?』
?『やっと起きたか。』
蓮『君は?』
?『俺はお前だ。神谷蓮。』
蓮『僕?』
僕、と名乗った人物は顔がよく見えない。
でも、声は全く一緒だ。
蓮?『それにしても、気絶してここに来るって、俺は俺だな。』
蓮『はは、そうかも。』
蓮?『まぁ、冗談は置いといて。』
僕?は少し咳ばらいをした。
蓮?『お前は気づいてるか?』
蓮『何に?』
蓮?『お前の記憶は戻ろうとしてる、って事だ。』
蓮『!』
蓮?『まぁ、それもこれも、あいつら次第だ。だが、仮に記憶が戻った時。』
僕?は僕に向けてこう言ってきた。
蓮?『今のお前は確実に消える。』
蓮『......そっか。』
何となく、分かってた。
記憶が戻ったら僕はどうなるんだろうって。
少なくとも、今の僕という人格は消えるって。
蓮『大丈夫だよ、分かってる。』
蓮?『そうか。ならよかった。』
そう言うと僕はどこか遠くを眺めた。
蓮?『......お姫様がお呼びだぜ。』
蓮『?』
蓮?『え?』
蓮?『じゃあな。』
そう言われると、目の前の景色が一転して、体が浮くような感覚に襲われた。
”現実”
蓮「__ん。」
はぐみ「蓮君先輩!」
蓮「はぐみ......?」
目を開けると、はぐみの顔が真上にあった。
下は何か柔らかい感触がある。
蓮「膝枕?」
はぐみ「うん。」
蓮「そっかそっか。」
女の子は膝枕をするのが好きなんだろうか。
イヴもしてたし。
蓮「薫は?」
はぐみ「薫君は飲み物とか冷やすものを買いに行ったよ。」
蓮「そっか。」
僕が起き上がろうとすると、はぐみに止められた。
蓮「はぐみ?」
はぐみ「......ごめんね。蓮君先輩。」
蓮「え?」
はぐみ「はぐみ、楽しくって子供に気付かなくって......」
はぐみはいつもからは考えられないような沈んだ声でそう言った。
目には若干、涙が溜まってる。
蓮「気にしなくていいよ、はぐみ。」
はぐみ「でも、痛かった、よね?」
蓮「うーん、まぁ。」
はぐみ「やっぱり......」
はぐみは今にも涙を流しそうだ。
蓮「はぐみ?」
はぐみ「どうしたの......?」
蓮「いや、はぐみの投げるボールってすごいなって思って。」
はぐみ「え?」
蓮「あんなに速くて、真っ直ぐで、強いボール、初めて見た。」
僕ははぐみに微笑みかけながらそう言った。
蓮「だから、そんなボールを投げられるはぐみってすごいよな。」
はぐみ「蓮君先輩......」
蓮「こういう時なんて言うんだろ。」
確か、モカが持ってきた漫画に......
蓮「ナイスボール!って言うんだっけ?」
はぐみ「!」
僕は笑顔でそう言った。
はぐみ「蓮君先輩。」
蓮「うん?」
はぐみ「はぐみね、怖かったんだ。」
蓮「?」
はぐみ「もし、あのボールが当たったせいで死んじゃったらって、蓮君先輩がいなくなったらって。」
はぐみは呟くようにそう言った。
はぐみ「もし、そうなってたら、はぐみ、二度とボールを投げられなくなってた。」
蓮「......」
はぐみ「でも、蓮先輩ははぐみにボール、褒めてくれた。」
蓮「そうだぞ。いいボールだった。」
はぐみ「すごく嬉しいよ。」
蓮「そうかそうか!」
はぐみに少しずつ笑顔が戻ってきた。
はぐみ「蓮君先輩。」
蓮「うん?」
はぐみが僕の名前を呼んだ。
なんだろう、少し雰囲気が違う。
はぐみ「はぐみね、蓮君先輩が大好きだよ///」
蓮「!!」
はぐみ「こころん、かのちゃん先輩、薫君、みーくんや皆とは違う好き///」
蓮「はぐみ......」
はぐみ「蓮君先輩は、はぐみの事、好き?」
蓮「俺は__」
薫「__ただいま、二人とも。」
蓮、はぐみ「!」
俺が話そうとすると、薫が戻ってきた。
手には袋が握られてる。
はぐみ「か、薫君!///」
薫「どうしたんだい?」
はぐみ「はぐみ、ちょっと用事思い出しちゃったから!帰るね!」
薫「え?あぁ。」
はぐみ「じ、じゃあね!二人とも!」
はぐみはそう言うと、走って行った。
蓮(そっか、はぐみまで。)
薫「蓮、どうぞ。」
薫はぺっどボトルを差し出してきた。
蓮「ありがとう。」
俺はそれを受け取って、飲み物を飲んだ。
蓮「ふぅ。」
薫「落ち着いたようだね。」
蓮「あぁ。」
薫は僕の横に座った。
薫「それにしても、蓮は災難に好かれているようだね。」
蓮「そうか?」
薫「あぁ。記憶があった時も、君は何かに巻き込まれていた。」
蓮「......そうか。」
俺はもう、そう言う体質なのか?
トラブルに巻き込まれる確率が上がるって言う。
薫「だがね、どんな災難に巻き込まれても、蓮は嫌な顔をしないで最善を尽くしていた。」
薫は静かにそう言った。
薫「そして、いつも蓮はたった一人ですべての痛みを背負い続けていたよ。」
蓮「痛み?」
薫「いつも血を流すのも、危険な目に遭うのも、傷を残すのも、蓮だけだった。」
薫は唇をかんだ。
悔しい、という感情が表情から伝わってくる。
薫「だから、私は蓮を守りたいと思った。」
蓮「守る?」
薫「あぁ。あらゆる災難から蓮を守る王子でありたいと、心の底から思った。」
薫はそう言うと、僕の方をじっと見た。
薫「私は蓮を愛している。」
蓮「!」
薫「蓮、私は君を守るよ。そんな時だって。」
薫は真剣な表情でそう言った。
すると、薫はすぐに立ち上がった。
薫「......私は何があっても、君を守る。」
薫はそう言いながら手を差し出してきた。
薫「君にはたくさんのお姫様がいるけれど、その中で私は君の王子でありたい。」
蓮「薫......」
薫「今日は帰ろう。送って行くよ。」
蓮「......あぁ。」
俺は薫の手を取った。
薫「蓮が私を選んでくれるなら、私は君を迎えに行くよ。」
蓮「......僕の記憶が戻ったら、答えは出るよ。」
薫「そうだね。」
僕と薫は僕の家に帰って行った。
少し前を歩く薫の背中は本物の王子のようだった。
新バンド追加ですね!
ましろちゃんはかなり好みです!
さて、どこのシリーズで上手く登場させられるでしょうか。
進み具合的に狂犬あたりが現実的?
流石にこのシリーズで出すのは、難しい、と言うか不可能ですね。
まぁ、まずは追加されて、ストーリーを読んで、話はそれからですね。