投稿頻度は少しずつ取り戻していきたいと思っていますので、どうか今年も無口な居候をよろしくお願いします。
先生達の話を終えたあと、私たちは調理場が設置されている広場へと移動していた。
「ねぇ、○○ちゃん。一緒の班になろうよ」
「うん!!」
「おい、○○。一緒に組もうぜ」
「おうよ!!」
移動している間、他の子達はこの後、広場で行われるカレーライス作りの班決めを行っていた。
「鹿角さん。私と班組まない?」
歩いていると、おでこを真っ赤にした紀平さんが私を班に誘ってくれた。姉様や伊吹以外の子に誘われるなんて初めてのことだから緊張してしまう。
「あの………私も………いいかな」
紀平さんの誘いを了承しようとした瞬間、別のところから声をかけられる。そちらの方に顔を向けると、そこには生理によって体調を崩していた上野さんがいた。
理亞「もう、体調は大丈夫なの??」
合宿先に着いてからは、彼女の姿を1度も見かけることはなかった。さっきの集会もいなかったから、心配していたけど…………。
「うん。薬は飲んだし、別室で我邪丸先生にずっと看病して貰っていたから朝に比べてだいぶ楽になったよ。」
我邪丸先生とは、今回のオリエンテーション合宿に同行している養護教諭………分かりやすく言えば、保健室の先生のことである。肩にウルト○マンのある怪獣のソフビを常に乗せてる少し変な人である。
理亞「そっか………」
例え、あまり関わりがなくても、上野さんが無事だと分かれば心が少しだけ軽くなる。本当に良かった。
「話を戻すんだけどさ………、私も鹿角さんと紀平さんの班に入ってもいいかな??」
上野さんはモジモジとさせて私たちに言葉を出す。元々は彼女も私と同じで人見知りな性格だ。自分からそういうことを口に出すのを緊張しているんだろう。
理亞「「もちろん!!」」
私と紀平さんは言葉を揃えて、上野さんを歓迎する。それによって、緊張が解けたのか、上野さんは安心して嬉しそうな表情を浮かべた。
「これで3人だね!!」
「うん!!」
3人いれば、カレーライス作りは開始することが出来る。出来るのだが………
私は喜び合う2人に申し訳なさそうにしながらも言葉を出す。
理亞「ごめんね、2人とも」
「「??」」
理亞「もう1人………自分たちの班に誘ってもいいかな??」
「「え??」」
私は、そう言ったあと、2人の反応の顔を伺わずに背を向けて歩き出す。
向かった先には、何人かの女子に囲まれて少し困惑しているように見える1人の男の子がいた。
私は、その男の子に面と面で会って話さなくてはならない。だからこそ、私は行かなくてはならないのだ。
綺麗なミディアムの髪型で、目が特徴的である……………天草 伊吹の元へ。
「ねぇ、天草くーん。私と班組もうよ〜」
「何言ってんのよ、天草くんは私達の班に来るの!!」
「私………、料理あまり得意じゃないの。だから、作り方教えて欲しいな〜」
伊吹「………………」オドオド
女子のしつこい誘いによって、未だに困っている伊吹に近付くため、私は彼女達の間を何とか通り抜けようもする。
そして…………
理亞「伊吹!!」
久しぶりに、あいつの名前を声に出して呼んだ。
私の声を聞いて、伊吹はゆっくりと私の方へと顔を向ける。彼の表情は分かっていたことだけど、驚いていた。
私が、この場でこいつに近付いて名前を呼ぶなんて思ってもみなかったのでしょうね。
ちなみに、周りにいた女子は私に対して伊吹同様驚きの表情を浮かべる者もいれば、嫌悪な目線を送る者もいた。八代さんもそのうちの1人だった。
理亞「……………」
伊吹「……………」
ーーーーまずい。
思い切って、ここまで来たものの伊吹の前に来たら緊張してしまい、中々言葉を出すことが出来なくなってしまった。
言え。早く言うのよ、私!!
この機会を逃したら、伊吹に声をかけるタイミングは恐らくだけど無くなる。
今は緊張してる暇なんてないのよ!!言え!!言え!!言えよ、私!!
以前みたいに姉様と伊吹の3人で笑い合えるような日常を取り戻したいのなら!!もう、自分の傍に伊吹がいない日常を送りたくないというならば!!
言えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
「は??意味分かんないんですけど。鹿角、ちょっとどいてくれない??あんた、一体、なんなの??」
しびれを切らした八代さんはキツイ口調でそう言いながら私の肩をガシッと掴み始める。凄い力だ。少しだけ痛い。
だけど、それを私は思いっ切り払い除けた。
「ーーーーーッッ!?」
まさか、小柄である私が八代さんが掴んでいる手を払い除けることが出来るなんて思ってもみなかったのか、彼女は目を丸くしていた。
甘くみないで。こう見えても、私は普段は鍛えているから。
そして、覚悟を決めた私は更に伊吹に近付いて、言いたかった言葉を出す。
「伊吹。私と班組みなさい。これは…………強制だからアンタに拒否権はないわ。」
そう言って、私は伊吹の腕を掴んで、まるでお姫様を攫う王子様のように彼を無理矢理とその場から離れさせた。
背後からは、何人かの女子の叫び声が聞こえてくるが、知ったことか。
因みに、私は前を向いていたから気付かなかったが、私に引っ張られていた伊吹は少しばかり動揺しながらも嬉しそうに微笑んでいた。
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姉様のポンコツ具合
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現状維持
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控えめ
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いいぞ。もっとやれ