精霊術師の異世界旅 更新休止   作:孤独なバカ

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フューレンにて

「へぇ〜ここがフューレンか。」

「お前は初めてだったよなぁ。」

「てか騒がしいけどどうしたんだ?」

 

俺は体を伸ばす。少し寝ていたせいか体が痛い。

賑やかな街並みが

 

「あんなことがあったのによく寝れましたね?」

「夜中ずっと運転してたから仕方ないだろうが。」

 

と俺は夜ハジメから教わり運転を交代して夜の運転していたのだ

 

「パパおはよう。」

 

夜中俺が寝るまで起きていると言っていたとおり俺とずっと夜の運転を話しながらしていたハナは瞼を擦りながらこっちにくる。

予定よりも急いだのは理由があるのだがそれはまたの機会に語るとしよう

 

「ハナおはよう。」

 

すると俺に抱きついてくるハナ。どうやら寝足りないらしい。

 

「……可愛すぐる。」

「本当に可愛いですね。」

「……むぅ。」

「今日はお仕事だから少し寝てていいぞ。」

「……うん。」

「よっと。」

 

俺はハナを抱っこする

 

「そういや今日は冒険者ギルドに行くんだよな?」

「あぁ。ハナの分のステータスは?」

「改善済み。気配感知を使われなかったら俺と他の人もごまかせるしな。」

「それ犯罪ですよね?」

「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ。」

「……お前。」

 

頭を抱えるハジメ

 

「まぁ、それに精霊術師なんて教会にバレようものなら一発で目をつけられるからな。」

「……どういうことだ?」

「精霊って一体一体がユエ一人分くらいの強さなんだよ。特に上位精霊なんかは俺やハジメでも勝てないだろうな。」

「……ちょっと待て。そんなに強いのか?」

 

ハジメは驚くけど俺は呆れたようにみる

 

「精霊ってあの山脈のトップだぞ?無限に魔法を使い、さらにその威力は桁違い。精霊王だけで王国程度だったら1日で滅ぼせるくらいには強い。」

「それってハナちゃんもですか?」

「ハナは精霊魔法は回復魔法とライフセンサーしか使えないんだよ。その分回復に特化しているのと固有スキルの再生を持っている。ついでにハナとスキルを共有しているから俺も再生がついているな。」

「「えっ。」」

 

するとユエとハジメが固まる

 

「……それってもしかして私みたいに不死ってこと?」

 

その言葉に俺は目を見開く。そっか同じスキルを持った奴がいたのか。

 

「そうだな。というよりも俺の場合不死になるしかなかったんだよ。そうしないと俺はあの山脈の中でもう何度も死んでいるし。」

 

何度も魔物に食われ、何度も焼かれたり首をチョキンパされることもあった。

 

「もう俺は年をとることも死ぬこともないだろうし。もしかしなくても人間ではないだろうな。腕チョキンパされても頭を切られても数十秒後には再生するのだし。元々ハナのために化け物になる覚悟はしてたから。」

「……ハナちゃんのこと大切なんですね。」

「娘を大切にしない父親なんていないっつーの。」

 

俺はハナの頭を撫でるとぎゅっと必死に掴んでくる

大丈夫。絶対に一人にはさせないから

 

「パパさんですね。」

「すっかりお父さんだな。」

「……いいお父さん。」

「……ちょっと恥ずいからやめてくれ。」

 

さすがに少し照れてしまう。

そしてその後はそのことを弄られながらギルドまでの道を歩いていくのだった

 

 

現在、冒険者ギルドにある応接室に通されていた。待つこと五分。男性が部屋の扉を蹴破らん勢いで開け放ち飛び込んできた

 

「ウィル! 無事かい!? 怪我はないかい!?」

 

視界にウィルを収めると挨拶もなく安否を確認する男性。それだけ心配だったのだろう。

 

「イルワさん……すみません。私が無理を言ったせいで、色々迷惑を……」

「……何を言うんだ……私の方こそ、危険な依頼を紹介してしまった……本当によく無事で……ウィルに何かあったらグレイルやサリアに合わせる顔がなくなるところだよ……二人も随分心配していた。早く顔を見せて安心させてあげるといい。君の無事は既に連絡してある。数日前からフューレンに来ているんだ」

「父上とママが……わかりました。直ぐに会いに行きます」

 

どうやらイルワと呼ばれる男性は、ウィルに両親が滞在している場所を伝えると会いにくよう促す。ウィルは、イルワに改めて捜索に骨を折ってもらったことを感謝し、ついで、ハジメ達に改めて挨拶に行くと約束して部屋を出て行った。ハジメとしては、これっきりで良かったのだが、きちんと礼をしないと気が済まないらしい。

ウィルが出て行った後、改めてイルワとハジメが向き合う。イルワは、穏やかな表情で微笑むと、深々とハジメに頭を下げた。

 

「ハジメ君、今回は本当にありがとう。まさか、本当にウィルを生きて連れ戻してくれるとは思わなかった。感謝してもしきれないよ」

「まぁ、生き残っていたのはウィルの運が良かったからだろ」

「ふふ、そうかな? 確かに、それもあるだろうが……何万もの魔物の群れから守りきってくれたのは事実だろう? 女神の剣様?」

「うわぁ。ハジメ二つ名持ちじゃん。」

 

笑いながら俺は爆笑する。すると分かりきっていた様子にハジメはイラっときたのだろう。ジト目で俺を見てくる

 

「お前まさか。」

「先生の抑止力にお前を使ったんだよ。教会はバカじゃなければ今ハジメとぶつかるのは得策じゃないって気付くはずだ。まぁ先生も危険な思いをさせるんだし気休め代わりにな。」

「……はぁ。本当いい性格してやがる。随分情報が早いな」

「ギルドの幹部専用だけどね。長距離連絡用のアーティファクトがあるんだ。私の部下が君達に付いていたんだよ。といっても、あのとんでもない移動型アーティファクトのせいで常に後手に回っていたようだけど……彼の泣き言なんて初めて聞いたよ。諜報では随一の腕を持っているのだけどね」

 

そう言って苦笑いするイルワ。最初から監視員がついていたらしい。ギルド支部長としては当然の措置なので、特に怒りを抱くこともないハジメ。むしろ、支部長の直属でありながら、常に置いていかれたその部下の焦りを思うと、中々同情してしまう。

 

「それにしても、大変だったね。まさか、北の山脈地帯の異変が大惨事の予兆だったとは……二重の意味で君に依頼して本当によかった。数万の大群を殲滅した力にも興味はあるのだけど……聞かせてくれるかい? 一体、何があったのか」

「ああ、構わねぇよ。だが、その前にユエとシアのステータスプレートを頼むよ……ティオは『うむ、二人が貰うなら妾の分も頼めるかの』……ということだ」

「ふむ、確かに、プレートを見たほうが信憑性も高まるか……わかったよ」

 

そう言って、イルワは、職員を呼んで真新しいステータスプレートを三枚持ってこさせる。

 

ユエ 323歳 女 レベル:75

天職:神子

筋力:120

体力:300

耐性:60

敏捷:120

魔力:6980

魔耐:7120

技能:自動再生[+痛覚操作]・全属性適性・複合魔法・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+魔素吸収]・想像構成[+イメージ補強力上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・血力変換[+身体強化][+魔力変換][+体力変換][+魔力強化][+血盟契約]・高速魔力回復・生成魔法・重力魔法

 

シア・ハウリア 16歳 女 レベル:40

天職:占術師

筋力:60 [+最大6100]

体力:80 [+最大6120]

耐性:60 [+最大6100]

敏捷:85 [+最大6125]

魔力:3020

魔耐:3180

技能:未来視[+自動発動][+仮定未来]・魔力操作[+身体強化][+部分強化][+変換効率上昇Ⅱ] [+集中強化]・重力魔法

 

ティオ・クラルス 563歳 女 レベル:89

天職:守護者

筋力:770  [+竜化状態4620]

体力:1100  [+竜化状態6600]

耐性:1100  [+竜化状態6600]

敏捷:580  [+竜化状態3480]

魔力:4590

魔耐:4220

技能:竜化[+竜鱗硬化][+魔力効率上昇][+身体能力上昇][+咆哮][+風纏][+痛覚変換]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮]・火属性適性[+魔力消費減少][+効果上昇][+持続時間上昇]・風属性適性[+魔力消費減少][+効果上昇][+持続時間上昇]・複合魔法

 

 

「……シアまだ40レベなのか。」

「……お前。魔力7万って。ユエの10倍あるじゃないか。」

 

ハジメには俺の本当のステータスを見せているのだが呆れたように俺を見ていた

 

「いやはや……なにかあるとは思っていましたが、これほどとは……」

 

 冷や汗を流しながら、何時もの微笑みが引き攣っているイルワに、ハジメはお構いなしに事の顛末を語って聞かせた。普通に聞いただけなら、そんな馬鹿なと一笑に付しそうな内容でも、先にステータスプレートで裏付けるような数値や技能を見てしまっているので信じざるを得ない。イルワは、すべての話を聞き終えると、一気に十歳くらい年をとったような疲れた表情でソファーに深く座り直した。

 

「……道理でキャサリン先生の目に留まるわけだ。ハジメ君が異世界人の一人だということは予想していたが……実際は、遥か斜め上をいったね……」

「……それで、支部長さんよ。あんたはどうするんだ? 危険分子だと教会にでも突き出すか?」

「冗談がキツいよ。出来るわけないだろう? 君達を敵に回すようなこと、個人的にもギルド幹部としても有り得ない選択肢だよ……大体、見くびらないで欲しい。君達は私の恩人なんだ。そのことを私が忘れることは生涯ないよ」

「……そうか。そいつは良かった」

 

 ハジメは、肩を竦めて、試して悪かったと視線で謝意を示した。

 

「私としては、約束通り可能な限り君達の後ろ盾になろうと思う。ギルド幹部としても、個人としてもね。まぁ、あれだけの力を見せたんだ。当分は、上の方も議論が紛糾して君達に下手なことはしないと思うよ。一応、後ろ盾になりやすいように、君達の冒険者ランクを全員〝金〟にしておく。普通は、〝金〟を付けるには色々面倒な手続きがいるのだけど……事後承諾でも何とかなるよ。キャサリン先生と僕の推薦、それに〝女神の剣〟という名声があるからね」

 

他にもフューレンにいる間はギルド直営の宿のVIPルームを使わせてくれたり、イルワの家紋入り手紙を用意してくれたりした。何でも、今回のお礼もあるが、それ以上に、ハジメ達とは友好関係を作っておきたいということらしい。ぶっちゃけた話だが、隠しても意味がないだろうと開き直っているようだ。

その後ウィルの両親が来たのはいいんだけど、……シャレも自重も行きすぎているハジメたちに俺はひたすら頭を下げ続けたことになったのは言うまでもないだろう。


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