文化祭が終わり
俺は平穏な日々を送っている......
花音「__蓮君?」
訳などなかった
蓮「う、うっす、花音さん。」
花音「え?どうしたの?」
蓮「い、いや、なんでもない。」
花音は首をかしげながら俺を見てる
俺は気を取り直した
今いるのは自宅だが
もう、あの30人の中から誰かいるのを疑問に思わなくなった
蓮「それで、今日は何の用で来たんだ?」
花音「うーん、特にないかな?」
蓮「あ、はい。」
もう、こんな感じの会話にも慣れた
ひどい時なんて、俺に会いに来たとかいうからな?
蓮「まぁ、適当にくつろいで行ってくれ。」
花音「え?構ってくれないの?」
蓮「え?いや、ちょっと休んでた分の課題があってな。」
花音「そっかー......」
お俺は花音にそう言った後
学校から出された課題を始めた
かなり休んだだけ、やっぱり多い
花音「......(ジー)」
蓮「......」
課題を始めて間もないが
花音の視線が痛すぎる
刺されてる感覚すら感じるぞ
花音「ジー。」
蓮(え?とうとう口に出して来た?)
別に部屋にいるのは良いんだが
これじゃ、課題に集中できないな
だからって、追い出すのも可哀想だし
蓮「花音?課題に集中できないんだが?」
花音「だって、蓮君が構ってくれないし......」
蓮「はぁ......」
流石に明後日、提出の課題だしな
どうするか
蓮「明日、時間あるか?」
花音「え?あるけど。」
蓮「じゃあ、明日、俺とどっか行くか?」
花音「え!?本当に!?」
花音は驚いたような声を上げた
そんなに驚くようなことなのか?
蓮「今日で課題が終われば、明日は時間あるし。花音の好きなカフェ巡りにも付き合える。」
花音「じゃあ、少し遠くのカフェでもいい?」
蓮「あぁ、いいぞ。」
花音「やった!」
俺がそう答えると、花音は嬉しそうに飛び跳ねた
花音「じゃあ、待ち合わせは○○駅のホームで!」
蓮「おう、分かった。」
花音「じゃあね!蓮君!」
花音はそう言って、俺の部屋を出て行った
俺はそれを見送った後、机に向かい
明日に備えて、課題の消化を始めた
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翌日、俺は花音に言われた駅に来ていた
今日は天気もいいし、出掛けるにはもってこいだ
蓮「__花音が来ない。」
待ち合わせの時間を過ぎても、花音が来ない
俺は一度、駅の名前を確認した
もちろん、間違ってない
蓮「どういう事だ?」
真面目な花音の事だし
時間を守らないとかはないだろうし
蓮(もしかして、何かあったか?)
俺は慌てて携帯を出し
花音に電話をかけた
蓮(......ダメだ。)
電話がつながらない
これ、マジでヤバいんじゃねぇか
蓮「咎!」
俺は能力を発動させ
花音探しを始めた
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”花音”
花音「__ど、どうしよぉ......」
私は見知らぬ地で一人迷子になってる
昨日、着てくる服を選んでたら寝落ちしてて
携帯の充電もないのに......
花音「待ち合わせの時間、もう過ぎてるかな......?」
蓮君の事だから、絶対に10分前に来てる
花音(怒ってる、かな......?)
蓮君は基本的に怒ったりしない方だけど
こんなに約束破ったりしたら怒るよね......
花音(ごめんね、蓮君......)
それから、私は諦めず
待ち合わせの駅を目指した
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”蓮”
1時間、花音を探したが
一向に見つかる気配はない
蓮(__どこにいる!)
そもそもが迂闊だった
花音が重度の方向音痴だって事を忘れてた
蓮(だが、どうする。こうなったら花音を見つけるのは難しいぞ。)
この状況で花音を見つけられる方法......
蓮「__あった。」
見つけられる方法があった
咎の効果の一つ、再現
これなら......
蓮「やってみるか。」
花音の思考になりきる
花音ならどう動くか、どう考えるか
右か左どっちを選ぶか
今の精神状態はどんなのか
蓮「見つけるぞ。」
俺はそう呟き
咎の再現の自動運転を開始した
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”花音”
迷子になってから、かなり時間が経った
周りも少しずつだけど、暗くなってきてる
待ち合わせが2時だったから、もう夕方かな
花音「__うぅ......」
目から涙が零れてくる
もう、蓮君は帰っちゃったかな
私の事、嫌いになってるかな
花音「蓮君......」
蓮「__呼んだか?」
花音「え......?」
顔を覆う手を離すと
目の前にはいつも通りの顔の蓮君がいた
花音「れ、蓮君......?」
蓮「たくっ、こんな所で迷子になってたのか。」
蓮君は少しだるそうな声でそう言った
”蓮”
花音を見つけられた
咎も切れたし、3時間くらい
だから、今は5時か
花音「ご、ごめんなさい......」
蓮「そうだな、反省しろ。」
花音「うん......」
蓮「携帯の充電できるバッテリーとか持ち歩け!」
花音「え?」
俺がそう言うと
花音は目を丸くした
蓮「携帯の充電切れてるだろ?方向音痴なんだから、携帯くらい、使えるようにしとけ。」
花音「そ、そうじゃないよね?」
蓮「?」
花音「私が迷子になって、それで怒ってるんじゃ......」
蓮「いや、そんな事で怒んねぇよ。」
俺は呆れながらそう言った
いちいち、時間に遅れたことなんかで怒ったりしない
蓮「むしろ、心配しかしてねぇよ、馬鹿。」
花音「え?」
蓮「事故に遭ってないかとか、誘拐されてないかとか、色々考えてた。」
俺は軽くため息をついて
花音を見た
蓮「だけど、見つかってよかった。」
花音「!///」
安心してつい頬が緩んだ
あんまり、だらしない顔は見せたくないんだが
蓮「ほら、行くぞ。花音。」
花音「ふぇ?///」
俺はそう言いながら
花音に手を差し出した
花音は呆けた声を出した
蓮「今日は花音と出かける予定だったし、このままじゃあれだろ。だから、行くぞ。」
花音「う、うん///」
花音は頷き、俺の手を取った
俺はやけに握られる手を気にしつつ
花音と一緒に歩いた
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世間は少し先だが、もうハロウィンムードだ
この辺りは騒がしいったらない
蓮「__世間はもうハロウィンかよ。」
花音「少ししたら、クリスマスになるよ?」
蓮「気が早い事だな。」
俺は花音とそんな会話をしながら
騒がしい街の中を歩いてる
花音も元気になったみたいだし、良かった
花音「わぁ!」
暫く歩くと
俺たちは噴水の前に来た
なんか、ハロウィン仕様になってるし
蓮「これ、よくやったなー。」
花音「そうだねー。」
そこら中に飾りとかもあって
いつもの街の中とは違うように感じる
花音「......」
蓮(こういうの見るのも、いいな。)
俺たちはしばらくその場に足を止め
その風景を見ていた
花音「......ねぇ、蓮君?」
蓮「なんだ?」
花音「蓮君はあの日の事、覚えてる?」
蓮「あの日?」
花音「こころちゃんのお屋敷で......」
こころの屋敷で、花音
あの日......
蓮「......あっ。」
花音「思い出した?///」
蓮「い、いやぁ、あの時は悪かった。」
思い出した
絶対に花音のあれに触った日だ
やばい、怒ってたのか、あれ
花音「あの時、初めての事で驚いて//」
蓮「あ、あぁ。」
花音「それで、あれからずっと、ドキドキしてたの......///」
蓮「あぁ......って、え?」
話の方向がおかしいぞ
てか、さっきから花音の顔、赤くねぇか?
花音「だから、ね///」
蓮「!?」
花音「んっ......///」
視界一杯に花音が写り
唇にはやわらかい感触がある
それは、すぐに放された
花音「蓮君には、はじめてをあげる///」
蓮「え?いや、花音......?」
花音「私は、蓮君が好きだよ///」
花音は消え入りそうな声でそう言った
その時、俺の時間は止まったみたいだった