3月に入って、今日は卒業式
卒業は人生で3回目になるが、なんとも感慨深いものだ
短いけど濃密な時間を過ごせた場所との別れって、なんか寂しい気持ちになる
なんて、そんな事を考えながら俺はあいつらと家を出た
女子たち『神谷君(先輩)~!!!///』
蓮「」
学校に足を踏み入れると、それはもう大量に女子生徒がいた
基本的には1,2年生が集まってて
人で花道が出来てる
日菜「わー!すっごい人ー!」
薫「子猫ちゃん達が待ちわびているようだね。」
蓮「......」
結局、最後までこれなのか
いやもう分かってたよ、パターン的に
俺はしんみりとかは出来ない運命だって
麻弥「相変わらず、蓮さんはモテモテですね!」
リサ「まぁ、当の蓮はあれだけどねー。」
蓮「はぁぁぁ......」
友希那「す、すごい溜息ね。」
正直、もう進みたくない
けど、そうも言ってられないので俺はゆっくりと歩を進めた
女子「卒業おめでとうございます~!」
女子2「行かないで~!神谷先輩~!」
女子3「私達を捨てないで~!!」
蓮(か、帰りてぇ......)
なんで、俺はこんな悲しい気持ちになるんだろう
そして、涙が流れて来るんだろう
感動してるのか?(現実逃避)
蓮(......大学では、同じ失敗しないようにしよ。)
俺は歩きながら心の中でそう誓った
そして、ゆっくり教室の方に向かった
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校舎に入ると多少静かになった
卒業式ムードの3年と教師しかいなくて、
もう、なんて平和なんだろ
蓮(あー、平和だ平和。これでいいんだよ。)
俺は内心かなりの喜びを感じつつ
ゆっくり教室のドアを開けた
蘭「__あ、来た。」
ましろ「お、おはようございます!」
チュチュ「遅かったわね。」
蓮「」
すぐに俺はドアを閉めた
そして、クラスを確認した
勿論、間違えてるわけなんてない
なのに、なんで花咲川とかRASとかモルフォニカが全員揃ってる?
蓮「いや、なんでいるんだよっ!!」
俺はドアを開けてそう叫んだ
もう、アフターグロウとか六花とかあこはまだ納得できる
でも、なんで他校の奴までいるんだよ
紗夜「ひどいですね、折角見に来たと言うのに。」
蓮「いや、そこの花咲川3年組も卒業生だろ!?」
千聖「あら、私達の卒業式は来週よ?」
花音「うん、だから来たんだよね?」
彩「楽しみだよねー!」
燐子「カメラは......完璧です......!」
蓮「......」
あ、もうこれツッコんだら負けだ
もう、あるまま受け入れろって事か
いや、来る自体は別にいいんだけど......
七深「ほら~、ちゃんとお花のあれ作ってきましたよ~。」
蓮「まさかの持参!?」
透子「帯もあるよ!『本日の主役!』ってやつ!」
蓮「それは遠慮する。」
瑠唯「ご卒業おめでとうございます。僭越ではありますが、バイオリンを披露させていただきます。」
蓮「ここで!?て言うか、瑠唯まで!?」
なんか、テンションがおかしくなってるぞ
もうまともな卒業式になる気がしない
絶対に何かあるだろ、今日
アリス「それでは私も一曲、歌います。」
こころ「いいわね!じゃあ、皆で演奏しましょ!」
はぐみ「はぐみ、ベース持ってきてるよ!」
あこ「あこもドラムする!」
六花「ギターは任せてください!」
チュチュ「DJはこの私が担当するわ!」
つぐみ「あ、アフターグロウ代表で私がキーボードを!」
蓮「家でしてくれ。てか、打ち合わせ足りないだろ。」
なんか、複合バンドが出来かけた
面白そうではあるけど、
うん、家でしてくれ、目立つから
ますき「まぁ、この騒ぎだが、卒業おめでと。」
レイ「おめでとう、蓮。」
蓮「あぁ、ありがと。」
この2人は落ち着いてる
もう今の状況だと天使に見えて来た
だって、ツッコまなくてもいいし
美咲「今日も大変だねー。卒業式の日なのに。」
蓮「もう慣れたよ。あと、あいつらが騒ぐくらいなら別にいい。」
イヴ「情けの心ですね!」
パレオ「まさしくブシドーですね!」
蓮「ブシドーではない......ん?」
話をしている途中、後ろから肩を叩かれた
俺はそっちに振り向いた
香澄「先輩!ポピパからプレゼントがありますよ!」
蓮「え、今?」
沙綾「折角なので、ポピパの皆の要素を合わせたんです!」
りみ「受け取ってください!」
蓮「!!??」
そう言って出て来たのは、盆栽(?)だ
いや、でも、色々とおかしい
ウサギ型だし、パンあるし、星あるし
有咲「一応、香澄の星、おたえの兎、りみのチョココロネ、沙綾でパン、そして私の盆栽......型のケーキ。」
蓮「く、クオリティたけぇ......」
おたえ「本当はギターもつけたかったんだけどね。こう。」
蓮「ケーキ自体がつぶれるんだが!?」
マジで、一見盆栽にしか見えない
これはまた頂こうかな
とか、そんな事を考えてると教室のドアが開き、担任の教師が入ってきた
リサと友希那以外は教室から出て行き、
それからすぐ、俺達は体育館へ移動した
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体育館では多くの椅子が並べられ、
周りには親御さんや教師が参列してる
まぁ、一番多いのは女子生徒なんだが......
司会『__これより、21回卒業式を挙行いたします。』
蓮(あ、流石に静かだ、良かった......)
式が始まってからは静かで
カメラのちょっとした音とか、すすり泣く声とかは聞こえてくるけど、ほとんどは前で話してる校長とかの話声しか聞こえない
いや、普通の子と何だけど凄いって思う
日菜も今日は真面目な方だし、助かる
司会『__プログラム5番、在校生(女子)による、神谷蓮さんへの花束の贈呈です。』
蓮「......え?」
突如放たれたそのセリフに俺は耳を疑った
聞き間違いかもしれない、そう思った
だが、現実はそう上手くいってくれない
日菜とアイコンタクトをし、前に出ることになった
司会『それでは、花束の贈呈をお願いします。』
女子「ず、ずっと、ファンでした!///」
女子2「大学でも頑張ってください!///」
女子3「私達はいつまでも神谷先輩のファンでいますっ!///」
蓮「あ、あはは......ありがとう......」
長蛇の列の女子から花束を貰い
最終的に両手で抱えきれなくなった
もしかしたら、飾りの花よりも多いかもしれない
男子「最後まで、神谷ばっかり......!」
男子2「俺なんて、神谷のファンクラブ入るからって彼女にフラれたんだぞ......!」
男子3「俺は告白した子に、せめて神谷の100分の1くらいになって出直して来いって言われたんだぞ......!」
蓮(ごめんごめんごめん、マジでごめんなさい。でも、言い訳させて、俺は望んでないんだよ。)
俺は涙を流す男子達の横を通り抜け、自分の席の戻った
最後の最後まで男子の視線が痛すぎて、
最後まで卒業式に集中できなかった
これで、良かったんだろうか......
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こんな調子で卒業式を終え
俺は最後の教室に戻ってきた
男子達の卒業式の感動以外で流れてるであろう涙が痛々しい
成海「やぁ、蓮。今日も大変だったね。」
蓮「あぁ、もう疲れた......」
成海「あはは、でも、よかったじゃないか。いい思い出と言う事で。」
蓮「思い出としては美味しいが、一生俺は男子達に嫌われるぞ。」
成海「それは否定しない。」
成海は笑いながらそう言ってくる
なんだかんだ、こいつと卒業式するのは2回目だ
何と言うか、懐かしいな
蓮「まぁ、大学は別だが、また孤児院に遊びに行く。」
成海「あぁ、ぜひ来ると良いよ。出来れば明日にでも。」
蓮「明日?まぁ、先生に挨拶がてら行くのもいいかもしれないな。」
成海「きっと、素敵な出来事が起きるさ。」
成海はそう言うと俺に背中を向けた
そして、手を振りながら教室を出て行った
蓮(素敵な、出来事?)
言ってる意味は全く分からなかった
でも、行けば分かることだし、今は良い
今はすることがあるし
リサ「れーん!何してるの?」
蓮「ん?あぁ、ちょっと考え事をな。」
リサ「考え事?」
蓮「リサならわかるだろ?」
リサ「っ!///」
俺はリサの左手を握った
うん、すごく柔らかい手だ
表情も可愛いし、いいなこれ
リサ「もうっ///急に握らないでよ///」
蓮「はは、悪い悪い。でも、よかった、付けてるな。」
リサ「当り前じゃん///だって、蓮との婚約の証だし......?///」
蓮「そうかそうか。」
友希那「......また、2人でイチャついてるわね。」
蓮「あ、友希那も混ざるか?」
友希那「!///」
俺は不貞腐れた表情の友希那を撫でた
すると、一瞬で嬉しそうな表情に変わった
チョロいな、可愛いんだけど
蓮「さて、帰ろうか。やることもあるし。」
リサ、友希那「うん!(えぇ!)」
そうして、俺達は他のメンバーを合流し家に帰った
その間、俺はこの先の事を考え落ち着けなかった
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”別視点”
家に帰ってきてすぐ、ガールズバンドとアリスは家のホールに移動した
友希那とリサ以外は疑問の表情を浮かべながら、蓮がその場に来るのを待っている
蓮『__よっ、さっきぶり。』
ガールズバンド、アリス「!」
5分ほどして、蓮は姿を現した
服装は先ほどとは変わっておらず
疑問はさらに募った
香澄「どうしたんですかー?」
あこ「蓮君がみんなに集まれって言うの珍しいね?」
蓮『まぁ、ちょっと用があるんだよ。』
ますき「用?」
友希那とリサ以外は首をかしげている
其の2人は笑いをこらえながら、
舞台の上にいる蓮の方を見てる
友希那(あ、あれ......ふふっ)
リサ(絶対、緊張してる......!5分くらい出てこなかったのは緊張で出てこれなかったんだね......!)
蓮『まぁ、俺はさっき見た通り卒業したわけだが、まぁ、何だ......』
蓮は頬を掻きながら、視線を左右に動かしていて緊張してるのが容易に分かる
そんな中、蓮は意を決したように口を開いた
蓮『第2ボタンを上げるってのがあるらしいんだけど、生憎一個しかないし。だから、何を上げたらいいか考えたんだ。』
蘭「第二ボタン以外?なんだろ?」
モカ「うーん......分かるような、分からないような~。」
ひまり「分からないねー?」
巴「まぁ、話聞いとこうぜ!」
全員の視線が蓮に集中している
蓮は軽く呼吸を整え
マイクに口を近づけた
蓮『俺達が付き合う前にした約束、覚えてるよな?』
沙綾「もちろん!みんな覚えてますよ!」
蓮『俺達は将来的には結婚する。方法は考えてないが、絶対に。そこで、今回の話だ。』
蓮はそう言うと、少し笑みを浮かべた
そして、舞台から降りた
蓮「お前ら、全員左手出せ!」
日菜「え?左手?」
麻弥「何をするんですか?」
蓮「今から、お前らに指輪をはめていく。」
34人「!?///」
蓮「第2ボタンの代わり兼約束の印だ。いらないなら別に__」
34人「ほ、欲しい(です)!///」
蓮「お、そ、そうか。」
自分から言い始めたことだが、
あまりに全員が食い気味な態度で蓮はたじろいだ
そして、34人は蓮の方に左手を出した
蓮「じゃあ、1人ずつ行くぞ。順番で拗ねるなよ。」
蓮は歩いて最初の1人目の所に歩み寄り
それからは長い時間をかけ、全員に指輪をはめていった
1人1人が幸せそうな表情を浮かべていた
これが、蓮の卒業式の日の出来事だった