ディザスター・ア・ライブ 〜Returns of Missing〜   作:ふぇるみん

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第34話 漆黒の悪夢、《クイーン》の側近

 

 

【今日の放課後、屋上にて待っていますわ 時崎狂三】

 

 

士道は下駄箱に入っていた手紙の意味を思案していた。今までの言動から見て、つまるところ自分を食べるために呼び出しているのであろう。だが、他の意味もあるように思えて仕方がなかった。

 

「っと。」

 

思案しているとぶつかってしまったらしく、ちょっとばかりぶつかった子が仰け反っていた。

 

 

「す、すまない!考え事をしてて....。」

 

「....ソウカ.....損害軽微。」

 

 

「....何だったんだあいつ。」

 

 

士道はぶつかってきた少女のことを考えながら、再び思考の海へと潜っていくのだった。

 

 

そしてその日の夕方。あからさまな結界を貼られた士道はなんとか意識を保っていた十香と共に屋上へとやってきた。そこには案の定精霊の姿の狂三がいた。

 

「遅かったですわね?」

 

「約束通りきてやった。まずはこの結界を解除してくれ!」

 

「それはできない相談ですわね。これは私の命とも呼べる時間を補充するために展開している結界なのですから。わたくしはこれを【時喰みの城】、と呼んでいますわ。」

 

狂三はくるりと一回転すると自身の武器である二丁短銃と長銃を取り出した。

 

 

 

 

 

 

それを校舎の影で見ていたクロエとヴィンセント、そしてアリスは不安げな表情だった。

 

「いくら先の戦いで使いすぎたとはいえ、流石に吸収しすぎだろ、これ以上吸われると俺達とて寿命がなくなる....。」

 

『私が一応同化してるから遥かに一般人よりかは長生きするんだけどね。』

 

エルがひょっこり顔を出して頬擦りするのを横目に鏡で状況を確認しながらいつでも出られる準備は整えていた。

 

「あいつ....無茶をしなければいいのだが...。」

 

「最悪は私がなんとかできるけど、なるべく戦力は晒したくないしねぇ....。」

 

「襲撃予告を出された以上、むやみに戦力を消費はしたくないが...。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、戦闘は始まった。事態を聞きつけた真那が駆けつけ、実質3対1ではあるが、その割に真那と狂三の戦いは激しくなかった。俗に言う八百長である。真那自体も魔力処理の解除により全盛期ほどの戦闘力を発揮できなくなったのもあるが、アイザックからの命令による戦闘行動の制限が大きく響いていた。

 

「あいっ変わらずすばしっこいでいやがりますね!」

 

「お褒めにいただき光栄ですわ!【一の弾】!!」

 

短銃から霊力弾を打ち込み加速する狂三。それを迷わず追い始める真那、十香も動きを読んで斬撃を食らわそうとするも、なかなか当たらない。そんなこんなで15分が過ぎようとしていた。両者ともに目立った損害が与えられぬまま一定の距離を置こうとしたその時だった。あたり一面を火炎が舞う。真那も狂三もその火炎から離れて火炎が放たれた方向を見ると、そこには和服のような霊装を帯びた少女....否、琴里がいた。

 

「こと....り?」

 

「少しばかり、返してもらうわよ、灼爛殲鬼!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『否....アレを倒すノハ、私ダ。』

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

琴里がその斧を振り下ろさんとしたとき、突如してばらまかれた弾丸とミサイルの雨が一同を襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その光景は3人の目にも写っていた。

 

「あれは....???」

 

「あれは違う....!!俺がアイクのところで見たやつではない...!!」

 

「.....お兄ちゃん!イーちゃんが!」

 

「....イーディスがどうした?」

 

3人の目からも、あれは異常だったらしく、慌てていた。が、一人のAIが異常に反応したことで全てを察した。

 

『ヴィンス!あれは《ビショップ》だ!厄介なときに....!!』

 

「....確かビショップってイーちゃんの主が作ったっていう...。」

 

『ああ、我が陛下がお作りになられた迎撃・攻勢プログラムの一個体にして、全攻勢プログラムを統括する存在でもあらせられる。』

 

 

「ならどうしてここに...!?」

 

『ビショップは良くも悪くも命令に忠実に動く。即ち今回の襲撃はおそらく我の女王からの直接命令だ。大方危険分子の殲滅が目的だろうがな....。』

 

「何とかして助けなければ....クー、もしものときに備えて準備はしておいてくれ。」

 

 

『いや、その必要はない。クロ、頼みたいことがある。』

 

 

イーディスからの頼みにクロエが反応する。そしてイーディスのお願いを聞いたクロエは満面の笑みで承諾した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、狂三達は現れた謎の精霊に対して対応を余儀なくされていた。

 

 

「見境無しかっ!!!」

 

「目的物を見てしまったお前らハ我が女王カラ抹殺命令が入ってイル。故に。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が女王陛下カラ直々に承っタこの武器デ.....消エロ。」

 

 

姿が瞬時に変わった謎の精霊を見てとっさに回避行動を起こした二人に襲いかかった。回避している合間にも士道は深く思考し、一つの答えに行き着いた。

 

 

「待てよ....この口調、どこかで....?」

 

そこまで考えたとき、士道の点と点が線になった。

 

「そうか...お前は朝にぶつかった....!!」

 

「覚えていたのカ。どちらにシロオマエラは必要ナイ。大人しく死ぬがイイ。」

 

再び振り下ろされる巨大な大剣。琴里も狂三もすぐに迎える距離ではなく、万事休すだった。

 

「「士道(さん)!!!!!!」」

 

「っ....く!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいたが過ぎたな、《ビショップ》!!!」

 

寸前、士道の目の前にシールドが形成され、いともたやすくその攻撃を防いだ。

 

「なっ....クロエさん!?」

 

空を飛び退避していた真那から発せられた声は普段とは異なる様子のクロエによって掻き消された。

 

 

「クロエ、か。今の我はクロエではない!」

 

 

瞬時、クロエからノイズが走り出し、全体を覆っていく。私服だったワンピースは剥がれ、紺色のドレスを形成していく。アクセサリーも頭に黒いティアラが装着され、靴も白いロングブーツを身にまとった。

 

「我が陛下の最大の側近《ビショップ》よ。我が女王の全権大使であるイーディスが直々に罰を下してやる!!!!その根幹命令が殲滅であるというのならば!!!真の側近からその王位を奪ったあとにしてもらおうか!!!!!」

 

 

「クロ....エ?」

 

士道は呆然としていた。いつもはのほほんとした雰囲気の彼女が突如として傲慢な側近へと変わったのだから。そしてその驚きは他の三人にも波及していた。

 

「《クイーン》....!?まさか、そんな....。」

 

「分かれば単純な種明かしですか。とはいえ、これは....。」

 

「クロエさんが....最優先対象である《クイーン》、だなんて....。」

 

「ふんふふ、本来なら我はでてくるつもりはなかったんだがの。ビショップが出たならば話は変わるわ!」

 

クロエもといイーディスは懐から黒いポリゴンを取り出すと一瞬でビショップの後ろに転移した。

 

「まずはその女王から賜った武装を返してもらおうか!」

 

「損害軽微....不確定要素を排除スル。」

 

ビショップと呼ばれた彼女は瞬時に対応し互角の戦いを見せる。ナイトメアとの戦いなんてもう知ったことではない。そこはもう元全権大使と現側近の痴話喧嘩であった。

 

 

「お主!なぜ今になって出てきた!!お前の役目は廃棄された死体を女王へと献上することだったはず!!」

 

「私の役目ハ確かにソウダ。だが、ある時女王はこう言った。『手伝エ。』ト。ならば、私はこの身ヲ犠牲にシテデモオマエラを排除スル。」

 

 

「我が女王陛下はそんなことを仰られた覚えはない!」

 

 

「黙レ。これは決定事項ダ。故に、お前らを殺ス。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私は....そんなの言った覚え、ない。』

 

「「「!?!?!?!?」」」

 

第三者の声に全員がその方向を向く。そこにはヘトヘトになっているクーとヴィンセントの姿と、全身が銀色ではあるが、それは紛れもなく、

 

 

「「陛下!?!?」」

 

痴話喧嘩の元凶こと女王であった。

 

 

「ヴィンセント!?これって一体....!!」

 

琴里もそれに気づき問い詰めるが、二人は伸びているようで大した反応も得られなかった。

 

「一体何なんだおまえたちは!敵なのか!!味方なのか!!」

 

 

「「「少なくともお前に対しては敵だ(ダ(だね))。」」」

 

「全員揃って敵かよ!!!」

 

最悪の状況に士道はうなだれた。もはや当初の目的は果たせそうにもなかった。というか、当の張本人である狂三はいつの間にかクロニクルに救助され、すでに空へと浮いていた。そしてそれを見ている合間にも女王はイーディスと共闘してビショップを追い詰めていく。

 

「何....故...!?」

 

「どこの馬の骨に絆されたかは知らぬが女王を裏切ったのだ....お前は死刑だ!二度と生きては帰れぬと思え!」

 

イーディスの一撃がビショップに直撃し、ビショップの変身が解けた。私服姿へと戻ったビショップはそのまま山肌へと突き刺さり、ホコリまみれになった。ところどころ破れたパーカーを纏っていたビショップであったが、ここまでくればもう戦えないのは明白だった。ビショップの首元へと剣が伸びる。

 

「せいぜい、悔いるのだな。」

 

 

「待て、ふたりとも。」

 

「「ヴィンセント??」」

 

手をかける直前、待ったをかけたのは他でもないヴィンセントだった。ちなみにクロニクルと狂三は一足先にこの混乱に乗じて撤退した。

 

「ビショップは、俺に任せてはくれないか。」

 

「.....お前なんぞに渡す理由があるとでも?」

 

「お前二度と女王に会えなくなる身体にでもしてやろうか?」

 

「頼むからそれだけは辞めてくれお主!?」

 

「フフ、やっぱり、あの子を任せてよかった。わかったわあなたの判断に任せるわ。」

 

「本気であらせられますか陛下!?」

 

イーディスが反論するが、女王は反論は認めないの一点張り。結果、イーディスが折れることとなり、ぐったりとしたビショップの処遇はヴィンセントに委ねられることとなった。また、士道と琴里だが、流石にこれ以上は不味いのでふたりともフラクシナスへと帰っていった。残された5人であったが、女王はイーディスに任せ真那も一旦一緒に二人と帰還していった。というか女王はもともとエルなのでいずれこっちに戻ってくるが。取り残されたビショップとヴィンセントであったが、ヴィンセントはこのビショップに確かな見覚えがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、ここまで追ってくるとは思わなかったが...。どこまで執念深いんだか....エース。」

 

「....今マデと同じ【ピィ】で良イ、兄様。」

 

 

ぎこちないながらも、先程のような無感情の表情から一点、僅かではあるが微笑んだ彼女はその全体重をヴィンセントに押しかけ、もつれ込むように抱きしめた。

 

 

「漸く、帰って来ましタ。兄様。」

 

「....むずがゆい。」

 

 

一体二人の間に何があったのか。それは精霊という存在が全体に周知される約一年前の出来事へと遡ることとなる。




狂三の屋上対決は早々に消え去りました。正月の段階まではブロット組んでたのですが彼女の実装と同時に根本から消え去りました。このままだとバランス保てないですが、そこは数の暴力ということで決着をば。




次回は謎の少女《ビショップ》とヴィンセントとの過去編。
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