綺麗なクロコダイル目指したらロビンとビビに好かれました 作:花蕾
「ビリオンズが壊滅?何言ってやがる」
それは突然の知らせであった。
ビリオンズといえば、オフィサー・エージェントの部下達。
簡単に言えば、Mr.13までいるエージェントとそのペアを幹部とするなら、ビリオンズは準幹部ぐらいに当たる。
「本当なんです!!!社長!!!とにかく、ナノハナに…ってうわぁ!」
「どうしたァ!!」
その連絡のあと、デンデンムシからは沈黙が流れる。ガチャっ、という音がしないため、通話が切れていないことは確かだ。クロコダイルは状況を掴むため、大声で呼びかけるが応答がない。
「くそ、どうなっていやがる。ビリオンズが壊滅だと」
あり得ない、そんな感想がクロコダイルの心を占める。
ビリオンズはエージェントには劣るが、折り紙付きの実力者。クロコダイルの庇護下から離れた場合、即刻海軍から指名手配されることは間違いなしの戦闘力は持っている。
「チッ、しょうがねぇ。ナノハナまで行くしかないか」
オフィサーエージェントを回すという考えもあったが、ビリオンズを壊滅した人物が相手と思うと些か危ないかもしれない。
クロコダイルはそう考えを纏め、ナノハナへ身体を砂へと変換し向かっていった。
【港町 ナノハナ】
ナノハナは見るに耐えない光景になっていた。バロック・ワークスの略、B・Wを帆に掲げた艦隊はバラバラになっており、町は何年も風化したかのように錆びれている。この光景はおかしいとクロコダイルは考える。
なぜなら、この町は昨日まで活気が溢れていたし、短期間でここまで
「ゼハハハ、ようやく来たか!!」
「オメェか?うちの社員と町をここまで痛めつけたのは」
錆びれた町の中心にいたのは、五人の男達。
「その通りだ!!Mr.クロコダイル!!ゼハハハ!ちょいと頼みがあるんだが、いいか?」
「…なんだ?」
「ゼハハハ、難しいことじゃねぇ。王下七武海の席を一つ空けてもらおうか!!“
クロコダイルの足元に、黒い形状しがたいもの、否、闇そのものが広がる。クロコダイルはそれに捕まらぬよう、下半身を砂化させ、上空へと舞い上がる。
そこに
「ウィーハッハ!!」
プロレスのチャンピオンみたいな格好をした男、バージェスが瓦礫を持ち上げクロコダイルに向かって投げつける。それを冷静に、右手を瓦礫に添え『渇き』を与える。
さらに、黒ひげ海賊団 狙撃手であるヴァン・オーガーがクロコダイルを正確無比に狙い撃つ。しかし、『覇気』すら纏われてない弾丸は身体をすり抜けるばかり。
「舐めてんのか。“
クロコダイルはお返しと言わんばかりに砂の斬撃をバージェスとオーガーに放つ。二人は左右に避け、それを回避する。
「おい、テメェら!!勝手に手出しするんじゃねぇ!テメェらじゃ、どう足掻いても勝てねぇよ!!」
「察しがよくて助かる。で、テメェの名前は?」
「ゼハハハ、監獄に送るついでに教えてやるよ!!黒ひげ海賊団船長、マーシャル・D・ティーチ様だ!!!」
「俺を監獄に送ったところで七武海にはなれねぇ、と思うがな」
「いや、思っちゃいねぇよ。あくまで
「俺をおびき寄せるためじゃねぇのか?」
「それだけだったら、テメェの部下をぶちのめすだけで充分だろうが!!ゼハハハ、正解は目撃者をなくすためだ!!いくら、海賊といっても国の英雄であるお前を倒して、七武海につけるとは思っちゃいねぇ。だから、目撃者なしでテメェを倒し、そこにあるテメェの組織の船にダンスパウダーを乗せておく。こうしたら、いくら、アラバスタ王家だろうと庇いきれねぇ」
クロコダイルは、なんて恐ろしいことしやがる、と額から冷や汗を流す。
なぜなら、それは原作で捕まった罪状と同じであるからだ。これが、世界の補正なのかと疑う。
「そうか、ご丁寧にどうも。“
黒ひげ一味を中心に、大きなアリ地獄が形成される。
「そういや、さっき、名前を聞いたな。すまねぇな、それは無駄になりそうだ。砂漠に墓標はいらねぇからな」
「舐めた口をしやがる。“
クロコダイルの身体がティーチのほうに吸い込まれてゆく。クロコダイルが能力で逃げようとするが、
「無駄、無駄ぁ!俺のヤミヤミは能力すら無効化させる。分かるか!!!Mr.クロコダイル!!俺は能力者に対し、防御不能の攻撃力を得た!!」
クロコダイルの腹にティーチの拳が入る。
(…重てぇ…舐めてた。この頃の黒ひげならそこまで苦戦しねぇと思ったが…流石は未来の四皇)
クロコダイルの口からゴフッという音を出し、大量の血液が溢れる。しかし、
(だが、まだ甘い!!)
「能力を無効化するなんて大層なことだが、誰が能力にかまけてるって!“指銃”!!」
クロコダイルの右手の指から放たれる突きは、ティーチの身体を銃弾のように貫通させる。
「これは、CPの…六式!!なんで、テメェが!!」
「何、便利そうだったから、習得させてもらっただけだ。それに俺ばかり見ていていいのか?」
「何?ッ!!!」
「“火拳”!!!」
黒ひげ海賊団を炎の拳が包み込む。
「これ以上、暑くするんじゃねぇよ」
クロコダイルはただでさえ暑いアラバスタに、さらに気温を上げる炎に辟易とする。
「ようやく見つけたぞ!ティーチ!」
「チィッ!野郎ども、撤収だ!!流石にこの二人相手には、まだ無理だ!!」
そこからの黒ひげ海賊団の行動は早かった。急いで走り出し、丸太船に乗り組み、帆を広げ出港した。
「…は?」
クロコダイルはその行動に唖然を喰らう。
「待ちやがれ、ティーチ!!」
「じゃあな!!Mr.クロコダイル!
エースはすぐに追いかけようとするが、
「やめておけ、お前じゃ、勝てねぇよ。白ひげ海賊団二番隊隊長“火拳”のエース」
「何を言って…」
エースはクロコダイルの言葉に反論しようと口を開くが、すぐに閉ざしてしまう。なぜなら、クロコダイルからは膨大な覇気が放たれており、エースは後ずさりしてしまう。
「実力差すら分からねぇのか、テメェは。船員は全然強くはねぇが、船長のあいつだけは別格だ。今までよく無名で通してきたなというレベルだ。あれには、俺でも勝てるかどうか分からねぇ」
クロコダイルの言葉は全て本当である。自身でも勝てる可能性は低い。能力を過信してはいないが、やはり、戦闘スタイルは能力ありきである。数十年寄り添い続けた砂の能力を使わないでとなると、今までの戦い方が身体に染み付いてる分戦いにくい。
「…それでも、俺はあいつを倒さなくちゃならないんだ」
「それなら好きにやれ。忠告はしたぞ」
エースは搾り出すように、決意の言葉を告げる。クロコダイルはそれに対し、最低限の言葉を返した。
エースとクロコダイルはそのまま、顔を合わせずそれぞれの道に着いた。
(原作通りなら、エースは黒ひげに負けて、捕まって白ひげと海軍の頂上戦争が起こる。そして、なんやかんやあってエースの腹にどでかい穴ができるわけだが…)
別段、クロコダイルはエースのファンではない。しかし、一度でもあった人物が死ぬというのは、好きではない人物でも心にくるものである。そのため、忠告をしたのだが、結果は芳しくない。
(しかし、頂上戦争が起きれば、自然と黒ひげに会うことになるか…)
実は、クロコダイルは黒ひげに対し今にも殺したいぐらいの怒りにかられていた。クロコダイルにとって、社員は部下であり、大事な仲間である。それに手を出されて、怒るなというのは無理な話である。
(そうなれば、そこでお礼してやるよ、たっぷりとなァ…)
この後、この件は世界中に報道され、黒ひげ海賊団の首に懸賞金がかけられた。船長のティーチには2億ベリー、船員たちには5000万ベリー前後の額がかけられたのだった。
次回予告
「んー、返ってきたわのね!」
長い任務から帰ってきたのはMr.2。彼?(彼女?)の船の傍らには麦わらの帽子を被った髑髏旗が…
第3話 麦わらの男
次回もお楽しみに
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クロコダイルの左手の義手、どうするか?
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原作通り、フック
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ハガレンみたいな感じにする
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ロケットパンチだろjk
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ビーム砲つけよう