その竜の体長は七メートル程。漆黒の鱗に全身を覆われ、長い前足には五本の鋭い爪がある。背中からは大きな翼が生えており、薄らと輝いて見えることから魔力で纏われているようだ。
空中で翼をはためかせる度に、翼の大きさからは考えられない程の風が渦巻く。だが、何より印象的なのは、夜闇に浮かぶ月の如き黄金の瞳だろう。爬虫類らしく縦に割れた瞳孔は、剣呑に細められていながら、なお美しさを感じさせる光を放っている。
「見たことない種類の龍だな。かすかにだけど闇魔法の痕跡がある、」
「……闇魔法だと?」
ハジメが俺のほうをみる
「間違いなく、洗脳されているな。しかもかなり高度で解術が難しい。」
「一応解術してみるけど半日は掛ると思う。強い衝撃を与えた方がいいよ。」
ハナの言葉に俺は頷く。こいついつも子供っぽいけど俺が危険な時だけは頼りになる仲間になる
「しかし、俺の魔力でもこいつスリープ通らないんだけど。どんだけ精神抵抗でかいんだよ。」
よく洗脳できたな。こいつ
不思議な音色が夕焼けに染まり始めた山間に響き渡る。川の一部と冒険者を消し飛ばしたというブレスがだろう。
「ッ! 退避しろ!」
ハジメは警告を発し、自らもその場から一足飛びで退避した。ユエやシアも付いて来ている。だが、そんなハジメの警告に反応できない者が多数、いや、この場合ほぼ全員と言っていいだろう
「狙われているのはウィルぽいな。氷壁。」
魔力により氷の壁をウィルに展開する。するとそこにブレスが当たるが空間魔法を使って熱の吸収を抑えているので一撃で壊せることはないだろう
「ハジメ。俺は後衛サポートに徹するからアタッカー頼む。防御のことはいいから思う存分暴れろ。」
「……了解。」
にやりとハジメは笑い龍に挑む
「お前らは俺の後ろに避難しろ。」
「でも南雲くんが。」
先生がそういうと俺は苦笑する
「大丈夫だろ。迷宮攻略者がこの程度で死ぬなんてありえないし。少しは生徒を信じろよ。」
俺は土壁の周りに水の精霊の魔力を作り土と氷の壁を展開していく。
すると後は一方的な攻撃が黒龍を襲った
シアと呼ばれる女性は大きなハンマーを振り回し龍を攻撃し、ユエは多分神代魔法なんだろう。大きな魔力の塊である黒い球体で龍の動きを阻害する。
そしてハジメはファンタジーのかけらもくそもない。銃器で応戦している
銃弾が、魔法が、ハンマーが全てが龍に襲いかかる
「すげぇ。」
だれかがそんなことを呟く
するとこっちにブレスが飛んで来る
どうやら俺を倒さないとウィルを殺せないと判断したのだろう
「渋谷くん。」
「空璧」
空間の密度を大きくして攻撃の威力を殺す魔法を使い完全に威力を殺しそして無詠唱で魔法を発動する
火の鳥をいくつも形成しそして集団で襲いかかる
「不死鳥。」
「グルァアアア!!」
龍の悲鳴があがるその隙に俺は光源を発生させる
すると閃光が目に入ったようで龍は意識的にのけ反らなくてはいけない状況を作り出す
「……お前容赦ないな。」
ハジメがジト目で俺を見るけど殺しに来る方が悪い
「後少し削ってくれ、そうすればスリープがほぼ確実に入るから。」
「おう。」
「分かりました!!」
俺は魔力を集める。集中する。
次一瞬だけ洗脳が解けた瞬間を狙う
そしてハジメが手榴弾を浴びせた瞬間を狙い
「スリープ。」
魔力を1割をつぎ込んだスリープが襲い
「グゥァア。」
龍は完全に地に堕ちたのだった
「……マジかよ。まだこれで軽い睡眠程度にしかかからないのか。」
俺は精神状態を見て呆然としてしまう
「……どれくらいの魔力でだ?」
「少なくてもシア一人分の魔力はつぎ込んでいる。」
「…本当ですか?」
俺は頷く
「精神対抗まじでえげつないぞ。こりゃ睡眠中か精神抵抗できないときにやられたな。でもそれでも1日係りじゃないとかからないし、とりあえず催眠から解かないと話がつかない。」
「パパ、やっぱりパパのクラスメイトがやったの?」
「……えっ?」
ハナは純粋な疑問を聞くと愛子先生が俺の方を見る
「ほぼ確定的だな。俺と同じくらいの魔法を使えるとなると確実に適正がかなり必要になってくる。そうなるとチート持ちの俺たちくらいしかありえない。」
「……殺すの?」
「最悪な。一応ギルドからは首謀者にあったら殺してほしいって頼まれている。生憎小さな村が襲われたら死者が数十万は出てもおかしくはないしな。」
冷血な判断。でもそれは一番正しいことだと分かっているから誰も口に出せないでいる
「…とりあえずハジメそいつの洗脳解く方法ないか?最悪殺してもいいから強い刺激を与えたら起きると思うけど。」
「……そういえば〝竜の尻を蹴り飛ばす〟って知っているか?」
「いやって。……ってお前。」
すると宝物庫から大きな杭を取り出し黒竜の尻尾の付け根の前に陣取った。
全員が、ハジメのしようとしていることを察し、頬を引き攣らせた。刺激を与えるといって、そこから突き刺すのはダメだろうと。
俺はハナの目を隠すとみんなが頷く
ハナは文句を言っているがさすがにこれは見せられない
そして遂に、ハジメの杭が黒竜の〝ピッー〟にズブリと音を立てて勢いよく突き刺す。と、その瞬間、
〝アッーーーーーなのじゃああああーーーーー!!!〟
くわっと目を見開いた黒竜が悲痛な絶叫を上げて目を覚ました。
〝お尻がぁ~、妾のお尻がぁ~〟
黒竜の悲しげで、切なげで、それでいて何処か興奮したような声音に俺はもちろんハジメでさえ絶句してしまう。
どうやらまた厄介ごとに巻き込まれたらしい