今朝、モルフォニカの様子がおかしかった
なんか、よそよそしかった気がする
俺、5人に何かしたっけか
蓮(__全く分からん。)
昨日、ケーキを貰った時は普通だった
夕飯の時は友希那と5人がいなかった
つまり、練習時間から朝までに何かあった
しかも、俺にまつわる何かが......
蓮(考えられるとしたら、友希那か。)
友希那は夕飯には絶対来る
他の奴はバイトがあったりとかで来れない事もある
でも、友希那はそう言うのがないし、
出席率は100%だった
つまり、来ないのは不自然だ
蓮(だとしたら、何をした?)
新人イビリなんてするやつじゃない
てか、マウント取るものでもないし
だとしたら、なんだ?
友希那「__蓮、入るわよ。」
蓮「入ってから言うなよ......」
そんな事を考えてると、
友希那がドアを開けて部屋に入ってきた
別にノックしろとか言う必要はないけど、
この躊躇いの無さにはモノ申したい
蓮「まぁ、いいや。何か用か?」
友希那「蓮が私を求めてる気がしたの。」
蓮「......」
前々から思ってたけど、
友希那ってマジでエスパーなんじゃないか?
息をするようにこういう事するし
蓮「よ、よく分かったな。」
友希那「当り前よ。」
蓮(当り前じゃ困るんだが。)
友希那「それで、蓮は何で困ってるのかしら?」
友希那はベッドに座りながらそう聞いてきた
この態度的に隠す気は一切ないみたいだ
蓮「モルフォニカに何かしたか?」
友希那「あら、気付くのが早いわね。」
蓮「しっかり見るようにしてるんでな。お前らの事は。」
友希那「良い心がけね。」
友希那は少し笑いながらそう言った
そして、すぐに真面目な顔になった
友希那「でも、それが欠点にもなってるわ。」
蓮「なに?」
友希那「私達の事を見すぎて、自分の事を顧みない癖が色濃く出てるわ。」
蓮「......それは、どういう事だ?」
友希那「やっぱり、分からないようね。」
蓮「......?」
友希那「あなたはその性格と能力で人の深層心理まで読み取ることができるわ。」
友希那はつらつらと言葉を重ねた
確かに、俺は相手の考えを読める
でも、それに何の関係が......
蓮「......っ!」
友希那「気付いたようね。」
友希那は俺をまっすぐ見つめてる
俺は嫌な汗が流れて止まらない
そんな俺を見て、友希那はこう言った
友希那「蓮、本気で向けられた好意を断れなくなってるわね?」
蓮「......」
友希那「そして、あなたは好意を受け入れた責任を果たそうとする。」
友希那の言ってる事は正しい
現にモルフォニカに向ける感情が他と同じかと言われると、少し違った
一番に責任が付きまとってた
純粋に好き、という感情は希薄だった
俺はあいつらにそういう事を言った事がない
蓮(だとしたら、俺は......)
友希那「もし、蓮が彼女たちを本気で好きじゃなくて、重荷になっているなら、私は彼女たちを蓮から離れさせるわ。」
蓮「っ!!」
友希那「それだけよ。」
友希那はベッドから立ち上がった
そして、ゆっくりドアの方に歩いた
蓮「......友希那。」
友希那「何かしら?」
蓮「......勝手な事をしたら、一生恨むぞ。」
友希那「それが蓮のためになるなら、私は喜んで汚れ役に徹するわ。」
蓮「......」
友希那はそう言って部屋を出て行った
部屋は俺一人が残され静まり返っている
俺は頭を抱えた
蓮(......俺は、あの5人にとんでもなく失礼な事をしてた。)
向こうは本気の好意を向けてきてる
なのに、俺はそうじゃない
自分のすべてを曝け出せるほど信頼してない
だか、自分の過去を話そうとしない
赤の他人と近い扱いをしていることになった
蓮「とんだ、クズ野郎じゃないか......」
何が生半可なことはしないだ
口だけか?約束を守らないクズか?
いつから、俺は自惚れてた?
蓮「いつからだ......?」
六花『__あの、蓮先輩、いますか?」
蓮「......六花?」
六花「入りますね?」
六花はゆっくりドアを開けて部屋に入ってきた
そして、俺の方に近づいて来た
蓮「どうかしたか?」
六花「あの、少し気になったことがあって。」
蓮「?」
六花「モルフォニカさんの5人の事なんですけど......」
蓮「っ!!!」
六花「昨日、友希那先輩と話してる内容を聞いて。」
六花は小さな声でそう言った
俺は椅子から立ち上がり、六花に詰め寄った
六花「!」
蓮「何の話をしてた?」
六花「蓮先輩の過去のお話でした。あと、蓮先輩の隣にいる資格はあるか、と。」
蓮「!」
そうか、それでよそよそしくなったのか
友希那なら、あの話を聞いても離れない
そう言う覚悟を求めるはずだ
だとしたら......
六花「それで、誰か分からないんですが、『私に蓮さんといる資格ってあるのかな......?』と言っていました......」
蓮「......っ」
その時、謎の焦燥感に襲われた
資格がないのは、俺の方なんだ
悪いのは、全部俺なんだ
全ては俺の過失が招いた結果
蓮「......六花、俺をぶってくれ。」
六花「えぇ!?」
蓮「思いっきり頼む。」
俺は六花を見つめながらそう言った
六花はかなり戸惑った顔をしてる
六花「いいんですね?」
蓮「あぁ。」
六花「じゃ、じゃあ、行きます!」
パシン!!っと乾いた音が部屋に響いた
頬に鋭い痛みが走って、目が覚めていく
睡魔がという意味じゃない
蓮「ありがとう、六花。」
六花「は、はい?」
俺は大きく深呼吸をし、目を見開いた
もう、やることは決まった
蓮「よしっ。」
六花「蓮先輩?」
蓮「まず、邪魔を消してから、モルフォニカと向き合おう。」
六花「!」
蓮(もう間違えたりしない、絶対に。)
俺はそう心を決め、
勢いよく部屋を出て行った
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”モルフォニカ”
日曜の朝、5人はましろの部屋に集まっていた
全員、表情が暗い
つくし「......答えは、決まった?」
ましろ、透子、七深、瑠唯「......」
つくしの問いかけに4人は頷いた
それを見て、つくしは悲しそうな顔をした
瑠唯「......あの人の近くにいる資格は、私達にはないわ。」
ましろ「私達の気持ちは、あんまりにも一方的すぎるよ......」
透子「あんなにつらい過去があるのに、私達は気づかないで甘えるだけ、何も理解しようとしない、そんなんじゃ駄目、だよね......蓮さんに愛想尽かされるよ......」
3人は小さな声でそう言った
重苦しい空気が流れる
そんな中で、七深が口を開いた
七深「私は、嫌だ......」
つくし「ななみちゃん......?」
七深「だって、初めて、本気で好きになれたんだもん......別れちゃったら、一生現れない......」
透子「そう、だけどさ......」
瑠唯「足掻いたところで、他ならないあの人が望んでないのよ......」
七深「......っ......」
七深の瞳から涙が零れた
この中で1番、それを理解してるのは、
七深で間違いない
だからこそ、心が抉られていく
ましろ「......今日、言いに行こう。」
つくし「しっかり、お礼と謝罪を......」
七深「......」
その言葉の後は誰も何も言わなかった
誰もが今日が最後と疑わないのだ
部屋の中は通夜のような空気が流れ続けた
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”蓮”
......嫌な予感がする
何かが壊れて言ってるような予感を感じる
俺は大きな胸騒ぎを感じている
これは気のせいなんかじゃない
?「__おいおい、他に意識を割き過ぎじゃないか?」
蓮「......すいませんね。八代晴馬。」
晴馬「なんだ?パパって呼んでもいいんだぞ?」
今、俺は実の父親と対面してる
あの話を聞くと胸糞悪い
でも今、こいつはどうでもいい
蓮(わざわざ、お越しくださったところ悪いが......)
俺は目の前にいる八代晴馬を睨みつけた
そして、静かに咎を発動させた
晴馬「なんだ?」
蓮(寄り道に時間はさけない。手早く終わらさせてもらう。)
俺は行動を開始した
目の前の人ならざる人を
地獄の底に叩き落とす時間だ