俺達の素晴らしい人生に祝福を!   作:くろすけ17854

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俺達の物語に祝福を!

 

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真っ白な世界だ。

 

 

2つの白い椅子と向かい合う俺達以外には何もないこの空間に俺は一体何度来ているのだろう。

 

 

「ようこそ死後の世界へ。私はこの世界で死んだ者の魂を導く女神、エリスです。サトウカズマさん、残念ですが貴方の人生はダンジョンの最下層で終わったのです。」

 

そうか…そう言えば最後は余りにも俺らしくない壮絶な最後だったよな。

魔王と一騎討ちして、爆裂魔法を自分で打って死ぬ何て本当にらしくない。

何であんな無茶振りが出来たのか……………。

 

……そ、そう言えばっ!

 

「皆はっ…皆は無事なんですかっ!エリス様!ちゃんと生きていますか!?」

 

俺があわててあいつらの安否を確認するとエリス様は落ち着いて答えてくれた。

 

「はい、もう戦闘は終了し、皆さんも生きていますよ。まぁ…数名重傷者もいますが。」

 

良かった…重傷ならアクアが何とかしてくれるだろう。

するとエリス様は話しを続けた。

 

「今、貴方には2つの選択肢があります。1つ目は赤子として日本に生まれ直し新しい人生を送る。2つ目は天国に入り悠久の時を過ごす。どちらにしますか?」

 

そんな事考えるまでもない、俺はあの時からあいつらと……めぐみんと一緒にいられない人生なもう考えられなくなった。

今までの色んな思い出が脳裏にフラッシュバックしている。

どれも苦労ばかりかけられ大変だった思い出だけれど、それでも今はその全てがとても懐かしい。

本当は俺……あの下らない世界が、皆の事が、めぐみんが、大好きだったんだな。

込み上げる感情をそのままに、俺は堪らず口にした。

 

「エリス様、本当は3つ目がありますよね。俺に、それを教えて下さい。」

 

迫るように来た俺の質問を聞いたエリス様は何時となく真剣な顔になり、じっと俺を見つめ返した。

 

「もし……3つ目を選択希望するのなら貴方はこれからもっと多くの困難や苦痛に見舞われる事になるでしょう。それでも、受け止めうるだけの覚悟が出来ますか?」

 

俺は迷わず答えた。

 

「当然です。」

 

俺の返事を聞くと辛い現実を見据えるかのように、しかし何処か嬉しそうに少しはにかむと、再び言葉を紡ぎだした。

 

「3つ目の選択肢は、再びあの世界で身体を得て、再び皆さんと生きる事です。」

 

えっ、それだけなのか?いや、そんな筈はない。

さっきまで3つ目を隠していた事と言い、何かあるはずだろう。

一体なんなんだ…。

俺が固唾を呑んでいるとエリス様は言葉を続けた。

 

「そして、今の貴方には非常に大きな使命が託されています。貴方達はたったこれだけの間に魔王軍幹部を7人も倒し、更には魔王まで討伐をしてしまった……その為、創造神様や神託会議の神々は、カズマさん御一行に重すぎる程の期待をしているのです。アクア先輩には後から伝えますが、カズマさんの実力を見込まれた神々から、残りの魔王軍全ての討伐と、並びに悪魔、アンデット、それらに準ずる者全ての抹殺が命令されています。」

 

それは…あの大悪魔バニルやリッチーのウィズ、サキュバスのお姉さん達や、恐らくちょむすけまでも………全て殺せって事なのか?

 

…………。

 

俺にそんな事が出来るのかっ!?

でも待てよ、当然だがそんな実力は当然俺にない。

 

「ちょっと待って下さい。そんな事を命令されても俺にはそんな事を成し遂げられる実力はありません!それに……。」

「わかっています、分かっていますともカズマさんのお気持ちは。それと、実力に関しては問題はありません。」

「と、言うと?」

「今カズマさんの首には黄色い宝石のはまったペンダントが下げられているはずです。そのペンダントは今この空間にいる私の魔力をあちらの世界に直接繋ぐ事が出来ます。それがカズマさんが魔法を使う時、魔力の全てを肩代わりするのです。」

 

俺はふと首元をみやると確かにそこには美しい黄色の宝石のペンダントが掛かっている。

 

「でもどうしてそんな回りくどい事をするんですか?エリス様達が直接地上に降りてやれば良いじゃないですか。」

「残念ながらそれが叶わないからお願いしているのです。地上に降りると私達の力は今の数百分の1にも下がってしまいます。カズマさんなら少しは分かっているのではありませんか?」

 

そうか…そう言えばアクアもそんな事言っていたよな。

でも百分の1に弱まっててあれだった何て。

今更ながらアクアは凄かったのだなぁと感心してしまう。

 

「だからどなたか信用の置ける方にこれを託す事になったのですが、それにカズマさんが選ばれたのです。」

「そうですか……そうっすよね。」

「受けて、くれますね。この使命。」

 

俺は思わずうつ向いてしまった。

そんな事が果たして俺に出来るのだろうか。

さっき覚悟を問われたばかりなのにもう俺の心は揺らいでいる。

でもそんな俺の脳裏にちらりとめぐみんの顔が浮かんだ。

 

すると途端に溢れ出すようにめぐみんへの思いが心の内を駆け巡った。

 

あの愛らしい顔をもう一度見たい。

あの白く細い手をもう一度握りたい。

出来る事なら俺の一生を、めぐみんの為に捧げたい。

その為ならっ……。

 

俺は涙を拭うと立ち上がりエリス様に向き直った。

 

「わかりました。誓います、その使命……俺達に任せて下さい。俺の…大嫌いな世界に送って下さい。」

 

エリス様はパチンッと指を鳴らすと、エリス様と俺の足元を軽くおおう真っ白で巨大な魔方陣が出現した。

 

「これは天と地を繋ぐ門、ヘヴンズゲートです。本来莫大な魔力を必要とされる神だけに許された魔法です。開き方は地上で再び受肉される際に脳にインプットされるので、もしもの時はペンダントを使ってこれを開いて下さい。それから最後に、貴方には魔王を倒した事により何でも1つ願いが叶えられる権利が与えられます。何を願いますか?」

 

「強い武器、チート能力、ハーレム、今までの俺ならこんな事を願っていたと思います。でも…これからの事を考えるとそんな物より俺には優勢すべき事があると気がついたんです。だから……お願いしますどうかあいつら3人の…めぐみんの一生を幸せにして下さい。」

「本当にそれで良いのですね。カズマさん。」

「はい。」

「わかりました。その願い私達が叶えましょう。」

 

そう言うと足元の魔方陣が輝いて俺の身体が宙に浮き出した。

 

「それではカズマさん。貴方が使命を全うし、天寿が来るその日まで再びここに戻って来ない事を願っています。」

 

宙に浮かび上がりながら、俺は思わず涙を流した。

これからあいつらにどんな顔を向ければ良いんだろう。

そして俺は下手くそな笑顔で笑い返した。

 

「ではカズマさんとアクア先輩、ダクネスさんにめぐみんさん。皆さんの紡ぐ人生の物語に祝福が有らんことを!」

 

その言葉を最後に俺の視界は真っ白な光に包まれた。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

少しの立ち眩みの後、俺は見覚えのある場所に立っていた。

ここは確か……魔王の部屋。

その証拠に回りにはあまたの魔王の側近が倒れ伏している。

 

恐らく突然現れた俺に皆が驚き………。

 

「か…カズマですか………カズマなのですか!?生きて……帰って来てくれたのですか!」

 

そう言うと突然めぐみんが駆け寄ってそのまま盛大に抱きついてきた。

 

「うおっ!?ちょ…めぐみ……」

「生きてるっ……カズマが生きてる!う……ぅ…カズマ!もう、もう二度と離しませんよ!」

 

大粒の涙を浮かべ上目遣いにそんな言って来る。

少し涙が胸元に滲んで暖かくなって来て……それに、かわいさがもう破壊力満点でとても嬉しいのですが…なんというか流石に皆の視線が……あれ…………?

回りにはしゃがみこんで必死に回復魔法をしているアクアしか見えない。

 

 

 

そこは…凄い惨劇だった。

 

アクアの必死な回復を受けているダクネスは、右腕を失い身体中から血を流し倒れており、ゆんゆんも血を流しながら苦しそうに壁にもたれ掛かっている。

キサラギ…じゃなくミツルギも意識はあるが仰向けに倒れ込んでおり、取り巻きの少女二人が泣きじゃくりながら張り付いている。

 

そして…良く見るとめぐみんもあちこちから血を流しとても痛そうな見た目をしている。

さっきから俺の胸元に額を押し付け抱きつき泣きじゃくっていためぐみんが少し上目遣いに顔を向け俺に話しかけて来た。

 

「本当に…ありがとうございました。もし…カズマが魔王を倒してくれなかったら、多分私も皆も死んでいたと思います。だから……何とか皆生きているのはカズマが魔王を引き付けてこっちに戻って越させなかったお陰です……。」

 

「大変だったんだな、本当にお疲れ。とりあえずダクネスはアクアが何とかしてくれるだろうから……俺はゆんゆんの治療を始める。めぐみんは一旦後でもいいか?」

 

めぐみんの傷は当然痛そうだが、見た限り命に関わる程の事ではない。それに比べゆんゆんは相当重症そうだ。

アクアがダクネスを診ている間くらい応急措置でも俺が魔法を掛けなければ危ない状態だろう。

 

「はい!当然です。私は大丈夫なので先にゆんゆんの治療をお願いします。」

 

そう言うと俺とめぐみんは急いでゆんゆんへと駆け寄り治療を始める。

傷が少しずつ塞がっていき、少しゆんゆんが気を取り戻した。

 

「カ……カズマさん…ですか?あ……ありが…とう……ございます。」

「いいから黙ってろ!安静にしてないと傷が開くぞ。」

そう言うとゆんゆんは「はい…」と少しだけ返事を返した。

 

すると奥からアクアの驚いた声が聞こえて来た。

 

「カズマ?カズマなのね!良かった生きてて。ゆんゆんの治療ありがとう。でももう退いて、ダクネスの治療はもう終わったから。あとは私がやるわ!」

 

そう言うと急いでこっちに来たアクアが早速治療を始める。

ふとダクネスをみやるともう見た目では傷が塞がっており、腕も元通りになっている。

やはり俺とは全く治療のスピードも精度も段違いだ。

これなら任せて大丈夫だろう。

 

ゆんゆんをアクアに任せて俺はめぐみんの治療を開始した。

 

「ありがとうございますカズマ。皆も何とか大丈夫そうですね。」

「ああ…ゆんゆんも回復したら早く皆でアクセルに帰ろうな!しっかり皆が回復出来た後は豪遊だ!だから……だから……うぅっ!」

「カズマ、どうして泣いているのですか?」

 

本当は今言うべきだった。

エリス様から告げられた俺の使命を。

でも今はとてもそんなことが出来ず大粒の涙を浮かべたままめぐみんの治療を続行した。

 

「なんでもねぇ…。なぁめぐみん。」

「何です?」

 

 

 

 

「ただいま。」

 

 

 

 

 

 

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