2日ほど経ち、文化祭は明後日にせまった
クラスの準備は思いのほか早く終わり
もう、講堂に道具を運び込み
後はリハーサルの日を待つのみとなった
蓮「__終わった!」
日菜「やったー!」
生徒会の仕事も片付いた
俺と日菜は大きく体を伸ばした
蓮「日菜は最後までしっかり働いたな。」
日菜「でしょでしょ!」
日菜は胸を張りながらそう言ってきた
いつもしっかり働けと言いたいが
まぁ、今回は頑張ったしいいだろ
蓮「そう言えば、合同バンドはどうなんだ?」
日菜「もう完璧だよ!今からだから見に行こ!」
蓮「そうなのか?かあ、行くか。」
日菜「うん!」
俺たちはそう言って立ち上がり
講堂に向かった
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講堂に来ると
もう、リハが始まる直前だった
彩『__聴いてください。バイトしてる人への応援ソングです!』
彩がそう言うと、演奏が始まった
蓮「へぇ、テーマはバイトだったのか。」
日菜「うん!5人の共通点だからね!」
蓮「なるほどな。」
良い感じだ
彩はMcで案の定、噛んだが
まぁ、そこはリサが上手くカバーした
蓮「なんだ、日菜の突拍子のない案だったのに、上手くいったんだな。」
日菜「うん!そうだよ!......って、言い方!?」
蓮「気にするな。あいつらにはいい思い出になってるだろうし。」
俺は舞台上の5人を見た
全員、楽しそうで、良い顔をしてる
蓮「ふっ、いいじゃないか。」
日菜「その顔!るんっ♪てくる!」
蓮「どんな顔だ?」
日菜「~♪」
日菜は鼻歌を歌っている
そうしてるうちに、5人のリハが終わった
日菜「いやー!流石、彩ちゃんだったねー。」
蓮「そうだな。」
まぁ、モカが言ってたみたいに
噛めば噛むほど味が出るし(?)
彩っぽくていいと思う
蓮(後は、俺だな。)
日菜「あ、そう言えば!」
蓮「ん?」
日菜「蓮君と回る子が決まるんだよ!今日!」
蓮「へぇ、そうなのか。」
完全に忘れてた
日菜は携帯を取り出した
日菜「あ、連絡来た!」
蓮「連絡?」
日菜「うん!抽選当たるかなー!」
蓮「抽選?」
日菜は携帯画面を凝視した
俺はそれを覗き込んだ
日菜「......」
蓮「......」
段々と名前が表示されていく
文化祭は2日間
それで、31人から選ばれるらしい
そして、名前が表示された
日菜「__当たらなかったー!!」
蓮「えっと?」
名前を確認すると当たったのは
蓮「麻弥とあこか。」
日菜「羨ましー!!」
蓮「子どもか。」
日菜はじたばたしながら叫んでる
その様はおもちゃが買ってもらえない子供そのものだ
蓮「まぁ、そこまで拗ねる事でもないだろ。」
日菜「拗ねる事だよー!!」
蓮「えぇ......」
そんなこんなで俺たちは講堂を出て行った
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”麻弥と薫”
薫「__麻弥。」
麻弥「あ、薫さん!」
麻弥は薫に駆け寄った
そして、薫は話し始めた
薫「抽選に当たったね、おめでとう。」
麻弥「ありがとうございます!」
麻弥は嬉しそうにしてる
薫はその様子を見て頬を緩めた
薫「これも運命さ、麻弥。」
麻弥「?」
薫「今夜の練習、私は講堂に行かない。」
麻弥「えぇ!?でも、それじゃ......」
薫「最終テストさ。今夜の蓮のお姫様は麻弥、君だ。」
薫はそう言って、麻弥に背中を向けた
そして、薫は去り際にこう言った
薫「どうするかは、君次第さ。」
麻弥「え?......って、えぇ!?///」
薫「儚い報告を待ってるよ!」
薫はそう言って廊下を歩いて行った
麻弥はその場で硬直した
麻弥「......それじゃあ、中途半端にしちゃダメっすよね。」
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”同時刻”
蓮「__ん?」
廊下を歩いてるとリサを見つけた
なんだか様子がおかしい
蓮「リサー。」
リサ「あ、蓮......」
蓮「よっ、どうした?」
俺は軽く手を振りながらリサに近づいた
リサは暗い表情をしてる
リサ「えっと......」
蓮「?」
リサ「ちょっと、演劇で思うようにいかない事があって。」
蓮「そうなのか?」
リサ「うん......」
リサは肩を落としている
俺は考えた
蓮「緊張してるのか?」
リサ「うん、そうかも......」
蓮「そうかそうか......」
リサ「蓮?」
蓮「......ふっ、ははは!」
俺は腹を抱えて笑った
リサは目を丸くして俺を見てる
蓮「リサが緊張って、面白いな。」
リサ「え!?どういうこと!?」
蓮「いや、いつもギャルギャルしいから。」
リサ「ギャルギャルしい!?」
俺は喋りながらリサの肩に手を置いた
蓮「まぁ、リラックスしろよ。大概の事は俺がどうにかしてやるから。」
リサ「う、うん!」
蓮「じゃあ、そういう事でー。」
俺はひらひら手を振りながら廊下を歩いて行った
”リサ”
リサ(気持ちが軽くなった。)
あたしは胸に手を当てた
蓮はやっぱり頼りになる
あたしの演技で蓮がどうにかするってどうやるのとか思うけど
不思議と説得力がある
蓮なら出来ちゃうんじゃないかって
リサ「ありがと、蓮。」
あたしはそう心の中でつぶやいた
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俺は夜の講堂に来た
そこではもう、麻弥が来ていた
麻弥「あ、蓮さん!」
蓮「よう、麻弥。待ったか?」
麻弥「いえ!ジブンも今来たところっす!」
俺は舞台に上がった
そして周りを見た
蓮「あれ?薫は来てないのか?」
麻弥「薫さんは来ないらしいです。」
蓮「え?」
麻弥「最終テスト、らしいです。」
蓮「なるほどな。」
納得した
薫らしくはないが
蓮「じゃあ、始めるか。」
麻弥「は、はい!」
蓮「......?」
麻弥の様子がおかしい
でも、取り合えず演技をしないとな
俺はそう思って、演技を始めた
蓮「__なんて、美しい姫なんだ。」
麻弥(あ、あわわ!///顔が近づいて来たっす!///)
蓮(あれ?顔赤い?)
俺はそう思ったが持ちを切り替えて
演技に没頭した
そして、一通りの演技が終わった
蓮「__よし、こんな感じか。」
麻弥「は、はい!完璧っす!」
演技自体は上手くいった
麻弥は薫をよく見てるだけあって上手かった
蓮「ありがとう、麻弥。助かった。」
麻弥「いえいえ!ジブンも楽しかったです!」
俺はそう言いながら舞台から飛び降りた
麻弥「......」
蓮「帰ろうぜ、麻弥。」
麻弥「......少し、待ってください。」
蓮「ん?」
帰ろうと鞄を持つと
麻弥に呼び止められた
俺は舞台上にいる麻弥に目を向けた
麻弥(ジブン、行くっす!///)
麻弥は突然、眼鏡をはずした
俺は首を傾げた
麻弥「れ、蓮さん!」
蓮「な、なんだ?」
麻弥「少し、聞いてほしい事があるんです。」
麻弥は静かな声でそう言った
そして、話し始めた
麻弥「ジブンが初めて蓮さんに会った、あの時の事を覚えていますか?」
蓮「あの、おっさんの時のか?」
麻弥「はい。」
蓮「それがどうした?」
麻弥「実はあの人が来た理由の一つは、ジブンにあるんです......」
麻弥は服の裾を掴みながらそう言った
俺は困惑した
蓮「どういう事だ?」
麻弥「あの人の前の担当さんのやめた理由は、ジブンなんです。」
蓮「!」
麻弥「......前の担当さんもひどくて、ジブンに関係を迫って来たんです。」
蓮「......」
麻弥「それを通報して、表沙汰になりませんでしたが......」
蓮「前の奴がやめさせられて、あれが来たと。」
麻弥「はい......」
なるほどな
表沙汰になってないから彩は自分のせいだと言ってたのか
確かに、彩の失敗しすぎでやめるなんておかしいもんな
麻弥「だから、ジブンはずっとそれを言い出せない罪悪感で押しつぶされそうで、ずっと......」
蓮「じゃあ、よかったじゃないか。」
麻弥「え?」
蓮「別に麻弥は何も悪くないし、今がいいからいいんじゃねぇの?」
俺は軽い口調でそう言った後
自分に指を指した
蓮「今、お前らを見てるのはこの俺だ。二度とあんな事、起こさせはしない。」
麻弥「......そうですか。」
麻弥は自分の胸に手を当てた
そして、少しうつ向いた
麻弥(よかった。好きになったのがこの人で本当に良かったです......だから、恥ずかしがらず、胸を張って!)
麻弥は勢いよく顔を挙げた
その目はいつもよりも澄んでいて
すごく、綺麗だ
蓮「麻弥?」
麻弥「ジブン、蓮さんが好きです!」
蓮「__え?」
麻弥ははっきりと大きな声でそう言った
その時の麻弥の表情は暗い講堂の中に差し込む月の光で
一層、輝いて見えた