Saint Snowと無口の居候。   作:七宮 梅雨

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今回でオリエンテーション合宿を終わらしたかったけど、不可能でした(;´д`)トホホ…

あ、あとお気に入り数が200突破しました。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします<(_ _)>


17話「オリエンテーション合宿 ⑨」

 ビュービュービュー

 

理亞「うぅ…………」ビクビク

 

 未だに私は恐怖によって怯え、全身を震わせながら頭に手を当て蹲っていた。

 

 今の私の頭の中はただ、『怖い』という文字で埋め尽くされていた。それ以外の言葉が見つからない。

 

 あと、どれくらい私はこの恐怖を味わえばいいのだろうか。あと、5分?10分?1時間?2時間?………もしかして、永遠にずっとこのまま?い、嫌だよぉ………。(次第に夜は明けるのでそれはないが、そこまで彼女は恐怖によって正常な判断が出来ていない模様。)

 

 

 ーーーガサガサ

 

 

理亞「きゃあ!!」ビクッ

 

 私の近くの草むらが大きな音を立てて揺れる。多分、またいつものように夜風に当てられてのものだと考えられるが、私はそれどころじゃなかった。さらに身を縮ませ、身体を震わせてしまう。

 

 

 ーーーポロッ

 

 

理亞「あっ!!」

 

 身を縮ませたことにより、私のポケットから1つ、あるものが落ちてしまった。私はその時だけ、恐怖を忘れてしまったかのようにすぐにその、あるものを拾い、付いてしまった土を払う。

 

 そのあるものというのは、少しボロボロになっている小さな御守りだった。しかも、これはただの御守りではない。姉様が私が幼い時に作ってくれたものだ。

 

 確か………私の成長を願って作ってくれたものだっけ。姉様が私のために作ってくれたということが嬉しくて肩身離さずに持つようになった。

 

 

 ビュービュービュー

 

 

理亞「ーーーッッ!!」ビクッ

 

 夜風の音により、懐かしさに浸っていた私は今の現状に連れ戻される。そして、またしても恐怖を思い出し、すぐさましゃがみこんでしまった。

 

理亞「ゔゔ……………ん?」

 

 余りの恐怖に手にしていた御守りをギュと力を入れて握っていると、その御守りについている小さなポケットらしき所から小さく、そしてクシャクシャになってい紙切れが飛び出ていることに気付いた。

 

 なんだ、これ??

 

 私は震えた手で、それを取り、クシャクシャになっているその紙切れを広げる。

 

 

理亞「ッッ、これは…………」

 

 

 御守りの中に入っていたクシャクシャな紙切れの正体は有名なテーマパーク内にあるお化け屋敷の入場券だった。

 

 確か……………

 

 

 ♠️♠️♠️♠️♠️

 

 

聖良(小学6年生)「理亞!伊吹!今度はあのお化け屋敷入ってみませんか!?」

 

理亞(小学4年生)「え!?」

 

伊吹(小学4年生)「………………」

 

 そうだ。あのお化け屋敷は伊吹が私達の家に住むことになってから少し経ったあとに家族全員でテーマパークに遊びに行った時に姉様がそのお化け屋敷に入りたいと希望したんだ。

 

理亞「えっと………その………」

 

 当然、そういうホラー系が苦手だった私は入りたくなかったけど………

 

聖良「……………ハイリタイデス」←断りずらいキラキラな眼差し

 

理亞「くっ……(断りずらい。こんなの、嫌だとは言えない)………分かったわ、姉様。」

 

聖良「ッッ!!理亞、大好きです!!」

 

 結局、姉様の眼差しに負けた私は嫌々ながらもお化け屋敷の参加が決まるのだった。伊吹は答えもすることなく、姉様にガッチガチにホールドされて捕らえられていたため、強制参加は決まっていた。

 

 でも、まぁ………、ママかパパの背中に目を瞑りながらしがみつけばーーー

 

聖良「よし!じゃあ、3人でいきましょう!!」

 

 …………………えっ!?3人?ママとパパは?

 

 「「行ってらっしゃ〜〜〜い」」

 

 2人は私達の少し離れた所で笑顔で手を振っていた。何で?

 

 「あ、パパ達は今から観覧車の方に行ってくるから。3人は楽しんでおいで」

 

 ママとパパはそう言いながら、観覧車のある方へ腕を組み、イチャイチャしながら歩いて行った。なに2人だけロマンチックな所に行こうとしてるのよ!?私もそっちがいいんだけど!?

 

聖良「2人とも。チケット買ってきましたよ」ニコニコ

 

 あぁ〜………。私の中で終わりを告げる音がした。

 

 結局、姉様に連行された私たちはお化け屋敷の入口へと進み、チケットを受付の人に渡す。

 

 そして、いよいよキィィ………と古い扉を姉様が開けてお化け屋敷の中へと入っていく。

 

 暗いし、寒いし、周りの雰囲気が不気味過ぎて入って数秒で私は怖くなって姉様の腕にしがみつく。

 

理亞「うぅ…………姉様ぁ……」

 

聖良「んー、なんか………イマイチですね。期待を裏切られた気分です」

 

 なんてことを言うんだ、この人は。いや、十分に怖いから。

 

伊吹「………………」

 

 隣にいる伊吹はいつも通り真顔だった。………身体を微かに震わせながら。こいつ、私と同じホラー系が苦手なのかしら。

 

 

 「ワァァァァァァァァァア!!!!」

 

 

 突然、傍に設置されていた棺桶から、フランケンシュタインが現れ、大声をあげる。

 

 

理亞「ぎゃああああぁぁぁぁぁ!!」

 

伊吹「………………」ビクッ

 

 

 それによって、私は恐怖の絶叫を。伊吹は言葉には出なかったものの、肩を凄く震わせ、相当驚いていた。

 

 そんな中、姉様はーーー

 

聖良「んー……….、68点ですかね。迫力が甘い。」

 

 なんか………、点数つけてた。それを聞いたフランケンシュタインも「え……低くね?」と残念そうに呟く。申し訳ない気持ちになったんだけど…………!?

 

 フランケンシュタインを通り過ぎ、先に進む。

 

 ーーーピタッ

 

 背筋に何か冷たいものが当たったのを感じた。

 

理亞「ひぃ!?」ビクッ

 

聖良「理亞?」

 

 ーーーピタッ、ピタッ、ピタッ

 

理亞「きゃあ!?」

 

聖良「理亞!?」

 

 首筋だけでなく、腕や足、なんなら、おでこや頬にまでも冷たい何かが当たった。

 

 きっと、これはコンニャク的なものを遠隔で操作して私だけを狙って当てていたものだろう。

 

 だけど、その時の私は怖くて怖くてたまらなくて。それどころではなくて。

 

 

 

理亞「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

聖良「理亞!?」

 

伊吹「ッッ!?」

 

 遂に、耐えられなくなってしまった私は………その場から泣きながら大声を上げて走り出してしまったのだ。

 

 

 走った。とにかく走った。無我夢中に走った。

 

 

 途中で、私達よりも先に入っていたであろうお客さんや仕掛け人達とも、すれ違ってしまったが、私は構わず走り続けた。

 

 

 そして、どれくらい走ったのかすらも記憶にないまま走り続けた結果ーーーー

 

 

理亞「ここ………どこ?」

 

 

 気がついた頃には私は…………お化け屋敷内で迷子になってしまった。

 

 

 ♠️♠️♠️♠️♠️

 

 

 そうだ。思い出した。

 

 

 私はこのお化け屋敷内で迷子になったことがあるんだ。

 

 過程は違うものの、今と同じように怖くて周りが何も見えなくて、冷えてて、不気味な環境の中でたった1人だった。

 

 その時も、身を縮ませて泣いていた覚えがある。あれから何年も経ってるのに………変わってない。

 

 けど、なんだか懐かしいな。少しだけ恐怖が緩和されたかも。本当に少しだけね。

 

 

 

 でも、そんな状況の中で私はどうやってお化け屋敷を抜け出せて、姉様と合流できたんだっけ?

 

 

 

 

 タッタッタッ

 

 

 ………………あぁ、そうだそうだ。これも思い出した。

 

 

 タッタッタッ

 

 

 この時はーーーーーしたら、なんとか状況を抜け出すことができたんだ。

 

 

 タッタッタッ

 

 

 偶然なのか、それとも必然だったのか。それは今、改めて考えても分からない。

 

 

 タッタッタッ

 

 

 けど、もし今ここで………あの時と同じことをしたら……………助かるのかな?

 

 

 タッタッタッ

 

 

 いや………、そんな上手く行くわけないか。

 

 

 タッタッタッ

 

 

 ここは施設内とは違ってかなりの広範囲の森の中のどこか。嫌だけど、あの時と比べたら見つけるのは難しいはず。そんなに甘くはない。

 

 

 タッタッタッ

 

 

 ……………けど。それでも。

 

 

 タッタッタッ

 

 

 もしかしたら………と。

 

 

 タッタッタッ

 

 

 もしかしたら………と、どうしても期待してしまう自分がここにいる。

 

 

 タッタッタッ

 

 

 ………やってみよう。例え、無駄なことだと分かっていたとしても。もし、これでダメなら少しの間、恐怖を和らげることが出来たと思えばいい。

 

 

 タッタッタッ

 

 

 私はあの時と同じようにお化け屋敷の入場券をぎゅっと握りしめ、胸に寄せる。

 

 

 タッタッタッ

 

 

 そして、私は一言だけ呟いた。

 

 

 タッタッタッ

 

 

 それは、とても震えていて、お腹に力が入っていないからか、夜風の音でかき消されてしまうかもしれないほどの小さなものだが………

 

 

 タッタッタッ

 

 

 あいつにしっかりとこの言葉を耳にして、来てくれることを信じて。

 

 

 

 

理亞「助けて…………。伊吹………。」

 

 

 

 

 

 

 ガサガサ

 

 

 

 

 

 

理亞「ーーーッッ!!」ビクッ

 

 

 私がそう呟いた瞬間に、傍の草むらが揺れる。しかもこの音は夜風による音では無かった。

 

 明らかに何かが走って通る音だった。

 

 

 そしてーーー、

 

 

 その音を発しているのが正体を現した。

 

 

 そいつは、いつもは綺麗な白髪なのに、泥や葉っぱ、枝がついていてーーー

 

 

 いつも濁っている瞳は更に濁っておりーーー

 

 

 着用していた学校用ジャージも髪同様に泥まみれに汚れていて、しかも所々転倒、もしくは枝に引っかかってしまったのか、破れていた

 

 

 そして、私と同じくこういうのは苦手だからか、恐怖で全身を震わせながらも両手を動かした。

 

 

伊吹『やっと………見つけたよ。理亞ちゃん』ビクビク

 

 

 

 

理亞「………………伊吹ぃ。」ボロボロ

 

 

 

 数年前、私がお化け屋敷で迷子になった時、私を見つけてくれた伊吹が、あの時、あの瞬間にかけてくれた言葉を手話で伝えながらゆっくりと微笑んだ。

 

 




次回、オリエンテーション合宿完結です。これは絶対です

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姉様のポンコツ具合

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