Saint Snowと無口の居候。   作:七宮 梅雨

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キリを良くしたいため短めです。

あと、評価に色がつきました!!しかも赤!!ありがとうございます!!これからも無口をよろしくお願いします!!


9話「オリエンテーション合宿②」

理亞「……………」

 

伊吹『……………』

 

 伊吹が上野さんに変わり、私の隣に座ってから、どれくらいの時間が経過したのだろうか。

 

 バスは、今、高速道路を走っている。そて、バスの中ではバス内に設置されているテレビでディズニー作品の映画が流れていて、みんなそれに夢中だ。

 

 だが、私は映画なんて見る気ないし、見ていたとしても内容は頭の中に入ってこない。なので、ずっとスマホを手にしてダンスの動画を見ている。

 

 それは、伊吹も同じ気持ちなのか、彼は窓側の方に顔を向けて、ずっと空の景色を眺めていた。

 

 話しかけたいところではあるけど………、やっぱり以前のやつを思い出してしまい中々、口を開くことができない。

 

 ふと、伊吹の方に視線を移すと、同じタイミングで伊吹もこちらの方にチラッと視線を移す。

 

 

理亞・伊吹「『ーーーーーッッ!?』」

 

 

 目が合った瞬間に、私達はすぐに顔を逸らす。何なのよ、これ……………。

 

 

 そんな感じでぎこちない時間を過ごしているとバスが途中、トイレ休憩ということで、パーキングエリアへと止まる。

 

 バス内にいた何人かはトイレに行ったり、購買に行ったりとバスから出ていく。

 

 私もお手洗いに行きたかったので、バスから降りて、女子トイレへと向かう。

 

 中に入ると、誰もいなくガランとしていた。どうやら、私が一番乗りらしい。

 

 まぁ、いいや。と思った私はササッと個室トイレに入って下着を脱ぎ、催そうとした所……

 

 

 「ーーーーーーーーーー」

 

 「ーーーーーーーーーー」

 

 

 個室の扉の外から声がキャッキャと聞こえてくる。何人か、女子トイレに来たようだ。

 

 それに、この声………………なんか、聞き覚えがある。

 

 

 「あー、本当にうっぜぇんですけど」ドォン

 

 

 理亞「ーーーーー!!!」ビクッ

 

 

 この声は………………八代さんだ。扉越しでも分かるほど、不機嫌のように見える。何か叩いてるし…………。

 

 「まぁまぁ。落ち着きなって八代ちゃん。」

 

 「落ち着けれるわけないでしょ!!折角、バスの中で天草くんの隣に座れると思ったのに!!上野のやつ、ここで生理とかマジでありえないんですけど!!!」ドォンドォン

 

 八代さんは壁か何かを何度も何度も叩きながら大声で叫ぶ。

 

 なるほど。元々、八代さんは伊吹の隣に座るはずだった。なのに、上野さんと入れ替わる形になってしまったから怒っているんだ。八代さんは伊吹のことを本気で狙っているみたいだし……………。

 

 

 「それと、鹿角。あいつも気に入らない」

 

 

理亞「ーーーーーッッ!!??」

 

 突然、私の名前を呼ばれたため、無意識に私は息を呑み両手を口に当ててしまう。

 

 この流れ的に何となく分かっていた。彼女達の口から私の名前が出てくるのを。

 

 

 だけど……………、改めてこうやって名前を呼ばれてしまうと、心が苦しくなる。

 

 

 「あいつもさー、何で先生に言っちゃうかな〜。いいじゃん、放っておけば。生理ぐらい。本当にうぜぇんだけど」

 

 

 …………やめて。

 

 

 「少し天草くんと仲が良いからって調子に乗りやがって。あんなの、どこがいいのよ。ぼっちで弱々しいのに。私の方が100マシだわ」

 

 

 …………やめてよ。やめてったら

 

 

 「あーあ、萎えるわー。マジで上野と鹿角のやつ………………」

 

 

 ……………やめて!!それ以上は言わないで!!

 

 

 「死んでしまえばいいのに…………」

 

 

 私は彼女達の残酷な陰口をただ歯を食いしばり、涙を流しながら聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 彼女達がトイレから出ていった後、私はヨロヨロとしながら個室から出る。少しでも力を抜いてしまったら膝が床に付いてしまいそうだ。

 

 伊吹含め周りから悟られないように私は顔を何度も洗う。何度も何度もバシャバシャと水飛沫が跳ね上がるまで洗い続けた。その後、トイレから出る。

 

 できれば、バスに戻るまでは誰とも会いたくはないのだが………………。

 

 

伊吹『ーーーーーーーーーー』

 

 

 うん悪く伊吹と出くわしてしまった。彼の手にはお茶やらお菓子やらが入った袋がある。購買で買ってきたのだろう。

 

 それに、よりによって伊吹に見られるのはヤバい。クラスメイトならともかく一緒に暮らしているこいつならば、私の心情に気付くかもしれない。

 

 

 悟られるな。察しられるな。

 

 

 とにかく、私はすぐに顔を逸らしてバスの方へと向かう。

 

 あいつが私の顔を見たのはたった数秒。これならばギリギリ大丈夫だと思う。

 

 よし。このままバスへ…………

 

 

 ーーーガシッ

 

 

理亞「ーーーーーえ??」

 

 途中、背後から腕を掴まれる。掴んだのは当然ながら1人しかいない。

 

 伊吹だ。相変わらず真顔で私の顔を見つめる。

 

 そして、濁った目線で私にこう訴えかけてくる。

 

 

 

 ーーー何かあった??…………と。

 

 

 

 こいつは、たった数秒の間に私が普段とは違うと分かったというのか。

 

 

 

理亞「何も無いわよ。」

 

 

 私は動揺しているのを伊吹に見られたくないため、腕を振り下ろしながら無愛想に答える。そして、バスの方へと向かった。

 

 

 その時、今までに感じたことがない以上に心が痛かった。

 

 

 

 

 

 そして、私はそれに苦しんでいることに気にし過ぎて、背後から鋭い目線で私を見つめる伊吹の存在には気付かなかった。

 




次回、合宿先の施設到着!!


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