BURN   作:はち8

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003.乱入

【あ~あぁ。死んじゃった、死んじゃった】

 

 

声が響いてくる。何だろう? 誰だろう?

 

 

【ったくさァ。あいつの言ってたことはあながち間違いじゃないよ? 物語の中なんだから、登場人物に気ィ使うなよ】

 

 

物語? 何のことだ。というか誰だ?

 

 

【忘れてんのかよ……。ま、仕方ないか。死ぬほどの衝撃受けたもんな】

 

 

少なくとも、登場人物には気は使わないと思うぞ。俺は。

 

 

【性格まで変わってるよ……。狂ったのか?】

 

 

知らない。何も。俺は元からこうだったんじゃないか?

 

 

【別に何でもいいや。目的だけは忘れないでね】

 

 

目的? 何だっけ?

 

 

【お前なぁ……。"神"だよ"神"。お前は"神"を目指してたの!】

 

 

"神"? なんでそんなものに?

 

 

【……なんだっけなぁ。元の世界に帰りたいとかほざいてたぞ】

 

 

元の世界。良く分からないな……。

 

 

【俺も詳しくは知らん。とりあえず5年…いや10年待ってて】

 

 

何の期間だ? それは。

 

 

【生き返るための時間だよ】

 

 

 

―――――――

 

 

 

【よお。生きてるか?】

 

 

お前は……この前の。

 

 

【ははっ。この前って、11年経ってんだけどな。悪い1年オーバーしちゃった】

 

 

良いよ別に。10年立ったことすら気づかないんだから。……ずっと、ずっと記憶の海を流れてた。

 

 

【へぇ、どうだったの?】

 

 

何もわからなかった。何も感じなかった。黒く塗りつぶされている部分も多かったしな。

 

 

【そうか。覚えてるのは何なの?】

 

 

世界の、事かな……。海とか土とか……。でも、大切な人の事を忘れてるんだ…。

 

 

【忘れてるんだろ? なら、そこまでの人じゃないんじゃない?】

 

 

違うんだ……。死ぬ前に命を懸けて守ったんだ……。それだけは覚えてる。名前も顔も思い出せないけど……。

 

 

【あー、へー】

 

 

知ってるのか?

 

 

【知ってるっちゃー、知ってる。知らないっちゃー、知らない】

 

 

なんだよそれ。訳わかんねェな。

 

 

【まー、いいじゃん。そんな事は、生き返って思い出していけばいいの!】

 

 

確かに……そうだな。

 

 

【だろ? お前の身体は再生させといた。一応成長もしてるぞー】

 

 

ん。ありがとう。

 

 

【そんじゃ、"神様"目指して頑張ってくれ。俺のためにも、お前のためにもな】

 

 

ああ。任せてくれ。……そういや、名前は何だ?

 

 

【ん、俺? 俺はスルトだ】

 

 

違うよ。俺の名だ。

 

 

【あ、ああ。お前! お前の名はマヤダ・リクト。いや、なんか恥ずかしいな……】

 

 

はははっ。ありがとう、んじゃな。

 

 

 

―――――――

 

 

 

んー。世界の匂いがする。いい気分だ、生きてるって素晴らしいな。

ガラにもなくそんなことを思う。俺のガラってのも良く分かんないけどな。

 

とりあえず目を開く。

 

見えてきたのは、空。あれが、空か。

 

 

立ち上がって、周りを見渡すと砂だらけだった。これは、砂漠か?

スルトに聞いてみるか。

 

ここはどこだ?

 

 

【ここは、アラバスタ王国。砂漠の国だ】

 

 

アラバスタ王国……。聞いたことあるような気が少しするんだけどな。思いだせねェ。

なんとか思い出そうと、記憶の引き出しを探っていたその時。

 

爆撃音と地響きが鳴り響いた。

 

なんだ? 音のする方へ向き直る。

 

見えたのは、城。黒い煙も上がっている。行ってみるか、とそこまで思い至ったけど――――

 

 

【お前裸だぞ?】

 

 

そう、再生したのは身体だけなので今俺は何も着ていない。誰かいないかな。…………ん、発見。

 

空を何かが飛んでいた。あれは……(はやぶさ)だな…。なんで剣持ってるの? まあ、ちょうどいいか。

俺は霊子を使って空を歩きながら近づき、踵落としで叩き落とした。

 

 

「………ぎゅへっ…!?」

 

 

気を失っている間に、服を剥ぎ取り、剣も一応奪っておいた。

 

 

【……あ】

 

 

頭に響いてきた声。

 

どうした? スルト。

 

 

【まずった。斬魄刀再生させてない】

 

 

斬魄刀? あー、これも聞いたことあるような無いような気がしなくもなくない。

ってか、考えてて自分でも良く分からなくなってきた。

 

 

【丁度いいや。5分待って。その剣を斬魄刀に変える】

 

 

おう。任せた。

剣を両手のひらの乗っけて、少し待つ。その間にも、遠くで聞こえる爆撃音や地響きは止むことがなかった。

 

 

「う…、うう……あれ? 私は…?」

 

 

そばで気絶していた隼――もとい男が目を覚ました。びっくりしたんだよな。叩き落とした隼が突然人間の男に変わったから。

 

 

「んん…っは! 貴様! 何者だ!?」

「まあまあ、落ち着けよ。まず自分の恰好を確認しろ」

「何? …………何――――――!!? なぜ裸なのだ? って、その服は私のだ!」

「うるせぇよ。叫ぶな、殺すぞ?」

 

 

俺が若干キレると、目の前の男は叱られた子供のように黙った。

 

 

【おし、出来た】

 

 

マジか、お疲れ。

 

手のひらに乗っていた剣は、その姿を変え、一本の日本刀になった。俺はそれを腰に差し、男に聞いた。

 

 

「この国のことを訊きたい。答えてくれたら命は保障しよう」

 

 

すると、男は少し考える様子を見せたが、素直に答えてくれた。

 

 

「今この国は存続の危機だ。敵の名は"BAROQUE(バロック) WORKS(ワークス)"」

「ふーん。で、敵のボスは誰?」

「それは…………"王下七武界"の1人、"砂漠の王"と呼ばれ民衆の支持を受けている男。サー・クロコダイル」

「サー・クロコダイルねぇ…………」

 

 

男は唇をかみしめながら、身体を震わせながらそう言った。相当に憎いのだろう。

けど、覚えがない。誰だそれは?

 

 

「それで、勝てそうなの?」

「……勝てそうとかではない。勝たなければいけないのだ、だから勝つ。それだけだ」

「そうか、んじゃ頑張れ」

「え、え? 縄、え? 縄………」

 

 

俺は一応の礼を言い。手足を縄で縛り、その場から立ち去った。

さて、これからどう行動するかな……。最終目標は"神"。でもどうすりゃなれるのか、いまいちよくわかんない。

とりあえず、この国でも征服するか……。この国を利用してさらなる国を奪う。

 

そういや、この世界で一番偉い奴はなんていうんだ?

 

 

【世界政府の最高権力者"五老星(ごろうせい)"だ】

 

 

ふーん。どうすれば会える?

 

 

【わかんねっ! でも"聖地"マリージョアに行けば会えるんじゃないか? 本部がそこにあるはず】

 

 

ありがとう。最初はこの国の征服だな。邪魔する奴はぶち殺す。

 

 

 

―――――――

 

 

 

「ふぃ~。着いた」

 

 

あれから1時間かけてやっと着いた。ここの名前は確か"アルバーナ"。

今現在、"反乱軍"vs"国王軍"の真っただ中だ。

ここら辺の知識はスルトに聞いた。知ってるならさっき教えろよという感じだ。

 

 

「いたぞ! "ハヤブサのペル"だ!! ぶち殺せ!」

 

 

流れ弾に当たらないように歩いていると、後ろから襲い掛かられた。

マジかよ。俺喧嘩とかしたことないんだけど。

 

 

「この国のために、死ね!!」

「あぶねっ!」

 

 

敵はきっと、"反乱軍"。人数は5人。銃を持ったやつが3人に、剣持ったやつが2人。

俺、"ハヤブサのペル"じゃないんだけどな。

まぁ、降りかかる火の粉は払うだけ。戦闘ってのも体験してみたかったし。

 

斬魄刀で使えるのは?

 

 

【"斬月(ざんげつ)"、"甲羅玄武(こうらげんぶ)"、"女禍(じょか)"、"異竜(アロサウロス)"、"鵜丸(うのまる)"、"明暗(ギュゲース)"、"引斥(いんせき)"、"炎の剣(スルト)"の8個だ】

 

 

なんだろ……。すげぇ、恥ずかしいんだけど……。

けど、今は気にしない。解号や、能力は頭に入っている。

 

 

「主を守れ、"甲羅玄武"」

 

 

斬魄刀が形状を変え、呼び出したものが姿を現す。その姿は、大盾と剣が合体した形だ。剣が大盾の尻尾のように見える。

俺の刀がいきなり姿を変えたので、"反乱軍"の奴らは驚いたように声を上げた。

 

 

「んなっ……!」

「…ペルじゃない!?」

「お、おまえ、"能力者"かっ!?」

 

 

ペルじゃないのはあってるけど、"能力者"のほうは全然違う。

奴らの言っているのは、"悪魔の実"といわれる、超常・異常な力を宿した実を食した者の事だろう。

だが俺は、"神"になる者だ。

 

 

「おら、かかってこいよ」

 

 

時間がないので、安っぽい挑発をする。剣を持った二人がそれに乗り、2人そろって突っ込んできた。

 

 

「調子に乗んな!」

「死んで後悔しろ」

 

 

左右から同時に切り込んでくる。俺はそれを手にもつ大盾でガード。その後盾を地面と水平に構え、突き出ている剣で右の奴を突き刺す。

剣には毒がぬってあり、触れると細胞が死滅する。

 

敵はそれを難なく避けた。それなりにデキル奴らみたいだ。

 

くっそめんどくさいな。全員殺そっかな…。

 

 

「いや、逃げるか」

 

 

一度大盾を持ったまま、突撃し、吹き飛ばしたところで俺は後ろに向き直り、一目散に逃げ出した。

 

 

「て、おい! 逃げてんじゃねェぞ」

「それでも"王国軍"かよ!」

 

 

後ろの方で声がするが気にしない。俺は"王国軍"じゃ無いからな。

 

 

 

―――――――

 

 

 

「お前ら! 大丈夫か?」

 

 

シスイが逃げ出した後、"反乱軍"達の元に"反乱軍"のリーダーであるレインが現れた。

 

 

「れ、レイン…」

「ペルが現れたと聞いたのだが……」

 

 

レインは息を切らせている。急いできたのだろう。

 

 

「いや、ペルじゃなかった」

「……? ペルじゃない?」

「ああ。ペルの恰好をした別の誰かだ」

「しかもそいつは"能力者"だった。剣の形状を変化させる能力だ」

「…………、」

 

 

レインはその報告を聞き、考え込むように顎に手をあて俯き始めた。

 

 

(剣を……剣の形状を………変化させる? まさかっ……)

 

 

「なんだっけ……リクトだっけか? はははっ、まさかな……」

 

 

自分で言った言葉を、自分で軽く笑い流す。そんなレインをほかの"反乱軍"は不思議そうに見つめていた。

 

 

 

―――――――

 

 

 

走りに走り、走り続けた結果。なにやら騒がしい音がする場所へ着いてしまった。

正確には鋭い剣戟音。

 

建物の影から戦いの様子を伺うと、頭に手ぬぐいを巻き緑のハラマキをした三刀流の男と、それと素手で渡り合う坊主頭の男が命の取り合いをしていた。

 

 

「ぅっつ……!?」

 

 

突然ズキリっと頭痛がした。なんだろう?

あのハラマキ手ぬぐい……見たことがある。かもしれない。

 

 

「おれがお前に勝った時……おれは鉄でも斬れる男になってるわけだ」

 

 

ハラマキ手ぬぐいが、そう嬉しそうにそう言った。あの顔、自分を信じて疑っていない。

坊主頭はそれを聞いても、何の動揺もしなかった。

 

 

「意気込みに水を差す様で悪いんだが……おれはこの"スパスパ"の能力(ちから)を手にいれてから今日まで、剣士と名乗る者に、傷一つつけられたことはない」

 

 

自慢のようにそう語る坊主に、刀を向け強く出るハラマキ手ぬぐい。

 

 

「……ああ、よくわかったよ。だがそういう思い出話(,,,,)はアルバムにでもしまっときな。過去にどれ程の剣士と戦ってきたのかは知らねェが――――おれとお前は今まで会った事がねェんだからよ」

「口先だけは斬れる様だな」

 

 

会話もそこそこに、勝負を仕掛ける2人。

坊主頭が足裏を剣にした振りおろしを、両手の刀で防御するハラマキ手ぬぐい。

坊主、ハラマキ、とまたも言葉を交わす。

 

 

「お前は何分持たせてくれるんだろうな…」

「お前が持ちきれねェよ」

 

 

坊主が体を回転させ、ハラマキの両手の刀をずらす。そのスキを突くように攻撃。右手の指全てを剣に変え抉る。

 

 

「"掌握斬(スパークロー)"」

 

 

ハラマキは右手の刀をすぐに引き、それを防御。坊主は左手も同様にし突き出す。ハラマキもまた左手の刀で抑える。

両社押し合いのまま、またも先手は坊主。右足の裏を剣に変え、回し蹴りの要領でハラマキの頭を狙う。

ハラマキは身体を最大限反らすことでそれを避け、すぐさま距離をとる。

 

ひざ立ちになり、頭を下げ、両腕を交差させ、刀を頭の後ろに持っていく。ここで初めてハラマキが攻撃に出る。

 

 

「"鬼斬(おにぎ)り"!!!」

 

 

敵の反応を許さない速度で距離をつめ、交差させた腕を引き抜く。坊主の身体は斬れなかったが、衝撃でバランスを崩し仰向けに倒れこむ。

そこを狙い、さらに追撃をかける。

 

 

「"虎狩(とらが)り"!!」

 

 

上から縦2本、横1本に交差させた刀を力任せに叩きつける。その時に撒き散らされる砂埃。

立ち上がった坊主の身体を見たハラマキは、驚きを隠せずにいる。

 

 

「……言った(はず)だ」

「……アザ一つ残らねェってのは……ちょっとショックだな」

 

 

ハラマキのその言葉に、坊主は顔一つ動かさずに言う。それは皮肉だった。

 

 

「そりゃそうだろう……おれとお前は、今まで会った事がねェんだからな」

 

 

ハラマキは緊張した様子で、刀を構える。

そこで坊主が仕掛ける。右足の前面を剣に変え、跳び蹴りの要領で斬りかかる。

ハラマキは身体を半身にすることで避ける。だが、認識が甘い。

 

 

「……!!! そうか!」

 

 

坊主はすぐに右足の裏を剣に変え、そのまま振り下ろす。坊主は"全身刃物人間"。太刀筋に表も裏もありはしない。

ハラマキはギリギリのところで右手の刀を滑らせ、ぶった切られるのを回避する。だが、そこでも甘かった。

 

 

「く…………!!」

 

 

目の前に鋭い爪先が迫っているのにギリギリまで気づけなかった。本当にギリギリだったので倒れこむことでしか避けれなかった。

そのまま横回転を何回か繰り返し、壁に当たって顔を上げると目の前には坊主。縦に開いた両手を押し付けてくる。とっさに左右の刀を交差させ防ぐが、後ろの壁まで指の方向で斬れるほどの威力。

 

 

「"発泡雛菊斬(スパークリングデイジー)"!!!」

 

 

必死で止めるハラマキの腕がビリビリと震えはじめる。

 

 

「吹き飛べ……」

「ぐあァ!!」

 

 

耐え切れずに衝撃に身を任せるハラマキ。断裂された建物の瓦礫に飲み込まれる。

瓦礫と瓦礫の間に挟まれ、死んだように動かない。

その様子を見て、坊主が口を出す。

 

 

「……フン……さっさとおれに斬り傷でもつけてみろ。そんな事だと、一生おれの身体を斬れないぞ」

 

 

ハラマキは悲鳴を上げる身体に鞭打ち立ち上がる。一緒に自分の100倍以上の大きさの瓦礫を持ち上げながら。

 

 

「悪ィが、お前はおれが鉄を斬る勇姿を、見ることァできねェ……」

 

 

顔に血管を浮かび上がらせながら、坊主を強く睨みつける。

 

 

「おれが鉄を斬る時は……お前がくたばる時だからな……!!!」

「………もっともだ……」

 

 

いくらハラマキに強く出られようと、気にする表情を見せない坊主。その眼からは熟練の兵士が持つ絶対的な自信が窺えた。

いつまでたっても坊主を斬れない不安を持ち上げた瓦礫に乗せ、坊主にぶつける。

 

 

「ウァあ!!!」

「何もかも微塵に斬り刻んでやるっ!!」

「押して押して押し殺す。これが"豪剣"の極意!!」

「"微塵斬(アトミックスパ)"!!」

 

 

迫ってくる100倍以上の大きさの瓦礫をすべて等形大に切り刻む。

 

 

「ブった斬ってやる!!」

 

 

自らを鼓舞し、坊主の斬った瓦礫へ突っ込むハラマキ。目の前の瓦礫の山から突然現れたハラマキに、驚き後手に回った坊主。

三本の刀を使いこなし、攻撃を上手く繋げていくハラマキに対し、坊主は両腕を剣にしハラマキの攻撃を防いでいるも、後ずさりせざるをえない。そのせいで隙を作ってしまった。

その隙を逃さず、ハラマキは身体全体を回転させ、両手の刀で下から顎を叩き上げる。

 

 

「く……」

 

 

坊主は何とか体勢を立て直し、右足前面を剣に変え蹴りこむ。だがそれも後手。

ハラマキはその攻撃を予測し、構え、防ぐ。そして足を出したままの不安定な体勢の坊主の顔面を、またも刀でたたっ斬る。

坊主は後ろへ倒れこむのを一回転して回避し距離を取るが、それも後手。

ハラマキは坊主の首を挟む(はさみ)の様に刀を構える。それを広げ、

 

 

「"(がさみ)"」

 

 

一気に閉じる。

 

 

「"()り"!!!」

「…………!!!」

 

 

衝撃で坊主の身体が吹き飛ばされる。だがまたも身体を何回転かさして、坊主は体勢を整える。

 

 

「くっそ……ムカつく野郎だな…!!」

「同意見だ……忠告しとくが、おれを"剣士"だなんて思うなよ…」

 

 

そこで坊主は腕を支柱とした何層もの、ねじれた剣を作った。

 

 

「てめェを殺す武器なら、千とある……!!! "螺旋抜斬(スパイラルホロウ)"」

 

 

その剣を超高速回転させる。

それを見て、先手を取られまいと駆け出すハラマキ。

 

 

「剣士じゃなけりゃ、"発掘屋"かよ!!!」

「"殺し屋"だ」

 

 

ハラマキの振り下ろした刀を超高速回転する剣で受け止める。

瞬間、火花が散った。

 

回転する剣に弾かれまいと、必死になるハラマキ。それを見て、坊主は腕を開きハラマキを前のめりにする。

 

 

「発掘作業はおれには不可能。何もかも……抉り斬っちまう」

「しまっ……」

 

 

ハラマキが顔を上げた瞬間、胸の部分を抉り抉り斬る。鉄をシュレッターに掛けた様な音とともにハラマキは胸から血を飛び散らせる。

眼を見開き、膝をつき、息を荒くする。

そんなハラマキの腹に容赦なく"螺旋抜斬(スパイラルホロウ)"を突き刺す。

 

 

「ぐあァ………!!!!」

 

 

肉が削られ、骨が削られ、血が噴出す。あまりの痛みに口と手に持っていた刀を離す。

 

 

「一瞬の読み違いが招くものは……死だ」

 

 

両膝を地面につけ胸を手で押さえるハラマキに、さらに両手を剣にし、胸を斬りつける。

吹き飛ばされたハラマキは、連絡用通路を支える支柱にぶつかる。頭をぶつけ、地面に倒れ伏した。

 

 

「フン…………」

 

 

坊主は一度手についた血を舐めとり、ハラマキに近づく。

 

 

「………!!!」

 

 

震える身体を必死に持ち上げ、残す力で坊主に向き直る。

 

 

「素手で何をもがく? "滅裂斬(スパーブレイク)"!!!」

 

 

指全てを剣に変え、斜めに振り抜く。その時、後ろの支柱も粉々に斬れる。

悲鳴すら上げず、ただ血を流れ出す。

支柱の土台部分が粉々になり、連絡用通路にひびが入り崩れ落ちてくる。

 

 

「安らかに……」

 

 

坊主がハラマキに背を向け一言。

ガラガラ、ドガガララ、と石が落ちてくる。

 

坊主は仕事が終わり、首をコキ、と鳴らしながら、その場を離れる。だが、しばらくして額に汗を流しながら、振り返る。

ハラマキが、立ち上がっていた。

 

 

「何で、立ってる……あれだけ斬り裂いたのに……!!?」

 

 

坊主は驚きで声を漏らしている。

ハラマキは、何も言わず岩の下から刀を一本取り出した。

 

 

「…………何なんだ……貴様は!!!」

 

 

坊主は自分のわからない事が起きている不安を声に出す。

 

 

「貴様、何をした!!? あれだけの斬られて……!! それだけの血を流してなんで生きている!!!」

 

 

ハラマキは荒い息を吐きながら坊主を見つめる。

 

 

「……いいさ。次で完全に息の根を止めてやる……」

「刀の意志が伝ってくる……」

 

 

ハラマキは近くの葉っぱに刀を振るうが、斬れず。近くの石に刀を落とすと、今度は斬れた。

 

 

「…………刀一本でおれの技を受けきれるとは思えねェ」

 

 

手に持った刀の切先を坊主に向ける。

 

 

「いいんだ。もう受けねェ……」

「覚悟アリか、上等だ」

 

 

坊主は足裏を剣に変え、スケートの様に滑る。ハラマキは刀を鞘に戻し、構える。

 

 

「一刀流『居合(いあい)』……"獅子歌歌(ししそんそん)"!!!」

「"微塵(アトミック)"、"斬速力(スパート)"!!!」

 

 

次の瞬間、坊主は血を流し倒れこみ、ハラマキは刀を鞘に戻していた。

 

 

「礼を言う」

 

 

 

―――――――

 

 

 

おれは見入っていた。鳴り響く頭痛を忘れ、目の前に繰り広げられる戦いに見入っていた。

あいつ、ホントにこの戦いで成長しやがった。………まずくね?

 

 

【まずいぞ。あいつはいずれ、とんでもない大物になる】

 

 

だよね。このままじゃ俺らの計画に支障が出そうだ。どうする?

 

 

【まだ雛のうちに()れ】

 

 

おし、任せっっつぅ!? いってェ……!!

 

 

【どうした?】

 

 

さっきから頭痛がっ……!!

何だこれ? 痛い、これは……無視できない痛さだ。

 

 

【いや、無視しろ。今しかない、()れ】

 

 

でも…辛いんだけど。集中できないって。

 

 

()れ】

 

 

くっそ。

 

俺はクラクラする頭でハラマキを見据え、奴の前に出る。

 

ああ、痛ェ……。ハラマキが霞む。

 

 

「あ? てめェ、ビビの……」

「違ェよ。俺はヤマダ・リクト、短ェ間だけどよろしく」

「……どういう意味だ」

「てめェを、ここで殺すって意味だ」

 

 

血を流しすぎて今にも倒れそうなハラマキに向けて斬魄刀を抜く。

やべェな。頭痛がいきすぎて手が震えてきやがった。早くしないとな。

 

目線の先のハラマキは、笑みを浮かべていた。

 

 

「へへっ……おれはまだ成長する。ここをしのげば必ず……」

 

 

ハラマキも刀を俺に向けていった。

 

 

「おれの名は、ロロノア・ゾロだ……」

 

 

その瞬間、一際鋭い頭痛が俺を襲った。




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