今、外はもう暗くなっていて
俺はいつも通りベランダで紅茶を飲んでる
明日はパスパレのライブの日
準備は余裕をもって終わらせられたし
あいつらの調子も見た感じは良かった
蓮(__あっ、そろそろ時間だな。)
俺はそう考え、椅子から腰を上げた
その瞬間、俺の部屋の扉が叩かれ
少し笑ってゆっくり扉を開けた
蓮「来る頃だと思った。」
千聖「流石にもう分かってるわね。」
日菜「あはは!来ちゃった!」
麻弥「ライブ前の儀式みたいになっちゃってますね。」
彩「で、でも、こうしないと緊張が解けなくて......」
イヴ「安心できます!」
パスパレの5人はそれぞれそう言った
麻弥が言うように
これはライブ前の恒例行事になってる
ただの添い寝なんだが
蓮「まぁ、入っていいぞ。俺も洗面したら行く。」
日菜「はーい!」
蓮「それ、寝るテンションか?」
俺はそんな会話をしながら5人を入れ
部屋にある洗面所で洗面を済ませ
今日の夜はパスパレの5人と寝た
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一晩が明け
今日はパスパレのライブの日だ
俺は一足早く会場に来て
設営とかタイムテーブルの確認をした
蓮(__ふむ。)
こっちの方も何ら問題ない
順調そのものだろう
この調子なら、今日のライブも大丈夫だ
俺はそんな事を考えながら
通路にあるコーヒーを持ってベンチに腰を下ろした
蓮(俺はしばらく休憩か。まぁ、あいつらの様子でも見に行くか。)
俺はそう考え
缶コーヒーを飲み切り
パスパレの楽屋に向かった
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蓮「__おーい、調子はどうだー?」
俺はそう言いながら楽屋に入った
流石に着替えてない時間は選んでるし
全員、衣装を着て椅子に座ってる
日菜「あー!蓮君だー!」
千聖「ノックもせずに入って来るなんて、着替えてたらどうするつもりだったのかしら?」
蓮「着替えてないって分かってたけど、仮に着替えてたら全力で土下座してた。」
彩「た、対応がガチだね。」
イヴ「まさしくブシドーですね!」
麻弥「土下座まではいらないんですけどね。」
ちなみに俺は過去2回土下座してる
1回目は家の脱衣所でポピパと遭遇して
2回目はリサの部屋に入ったら
もう下着まで着替えてる所に出くわして
リサが恥ずかしさで泣いて死ぬほど土下座した
......まぁ、体験としては美味しかったけど
蓮(いやぁ、大変だったなぁ......)
千聖「何を浸っているの?」
蓮「なんでもないぞ。」
俺は首を振りながらそう答え
気を取り直し、咎を発動させ
5人の姿を確認した
蓮(5人の体に異常は見られない。精神的にも充実してる。)
マジであの儀式って意味あるのか?
あれを始めてからライブ当日に不調になることがないんだが
蓮「まぁ、頑張れよ。ライブが終わればちょっとの間はオフだし、何かご褒美でもやるよ。」
パスパレ「!!///」
蓮「ん?」
彩「ご、ご褒美って......///」
パスパレの5人は顔を赤くしてる
なんだろう
とんでもない勘違いをされてる気がする
俺としては何か買うとか想像してたんだけど
蓮「ま、まぁ、いいや。その話はまた考えといてくれ。」
イヴ「は、はい......///」
千聖(これで、前の続きが......///)
蓮(......なんとか、頑張ろう。)
俺は心の中でそう呟き
ゆっくり歩いて
パスパレの楽屋から出て行った
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あれからしばらく経って
会場には客が大量に入り
ライブ開始の時間になった
俺は2階席であいつらの様子を見てる
1階席だとあいつら俺の方ばっかり見るし
彩『__みなさーん!こんにちはー!』
『こんにちはー!!!』
彩『今日は集まってくれれ、ありがとうございましゅ!!って、あっ!』
パスパレの人気はかなり上昇した
それこそ何倍だってレベルで
彩のMcには物凄く反応されるし
噛めばいい感じにいじられる
良いアイドルになった
蓮(もう彩、一生Mc噛む系アイドルだな。)
彩『え、えっと、じゃあ一曲目いきます!』
蓮(あっ、ごり押した。)
メンバー紹介を終えて
彩は自分噛んだことをライブを進めて帳消しにしようとしてる
まぁ、出来てないんだけどな
蓮(うん、演奏はまた成長したな。)
約1年くらい見てきたけど
演奏技術はチュチュが認めるほど上がった
千聖、イヴ、日菜はもちろん
彩と麻弥も魅せ方が上手くなった
蓮(うむ、次のライブで新衣装出すのもいいな。もうすぐ新曲もリリースするし。)
パスパレのライブを見ると
職業病と言うのだろうか
次の事を色々と考えてしまう
ていうか、あいつらが可愛いから魅せ方へのこだわりが強くなるんだよな
蓮(って、考えるのは後でいい。今はライブしっかり見てるか。)
俺はそう考え
ステージ上に視線を移し
あいつらの演奏してる姿を眺めた
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ライブが終わった
今日も安心してみてられたし
客も満足そうな顔をしてる
こういうのを見るのは企画してる人間としては冥利に尽きる
蓮(さて、あいつらに声かけに行って関係者の所回るか__ん?)
?「っ!!」
蓮「......???」
俺が席を離れ楽屋に向かおうとすると
妙に気合が入った服装の長身のサングラスをかけた男とすれ違った
俺はその人を見て足を止めた
いや、なんか見たことあるんだが
蓮「あのー、人違いだったら申し訳ないんですけど__」
?「人違いだ!」
蓮「いやあの、普通の人はサングラスかけてそこまでイケメンじゃないんだけど。ていうか、人違いかもって言って人違いだって言ったらもはや答えなんじゃ......?」
?「くっ......!」
?イケメンは俺に近づいて来て
圧のある小声で話しかけて来た
?「このことは黙ってろ。話は次会った時だ。」
蓮「あっ、はい。」
?イケメンはそう言って去って行った
俺はちょっとの間茫然としてたが
数10秒で気を取り直し
今度こそ楽屋に向かって行った
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楽屋ではパスパレが盛り上がっていた
お互いを褒め合ってたり
彩が噛んでたのを弄ってたり
まぁ、楽しそうにしてる
俺はそんな楽屋に入って行った
蓮「__よー、お疲れー。」
彩「れ、蓮君ー!皆ひどいんだよー!」
日菜「あはは、彩ちゃん面白ーい!」
楽屋に入ると
彩は俺の方に泣きついてきた
まぁ、弄られてたからな
蓮「はいは~い、可愛かったぞ~。」
彩「蓮君まで~!」
彩はまた喚いてる
これはまた家で相手しないといけないな
まぁ、今回も2時間くらいで機嫌治るだろ
麻弥「今日もお疲れ様でした!蓮さん!」
千聖「蓮はしっかり見てくれたかしら?」
蓮「あぁ、見てたよ。」
俺は笑いながらそう答えた
まぁ、ライブの感想とかは後日だ
別に今いう事もないし
イヴ「レンさーん!」
蓮「おー、急に来たなー。」
イヴ「はぐはぐ~!」
日菜「あー!イヴちゃんズルいー!」
蓮「お、おい!流石に2人は危ないって!」
イヴが抱き着いてくると
日菜がむくれながら近づいて来た
俺はそれを慌てて止め
取り合えずイヴはそのままにしておいた
蓮「可愛いなイヴは~。」
イヴ「~♪」
日菜「ずるい~!」
蓮「日菜も後でするよ__ん?」
俺がむくれてる日菜をあしらってると
ポケットに入れてる携帯が鳴った
俺は携帯を取り出し、その電話に出た
弦巻父『もしもし、神谷君。』
蓮「え、弦巻さん?」
電話の相手は弦巻父だった
国際通話になってない事から
今は日本国内にいるのが分かる
世界一周に行ってるはずなんだが
弦巻父『今日は少し、君に用があって電話をさせてもらった。』
蓮「用ですか?」
俺は少し首を傾げた
近況報告はメイドさんが送ってるし
俺に用がある事は珍しい
何か重要なことか?
弦巻父『実は最近、日本政府と色々な話し合いをして、新しい法案を出して来た。』
蓮「新しい法案?それは一体?」
弦巻父『簡単に言うと一夫多妻制になる。』
蓮「......えっ?」
パスパレ「?」
なんだ、俺の耳がおかしくなったのか?
一夫多妻?
いやいや、流石にあり得ないだろ
普通に考えて__
蓮(あっ、この人普通じゃないんだった。)
弦巻父『まぁ、それにあたって問題になったのは少子高齢化なんだ。』
蓮「確かに、36世帯を持つことになりますからね。」
弦巻父『そうだ。だから、これを通すためには何か目に見えた成果を国に示す必要がある。』
蓮「成果、ですか?」
話の流れからして嫌な予感しかしない
俺がそんな事を考えてると
弦巻父は次の言葉を口にした
弦巻父『これから2年以内に5人子供を作ってくれ。』
蓮「5人ですって!?」
俺は大声で聞き返した
5人を2年以内
そんなの普通じゃ絶対に無理だ
つまり、一夫多妻を想定してるって事か
弦巻父『正直、難しいと思うが。何とか頑張ってくれ。』
蓮「え、あの、ちょ__」
そう言って弦巻父は電話を切った
俺は力が抜け耳元から携帯を放し
呆然と天井を眺めた
蓮「ま、マジかよ......」
彩(ど、どうしたんだろう?)
それから俺は
取り合えずパスパレの5人から離れ
家に帰ってからは弦巻父から送られてきた資料を確認し
さらに頭を抱えることになった