精霊術師の異世界旅 更新休止   作:孤独なバカ

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再会

「気持ちいい!!」

「こら。ハナ暴れるな!!」

 

俺とハナは空の旅を楽しんでいた

と言っても空って上空200mくらいの高さでハナも景色を楽しめるようにゆっくり進行しているのだが

……本当に魔物の量が少ないな

 

「ハナ。魔物の気配は?」

「この辺りはいつもの半分くらいしかいないよ。」

「……やっぱり異常だよなぁ。竜人族がいるのかもしれないな。」

 

竜人族。

およそ数100年前に全滅したと呼ばれる種族だけど俺は紫に教わり同じように隠れ里で暮らしていることを知っていた。

 

「でも、魔力がたくさん使われていた形跡があるよ。魔力は違うけどパパがよく使っている魔法。」

「……闇系か。」

 

闇属性なんて珍しいな。元々適性が少ないのに

 

「……しかし魔物を操れるくらいの知識か。」

「魔人族の可能性は?」

「ないだろうな。変成魔法で従わせるだろうし。」

 

俺はため息を吐き

 

「多分クラスメイトだろうな。」

 

俺は一つの結論を出した

 

「……なんで?」

「簡単だよ。魔物を操れるのは俺や犯人みたいなチート集団じゃないと数年かかってもできないからだ。」

実際俺も偵察のために魔物を操ることはあるけどそれでも数十分はかかる。それだけにかなり厳しいのだ

「闇魔法に適性がありこれだけの熟練度もある。なおかつ闇魔法は地味だ。実際闇魔法を使うのなら他の魔法をメインに置くやつは多いらしいしな。」

 

実際のところ火力が少ないっていうのがあるし、

 

「……裏切り者だな。俺も言えたこっちゃないけど。多分魔人族とつながっているんだと思うぞ。」

 

俺はあっさり結論を出す。

 

「……殺すの?」

「……さぁな。」

 

一応山賊や盗賊を殺した経験はあるけど、さすがにクラスメイトとなるとなぁ

 

「とりあえず一旦調査に入るけど。ハナはどうする?」

「私もいく!!」

 

と狐耳を立てるハナ

 

「……それじゃあいくか。」

「パパおんぶ。」

「はいはい。」

 

と俺はハナを背中に背負うとそして調査を開始する

そして魔力の後以外は有力な情報を手に入れることができないまま調査は不発に終わった

 

 

10時間後俺たちはウルへとたどり着くと俺はギルドに報告し終えるとすでに陽は暗くなっていた

 

「どうする?」

 

俺は世界樹の果実を食べながらハナに聞くと

 

「ご飯が食べたい。」

 

とのことなのでギルドの人に聞き宿とレストランを兼ねた水妖精の宿と呼ばれる名前なのだが昔、ウルディア湖から現れた妖精を一組の夫婦が泊めたことが由来だそうだ。

俺の隣に普通に妖精がいるんだけどなぁ。

精霊が妖精と呼ばれるのは下位精霊で基本中位精霊は人型になって人間の暮らしに紛れているらしい。

魔法に精通している精霊族はステータスの偽造を簡単にこなすことが可能なので普通の人と一緒に冒険者をしてたりするらしい

……やっていることが犯罪行為なんですが

もちろん俺もステータスを偽造しているので強くはいえないのだが

俺が入るとそれはもう賑やかで人でレストランは賑わっていた。

 

「……へぇ〜。」

「いい匂い。」

 

俺は席に案内されメニューを開く。なんの料理だか分からないものが多いが適当に直感任せで10種類ほど注文する。

 

「仕事おおいね。」

「一応ギルド曰く近くの町から応援ともう一つの依頼を頼まれているからな。まぁ、殺したくはないけど。勇者の一人清水が行方不明になっていたからほぼそいつが確定黒だろうな。」

 

俺は冷静に判断する

 

「はぁ。これ最悪、教会と敵対だな。ギルドが後ろ盾になってくれるとはいえ。めんどくさいことになりそうだな、」

「大丈夫。パパは強いから。」

 

フスと手を挙げそして笑うハナに俺は頭を撫でる

 

「強いとかの問題じゃなくて先生の問題なんだよなぁ。」

「……先生?」

「あぁ。俺の恩人で尊敬している人。多分紫に先生を殺せって命令されたら俺は簡単に紫を裏切るくらいの恩人。」

「……パパにもそんな人が居たんだ。」

「いるぞ。まぁ、俺は死亡扱いになっているだろうし。当分は会えそうにないけどな。ハジメや八重樫、谷口、白崎辺りにも会いたいな。」

 

そう考えると結構知り合い俺多いな。

 

「……それにハナのことも紹介したいしな。」

「お友達増える?」

「増えると思うぞ。」

「やた!!」

 

するとぴょんぴょん喜ぶハナに周辺の人は暖かな目で俺たちを見てくる

本当にかわいいよなぁ

 

「ほら。ほかのお客様の迷惑になるだろ。」

「…む〜。パパのケチ。」

「……なんで17で俺は父親やっているんだろうなぁ。」

 

少し遠い目をしながらため息を吐く

少し椅子を引くと俺の上に座るハナは不機嫌を装っているようだけど頰を緩んでいることから機嫌はよくなったんだろう

カランッカランッ

と音をたて宿の扉が開く

すると眼帯をした白髪の少年と小さい女の子とうさ耳をつけた女性が来店してくる

そこまでなら問題ないのだが会話で引っかかった

 

「もうっ、何度言えばわかるんですか。私を放置してユエさんと二人の世界を作るのは止めて下さいよぉ。ホント凄く虚しいんですよ、あれ。聞いてます? 〝ハジメ〟さん」

「聞いてる、聞いてる。見るのが嫌なら別室にしたらいいじゃねぇか」

「んまっ! 聞きました? ユエさん。〝ハジメ〟さんが冷たいこと言いますぅ」

「……〝ハジメ〟……メッ!」

「へいへい」

「ゴフっ。」

 

やっばぁ。聞き覚えのある奴がいる

 

「パパ。大丈夫?」

「大丈夫。大丈夫。」

「お待たせしました。ニルシッシルにハイマイ、リスコ、レンゲス、マリスピーにセイレイ、アンマリにスピスキーにタレント、オリスピックです。」

「あっすいません。」

 

すると俺の方に視線が集まる

皿一杯に積み上げられる料理はとても見覚えのあるものばかりだった

餃子に天丼、ホワイトカレーにチャーハンなど

……日本食に近いものばかりだな

 

「南雲君!」

「あぁ? ……………………………………………先生?」

「……」

 

いすぎだろ知り合い

カーテンから愛子先生が

俺はため息つき食事に取ろうすると

 

「モフモフなの!!」

「えっ。ちょ。今どこから」

「ハナ!!」

 

するとハジメの隣にいたうさ耳をハナが触り初めていた

てかさっきまで座っていたのに

……ってまさか

 

「ハナ。空間魔法そんなに乱発するなっていつも言っているだろうが。」

 

こいつ空間魔法を使いやがった。

 

「空間魔法?」

 

すると一人がその言葉に反応する

 

「パパ。すごいよ!!モフモフだよ!!」

「…あぁ、もう本当すいません。ハナ離れろって。」

「……モフモフ。」

「いいですよ。全然。」

 

笑っているうさ耳少女に俺は必死に頭を下げる。

すると先生の驚いたような顔をする

 

「……えっ?渋谷くん。」

「えっ。ケンか?」

「……」

 

バレているし

 

「……知り合いですか?」

「俺の親友だよ。しかしお前パパって。」

「……色々弁解したいことがあるからちょっと待ってろ。ハナ。」

「うぅ。ダメ?」

「一旦離れような。神代魔法を使ってまでモフモフしたかったのか?」

「だってパパばっかりモフモフしてずるいもん。私もモフモフしたい。」

「はいはい。後からこのお姉ちゃんに頼もうなぁ。ほれ。」

 

俺はハナを抱っこするとハナは少しむくれながらも素直に抱っこされている

すると視線を集める

 

「……しかし久しぶりだな。てかお前どうしたんだよ。見た目が……どう見ても厨二。」

「それ以上言うなよ。」

「へいへい。」

 

ジト目で俺を睨むハジメ。

 

「渋谷くん、やっぱり渋谷くんなんですね。」

「あ〜。お久しぶりです。愛子先生。」

「よかったです。生きていてくれて。」

「……あ〜まぁ落下した先にランダム転移の魔法陣なければ死んでいたけどな。」

「……お前も落下してたのか?」

「もってお前も?」

「あぁ。」

 

よくこいつ生きていられたな。

非戦闘職なのに生きていられるって

するとあの粘っこい視線のことを思い出す

 

「……あんまり詳しくは聞かない方がいいな。でも、多分檜山だろうな。理由は白崎への嫉妬かな。」

「…だろうな。」

 

俺はその話を切りやめる

 

「何の話ですか?」

「何でもない。とりあえず飯食いたいから座っていいか?俺もハナも飯まだだし。」

「……お腹減った!!」

「はいはい。もうそろそろご飯にするからな。」

 

俺は頭を撫でるとみんなが生暖かい目で見てくる

 

「ところでそのハナちゃんは渋谷くんの子供なんですか。」

 

愛子先生の問いに俺は少し考える

 

「……一言で説明するのは難しいな。」

 

こいつとの出会いは結構複雑だし。まず精霊だしなぁ。

 

「まぁ、俺の娘ってことで間違ってねぇよ。てか俺たちが抜けてからのそっちの状況は?」

「とりあえずビップ席に。」

「いや飯食い終わってからそっちの部屋に行く方がいいだろ。なるべくそっちの護衛に合わせたくないし。」

「……どういうことですか?」

「ハジメも俺も仲間に獣人がいるってことだよ。そこの女性は歯に犬歯がついていたからヴァンプだろ?両方とも教会は迫害対象だろうしな。ハジメもいやそうだけど今日時間取れ。大迷宮のことで話をしたい。」

「……分かった。」

 

すると一瞬驚いたようにしたハジメだったがその言葉で頷く。

 

「それじゃあまた後で。」

 

といい俺は席に戻る。

そして運命の歯車が動き始めようとしていた。


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