ディザスター・ア・ライブ 〜Returns of Missing〜   作:ふぇるみん

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どんどんと狂三編から離れていく〜^^;

なんもかんもあのエースちゃんがすべてを狂わせた。

今回デアラ要素皆無かもしれない。

こらそこ!毎回皆無だろとか言わない!!!


第35話 側近の過去

 

女王の最側近こと識別名《ビショップ》、またの名を個体名【エージェント・エース】。女王が作りし攻勢・迎撃プログラムにしてイーディスと同等の権限を持つALICEの中でも最上位の存在とされる彼女であったが、実は最初から女王の手によって作られたものではない、というのは一部の者にしか伝わっていない。

 

そもそも、ALICEの女王でも無から有を作ることなどできない。故にエージェント・エースもある素体を用いて造られた。それが、ヴィンスとの会話で明るみに出た【ピィ】である。

 

その過去は、かなり特異である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピィとヴィンスの出会いはおよそ2年前、それこそ、精霊という存在が人類に知らしめられる前の出来事である。

 

ALICEができて数ヶ月経った頃、サーバーデータの構築、及びメンテナンスを行っていたヴィンセントはとある依頼を受け一人クロエにも言わずトーリスで飛び立った。

 

『どこに行くの?』

 

「場所は....ダカール?」

 

『因縁の地だねぇ...。』

 

「確かあそこにはレウルーラ傘下の補給基地があったはずだが....。」

 

降下してみればあたり一面に広がるプラントの高原。かつて政治都市と宇宙世紀で呼ばれていたダカールはあのIS大戦の影響でアクシズに供与、といえば聞こえはいいが実際は土地の分轄であった。あの日国連に突きつけた条件は主要3都市の割譲要求であった。【ダカール】、【アラスカ】、そして鉱山都市【オデッサ】。もちろん敗北を喫した国連側は容易に飲むことはできず猛反発した。だが、

 

「へぇ?負けたのに文句言うんだ?....やって。」

 

「何を言って....ぐふぉ!?」

 

「貴様!?」

 

「認めないなら、一人ずつ順番に殺していくからね?これは最後通牒だよ。」

 

クロエが外交官の一人をエルで見せしめに侵食させて殺害し脅迫したところ、どうにか主要3都市の割譲を認めさせた。オデッサはもちろん鉱山資源の産出、アラスカはアクシズの地上本部設置、及びALICEメインサーバーの設置。そしてここダカールはほか基地への補給物資の生成などを担っていた。ちなみにALICEは大戦のあと、メインネットワークとして活用されるようになり今ではメタバース、ひいてはISコアも用いたフルダイブワールドとしての側面も持つようになった。おかげでエジソン達はこちら側に来ることはほぼ無くなった。いや、居なくなった、というのが正しいだろうか。

 

かつて大戦時にいたエジソン達はALICEの規模が巨大化していくにつれ仕事量が多くなりこちらの世界に来ることができなくなった。だからだろうか、ストライキが起こり一時機能不全を起こしたのだ。お陰様で世界は大混乱、暫くの間政治や株の動きですら滞ったほどだ。しかもそのストライキに参加しているメンバーはほぼ自分たちに懐いている面々、もはやお分かりだろう。戯れ合える時間が無くなり拗ねているのだ。困ったヴィンセントはやることが無くなり趣味に走っていた束にどうにか出来ないか打診した。すると。

 

「なら身体作ればいいよね!えいやー!」

 

なんと束、こうなることを予期してかコアを用いたクローンヒューマン技術なるものを確立していたらしい。基礎理論としてはハナヨやハヤナの人体構造を用いては居るが、実際はALICEと行き来するために体の一部にサーバーとのデータ接続端子を埋め込まれているらしい。それを用いてみんなの分を作ってくれた。するとどうだろう。一分も立たないうちにフェルミやエジソンを筆頭とした面々がデータをこちら側に移し、抱きついてきたのだ。あまりにも多すぎて述べ12人もののメンバーが押し掛けてきた。相当にストレスを溜め込んでいたのかは定かではないが、その日は開放されることはなかったと記憶している。

 

翌日、開放されたヴィンセントはやってきたメンバーに一つのルールを課した。【然るべきタスクをしない限りこちら側に来ることは…許さない。】そういうものだった。だが、それを全員が快諾、むしろ従来より効率が上がってしまい、仕事時間よりスキンシップの時間が増えたくらいだ。そしてその中にビショップことピィはいた。そう、居たのだ。

 

 

その事件が起こったのはある雨の日のことだった。精霊がチラホラと出現し始めた頃、ピィはその日はやることもなかった為ヴィンセントの元へやってきて膝枕をしてもらっていた。当時の性格はまだ内気で甘えん坊だったのだ。だが、それはサイレンの一声で崩れ去った。当時イギリスに停泊していたティーレだったが、空間震で容赦なく吹き飛ばされ、艦橋は見るも無惨な姿になった。その真下に艦長室があったのが不幸だった。瓦礫が崩落してきてヴィンセントとピィ諸共巻き込んだのだ。ふたりともぐっすり眠ってしまっていて崩落に気づくことはできず、そのまま巻き込まれた。ヴィンセントが目を覚ましたのはその事件から二日後の日である。膝枕をしていたはずのピィはいない、横を振り向くと顔に白い布が掛けられた....紛れもないピィの姿だった。顔面に直撃したらしく、即死だったらしい。最期の場面すら立ち会えなかったヴィンセントは深く悲しんだ。というのも、ピィは懐いていたメンバーの中でも、特にヴィンセントが可愛がっていたメンバーで、元々は両親が居なくなり自前の研究成果だけで上り詰めていた彼女はエジソンたちに誘われてヴィンセントたちのもとへ顕現した。その後は、境遇を聞いたティーレメンバーから娘のように可愛がられた。そういうわけだったのだ。中枢回路をやられているためどうすることもできず、停泊していたシェフィールドにその身体は埋葬されることとなった。と、ここまではいいのである。だが、問題はここからだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イーディスという全権大使を共生のために送り出した女王であったが、ユートピア事変以降の対策のため新たなプログラムを作る必要があった。そこにちょうどよく流れ着いてきたのが、死んだはずのピィの身体であった。女王はこれ幸いとピィを改修し【ビショップ】へと仕立て上げた。だが、記憶まではいじることができなかったようで記憶はそのまま残った。

 

 

 

「こ、こは....。」

 

「ここは、わたしの部屋。あなたは一度死んだのよ?」

 

「..お兄様は....ヴィンセントさんは....。」

 

「諦めて....もうあなたは死んだ身、どうすることもできないわ。」

 

「そん...な。」

 

「本当なら、記憶も消してさっぱりしようかと思ったけど、どうしてとあなたの境遇を見てると放っておけなくて。もし、あなたがしばらく私のために協力してくれるなら、いつか、とは言えないけどそのヴィンセントとやらに返すのもやぶさかじゃないわ。」

 

 

「..わかりました。」

 

ピィは否が応でもそれを承諾し、そこからピィは【ビショップ】となった。そしてとある日、

 

「これは霊結晶。日々の働きに敬意を評しあなたにこれを差し上げます。」

 

「霊結晶....。」

 

ビショップはそれがどういうことなのか噂には聞いていた。莫大な力を得られる代わりに世界から追われる身となること、そして私を殺した原因と同類になってしまう、ということ。だが、ビショップは彼にもう一度会えるなら、と容赦なくその霊結晶を取り込んだ。結果、片言しか喋られなくなり、その変わりに強大な力を手に入れた、ということである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「....そうか、お前も、精霊になったのか。」

 

 

 

「コレで私も追われる身ダ。私はお兄様とイレルカラどちらでも良いんだケド。」

 

「....こーりゃ引きこもり引っ張り出し案件かぁ....。」

 

過去を聞かされたヴィンセントは唸る。精霊、それもALICE出身となればいくらあいつとで干渉はできない。というかまずどうやってあの女王が霊結晶を手に入れられたのが謎だが、置いておくとしよう。と、不意に体制を変えて自身の体を預けるようなかたちで背中をこちらに密着させてきた。

 

「私ハ少し疲れたミタイだ....。兄様、御身体をお借りシテモ?」

 

「もとよりそれ狙いだろうが....好きなだけ休め。」

 

「アリガトウ.....。」

 

それを最後にビショップもといピィからは声は聞こえなくなった。変わりに静かな寝息が返ってくるようになった。死者となり女王によって弄くられたその身体だが、恐らくゾンビみたいなことはされていないと読んだヴィンセントは起こさないように背中にピィを抱え、自身の拠点へと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

過去を振り返っていた頃、琴里と士道、そして真那や狂三、さらにはクロエやクーまでもがフラクシナスの一室へと集まっていた。琴里と士道はもとより拠点なのだが、真那と狂三は不完全燃焼だからか、そしてクロエとクーはこの身に宿っている秘密を明かすべく来ていた。

 

 

「そうか...。あのとき、俺の身体が修復されたのも...。」

 

「そう、私の精霊としての権能である自然治癒が形となって現れたのよ。....私が精霊だと言うことは隠していて済まなかったわ。だけど、今こうして封印を解除してしまった以上、もう一度封印しなければならないの。」

 

「はぁ....琴里さんがあそこまで無茶する人とは思いませんでしたわ。一番のイレギュラーはあなたですけどね?クロエさん。」

 

「えへへ....。」

 

「はぁ....我がパートナーとして認めたこいつはこんなにも呑気だったかの....?」

 

クロエの隣には青いドレスを着たクロエと似つつも特徴的なティアラを頭に載せた少女が愚痴っていた。

 

「まさか、私達でも十全に制御できない精霊の力をこういう形で完全制御してるとはね...。」

 

「エルが居るからこそできる奥の手ってやつ!」

 

エルを通して実体化した精霊....というよりALICEメンバーであるイーディスはクロエの背中に飛び乗りだらんとしていた。と、不意に琴里が吐血した。

 

「琴里さん!?」

 

「士道....もう正直限界なの、あと数日もすれば私の意識は完全に持っていかれるわ。明日、明日のデートで全てにかたをつけて。お願い。」

 

「....分かった。」

 

 

 

 

琴里との約束を終えて出た士道たちだったが、フラグシナスを出て、自宅に戻ると、そこにはあの学校で襲ってきた少女を膝枕するヴィンセントの姿があった。全員が武器を取り出すも、イーディスだけは無反応、というよりかはちょっとふくれっ面だ。

 

「お、おいヴィンセント、なんでこんなところにあいつが....!!」

 

「それに、こいつはもうオレたちの敵じゃねぇよ。そうだろ?ピィ。」

 

「共闘戦線ダ、お前たちとは一時停戦ダ。」

 

いつの間にか起きてきていたビショップはその姿を私服姿から戦闘モードへとその姿を変えるとそのままヴィンセントに抱きついた。

 

「ん、お兄様は私のもの!」

 

「「「なぁっ!!?!!!」」」

 

「引きこもりを引っ張り出してきてEvS取り込ませたの、間違いだったかなぁ...。」

 

頬ずりしてくるビショップを見た全員は放心することしかできなかった。と、不意に男は口を開いた。

 

 

「さてさて、どうしたものか、うちの基地にはティーレや蓮、それにクーたちもいる都合上キャパ容量が限界なんだが...?

 

「そこは大丈夫、私は元々精霊ビショップ、いつでもどこでもヴィンスの隣に現れることができるから居場所はなくても結構。」

 

「それだから駄目なんだよ。放置しておいたらあとからアイツラに何言われるか溜まったもんじゃない。」

 

 

 

結局、ビショップことピィはヴィンスのパートナーとしてクロエたちとともに常にそばにいることになった。その結果、本格的な基地の増設が決定し、DEMやラタトスクが頭を抱えるのはのちの話である。

 

 

 

To be continued.....

 

 






狂三編おしまい!

次の琴里編は短編になりそうですわ。
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