数分前
「なっ……」
「……っ!」
暴風雨ゾーンを抜け、中央広場付近にたどり着く。
そこでは雑兵を一掃した先生と、それをぼろ雑巾のように嬲っている
駄目だ。このまま広場に出ていったらあれにやられる。
私たちは物陰に隠れて様子を見守る。
どうやら向こうは仲間割れをしているみたいで、何やら言い合っていた。
それが終わると今度は包帯の男――私の事を打ってきた男が腰の刀に手をかけ、腰を落としたのが目に入る。
「まさか……!」
男の視線の先には入口のゲート。当然そこには
斬りかかる気だ。
もし成功すれば――
「っやめてッッ!」
「! 待て四楓院!」
常闇くんが止めに入るけどそれよりも早く体が動いていた。
普通に考えて私なんかが敵うはずもない。返り討ちにあってしまうのがオチだ。
それでも――気が付けば体が動いていた。
「――! 成程、級友の危機に駆け付けたか」
間一髪で割り込み、斬魄刀で防ぐことに成功する。
しばらく鍔迫り合いになった後、向こうは後ろに跳び退き、刀を下段に構えた。
「貴様が相手ならば、こちらも相応の覚悟で臨まなければなるまいな」
包帯の下から覗く眼光が私を貫く。
背筋に悪寒が走り、思わず構え直した。
「――儚め“朝顔”」
向こうの刀の形状が変化する。
鍔は花弁のように、刀身は
まるで花のおしべとめしべが刀へと変化したかのように見える。
名前を呼ぶことで刀の力を解放する――それは斬魄刀の性質そのもの。
死神、と呼ばれる者のみが持つと言われている刀に他ならなかった。
「何を驚いている? 始解を出来るのは何も貴様だけの特権ではない」
「っ!」
やっぱりこの男は私の個性を全て知っている。初めに私を狙ったのも、きっと偶然なんかじゃない。
再び間合いを詰められ、切っ先が足元から迫ってくる。斬魄刀の力を解放したということは、迂闊に斬り結べば何が起こるかわからない。でも躱してしまえば後ろの皆に攻撃が向かってしまう。
「……いい判断だ。だが甘い」
「ぅ……ん!」
刃が触れ合った瞬間、花弁の奥から粉末が噴き出る。力んだ拍子に、それが私の鼻腔に侵入した。
「朝顔は毒性の花粉を放出する。受けざるを得ない状況にされた段階で貴様は詰んでいるのだ」
視界が歪む。
向こうの言う通り、毒を持っているのかもしれない。
体が気持ち重くなっているような感覚がある。
刃が迫ってくる。私は咄嗟に受け止めるも斬魄刀を弾きとばされてしまう。
「一太刀、それで事足りる」
上段の構えが見える。
斬りかかられる――
「受け取れ、四楓院ッ!」
『ホラヨ!』
少し離れたところに常闇くんが来ており、影の個性を使って私が手放してしまった斬魄刀を渡してくれる。
「っ!!」
寸でのところで受け止め、すかさず息を止める。花粉が噴き出る前にはじき返し、そのまま斬り返す。
しかし向こうは上体を逸らして回避し、カウンター気味の斬撃が来る。
そこから伸びてきた手に、嫌悪感を覚えた。
あれに触れさせてはいけない――そんな気がした。
「――ッ魅せろ! “舞姫”ッッ!」
その瞬間、常闇 踏影は死を意識した。
目の前に現れた黒いもや――ワープゲートから伸びてきた手。
彼の個性
故に、直接的な格闘を迫られれば勝ち目は無かった。
「ぐっ……!」
級友の助けになりたい、その一心で広場付近へと躍り出たのが仇となってしまった。
迫り来ていた手の平は、彼の頭に触れる寸前で静止した。まるで何かに引っかかっているかのように。
そして数瞬の後に悲鳴が聞こえてくる。
「…………初演、
彼を助けたのは――剣戟で
個性で手渡したはずの刀はなぜか扇に姿を変え、その先をゲートから伸びる手へと向けていた。
当然、防ぐ刀が無ければ斬撃は防げない。
彼女の足元は血溜りとなっていた。
左肩から袈裟懸けに斬り伏せられ、その傷口は現在進行形で出血していた。
「あくまで自分よりも級友を優先するか」
「……あたり、まえでしょ?」
当たり前な物か。プロヒーローならばともかく、つい先日まで中学生だった人間がいともたやすく身を犠牲にできるはずもない。
「成程、卵とはいえ英雄というわけか」
アサヒは震えながらも踏ん張り、扇を閉じて構える。
「……余興、
あたかも、それが刀であるかのように。
だがふらついていて、とても戦闘が行える体には見えなかった。
「っ行くぞダークシャド」
常闇は個性を使って援護しようとするも、アサヒの様子がおかしいことに気付く。
今にも倒れてしまいそうに見えた彼女が、急に機敏な動きで蹴りを繰り出す。
「何……っ!?」
続けざまに右の大振りで殴りかかり追撃していく。その動きはどこか爆豪をほうふつとさせるものだった。着地し、僅かに首をかしげている。
「な、なにが――」
彼が唖然としていると入り口で爆発が起きた。
『――己の不甲斐なさに腹が立つ……! 君たちが恐怖で怯えているにも関わらず私は呑気に談笑をしていた……っ!』
聞き間違えるはずもない。
世界一安心できる声、安心できる言葉。
「だがもう大丈夫、なぜかって?」
粉塵の向こう側より現れたのは平和の象徴。
「私が来たッ!」
オールマイトが臨戦態勢で現れた。
それを見届けたアサヒは、糸の切れた人形のように崩れ落ちた。
……まあ前より量書けないんですけどね、はは。
結局主人公の始解そんなに見せられなかったな。