ディザスター・ア・ライブ 〜Returns of Missing〜 作:ふぇるみん
なんの変哲もない閑静な商店街。士道は琴里とひさびさに夕飯の食材を調達すべく足を運んでいた。
「しっかし、あれほど仕事が溜まっていたのによく終わらせることができたな?」
「せっかくの年末年始だしやることが無い神無月に押し付けたのよ.....。」
黒リボンをつけてそういう琴里だったが、ふと前を見やり足を止めた。
「....士道、目の前のあれ.....。」
琴里が目の前を指差すと、ツインテールに霊装ではないが白い服を着込んだ少女が二人の前を横切っていった。
「....狂三、か?」
「はぁ....こんな商店街で何をするつもりなのかしら、追うわよ。」
「十香達には話しておくか?」
「いや、十香たちも年末年始くらいは自由にさせてあげましょ。もっとも、ASTがなにかするなら流石に呼び出さなくちゃいけないだろうけど。」
こうして、奇妙な追跡が始まった。
※天宮市 港湾基地内部
「......?ティーレの知り合いが近々くる?」
ヴィンセントは突如として訪問してきたティーレの報告を聞き少し驚いた表情をする。と言うのも前々からティーレの方から鉄血陣営が訪問して来ることは滅多にないと聞いていたのだが、今回、その知り合いが来ると聞いて少し意外だな、と思っていたりする。
「それで、いつ頃に?」
「通達があったのが昨日の夜頃だったので、何事もなければそろそろ来るはずです。」
ティーレがそこまで呟いたとき、3回ノックが響きドアを開ける音がした。
「邪魔するわよ。」
「誰だ?」
突然の訪問者にヴィンセントはすぐさま拳銃を構える。が。
「!?.....引き金が、引けない!?」
まるで時でも止められたかのように体が動かなくなるヴィンセント。それを見たティーレはその主が誰なのか一瞬でわかり、口を開いた。
「あ、もう来てたんですねペーサー。」
聞き慣れない単語を聞いたのかヴィンセントの頭がはてなマークで覆われた。
「ペーさー?」
「名前を言ってませんでしたね。こちら、鉄血海軍対セイレーン技術秘匿管理基地の長こと【ペーサー・シュトラッサー】さんです。私達鉄血海軍の中でもビスマルク様の次席と言えばわかるでしょうか?」
ティーレがそう説明すると、その全身を見たヴィンセントは思わず声を漏らしていた。
「......狂三じゃねぇのこいつ?」
「失敬な。確かにペーサーさんは狂三に姿形は似てますけど!特技は......特技.....狂三じゃないですよね?」
「航空攻撃かましてやろうかしら??」
「「ブンブンブンブン」」
ペーサー・シュトラッサー。ヴィンセントはその名前を密かに聞いたことがあった。フェレシュテ本部に移籍する際、この戦艦ティーレに本来付けられる艦名。その真相は造られることのなかった航空母艦。そのifがそこに現れていることに若干の戸惑いはあるものの、一人の仲間としてみていた。
「ところで、なぜ私のことを狂三と呼んだのかしら?」
「それはだな.....。」
「あらあら、不思議な話が聞こえたので少し聞き耳を立ててみれば、私のそっくりさんですか。」
「「狂三(さん)!?」」
ドアから顔を覗かせたのは、【最悪の精霊】とも呼ばれた時の精霊時崎狂三。しかしその服装は......。
「......着物か?」
「ええ、先程まで初詣に行っていたもので。先程そこで士道さん達に遭遇しましたがなぜか困惑された目で見られていたのですが......なるほど、そういうことでしたか。」
「ああ。聞き耳を立てていたならばもう名前は知っていると思うがペーサー・シュトラッサーだ。ティーレいわくお前と同類らしい。」
「同類.....ですの?」
自分と同類、という言葉に狂三が言葉を詰まらせる。それを見かねたペーサーが直接行動に出た。
「時は満ちた......!!」
「.....!?【刻々帝】!!」
瞬時に危険を察知した狂三は咄嗟に天使を展開し動いた。直後、その地に複数の爆撃機が爆弾を落とし軽い煙を発生させた。
「なるほど.......私の天使と同方向の特技ですか.....面白いじゃあありませんの。」
「私は時間を有効的に扱うのが好きなだけよ。無駄な時間は徹底的に潰す。それが私の流儀。現に今私はこの無駄な時間を一刻も早く終わらせたいと思っているのだけど?」
いつの間にか自分の杖を展開していたペーサーはその杖に隠していた銃口を狂三に向けた。狂三もペーサーに二丁拳銃を向け両者冷戦状態を迎えさせていた。と、そこに。
「見つけたわよ、狂.....三!?」
「あら、琴里さんですの。少々今腹が立っておりまして、しばらくそこで待ってくださいませんの?」
「え、えぇ....。ヴィンセント、これどういうことなのよ....。」
「私から説明させてもらいますね。」
ヴィンセントの隣にいたティーレがこれまでの経緯を話す。それで全てを察した琴里は呆れた目で見ていた。
「通りで見慣れない恰好なわけだわ....あなたの世界の人だったのね.....。」
「多分今度から間違えたら爆撃機で消し飛ばされると思いますよ?」
「その時は天使でどうにかするわよ......なるのかしら?」
「無理ですね。」
「あはは......。」
もはや不可能と察した琴里はペーサーを第一種特定危険人物に任命した。一方、当の本人は狂三と死闘を繰り広げている。そしてその死闘は一週間にも及び、しばらく過労で動けなかったそうな......。
To be continued......?
本年もよろしくお願いいたします。