ディザスター・ア・ライブ 〜Returns of Missing〜 作:ふぇるみん
ブロット全崩壊して今一から書き直してる
「あ。」
「ん?」
ふと思い出したかのようにヴィンセントがつぶやく。
「そういえばラヴィ、お前いつも一緒に居るはずのサクはどうしたよ?」
「........。」
ヴィンセントの質問に対し明らかな動揺を浮かべているラヴィジ。これはなにか手応えありかな、と考えるヴィンセント。
「.....何かあったのか?」
「.....適合者さん....いや、ヴィンセントさん、雨の精霊って知ってますか?」
「雨の精霊?」
「はい、別名第4の精霊とも呼ばれています。その第4の精霊に今ならサクちゃんはつきっきりで居ます.....。」
「......???さっぱり背景が分からんぞ???」
流石にとんでもない事をさらっと言われたのか理解が追いつかないヴィンセント。と、そこに、
『まあ、理解が追いつかないのも無理はないよ。』
「アリス....なにか知っているのか?」
さっき伝えた仕事をしているはずのアリスからの通信、だが何かを知っている様子なのか、ヴィンセントは問い詰めはしなかった。
『ええ、サクリファイスは今ALICEからも観測できない以上、私が総力を持って痕跡を調べてるわ。直近だと半年前に出たっきりね....。ラヴィですら一週間前に来たからここまで来ないのは何かあるわよ....。』
「ふぅむ....?」
一人ヴィンセントは考え込む。ラヴィジとアリスはその様子を見守る。数十秒後、ヴィンセントがふと通信を繋ぐ。
『....何よ?』
通信先は琴里であった。今の時間が時間なだけにかなり不機嫌らしい。
「寝ている最中に起こして悪いな。第4の精霊とやらのデータはあるか?」
『第4の精霊...【ハーミット】のことね?それなら幾らでもあるけど....。』
「明日の朝でいいからデータを寄越してくれないか?このままだと不味いことになりそうなんだよ....。」
『.....不味いこと?』
その単語に琴里が食いついた。ヴィンセントは予め用意していたデータを流す。流されたデータを読んでいく琴里。しかしその顔はだんだん顰めていく。
『贄の象徴....災害類ⅩⅦ型....個体名【サクリファイス】ね.....。ラヴィジほどではないんでしょ?』
「それがそうも行かないらしくてな....。」
『....?』
「詳しくは本人から聞いたほうが早い。」
そう言うと通信ディスプレイにラヴィジを映し出した。
『....え?貴女がラヴィジ....?そんな姿だったの.....?』
「無理もないでしょう。あの姿は私の理性のない状態ですから。改めて紹介させてください。災害類ⅩⅧ型、植愛の少女ラヴィジ。琴里さん達が言う精霊とほぼ同一の存在です。そして、決定的に違う点もあります。」
『....決定的に違う点?』
ラヴィジが自身の背中を見せながら言ったのを不審に思う琴里。だがそれは一瞬にして崩れ落ちた。
「精霊の主な力の源は霊力、そうですね?」
『え、ええ。』
「私達ディザスターは霊力ではなく、電力で稼働します。」
「『っ!?』」
思いもよらぬ事実に全員がラヴィジに顔を向ける。
「アリスもそうだけどALICEの住人は基本こっちに来るときはある程度電力を蓄えてから顕現します。アリスと私は今はアクシズで電力供給を受けているので無限に顕現できますが、散らばったディザスターたちは各々が蓄えてる電力でしか顕現できません。」
『それならなんの問題もないじゃない。』
「蓄えてる量が問題なんですよ....私だけでも貯蓄上限は3600万kwなんですよ?」
『.....はい?』
琴里は聞き間違いかと目を疑った。普通の精霊でさえ3桁で済むのに....ディザスターは8桁+4桁?
『....馬鹿げてるわね。』
「ディザスターのヤバさはその蓄えている電力に比例しますからね、今回のサクリファイスだと4800万kwですが。」
「は?1.3倍?」
「ええ、サクリファイスは自傷することで凶暴性が増すディザスターです。約180万kwから繰り出される一撃はあの空間震の3回分にも匹敵します。.....サクリファイスを止めないとここですら一撃ですよ。まあ、もっと考えられる最悪のパターンもありますが....。」
『最悪のパターン?』
「はい、私達ディザスターの蓄えている電力を精霊に供給すると精霊の繰り出す天使の出力が乗算されます。要はディザスターによるハッキングですね。乗っ取られたら最後完全に精霊を殺さないと駄目です。」
『.....ことがよほど重大なのは分かったわ。こちらでも観測及び追跡を開始するわ。だから....精霊が乗っ取られる前に貴方達もサクリファイスとやらを止めてちょうだい!!』
「分かってる!」
「サクリファイスの一人の友達として私も手伝うつもりだから、じゃあ、よろしくね!!」
そうして通信は切れた。切れたのを確認した二人は完全に意気消沈している。
「ラヴィ....あれは本当なのか?」
「ええ、ホントのこと。だから早く止めなきゃ....二人が、止められない段階に入る前に....!!」
次の日。
「おはよう御座います、士道さん。」
「おう、おはようレティ.....なんか疲れてないか?」
いつもどおりの日常に戻った天宮市は本日から高校も通常通りに戻っていた。一足早く学校に来ていた二人は玄関でばったり居合わせていた。
「....昨日新しい装備の試験運用をしてたので。」
「それはまた....大変だったな。」
士道も少し苦笑いである。と、後ろから二人の影。
「おはようなのだ!シドー!」
「おう、十香もおはよう。今日は早かったな。」
「少しジメジメしていたからな....眠れなくて起きてしまった。」
「今後もこんな天気が続くからな....なれておかないと寝不足になるぞ?」
「それはわかって居るが....。」
十香がぶつくさ呟いている後ろから見えたのはブロンドの髪の毛。それだけで二人は誰が来たのかを察する。
「もう士道、あんまり言い過ぎないでよ?まだこの地に降り立って日も浅いんだし、それを言うならラヴィジだってそうだし....。」
後ろにいたのはクロエである。一足早く出ていたレティを追うついでに十香も拾ってきたのである。
「....あれ?ヴィンセントはどうしたんだ?」
「色々準備があるんだって。あとから来るって言ってた。」
いつも一緒に学校にいけないことを心底つまんなさそうにしているが、それはそうとそれほど問題ではないらしく、そこまでの顔は見えなかった。
ところ変わって、クロエたちが話し込んでいる同時間、当のヴィンセントはと言うと。
「悪いなレーベ、着付けとかよくわからんばかりに....。」
「それは別にいいさ。でもなんでアリスに頼まなかったんだ?」
「あー.....あいつは服のセンスが皆無だからな....。」
『ダーレが皆無ですって〜??』
アリスに皮肉を言われつつもレーベに着付けを任せていたヴィンセントはその隣にいる少女をチラ見していた。
「ほう.....やっぱりこうでなきゃな。」
「ほんとに.....行かないと、だめ?」
そう、そこに居たのは先日まで【尊壊崩皆】を繰り出し人々を苦しめていたラヴィジだった。今の姿は天宮高校の女子制服を身に纏っておりどこからどう見てもただの1生徒だった。そんなラヴィジも先日、アリスと同じくアクシズの一員として正式に加入となった。アリスも元々こちらに身を寄せる気満々だったのでアクシズ所属となったが、ダーウィンはアインに呼ばれたらしく、一時現世を離れALICEへと帰還している。だが所属はアクシズだ。これでアクシズは精霊をさらに3人加えたことになり、より戦力差は圧倒的になった。
「お前だって今の社会に適応しないとならんだろ。いつまでもEvSに頼りすぎるな。」
「うっ....。」
至極真っ当な反論に怖気づくラヴィジ。しかし、ラヴィジ以上に世間を知らない者もいない。仕方が無いかと割り切るしか無いのだ。
To be Continued.....
電力貯蓄はあれ全部クラフィの能力値参考にしてます。