ディザスター・ア・ライブ 〜Returns of Missing〜 作:ふぇるみん
しかもこの話神戸で書いたって言う()
「・・・・ここか。」
「みたいだね。」
テレフタラートとツヴァイをまとった二人がその区画へ来るのにはさほど時間は掛からなかった。道中の防衛部隊は全て強化ビームサーベルで首から上を焼き尽くし物言わぬ道化と化させるその姿はさながら死神。それでもって息はピッタリ。流石は腐ってもHADESと通じあった二人か、筋に迷いがない。そしてきた二人は重厚な扉をブラスト弾で消し飛ばし内部へ入っていく。
「・・・・どこなの......。」
「・・っ!?クロエ、あれだ!!」
ヴィンセントが指差したのは奥にひっそりと見える台座。そこに居たのは二人が探していたクロエだった。だが様子がおかしい。
「・・・・なんだ、クーから冷たい目線が・・・!?」
ヴィンセントは瞬時、クロエを押し倒して伏せた。瞬時、前ほどまでヴィンセントがいた場所はまるごと溶けた。瞬間的に状況を判断するヴィンセントが目にしたのはやはりと言うべきか、クロエが黒鍵の武装とも呼べる簡易型ハンドビームライフルを手にしていた。
「・・・・邪魔。」
「何故だ!?俺とクロエはお前を迎えに.....!!!」
「クロエ?誰ですか、私には判りかねます。それに精霊ならば人類の敵。抹殺します。」
「・・・っち!!洗脳か!!」
ヴィンセントは何故かデジャビュを感じていた。初期の頃のクロエとそっくりなのだ。ヴィンセントはハンドビームガンを展開しあるものを取り出すとクロエに投げつけた。
「俺がクーを引き留める、クロエはスナイパーライフルでユッドとそれを装填、クーにタイミングを見計らって撃て!」
「・・・!・・・分かった、死なないで!」
そう言うとクロエはスラスターを吹かして窓から出ていった。それを確認したヴィンセントは再びハンドビームガンを構える。
「何があったかは知らないが....クー、お前を連れ戻して見せる!・・・HADES!!」
この世に再び死神の叫びが木霊した。
一方、クロエは外側に出てきたは良いが、大量のバンダースナッチに終われていた。
「くぅ、きりがない!狂三ちゃん!!こっち援護これる!?」
「そうしたいのは!山々ですが!!私たちを駆使しても全然数が減りませんわ!!!」
「此方も、本物より本物らしい偽物を大量に作り出して応戦してますが如何せん数だけは多いので・・・!!」
「・・・・手詰まりか!」
クロエは自然にエネルギーの枯渇を感じていた。先程からスラスターの調子が若干変なことに気づいたクロエは逃げてる間に状態を確認していた。するとどうだろう。霊装の展開に必要な霊力が切れ掛けているのだ。ユッドを使うにも少なからず霊力が居るため完全な手詰まりである。時間がたつにつれて増えるバンダースナッチ。迎撃しきれなくなり全方位を囲まれた三人。全員の霊力も尽きかけた状況でこれは絶望だった.....。
だが、それは杞憂に終わる。
「クロエちゃぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」
突如飛来する声。爆散するバンダースナッチ。降りてきたのは全体が黒っぽい赤色と藍色に塗装され、各部が改修された【ザフキエル・リッター】だった。その右手には連結されたスナイパーライフルが。
「クロエさん!?アレはいったい......。」
「・・・・ようやく帰ってきたのね?」
「思ったよりルリとネプがサボったからねぇ....けど、もう大丈夫だよ!!」
狂三をスルーして行われる会話のドッジボールについていけない精霊二人。切り出すべく狂三が話しかける。
「あの、クロエさん?この人は一体....」
「この子は私たちのHADESの精神体的な存在。名付けて【トーリスシスターズ】。」
「・・・トーリス?」
「シスターズ・・・・ですか?」
「そそ、でその長女のペイ。一応私の相棒だよ?」
「はぁ....?」
狂三は警戒しているのか短銃を放さず銃口をペイに向けていた。クロエはそれすら気にせずバイパスコードをリッターの補給口に接続させる。
「でも、このペイちゃんさえ居ればエネルギーは無限に補給できる。そしてクーも救うことができる!!」
「!!」
「・・・・・二人とも、あと20秒だけ耐えて。それさえ凌げばクーを助けられる。」
「・・・・・分かりましたわ。ですが、失敗だけはしないで下さいまし。」
「分かってる。蓮も、お願い・・・・!!」
「・・・彼女を助けたい....それが願いとあらば私はそれを実現させるのみ・・・・!!」
二人はクロエから指示を聞き残り少ない霊力を振り絞ってバンダースナッチ達を落としていく。クロエはその隙にスナイパーライフルにあるものとエネルギーを装填する。
「・・・・クロエさん、それは....?」
「ヨハネの黙示録に示された古より伝わりしヨハネの四大精霊の最後の一人、【デュラハン】が宿ったIS【デュランダル・リッター】この中に記録されている電子ログを無理やりユットベートでクーちゃんに擦り付ける・・・・・!!」
「そんなことが出来るとでも・・・・!?」
「やれるかやれないかじゃない、やるしかないんだよ?・・・・・【HADESTypeZ.Mode師走】!標準、クー。・・・・撃つよ!!」
それは一瞬だった。長大なスナイパーライフルから放たれた二発の弾丸は音速で足止めを続けていたヴィンスをすり抜けクーに両発とも頭に当たった。内一発は跳弾してヴィンスの手元に戻ってくる。
(衰えては無いみたいだな・・・・!!)
そういうとヴィンスはさっき撃たれたクーの方に駆け寄る。いくら遠距離スナイプで記憶弾とは言え痛いものは痛い。外傷がないのをみたヴィンスは首元に撃たれたものを置くと格納領域からコンデンサーを取り出し、ライダーのバイパスに繋いだ。
「全力戦闘をしたとは言え残り2%は危なかったな....このまま今回は撤退が無難か。」
言い終えている内に応急的な補充が終わりヴィンスはスラスターに火を入れる。
「・・・・クー、願わくば次に出会うときが我が家であることを願うよ....。」
そう言うと高速機動でクロエ達のところへ向かって飛んでいった。
しかし、それに感づく者も居るものなのだ。密かに移設された地下室にその二人はいた。
「・・・・どうやら作戦は失敗したようだ。エレン、あとを任せた。」
「正直あれに勝てる気がしないのですが....まあいいです。このまま引き下がるのは魔術師としての屈辱。社長は先に本部へ待避してください。」
「そうさせてもらう。エレンも適当なところで退いてくれ。今回は彼らの様子見だ。」
「了解しました。御無事を。」
そう言って若い金髪の女性・・・【エレン】はドアに手をかけた。それを見送る【アイザック】の姿は自棄に煤けていた。
そんなことも露知らず。
数十分後のことであった。
「・・・んぅ...」
小さく呻き声をあげて起きたのはクロエに師走弾を当てられたクーだった。クーは周囲を見渡しいままでの状況を整理する。
「・・・・私、御兄様やクロ姉に助けられたんですね....。」
そういうクーの手にはひとつのペンダントが握られていた。言わずもがな黒鍵の果ての姿である。
「・・・そう....もう何も言ってくれないんですね....。」
昔クーは博士にこの黒鍵を埋め込まれてようやく生活できるまでに回復した。そしていまではそれ無しでも通常の人のように歩け、目もみえる。即ち黒鍵の役目は終わったのだ。そしてその黒鍵は何も言わないコアだけの姿となっていた。
「・・・・今までありがとう、黒鍵。」
ーーーーー気にすることはないよーーーーーー
「!?」
ーーー なんたって、馬だ私に流行るべきことが残ってるからね・・・・・・クロちゃんともっと一緒にいるために!!!! ーーー
「・・・・!!」
クーに聞こえたその幻聴と共にコアから目映い光が溢れ空間一体を白く染める。クーは目を真っ先に隠し網膜剥離を防ぐ。数秒の後、落ち着いたクーが見たのは小さな縦長の盾だった。そしてそれはクーがよく知るものだった。
「・・・・デュラハン!?」
<気付いたようだね.....>
「・・・誰!?」
どこからともなく聞こえてくる声。クーは警戒して辺りを見渡すが一部分が歪んでいる以外にその景色に代わりはない。
<・・・・・どうやらその様子だと無事にユットベートは機能したようだ。>
「・・・・何が目的なんですか?」
<・・・・一つ、問おう。力を手に入れたら、何を為す?>
「・・・・・要りません。」
その歪みは引きつった。クーはどこからか聞こえる空耳に対して更に声を強める。歪みも負けじと声を返す。
<・・・ほう、なぜかね?力があれば君の兄と姉を守れるんだよ?>
「・・・・力なら、もうすぐそこにあるからです。私がいなくなってもずっと守り続けてくれたこのペンダント.....これさえあれば私は二人を....いいえ、アクシズを守れます!!」
<・・・・こりゃ一本、とられたか>
歪みはそう伝えると静かに下がる。クーはその退路にいつのまにか展開した剣を突き刺す。
「・・・・・・・来て、【
その叫びと共に装着されていく神秘の鎧。それはかつて戦争を止めた英雄であり騎士に使えた部下となりて。
「・・・・・【デュランダル・リッター・メタトロン】!!!」
ここに、最後のヨハネの騎士が舞い降りた。
To be continued.......
全国の折紙ファンの皆さんごめんなさい
神威霊装・一番はクーちゃんに吸いとられました()