前書き。
この作品はウィズや彼女の仲間達の生前の生き様を、主が勝手に妄想し書き上げた物になります。
何名かの登場人物や既に明かされていた背景ストーリーはしっかり参考にしていますが、それでもほとんどがオリジナルの様な作品になっているので、読みにくい…又は納得いかない点が含まれる可能性が有ります。
そこをご了承の上でお読みください。
尚、頻繁にではありませんが、血も死体も出る予定ですし、ストーリーもシリアス展開に向かう可能性が高いので、加えてご容赦ください。
(今作は主の書く『俺達の素晴らしい人生に祝福を!』の版外編に当たります。
伏線の都合上本筋とストーリーが絡む事は多々あるのでご一緒に本編もお読みくださると尚、楽しんで頂けると思います。)
第一回、主要な登場人物紹介。
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・ウィズ(アークウィザード)
今作の主人公であり、このすばでは貧乏店主をやってるお人好しなリッチーの生前の姿。
魔王軍に両親を奪われ、幼少期は魔族の奴隷の様な生活を強いられていた為、魔族に相当の恨みを持っている。(そう言う設定)
又、氷の魔女と言う通り名を持っており、その実力は紅魔族にも劣らない。
そして非常に好戦的である。
・ぽっちゃまー(アークウィザード)
紅魔族族長の1人娘でウィズのパーティーメンバーの1人。
ウィズを魔王軍から救った事で二人は知り合い、今はウィズの最も近しい親友である。
因みに紅魔族の独特な中二センスは当然持っている。(オリキャラ)
・ブラッド(ソードマスター)
長身で金髪、顔も整った外見イケメンでウィズのパーティーメンバーの1人。
好んで使う武器はバスターソードで、剣の腕は非常に立つ。
しかしその性格はお調子者であり、抜けてる所も多いせいで良く仲間を困らせている。
そして、密かにウィズへ思いを寄せている人物でもある。(そう言う設定)
・ロザリー(アークプリースト)
熱心なエリス教のアークプリーストでウィズのパーティーメンバーの1人。
明るい性格でいつもパーティーの雰囲気を盛り上げている。
因みに信仰している宗教の違いからカレンとぶつかる事は多々あるが、基本的に仲が良い。(そう言う設定)
・カレン(盗賊)
熱心なアクシズ教の盗賊であり、ウィズのパーティーメンバーの1人。
悪い奴と魔王軍からなら何を盗んでもアクア様が許してくれると、口癖の様に何時も言っている。
信仰してる宗教の問題上ロザリーと衝突する事は多いが普段は仲が良い。
付け加えればユキノリをアクシズ教徒にした張本人である(笑)
(そう言う設定)
・ユキノリ(ルーンナイト)
女神アクアによって転生された日本人の男子高校生。
転生特典で『 神器・草薙の剣「改」』を貰っており、武器の特徴上ルーンナイトをやっている。
駄女神曰く、転生時の盆ミスで記憶を失ってしまったらしく日本での記憶はほとんど無い。
覚えているのは名前と体に染み付いた剣道の技とアクアに転生して貰ったと言う記憶だけ。
ウィズのパーティーに所属してからカレンと良い感じになり、気が付けば敬虔なアクシズ教徒に変身してしまった。(そう言う設定)
・てんしんまる(アークウィザード)
ぽっちゃまーの幼馴染で同期の卒業生。
紅魔族の男の子。(オリキャラ)
・もりりん(アークウィザード)
同じくぽっちゃまーの幼馴染で同期の卒業生。
名前からは分かりづらいが女の子である。(オリキャラ)
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…………やだ……お願い…行かないでお父さん…。
「お父さんはお前の事を愛してる、だから……良い子で待っているんだぞ、ウィズ。」
…………やだ……お願い…行かないでお母さん…。
「約束よ、私の愛しいウィズ。お父さんもお母さんも必ず、おうちに帰って来るから。 おうちから一歩も出ちゃ駄目よ。」
嫌だ……嘘よそんなの…。
お願い…行かないで。
私を1人にしないで!!
「お父さんっ!お母さんっ!行かないで!」
カンカンカンカンカン……
『魔王軍襲来! 魔王軍襲来! 戦える者は直ちに武装し街壁門の防衛に当たってください! 繰り返します! 繰り返し……キャッ!? イヤ…来ないで!止めてッ! イヤーーーーーッ!』
ブツッ
彼女の恐ろしい断末魔が街中に響き渡り、幼いウィズの胸中を恐怖に陥し入れる。
そんな中ワナワナと震える幼いウィズを、両親は命一杯に抱きすくめると最後のキスをした。
冷たい涙に濡れた彼女の両頬に、熱い…愛のキスが凝りとなって彼女を苛ます。
そう、心の凝りだ。
溢れだす涙を抑えきれないまま3人は泣き崩れ合う。
だが、そんな時も終わろうとしていた。
ドアが開き、迎えの僕が二人を馬車に乗せて連れて行く。
連れて行く……
置いていかれる……
私は……………1人だ。
バタン
閉まる玄関の扉の音がウィズの心を閉ざす。
そして……この街は魔王軍によって占領され、二度と両親は帰って来なかった。
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アクセル、ウィズ魔道具店は今日を持ってこの街から店を引く。
そんなこの店の最終日にとある昔馴染みが来店した。
今、彼女はこの店の窓際にある小さなイスに腰掛け、特徴的な大きい杖と孔雀の羽であしらわれたこれまた大きな帽子を足下に収納している。
「 ウィズ、あんたとこうやって話すのも………もう何十年ぶりかねぇ。」
淹れて貰ったばかりの……まだ熱い紅茶をすすりながら語りかけるのは………。
漆黒のローブを身につけたシワの目立つ老婆。
随分と歳をめしているであろう彼女であるが、未だその紅魔族の象徴である紅い双眼にやつれの色は見受けられない。
そして今、彼女が語りかけている相手は働いた分だけ貧乏になると有名なとある美女。
元凄腕魔法使でり、現在は魔道具店の店主を努めている…。
リッチーと呼ばれる凶悪なアンデットの王、ウィズだ。
「 そうですね…こうやって2人だけで話していると今でも昔の事を思い出します。 ぽっちゃまーは今でも元気そうで。」
「 何を言うかね……わたしゃぁ見ての通りもうヨボヨボの老婆だよ。 あんたはあの時から見た目が変わって無いがね。」
その発言にウィズはクスリと笑うと
「 私からすればぽっちゃまーだって昔からずっと変わってませんよ。やはり紅魔の人は凄いですね。これだけ元気なのにもう今年で100歳の誕生日何ですから。
そうだ、クッキーが有りますから今出しましょう。 ちょっと待っててください。 」
思い出したかの様に両手をパチンとたたくウィズ。
チリン……チリン…
ウィズが椅子から立ち上がり店の奥へと向かおうとすると、店の扉のベルが新たな二人の入店者の来店を告げる。
「 ウィズ~。 大変よ! 聞いて頂戴! 遂にあのカズマさんがウチのめぐみんに手を出しちゃったの!? しかも問い詰めようとしたらテレポートで逃げられちゃった。 」
「 こんにちは、ウィズさん。 すいません……私達それともう1つ大事な事を相談しに来たんですけど………お邪魔しても大丈夫でしょうか? 」
やって来たのは日頃問題ばかり起こしている事で有名なアクシズ教の御神体アクアと、ぽっちゃまーと同じ紅魔族の少女…ゆんゆんである。
この店は今日を最後に閉めると言うのに随分と多く客が来る。
「 アクア様にゆんゆんさんじゃないですか、いらっしゃいませ。 バニルさんなら……分かってるかも知れませんが、先に他の街に移動しましたのでこの街には居ませんよ? 私も今日でこの店を畳んでバニルさんを追いかける事になってますし。 」
そう……もうバニルはこのアクセル街に居ない。
バニル曰く……『この街にいると神器を手にした小僧に消されかねんから移動するぞ。』だそうで、昨日の内に他の街へと行って新しい店舗の借り付けをしに、先に新天地へ行ったのだ。
ウィズもめぐみんから預けられたちょむすけを連れて、今日中にはバニルを追いかける事になっている。
「 バニル? あんな人の悪感情吸って無いと生きていけない寄生虫悪魔何かどうでも良いわよ! それに、カズマさんの事なら分かってるわ。今日だけはあんたの事……私の曇り無き眼が、珍しく曇ったって事で見逃してあげる。」
何処か悲しそうに告げるアクアだったが
「 それより……そこにいるお婆さんは誰?」
そう言って扉からひょっこりと首だけ覗かせながら尋ねて来た。
ゆんゆんも窓際にいる彼女の存在に気が付いた様で、あっと驚くとそのまま彼女の元へ駆け寄って………
「 ぽっちゃまーおばあちゃん! どうして? 何でこの街にいるの? 」
「 おぉ……ゆんゆんじゃないさね。 ちょっと見ない間にまた大きくなったねぇ…。」
そう言って手を取り合って嬉しそうにしている二人の紅魔族。
どうやら二人は知り合い…? なのだろうか。
少しアクアとウィズをキョロキョロと見回すと、ゆんゆんは二人に説明始めた。
「 私の曾おばあちゃんのぽっちゃまーおばあちゃんです。 」
「 まあ…お二人さんとも家族だったのですか! 」
目をパチクリとさせ驚いているウィズ。
アクアも同様に驚いているが、ウィズにとってもこれは、80年間ずっと知らなかった事である。
「 で、じゃあ…ゆんゆんのひいおばあちゃんはどうしてここに来たの? 」
片目を瞑り、いたずらっぽく二人に微笑むウィズ。
アクアの疑問にウィズは昔懐かしいそうに語る。
「 彼女は……私の昔の冒険者時代のパーティーメンバーで、私の一番の親友だったんですよ。もう……80年近くも昔の事になりますが。 久し振りに紅魔の里から会いに来てくれたんです。 」
「 え! じゃぁ昔おばあちゃんが私に話してくれたお友達の凄腕魔法使いってウィズさんの事だったんですか! 沢山の強敵達を1つのパーティーだけでどんどん倒して行ったっていうあの昔話……。」
「 何その話し! 面白そうね……聞かせて頂戴! 」
「 わっ……私も、おばあちゃんとウィズさんとの冒険者時代のお話し気になります! 」
アクアとゆんゆんの食い入る様な反応の良さにぽっちゃまーとウィズはお互い顔を見合せると、耐え切れないかの様に吹き出した。
「 あはははは……。そうだねぇ……長い話しになるから…お二人さんともこっちに来なさいな。」
言われた通り二人はぽっちゃまーの座る椅子の近くへと近寄って行く。
彼女らが集まり、ウィズも椅子に腰掛けると…全員が集まったのを確認したぽっちゃまーがゆっくりと……昔の思い出話しを二人に話し始めた。
「 あれは……まだ、わたしが14だった頃…………………
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ぽっちゃまーは始めての魔王軍との戦闘………もとい一方的な紅魔族の虐殺に熱中していた。
彼女達紅魔族が国王の命令を受け、襲撃しているこの城壁都市ペトラ。
現在魔王軍の拠点になっているこの城壁都市は………。
昔、商業で栄えた……誰もがその名を知っている様な有名な人の街だった。
かつては大陸中から各国の商業人が集まり、昼夜問わず常に人の通りが絶えなかったと言う。
外壁は黄金であしらわれ、分厚く荘厳な巨壁がこの街の圧倒的な富と栄華を物語っていた。
だが……数多くの上級魔法で崩壊寸前にまで崩れかけたこの外壁にもはやその当時の栄華は見る影もないが。
『トルネェーード!』
『クリスタルプリズンー!』
『インフェルノッ!』
大人達がバンバン魔法をぶつけまくっている。
壁上に待機していた魔王軍達は当の昔に全滅させられ、今や彼らの魔法攻撃を止められる者は1人として残っていない。
実に気持ちの良い戦い………戦況は紅魔族の圧倒的優勢で、今にも勝負は決まろうとしている。
だが…ぽっちゃまーはむしろこの戦況に焦りを感じていた。
「 このままじゃ私……何もせずに勝ってしまうわね。うーん………あ、そうだ!」
初の戦闘に戦意の高揚したぽっちゃまーは卒業したばかりの二人の同級生達をかき集めるととある事を提案した。
「 紅の勇者……『てんしんまる』と『もりりん』! 聞くが良い! 今や我ら紅魔族の圧倒的魔力を前に、勝敗は決しているわ! この戦…我らの勝利よ! だが…諸君よ、少し物足りなくはないか? 」
「 あぁその通りである! 我が氷結の友、ぽっちゃまーよ! ここで大人達の戦をずっと見学しているのは些か退屈だ! 」
「 そうよ、我ら最強の紅魔の辞書に負けなどと言う文字は無いわ! でも……そうね、ぽっちゃまーの言う通りこのままと言うのも少し味気無いわ。」
幼馴染二人の食い付きの良さを確認すると、ぽっちゃまーは告げた。
「 汝らよ! 我はこれより城門を我が最大必殺の禁じられし技によって吹き飛ばし、大人達より先に壁内へと先行する。
そして悪魔どもを我が氷のかいなの贄にしてくれよう!
で……1人ってのもちょっと心元無いし、良かったら二人とも一緒に来てくれない?」
「 何だと!必殺、禁術で一番槍だと! 乗ろう…乗ろうではないかっ! その話し! 」
「 私もよ! 魔王軍を我が昂る魂の贄にしてくれるわ! 」
必殺だの、禁術だの言葉が彼ら二人の紅魔族の琴線に触れたらしい。
そんな二人の幼馴染を前に、ぽっちゃまーは実に満足そうな笑みを浮かべると……ローブをバサッと翻し叫んだ。
「 紅の勇者ぽっちゃまーはこれより壁内へ突撃する! 志同じくする我が友よ! 付いて来たまえ!
言葉尻一番に彼らは走り出すと、走りながらとある上級魔法の詠唱を始める。
それは随分と聞きなれた物で…迷う事もなくツラツラと詠唱し続ける。
門前にたどり着いいた3人は阿吽の呼吸でローブを翻すと両手を高々と掲げ、叫んだ。
三人が放った最大必殺の禁術とはっ……………!?
「「「『 ライト・オブ・セイバーー! 』」」」
ただのライト・オブ・セイバーは呆気なく城門は切り裂いた。
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「 おぉ……お助けぇ! お助けくださいシルビア様! 」
「 く……来るなぁ!グワァッ!? 」
バッサリ、バッサリ、と無我夢中で敵を打ち倒し……気が付けば積み上がる死体は両手で数えられる量を有に越えている。
ちりぢりに逃げ回る魔王軍。
それでも…ぽっちゃまー達は広範囲の魔法攻撃を放ち、我先にと獲物を奪いあう様に殺伐を繰り広げ、決して追撃を止める事はしない。
「『サウザント・クリスタル・ランサー!』もういっちょ!『オキュパイト・フローズン・パワッー!』 ハッ、魔王軍がゴミの様だわ! なぁにこれ……超楽しい!? 」
「 おい…ぽっちゃまー、あんまり氷系統の魔法ばっかり使うなよ! もうじき冬なのに余計に寒くなるだろ。 俺もう寒くて風邪引きそうなんだけど!? 『サンバースト・イグニッション!!』
ほら、温かくなるから炎系統の魔法も使えよ! 」
「 大変よ!『トルネード!』
気が付いたらレベルが6つも上がってるわ! これなら私もぽっちゃまーとてんしんまるのレベルに追い付けるかも知れない!?『インフェルノ!』」
「 そこだぁッ!『ドラゴニック・ブレス!』
もりりんには悪いが、俺はもう7もレベルが上がってるぜ! 」
紅魔族で有名な養殖より遥かに早いスピードでレベルが上がってる。
それは3人とも同じ事だがぽっちゃまーだけは1人、別の事を考えていた。
「 何処かに……魔王軍幹部のシルビアが! この街の何処かに居るはず!? 雑魚なんかこの際どうでも良い! 何処なの!? 」
この際……レベルのアップダウンよりぽっちゃまーには注目せざる負えない存在がこの街にはいた。
魔王軍幹部のグロウキメラ、シルビアである。
実は……この当時はまだシルビアも紅魔族も大した関係が有った訳では無かった。
紅魔族も名前としては知っている程度で最近の様にしつこく狙われても居なかった。
と言うのも……シルビアに恐怖と恨みを植え付け、その後の因縁の一端を作るのが、この時のぽっちゃまー達なのだが。
そんな事はいざ知らず……好敵手であろう幹部を探し求めて、3人はどんどんと街の奥へと突き進んでいく。
だが…それは突如として現れた。
それまでとは比べ物に成らない程に異質なプレッシャー。
一体何処から!?
3人は歩みを止め周りを見回すが……。
「 何も……居ない…? 」
恐らく、てんしんまるが機その存在に気が付くのに数秒でも遅れて居れば………今頃3人とも瞬時にして人の尊厳も何も無い肉片にされていただろう。
「 ぽっちゃまー!、もりりん!、上だ!!! 」
頭上から圧倒的な物量が3人へと襲いかかる。
岩……正しく岩を彷彿とさせる巨大なモンスターを下半身に生やした脅威。
まるで隕石の如く頭上から降ってきたその存在は3人を狩人の様な眼差しでジロリと見据える。
魔王軍幹部シルビアだ。
轟音を轟かせ盛大に着地したシルビア。
間一髪でその脅威を回避した3人はお互いに顔を見合せると再びシルビアに向き合う。
「 良くも……良くもまぁ…これだけ盛大に殺ってくれたわね。
アタシの可愛い部下達をここまで………。
あんたら見たいな乳臭いガキの分際で! 生きて帰れるとは思わない事よ! 壁から侵入してきてる他の奴らも含め、皆殺しにしてやるわッ! 」
シルビアは爆発寸前の憤怒を3人にぶつける。
だがそんなシルビアを前にしても3人は一切怯む事が無かった。
「 聞くが良い………。 我が名はぽっちゃまー! 紅魔族最優のアークウィザードにして、この世で最も美しい乙女! 何れ里の名を背負いし運命の者なり!
そして、今宵……貴様と言う存在を屠る者よ!」
「 同じくッ! 我が名はてんしんまる。 今世紀最強にして最凶の破壊神であり、数多の上級魔法を操りし者!
何れ天下一の台所番を継ぐ男! 」
「 我が名はもりりん!
えっと………えっとっ…………! せ、世界一我が弟を溺愛する者よ! 」
3人の名乗りに思わず怯むシルビア。
「 何よ……、あんたらこんな時に…。戦場であだ名を名乗るなんてふざけて居るつもり?
ここまで…アタシをコケにしやがっって……! 」
怯んでシルビアから抜かれた様に見えたのは、毒牙ではなく……堪忍袋のコルクだった。
「 あだ名……?何の事かは知らないけれど、紅魔族としてのすべき事はしたわ! 行くわよ…てんしんまる、もりりん!
シルビア、覚悟! 」
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戦いは苛烈を極めた。
お互いに上級魔法をぶつけ合い…………付近の民家は消し飛び、大地は凍てつき焼け焦げ……戦いの激しさを物語っている。
「 何で……何でアンタらこんなに強いのよ。 見た……事無いわね。その赤い目。 何と言ったかしら、アンタら3人の種族。 」
てんしんまるはローブを翻すと、右腕を突き出して叫び上げた。
「 我らは紅魔族! 我ら紅魔族は大人から若人に至るまで全てが生まれつきのアークウィザード!
伝承によれば……我らは伝説のノイズ王国に居たとされる、天才科学者であり我らのマスターとされし賢者によって作り出された最強の人類である! 」
「ノイズ……王国ですって!?あの滅んだ国の科学者…?
まさか、かのノイズ王国が作り出したとされる人造人間集団。 その……末裔がアンタ達!?
クックック……。 まさかこれ程だったとは。 次会うときまで、精々そのカラダ……可愛がっておく事だわ。何れ全員……アタシが取り込んでア・ゲ・ル。」
凶器的笑みを浮かべるシルビアは懐から不思議な魔道具を取り出すとそれに向かって叫んだ。
「 アタシの可愛い部下達よ! 全軍に継ぐ! これより城壁都市ペトラからの撤収を開始するわ! 全員…規約通りテレポートで速やかに撤収せよ!
じゃあね坊や達。『テレポート!』 」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
只今、ぽっちゃまーと2人の幼馴染はこの街の大聖堂前に来ている。
魔王軍は去った。
幹部シルビアと他、敵主力部隊は敗走。
更にいくらかの鬼や下級悪魔を捕縛し、今は彼らも牢屋で繋がれている。
紅魔族と王国の圧倒的勝利だ。
今、大人達は町内の生き残っている市民を保護して回っている。
その指揮を取るのは当然、ぽっちゃまーの父である族長。
『 族長! 捕まえた魔王軍の捕虜達の話しによると、南方区画の大聖堂に奴隷として数多くの元一般市民が閉じ込められているとの事です。早く救出に向かいましょう。 』
との話しが伝わり、ぽっちゃまーは父である族長からその救出を任されたのだった。
「 ぽっちゃまー、あけるぜ。 」
「 うん、早く助けてあげなくちゃね。 」
3人は松明を片手に木製の正面扉を開けると、真っ暗な大聖堂の中へと入って行く。
灯り3つしかない真っ暗な大聖堂の中は余り周りが見えず不安な心を掻き立てる。
おずおずともりりんが呼び掛けた。
「 誰かー……誰か、いませんか? 」
呼び声は反響し、不気味と室内に響き渡る。
すると、暗闇の奥に火がついた。
「 誰か……そこにいるの? 」
部屋の奥から聞こえて来たのは女の子の声。
恐らく自分達と同い年くらいだろうか。
声の質を聞いて3人はそう考えた。
「 私達は紅魔族。 もう大丈夫よ、この街は魔王軍から解放されたわ。 」
ぽっちゃまーがそう告げると、火の主はこちらへと近づいて来た。
だんだんと距離が縮まり、顔の輪廓、手の届く距離まで3人は近づく。
だが、来たのは少女1人だけだ。
「 他の人は? お父さんとお母さんは何処にいるの? 」
「 皆……死んだ。お父さんも、お母さんも、ここに閉じ込められた皆も。
…死んだわ。 」
ぽっちゃまーは不味い事を聞いたと焦り謝罪をする。
「 ごめんなさい。 気が付かなくって……。 じゃあ、貴方の名前は? 」
「 ウィズ。私の名前はウィズよ。 」
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続きますよ。
できれば良かれ悪かれ何かしら評価やコメントを頂けると主が飛んで喜びます。
ウィズのパーティーメンバーは次回全員出します
この小説に関する率直な感想を聞かせて頂けると助かります。
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登場人物について。
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文章の読みやすさについて。
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ストーリー構成について。