ディザスター・ア・ライブ 〜Returns of Missing〜 作:ふぇるみん
もうね、どうやって出そうか悩んだけど案外絡みやすい子いたよねって。
ある日のことだった。
「ヴィンセントさーん!」
玄関から聞こえる可愛らしい声の主を迎えるべくヴィンセントは自身の作業をやめて玄関へと向かう。ついて玄関を開けるとそこには案の定、
「こんにちはヴィンセントさん、クーロンちゃんは居ませんか?」
と早口で喋るのは士道に霊力を封印された破軍歌姫の天使の持ち主こと美九。つい先日まで争っていたが先の美九が言ったクーロンと言う少女に負け、それ以来定期的にここに訪れるようになっていた。
「はぁ、うちは練習教室じゃないんだがな...リビングで待ってろ、クーロンを呼び出してくる。」
「はぁ〜い。」
美九はヴィンセントに反応を示すと毎回お世話になっている馴染みのあるリビングに入る。と言うのも美九が来ているのは本部である戦艦ティーレではなく表向き用として建てた海運業者の建物のリビングである。その頃ヴィンセントは上の撮影部屋に向かっていた。そしてその部屋からは微かに音楽が聞こえてくる。
「おーいクーロン、美九が来てるぞ〜。」
「分かった〜、今キャロルとエジソンといろいろ会議してるからもう少ししたらそっちに行くよ〜。」
「早めに来いよ〜。」
ヴィンセントはそう言うとその部屋を後にしてリビングへと向かう。途中口論が先程の部屋から聞こえるのは気のせいだと信じたい人生である。
「あら、クーロンちゃんは?」
「キャロルたちと会議中。流石は美九と並ぶトップアイドルだよ、昨日の昼からぶっ続けで会議してるよ。」
「あの人も大変ですのね....。」
「大変と言ったらクーロンがお前と出会ったときのこともそうだったな。」
「あー、あの時ですか。まさか私の天使が聞かなかったときはちょっと驚きましたね。」
そう言い二人は回想に思いを馳せた。
そう、それはヴィンセント達が美九達と相見えているときの事だった。
「あなた達!あの汚らわしい男達を殺してしまいなさい!!!」
「くぅ!?あの様子じゃ話すら聞いて貰えそうにないか!?」
「おいヴィンセント!どうするんだこれ!?」
「撤退しかないだろう!?狂三も残存時間が少なくて迂闊には天使が使えないみたいだし....クッソ!!」
誰もが諦めかけていたその時だった。あたり一面にスポットライトが当たり始めたのは。
「!?このスポットライトは....まさか!?」
「そうだよ!そのまさかだよ!ヴィンセント、まだバテて無いよね!?」
その元気な声と共に姿を表したのは....。
「....まだあなた達は私の洗脳にかかってないみたいですね....!!」
「え?何言ってるの?あんなクソボイスなんてアカデミアシステムでチョチョイのちょいさ!!」
「...へへ、来るのが遅いぞ!!クーロン!!」
上空に浮かんでいたのは美九よりファンが多く、平成の一角とも呼ばれたクーロンだった。さらにその周囲にも人影が見えた。ヴィンセントと士道はその姿を見て驚愕した。
「御兄様!!」
「お兄ちゃん!!」
「クー!クロエ!」
ヴィンセントは飛び込んできた二人をしっかり受け止めると頭をなでてやった。久しぶりの再開からか二人の目には涙が映っていた。
「お兄ちゃんごめん、たかがあんな声に洗脳されてお兄ちゃんを攻撃しちゃってたなんて....。」
「あれは仕方ないさ。だが、仕返しはしたいんだろ?」
「お、おい、ヴィンセント。そうやすやすと二人が戻ってきたと信じてもいいのか?」
「ああ、大丈夫さ。ここまでは【脚本通り】だからな。」
「?」
「ええ、そうね。今のところは私達の【脚本通り】よ。」
「これが人の業であり罪でもあり。やがては精霊すら滅ぼす!!」
「キャロル!それにアリスも!」
「えぇ!?Vivid10Dollsのプロデューサーとその2大アイドルのもう片方も!?おいヴィンセント、一体どういうことなんだよ!?」
士道はもうわけもわからずヴィンセントに問い詰めるが、当の本人は二人に抱きつかれて身動きが取れなくなっていた。
「お前ら....少しは離れろ!」
「やだ!今日一日は離さない!」
「おとなしく私達に甘えられててください!」
「えぇ......。」
「......。」
そんなこんながあって今の美九がいたりする。
「美九ちゃん〜お待たせ!」
「律儀に出迎えてくれるとは、流石は私に並ぶトップアイドルですね!」
「まあ今度一緒にライブやるしね。ちゃんと改めて顔合わせはしておいたほうがいいかなって!」
笑顔で家に上がらせるクーロン。その顔はどこか楽しみを見つけた表情であふれていた。それを見たヴィンセントは、
「....ふ、やっぱりクーロンって、すごいな。」
と、改めてクーロンの凄さについて再認識しているのであった。
キャロル・ア・ライブとかいうアイデアが思い浮かんだので投稿。