ディザスター・ア・ライブ 〜Returns of Missing〜 作:ふぇるみん
感動が薄れないうちに、ってね。
因みにこの段階ではISはほぼ全てCRユニットへと改修されています。
2発目の衛星。それは琴里にとって予期せぬものだった。
「そんな....灼爛殲鬼・・・!!」
琴里は再度灼爛殲鬼を呼び出したがそのとき、激しい頭痛が琴里を襲う。
「こんなときに.....士道を.....おにいにゃんを.....守れないの・・・・!」
琴里は懐に持っていたトランシーバーの存在をふと思いだし起動する。
「おねがい.....おにいにゃんを、守って!!!」
その祈りが届いたのか既に上空にはメイド服の精霊がいた。
「よく言ったよ、琴里ちゃん!あとはボクたちに任せてね!......ふぅ、【破却宣言】!!」
そう言うと彼女の中から出てきた本が彼女の中にある霊力を放出していくのが琴里の目に取れた。
「ついでに....【分別なき偶像暴走】!!!」
するとどうだろう、次々と彼女の分身が生まれていく。これには地上にいた士道でさえ、
「・・・・・あれが、アストルフォの精霊としての本気....なのか?」
「狂三と同じような分身能力も.....なぜあやつが!?」
「今はそんなこと言ってる場合じゃ有りませんわ、あれを早く止めますわよ!」
「同意、早くあの衛星を押し返して士道ときゃっきゃうふふします。」
「我が奥義にかかればあんな醜き鉄塊なんぞひとおしよ。」
それぞれがそう言うがそれを止めたのは、
「どうやら、相手さんはこのまま見逃すつもりがないみたいね.....。」
そう言ったのは通信越しの琴里である。
「まさか!?」
「全方位にバンダースナッチ反応!」
「そう簡単には触らせないってか!!」
「いいや違う!!」
その掛け声と共に士道から見て右側のバンダースナッチが爆炎に飲まれていく。そして、その声の主を士道は知っていた。
「ヴィンセント!!」
「雑魚は引き受けた!早くあの衛星を!!」
目の前にはCRユニットを展開し両手でメガビームランチャーを構えたヴィンセントとクロエ。
「頼んだ!!」
バンダースナッチの包囲を抜けていく十香達。それを見届けた二人は再度増えつつあるバンダースナッチに目を向ける。
「さぁて、俺達もやることはしますかねぇ!」
「・・・・・お兄ちゃん、絶対これ裏あるよね?」
「....やっぱりそう思うか?」
「恐らく三機目が落ちてくるのは予想できる.....。だけど、もしかしたら四機目が来るかもしれない・・・!」
「・・・・・そういうことか。分かった。」
ヴィンセントはメガビームランチャーを構えたまま通信機に手をかける。
「聞こえるか?」
「はいはーい!いつでもどこでも聞こえるネプちゃんだよぉ?」
通信に出たのはトーリスシスターズの末っ子ことネプ。そんな呑気な返答なぞお構いなしにヴィンセントは指示を告げた。
「本部に緊急通達!宇宙のアクシズにも連絡入れとけ!!それと全機体をスクランブル出来るよう準備!」
「・・・・・その通信が来るってことは、落ちてくるんだね?」
「可能性はな。俺達はここでギリギリまであいつ等を援護するからここからは動けん。可能ならティーレも持ってきてくれ!」
「分かった。だけど既にティーレちゃん達、艦を展開してそっちに向かってるんだよね.....。」
「「えっ。」」
密かに嫌な予感が二人をめぐった。
その頃、バンダースナッチの包囲を抜けた精霊達は落ちてくる衛星を押し出そうと本気を出していた。
「【破軍歌姫】....!!」
美九の援護を受けて強化された各々の天使がじわじわとそれを押し出していく。
だがやはり足りないのか押し返されていく。
「やはり限定霊装では無理があるか・・・・!」
ただ見ていることしかできない士道にとってその悔しさは上で止めようとしている美九以上に来るものがあった。それなのか、
「・・・・クソっ、このままじゃ.....!」
美九達の邪魔が入らないようヴィンセントとクロエがバンダースナッチを蹂躙しているがそれも時間の問題。そんなときだった。
「士道、前!!」
「シドー!!!」
「・・・・!?」
前方不注意だったのか、目の前には取りこぼしであろうバンダースナッチ。そして勢いよく振り下ろされる腕部。流石に士道もこれには対応できない......が。
「・・・・飴?」
士道のポケットにあった飴が突如飛び出し、バンダースナッチの攻撃を弾いたのだ。そしてその飴は形を変えたかと思うと見覚えのある姿を写し出した。
「七罪!?」
「言っておくけど、べ、別に助けたくて助けたわけじゃ、ないんだから!」
「でも助かった!・・・・・そして突然ですまん、十香達でもあの衛星を止められそうにないんだ!助けてやってくれ!」
士道からの頼みに七罪は断ろうとした。が、上空にいたクロエの方に目線を上げると、
『(士道を助けなかったら精霊の能力全部停止させた上で直々にタイマンしてあげる!)・・・・・あ、これ死刑宣告だ.....。』
目線だけでそれを感じ取った七罪は片手を伸ばす。
「【贋造魔女】・・・!」
七罪が天使を顕現させる。すると上空にあった衛星が爆発し巨大な豚へと姿が変わった。
「これで仕留められ.....!?」
「あれだけの攻撃をシールドで防いだ!?」
「士道!あれは生半可な攻撃じゃびくともしないわ!それも全力で反転した精霊の攻撃でない限り!」
琴里から告げられた最悪の事実。反転精霊相当の攻撃じゃないとあのシールドを破ることができないと言う絶望。だが、それを唯一打ち破る要素がそこにはあった。
「話は聞いた、要するにあの衛星の防御を壊せば良いんだろ?」
「あ、ああ。」
「なら、決まりだな。」
「?」
士道はヴィンセントの物言いに困惑するがヴィンセントはお構いなしに、
「クロエ、HADESを使ってあれを蹴っ飛ばすぞ!」
「お兄ちゃん直々にHADESを使わせるってことは、つまりそういうことなんだね?」
「ああ、頼む。」
「ふふん、久々に........粉々にしちゃうんだもん!」
そして二人は叫ぶ。
「「HADES!!」」
「司令!?」
「何、どうしたって言うの!?」
「霊結晶の反転反応が出ました!!」
「なんですって!?」
「識別コード、【ライダー】、【リッター】!」
「・・・・HADESを使ったのね・・・・!」
「HADES・・・・?」
構成員の一人が琴里にそう聞く。琴里も若干顔をしかめて説明を始める。
「元々はISに搭載された人工暴走システムの一種なの。それを霊結晶を取り込んだCRユニットに搭載して意図的に霊結晶を反転させる、そういう代物よ。」
「・・・・・ああ、これですね。数十年前のですがデータは残ってます。」
「あら、補足するために調べたのかしら?」
「・・・・!?司令!あのCRユニットに積まれてるHADES.......一番危険な初期型です!!」
「はぁ!?初期型って何よ!?初期とか後期とかあるの!?」
「はい、元々封印されている二機につまれていたのが最初期型と呼ばれるもので、ISに積まれていたのはそれを限りなく再現した初期型。ここまでは意図的に暴走の危険性があるため封印されました。」
「そしてそれを改善するためISを作った束博士とヴィンセント達のアクシズが協力して作成したのが後期型のHADESと。でも、最初期型と初期型はもう廃棄されたはずじゃ?」
琴里がそう聞くと構成員はモニターに観測している2人のCRユニットのデータを写す。それを見た琴里を含め全員が青ざめた。
「何よこれ......
ISに外付けでCRユニットのパーツを装着しただけのただのISじゃない!?」
「はい、あれはISを根本から改修したCRユニットじゃ有りません!それ故にシステム系統、操縦系統は全て最初期型のISと変わりません!つまりあれをそのまま使えば二人は容易に反転、そのまま暴走を始めます!!」
構成員はそう宣言する。それを聞いた琴里は息つく暇もなく通信を士道に繋げていた。
「お兄ちゃん!すぐに二人から離れ「おい、琴里....なんだ、あの輝きは・・・・!?」t....何よ、あれ....理性を保ったまま動いてるとでも言うの・・・!?」
二人の目に写るもの。それはHADESを起動しながらも精霊の前に立ちシールドを容易く吹っ飛ばし更にそのまま衛星を半壊にまで追い込むヴィンセントとそれを片手で護衛しながら片手でヴィンセントの補助をしているクロエの姿だった。
「あれ?言ってなかったか?」
「レーベ!?どう言うことよ!?てかどうやってここまで来たのよ!?」
「いやまあ上にレウルーラが下りてきたからそこから飛んでここに着地して。」
「オーケー規格外なのは分かったわ。それでさっきのやつ、どう言うことなのよ?」
さらっと人外じみた動きでフラクシナスへやってくるレーベ。そして、
「私もいますよ。」
「あら、クーちゃん。あなたも上から?」
「いいえ?地上の本部からスクランブルがあったんで暇潰しがてらここまでデュラハンで上がってきました。」
「ああ、そう。それで、二人はなぜ暴走してないのよ?」
「あれ初期型ではあっても中身別物ですよ?」
「はい?普通システムって簡単には更新できないでしょ?」
「琴里さん、忘れてませんか?トーリスシスターズの存在を。」
「・・・・・そう言うことね?」
琴里がなにかを察したのか顔がうっすら苦笑を浮かべる。それを見た二人はうっすら御手上げのような手捌きで艦橋をあとにしようとする。それを琴里は止めた。
「二人に言っておいてちょうだい。【もし精霊の力を使うのならば、それは危険だ】とね。」
「あの二人なら愛で乗り越えそうだがな....。」
「ま、進言はしておきます。」
そう言って二人は今度こそ艦橋から消えた。それを確認した琴里は改めてその場にいる全員に指示を出した。
「総員、今落ちてきている衛星の上を熱源反応探査で探して!三基目があったら報告!!」
「「「「はい!!!!」」」」
その頃、士道含む精霊達は二人の規格外さに改めて呆れていた。
「前々とは心強いと思ってはいたが!いざ目の前で見てしまうと本当に敵に回した時が怖いぞ!」
「だけど、味方になってくれたときほど嬉しい援軍はない!それこそ狂三よりも頼りになる!」
二人の所業に十香と士道が呆れるなか、当の本人達は、
「だ、そうだが。」
「この騒動終わったら一旦本気で十香さん達全員陣取ってボコりにいきますわ。蓮さんは借りますわよ?」
「おう、どうせ蓮も暇してるだろうし。」
「それよりお兄ちゃん!そろそろ稼働限界!」
「よーし、ここまで削れたら!!」
二人は攻撃をやめると静かに射線を開けるかのごとく中央を開けていく。そしてその斜線軸には七罪の姿。
「いい加減・・・・墜ちなさいよぉ!!!!」
複製された精霊の力は劣っていても精霊の力。七罪の力によって生成された鏖殺公の斬擊は衛星をまっぷたつにして盛大に爆発した。それを見た二人は、
「よし、終わったな。帰るぞ。」
ヴィンセントは通常航行モードにして帰ろうとするが、その肩をクロエが掴んだ。
「・・・・・まだ、来る!!」
「何?」
『二人とも!!』
通信の主は琴里だった。迷わず二人は通信を繋ぐ。
「どうした!!」
『三発目が落ちてくるわ!全く、どれだけ用意周到なのかしら!!』
「十香達はもう力を使い果たしてるぞ!?」
『あなた達でどうにかできないの!?』
「HADESのリチャージ+本体システムの排熱+メガビームランチャーの排熱にリソース割いてるから何もできないよ!・・・・・・手だてが無いわけじゃないけど。」
「出来るのか!?」
「こんなこともあろうかと!!」
クロエが拡張領域から取り出したのはメガビームランチャーと似ているが否なる武器。
「それは?クロエが使ってるところ見たことないんだが?」
「そりゃそうよ。博士に直々に内密につくってもらった狙撃兵器【チャージ・ハイメガ・ランチャー】だもの。試作品だから一発しか撃てないけどね?」
『クロエちゃん、一刻も早く!』
「分かった!」
クロエは上を見る。そして落ちてきているものを目視してチャージハイメガランチャーを構えようとして....それを下ろした。
「ん?クロエ、どうしたんだ?」
「お兄ちゃん....あれ、核だよ。撃ち抜いたら高確率でこの空域全域が汚染されて.....。」
『「なんですって!?」』
「近接信菅を撃ち抜けば爆発はしないけど構造がわからない限りは....。」
「そう、近接信菅を撃ち抜けばいいの。」
「そうそう、撃ち抜けば......ん?」
クロエが振り向いたのもつかの間。落ちていた核が何者かに撃ち抜かれ爆発することなく軌道を変え海に落ちた。ビームの軌道を見た二人、そしてそれをみた士道達も撃たれた方向を見る。
「そんな・・・・・折紙!?」
「折紙ちゃん!?」
上空に佇む一機。それを見た瞬間、全員が感じてしまったのだ。
「・・・・何で、そんな・・・!!」
無言の視線で貫く折紙はそのまま撤退しようとした。が、
ビィィィィ!!ビィィィィ!!ビィィィィ!!
「!?」
「やはりか・・・・!」
「ウェストさん?反感買いすぎでしょ!?」
「仕方がない、元々予期できた事ならば!クー!」
『本部スクランブル、シスターズ含め行けます。』
「マシュマー!」
『此方は万全だ!いつでもこい!』
「グレミー!」
『上空から降ろせる!』
「よぉし!!アクシズ総員、4機目....いや、大陸間攻撃衛星【クライシス】を押し返せ!!!全機、発進!!」
『『『『了解!!!!!!』』』』
4機目が落ちてくる。折紙からそう聞いた士道は流石に今の状況で敵対している場合ではないと感じた。
「折紙、お前のところの衛星が落ちてきているなら、どうにかすることはできないのか?」
「あれは元々精霊を殺すためだけに作られた自己を持った衛星、言わば自我を持つ衛星。それを止めようものなら何回殺されても足りない。」
「くっ、十香達はもう動けないしクロエ達はおそらくエネルギーかもうないはず....。」
士道は四方八方の手段を封じられた気分でいた。美九や十香達も先の破壊で全力を出してしまい完全にダメな様子。だが、それだけで諦めるつもりはない。
「琴里!重力中和で俺を空に上げろ!」
『無理よ!そこまで効力が!!』
『そうか、空に浮かべれば良いんだな?』
割り込んできた通信と共に何かによって縛られる士道。全員がその紐が出てきた方向を見やると、
『4機目が落ちてくるとはな....だが、予定内だ。』
『流石にあれほどの質量となると私たちだけでも押し返せるか....。』
『大丈夫だと思いますよ、そろそろ私たちの妹も来ますし。』
「え.....な、なんなのこれ....。」
『何よ....あれ!?』
七罪と琴里が驚きで固まっているがヴィンセントはまるで忘れていたかのように、
「そういえば伝えてなかったな、俺たちの切り札。」
「切り札?」
「ああ、ISを元に対精霊用として作られたのがCRユニット。それならこいつはそのCRユニットを殺す存在、MSだ。」
「そして、今私たちが乗ってるのがその現物。お兄ちゃんはルーリスリッター、私は精霊の力も混ぜ混んだエールスリッター、クーちゃんはメタトロンリッター、他にも色々あるけどとりあえず、総勢15機だよ。」
士道は空を見上げる。そこには埋め尽くされるほどに滞空している機体の姿が。
「なんだ.....あの量は....。」
【あれこそ、この世界の抑止力、ですわ。】
「狂三!?それに、その姿は....。」
「はい、封印してもらいましたわ。」
「『なんだって!?』」
今度は士道と琴里がぶったまげてるのだ。
「取り敢えずここから離れてくださいまし。」
「だが四糸乃達が・・・!」
「それならすでにわたくし達が誘導させておきましたわ。」
「・・・・恩に着る!」
士道はそれだけ伝えると四糸乃達がいる方に走っていった。それを見送った狂三は
「・・・・・これで、よかったんですの?」
「・・・・・・もしものことがあったらな。さあ、あいつにできて俺たちが出来ないわけない!」
「ええ、そうね。あの人ができるなら私たちも!」
それぞれの機体が衛星に手をつける。だがそれだけで止まることを知らない衛星。
「全機!フルブースト!!!」
「ヨナに出来て私が出来ないわけない・・・・!!」
全員のフルスラストでも尚止まらない衛星、とはいえ精霊をも殺すCRユニットを殺す出力は伊達ではないのだ。着実と勢いは緩んでいた。
「・・・・・ここで終わったら、3機目まで破壊してくれたあいつらに面目がたたねぇ!」
「ここまでバトンを繋げてくれたあの人たちのためにも・・・・!」
「・・・・そうでしょ!?」
「「「トーリスリッター!!!!」」」
呼応、いや、久しぶりに活性化した彼女達によって同化した3人の駆るトーリスは淡い緑の輝きを辺り一面にちりばめる。
「なんだ、あの、輝き....何でかは知らないけど...暖かい。」
「呼応、人々の願いが溶け合って.....。」
「あれは、ヴィンセント達三人にしかできない芸当ですわ。」
「・・・・ヴィンセントって、本当にどんなやつなんだろうな....。」
「それが知れたらわたくしも苦労せずに食べていますわ。」
可能性の輝きをすぐそばで見つめる精霊達と士道。そしてその輝きはやがて衛星の動きを押し返していく。
「すごい、本当に押し返しました.....。」
『さっすがヴィンセント君だよぉ~。』
「・・・・あれが、世界の抑止力......。」
離れ行く衛星とアクシズの面々を垣間見た士道は、そう呟くしかなかった。
To be continued......
一番書きたかった押し返しが雑いとかいうあれ。