精霊術師の異世界旅 更新休止   作:孤独なバカ

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オルクス大迷宮

 現在、俺達は【オルクス大迷宮】の正面入口がある広場に集まっていた

ここでステータスプレートをチェックし出入りを記録することで死亡者数を正確に把握するのだとか。戦争を控え、多大な死者を出さない措置だろう。 

 

「……なんかどちらかというと観光地に近いよな。」

「うん。そうだね。って何食べているの?」

「ホットドッグみたいな何か。ハジメも食う?」

 

俺は一つハジメに差し出すとハジメは少し迷ったのだが食べ始める

チーズが入っているホットドッグみたいな何かは結構美味しくやみつきになる

 

「そういえば八重樫さん今日いつもより綺麗だよね。」

「ん?」

「なんか吹っ切れたみたいでいつもよりも笑っているし。」

「……ふ〜ん。」

 

八重樫の方をみるとあまり変わったようには見えないけど

 

「さぁ?なんかいいことでもあったんじゃねーか?」

「……そう。」

 

俺は気にせずに歩いていくと

……っ

何かかすかに聞こえたような気がする

俺は周辺を見渡すけどざわざわと声が聞こえるだけ

 

「気のせいか。」

「何が?」

「いや。なんでも。」

 

というころにメルド団長が帰ってくる

 

「んじゃ俺も行くわ。」

「うん。それじゃあ頑張って。」

「安全第一にな。」

 

俺たちは軽く拳をぶつけると俺は勇者パーティーへと向かう

しかしゲームとかでよく見るダンジョンに入ることになるとはなぁ

そして勇者パーティーに合流をはたした後 迷宮に入る

迷宮の中は、外の賑やかさとは無縁で縦横五メートル以上ある通路は明かりもないのに薄ぼんやり発光しており、松明や明かりの魔法具がなくてもある程度視認が可能だ。

物珍しげに辺りを見渡している一行の前に、壁の隙間という隙間から灰色の毛玉が湧き出てきた。

 

「よし、光輝達が前に出ろ。他は下がれ! 交代で前に出てもらうからな、準備しておけ! あれはラットマンという魔物だ。すばしっこいが、たいした敵じゃない。冷静に行け!」

「スロー。」

 

俺は鈍化魔法をすぐにメルド団長の言葉を聞くとすぐ様放つ

するとラットマンと言われる魔物の速度が格段と落ちる

すると射程圏内に入ったのか白崎と谷口と中村が詠唱を始めるとその全貌が俺にも把握できた

灰色の体毛に赤黒い目が不気味に光る。ラットマンという名称に相応しく外見はねずみっぽいが……二足歩行で上半身がムキムキだった。八つに割れた腹筋と膨れあがった胸筋の部分だけ毛がない。まるで見せびらかすように。

八重樫が少し引きつっているがしかし剣の腕は明らかで綺麗に剣を裁く

天之河も純白に輝くバスタードソードを視認も難しい程の速度で振るって数体をまとめて葬っている。坂上は、空手部らしく天職が〝拳士〟であることから籠手と脛当てを付けている。これもアーティファクトで衝撃波を出すことができ、また決して壊れないのだという。

 

「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ――〝螺炎〟」」」

 

 三人同時に発動した螺旋状に渦巻く炎がラットマン達を吸い上げるように巻き込み燃やし尽くしていく。「キィイイッ」という断末魔の悲鳴を上げながらパラパラと降り注ぐ灰へと変わり果て絶命する。

 

「フリーズ。」

 

広範囲に一斉に俺の放った冷気がすぐに周辺のラットマンを凍らせていく。

気がつけば、広間のラットマンは全滅していた。他の生徒の出番はなしである。

 

「ああ~、うん、よくやったぞ! 次はお前等にもやってもらうからな、気を緩めるなよ!」

 

すると一人を除いては歓声が湧き上がる。俺はすぐ様それに気づきそしてそいつに近づいた

 

「八重樫。」

 

するとビクっと反応がある

 

「どうしたの?渋谷くん。」

「許せよ。」

 

俺は軽く手をとると手のひらを軽くマッサージをする

 

「ちょ、ちょっと。」

 

すると八重樫は慌て始めるがそれでもその行為をやめることはない

マッサージを20秒ほど続けた時に小さな声で呟いた

 

「感触は消えたか?」

 

すると八重樫は驚いたように俺を見る

俺は気づいていた。八重樫が初勝利に喜ぶこともなくただ手を見ていたこと。

そして恐怖していたことを

 

「魔法で水も出せるし手を洗うことだってできるけどどうする?」

「……いえ。大丈夫よ。」

 

すると八重樫が笑う。

 

「ありがとう。渋谷くん。」

「一応ダンジョンなんだ。油断だけはするなよ。」

 

俺は軽く頭を叩く

 

「すいません。魔石とっていいですか?」

「あぁ。」

 

俺はナイフを片手に凍死させたラットマンを解体していく

女子からは悲鳴をあげる声が聞こえるがこれも一つの稼ぎだ。魔物以外にも解体方法があるしな

そして魔物を魔石を取り出すとそれをポケットカバンに入れる

 

「クリーン。」

 

血を拭き取るために日常魔法を使い血を取り除く

 

「それじゃあいきましょうか。」

「あぁ。」

 

俺はそう言うと先に進み出す

そこからは特に問題もなく交代しながら戦闘を繰り返し、順調よく階層を下げて行った。

そして、一流の冒険者か否かを分けると言われている二十階層にたどり着いた。

現在の迷宮最高到達階層は六十五階層らしいのだが、それは百年以上前の冒険者がなした偉業であり、今では超一流で四十階層越え、二十階層を越えれば十分に一流扱いだという。

他の奴らは遠足みたいにしているが俺と八重樫だけは緊張状態を解かない

 

「よし、お前達。ここから先は一種類の魔物だけでなく複数種類の魔物が混在したり連携を組んで襲ってくる。今までが楽勝だったからと言ってくれぐれも油断するなよ! 今日はこの二十階層で訓練して終了だ! 気合入れろ!」

 

メルド団長のかけ声がよく響く。

 

「スロー。スリープ。」

 

その間も俺は支援でフル回転していた。

しばらくすると小休止に入る

 

「お疲れさん。」

 

俺はハジメの方を向かうと苦笑したハジメがいた

 

「僕はほとんど何もしてないけどね。」

「嘘つけ。錬成で敵を動けなくして確実にとどめを刺す。生き残るためにはいい戦法だよ。メルドさんたちも面白そうに見てたぞ。」

 

と話しているとゾクっとした視線が俺たちを襲い背筋を伸ばす

かなりの負の視線に俺もハジメも視線があった方を見るがただクラスメイトが談笑をしているだけだ

 

「……嫌な予感がするな。お前気合い入れていけよ。」

「うん。ケンも気をつけてね。」

 

そして迷宮の探索を再開してしばらく経つとメルド団長が立ち止まった。

それと同時に俺と八重樫はすぐ様戦闘準備に入る。そしてそれは天之河も続く

 

「擬態しているぞ! 周りをよ~く注意しておけ!」

 

メルド団長の忠告が飛ぶ。

その直後、前方でせり出していた壁が突如変色しながら起き上がった。壁と同化していた体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして胸を叩きドラミングを始めた。どうやらカメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物らしいな。

 

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

 

メルド団長の声が響く。

 

「土壁。」

 

俺は足の悪さとスピードがあまりないと思い足場を整えることに最初専念する。

 

「っ!ありがとう渋谷くん。」

 

するとスピード型の八重樫の動きは明らかに良くなりロックマウントに連続攻撃を繰り広げるが

 

「グゥガガガァァァァアアアアーーーー!!」

「ぐっ!?」

「うわっ!?」

「きゃあ!?」

 

 ロックマウントの固有魔法“威圧の咆哮”だ。ハジメ曰く魔力を乗せた咆哮で一時的に相手を麻痺させるらしい。

 

「リカバリー。」

 

すると白い光が前衛陣を照らしそして麻痺状態を解除する

一応少し距離をとっていたせいか俺は回避に成功したのですぐ様前衛の回復にうつっていた

その一瞬のうちに俺と白崎の方に一体ずつロックマウントがやってくる

 

「光槍。」

 

俺は焦らずに魔法をロックマウントへと放つ。

するとロックマウントはぎょっとしてよけるのだが

隣に氷の礫が襲う。

同時魔法発動

魔力を操作でき無詠唱でできることからできる技だ

そしてトドメ

 

「氷針。」

 

地中より氷の棘が生えロックマウントを串刺しにする。

すると息が耐えロックマウントは絶命する

 

「へぶぅ!?」

「この馬鹿者が。気持ちはわかるがな、こんな狭いところで使う技じゃないだろうが! 崩落でもしたらどうすんだ!」

 

一瞬俺に怒られたと思ったがどうやら天之河に怒ったらしくバツが悪そうに謝罪する天之河

 

「それと渋谷はいい判断だ。ソロでも相当戦えるだろうな。」

「うす。」

 

俺は軽く頭を下げる。

その時、ふと白崎が崩れた壁の方に視線を向けた。

 

「……あれ、何かな? キラキラしてる……」

 

その言葉に、全員が香織の指差す方へ目を向けた。

そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。まるでインディコライトが内包された水晶のようである。香織を含め女子達は夢見るように、その美しい姿にうっとりした表情になった。

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

「素敵……」

 

白崎が、メルドの簡単な説明を聞いて頬を染めながら更にうっとりとする。だけど

 

「トラップだろ。」

 

俺がそういうと近くにいた生徒が俺を見る

 

「ハジメ。」

「うん。ここでグランツ鉱石は34層それも最深部からしか出てきてないらしいよ。小さいものならともかくこんなに大きなもの。」

「ほう。よく調べてあるじゃないか。」

 

すると感心したようにハジメを見るメルドさん

しかしここでちゃんと大きな声で言わなかったことが災いする

クラスメイトの一人がグランツ鉱石をとりにいったのだ。

 

「こら! 勝手なことをするな! 安全確認もまだなんだぞ!」

 

しかし、檜山は聞こえないふりをして、とうとう鉱石の場所に辿り着いてしまった。

俺はすぐさま魔力感知をすると軽く舌打ちする

 

「やはりトラップか。」

「団長! トラップです!」

「ッ!?」

 

しかし、俺もメルド団長も、騎士団員の警告も一歩遅かった。

檜山がグランツ鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。グランツ鉱石の輝きに魅せられて不用意に触れた者へのトラップ

 魔法陣は瞬く間に部屋全体に広がり、輝きを増していった。まるで、召喚されたあの日の再現だ。

 

「くっ、撤退だ! 早くこの部屋から出ろ!」

 

メルド団長の言葉に生徒達が急いで部屋の外に向かうが……間に合わなかった。

部屋の中に光が満ち、俺達の視界を白一色に染めると同時に一瞬の浮遊感に包まれる。

俺が転移したと思われる先を見ると空気が変わったのを感じた。

 

「……多分これ階層転移の魔法陣じゃないですか?」

「あぁ。そうだろうな。」

「とりあえず全員立ち上がってあの階段の場所まで行け。急げ!」

 

俺の号令に、わたわたと動き出す生徒達。

しかし、迷宮のトラップがこの程度で済むわけもなく、撤退は叶わなかった。階段側の橋の入口に現れた魔法陣から大量の魔物が出現したからだ。更に、通路側にも魔法陣は出現し、そちらからは一体の巨大な魔物が現れる

出口に近いほうの小さな無数の魔法陣からは、骨格だけの体に剣を携えた魔物〝トラウムソルジャー〟が溢れるように出現した。空洞の眼窩からは魔法陣と同じ赤黒い光が煌々と輝き目玉の様にギョロギョロと辺りを見回している。その数は、既に百体近くに上っており、尚、増え続けている。

その時、現れた巨大な魔物を呆然と見つめるメルド団長の呻く様な呟きがやけに明瞭に響いた。

十メートル級の魔法陣からは体長十メートル級の四足で頭部に兜のような物を取り付けた魔物が出現したからだ。もっとも近い既存の生物に例えるならトリケラトプスだろうか。ただし、瞳は赤黒い光を放ち、鋭い爪と牙を打ち鳴らしながら、頭部の兜から生えた角から炎を放っているという付加要素が付く

巨大な魔物を呆然と見つめるメルド団長の呻く様な呟きがやけに明瞭に響いた。

まさか……ベヒモス……なのか……

っと

 


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