Saint Snowと無口の居候。   作:七宮 梅雨

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今日で無口な居候1周年ということで頑張って書きました。
(更新日は15日ですが、投稿したのは14日です。)


22話『どうしてあいつが!!』

 『えー、皆さん。入学おめでとうございます』

 

 大きな体育館で、椅子に座る私を含めた多くの新入生を前に学園長らしき女性がマイクを手にして語り始める。

 

 この時の私は周りの子達に比べて少しだけやつれていた。理由としては家を出てからは嬉しそうにする姉様にずっと学校内の至る所を案内という形で連れ回されたからだ。

 

 ♤♤♤♤♤

 

 

聖良『ここが中庭です!!とても広いので鬼ごっこすると盛り上がりますよ!負けた人は参加者全員にジュース1本奢るという罰ゲームもあるのでスリル満載なんです!え、私?負けたことないですよ??』

 

 

聖良『本館に1年生の教室があって、隣の西館に2年生の教室、そして少し離れた所の東館に3年生の教室があります。本館から東館まで普通に行くと時間がかかるので、屋上から飛び移って移動することをオススメしますよ』

 

 

聖良『ここが、食堂です。人気がありすぎてよく席の確保をかけて大乱闘が勃発するので気をつけてください。ちなみに、人を簡単に気絶させる方法は………』

 

 

聖良『そして、ここが我が校の1番の目玉である音楽室です!!この場所で音楽を勉強したくて入学してきた子がほとんどのはず!!ここで歌を歌うととても気持ちいいんですよ!!という訳で鹿角 聖良、最愛の妹の入学を記念してここで1曲、歌いたいと思います!!マキシマム○ホルモン様にて『F』ーーー』ポアダポアダポアダ

 

 

 ♤♤♤♤♤

 

理亞「はは…………」

 

 姉様に連れ回された箇所と説明の1部を思い出してみると、なかなかのカオスなものだった。確かに、中庭は広かったけど、普通そこで鬼ごっこする?あと本館から東館まで少なくとも3mは離れてた気がするんだけど…………。あと、姉様のマキシマム○ホルモンの曲は『F』を初めとして5曲披露されました。ご馳走様です(白目)

 

 けど、姉様の案内やひとつひとつの言葉を聞いていると、改めてこの学校に入学したんだな、という気持ちになったのも事実。この学校で姉様と過ごすために、私は必死で勉強してこの学校の門をくぐる権利を得ることが出来た。

 

 そして、実は私はこの学校を過ごすにあたって1つ目標を作った。

 

 

 それは『1人でもいいから友達を作って充実した学校生活を過ごす』というものだ。

 

 

 改めて、決めたのは私のはずなのに信じられないなとは思う。少なくとも、中学1年生の私ならばこんな目標は作ることは無かっただろう。

 

 友達なんていらない。学校なんて1人で十分。姉様さえいてくれればそれで良い…………と。

 

 けど、中学に入り、私にとって初めての………友達である上野さんや紀平さんを始めとしたクラスメイトやダンス部の仲間たちなど、1人、また1人と話せる人が増えたことによって、私の考え方は変わった。

 

 人と関わりを持てたことで、こんなに充実した生活を過ごせるとは思ってもみなかった。

 

 

 "楽しい"

 

 

 まさか、学校生活でこの感情を抱く日が来るなんて…………。中学の時の私がこのことを知ったら驚愕するんだろうな。

 

 

 『ここで、今年からこの学校で働くことになった仲間を紹介していきたいと思います。』

 

 

 あ………,気づいたら転任、もしくは新任の紹介に入ろうとしていた。学園長の促しにより、何人かの男女がスーツ姿で壇上の上に立って自己紹介に入っていく。

 

 違う学校から来たベテランそうな人に、初めての教師生活をこの学校で過ごすからか、緊張している人が自分のことについて簡単に言葉を出していた。

 

 

 そして、あっという間に最後の1人となる。

 

 

 最後は女の人だった。スーツを着ていても分かるほど、スタイルがとても綺麗で足が長い。身長は余裕で170は超えているだろう。それに加えて、丸型の眼鏡をかけた美人さんだ。彼女は灰色のポニーテールを揺らしながらマイクを口に近づけ、声を発す。

 

 

 「皆さん、初めまして!!○○高校から来ました花咲 聖那です!!主に生物基礎を担当していきます!!初めてのことだらけで皆さんに迷惑をかけることになると思いますが、よろしくお願いします!!」

 

 

 花咲 聖那と名乗った彼女はこの場にいる誰もが聞こえるであろう声で元気よく自分について簡単に話し、ペコッと頭を下げて元にいた場所へと戻る。なんか、面白そうな先生かも。もし、生物基礎の授業があるなら、彼女に……、花咲先生がいいな。

 

 

 『続きまして、在校生代表挨拶。在校生代表…………』

 

 

 あー、出た出た。入学式で『それ、やる意味ある?』って思うトップ5にランクインするやつ。いや、だってさっき学園長からの有難い言葉あったじゃん。なんで、わざわざ生徒の代表が喋るの?まぁ、いいや。これは聞き流すことにしーーー

 

 

 『鹿角 聖良!!』

 

 

聖良「はい!!」ビシッ

 

 

 いやいやいや、えぇええええぇえええぇえ!?何で、姉様!?ここは普通、生徒会長とかやるんじゃないの!?

 

 姉様はビシッと、誰もが見たことはあるだろう、あの有名メーカーのランドセルのCMに負けないぐらいの背筋ピーン!!としながら立ち上がり、華麗に壇上へと上がっていく。

 

 大丈夫!?この大事な行事で何かやらかさないか凄く心配なんだけど!?

 

 姉様はぺこりと頭を下げたあと、胸ポケットから1枚の扇子折りされている紙を取り出して広げ、言葉を発した。

 

 

聖良「新入生の皆さん、この度はご入学おめでとうございます。在校生一同、心より歓迎申し上げます。」

 

 

 ほっ…………、良かった。流石の姉様もこんな大切な入学式で馬鹿やらかすつもりはないようだ。あっちゃダメなんだけどね!!

 

 

聖良「私も2年前は、この学校に入学した時、とても不安でした。周りにはいつも一緒にいてくれた友人は誰一人いない中、これから先、やっていけるのかずっと考えていました。しかし、そんな考えはすぐに変わりました。なぜなら、私と同じ心境である生徒が周りに多くいたからです。だから、私だけ1人ぼっちかもしれない。そう思っている人は今すぐにその考えを捨てて下さい。そして、勇気を出してください。今は確かに、他の人に声を掛けるのは怖いかもしれません。ですが、勇気を出して声を掛けるだけで、皆さんの高校生生活は一気に変わります。もし、自信がないというのならば私たち先輩が支えます。ここにいる在校生達は皆さんを見捨てるような人物は誰1人いません。それでも………、という人がいれば、せめてこの私に声を掛けてください。3年B組、鹿角聖良は皆さんの相談に対して逃げも隠れもしません。解決するまで支えたいと思っています。皆さんが1日でも早く函館聖泉女子高等学校に馴染むことを願って以上、歓迎の言葉といたします。」

 

 

 姉様は両手に持つ紙を再び折り、封筒にしまってから一礼し、元にいた場所へと戻る。

 

 

 ーーーパチパチパチ!!!

 

 

 戻っている最中に、周りの人物からの感動の拍手が姉様に送られる。あれはせこいって。普通に最後まで真面目にやりきってんじゃん。絶対に何かしらやらかすって思ってた数秒前の自分を殴りたい。

 

 姉様の歓迎の言葉により、不安そうにしていた新入生たちは自信がついたのかとても活き活きとした表情へと変わっている。先生や、来賓の方に至っては何人かポロリと涙を流していた。

 

 つい、さっきまで私の目の前で、ヘドバンしながらマキシマム○ホルモンの曲を全力で歌っていたのと同一人物には思えないや。正直な話、普段でもこうして欲しいのになぁ………。

 

 そして、入学式は順調に進み、ようやく終わりを迎えそうな雰囲気を漂わせていた。

 

 これが終われば、クラス発表や担任の発表をされて私の高校生活が始まるんだ。

 

 そう考えると、なんだか楽しみになってくる。そういえば、部活は何部に入ろうかな。あとから知ったけど、ここの学校、ダンス部ないんだよなぁ。元々は、音楽をメインとした学校だし。1から創るっていうのも一つの案だけど大変そう。周りを見ても、失礼な話、運動できるタイプって感じじゃない子が多いイメージ。ま、近いうちに部活紹介とかあると思うから、その時に候補を絞ればいっか。

 

 あーあ、こんな時こそ、伊吹が側にいてくれればなぁ………。色々と相談に乗れたのに。なんなら、高校の部活はあいつと一緒に入るっていうのも悪くないのかもしれない。運動部だろうが、文化部だろうが、あいつと一緒ならやっていける気がする。って、そんな夢話を抱いたところで無駄な話か。

 

 『そして、最後になりましたがーーー』

 

 再度、学園長が壇上の上にあがり、予想通りに締めの言葉に入ろうとしていた。長かった入学式もこれで終わりって訳だ。

 

 『皆さんに重要なお報せが1つあります。』

 

 ん?重要なお報せ?まだ何か言っていなかったのかな?少しだけ周りがザワザワしていた。

 

 

 

 『単刀直入に言いますと、来年度で我が校は女子高校から共学校校に変わる方針で考えております』

 

 

 

 「「「「ーーーーッッ!?」」」」

 

 学園長から発しられた言葉により、先程よりもはるかに大きなざわつきが起こる。無理もない。正直な話、私もかなり動揺している。

 

 

 『現在、日本では少子化かつ高齢社会であり、そして近い未来、超高齢化社会になると言われております。そうなると、女性しか入学することが出来ない我が校は今後、学校として経営していくのは厳しいという話がここ数年、問題として挙がっていました。』

 

 

 なるほど。確かに今の日本の少子化は社会問題として色んなメディアに取り上げられているし、そのせいで既に廃校になってしまったという学校も少なくはない、というのをニュースやSNSで見たことがある。

 

 まさか、その影響が身近なところで起きることになるとは。他人事だと思ってたけど、こうして関わってみると壮大な問題だったということが嫌という程、認識させられる。

 

 

 『数多の会議を重ねて行いましたが、候補としては共学化にするという意見しか出ませんでした。しかし、だからといって確定という訳ではありません。まだ可能性の話です。』

 

 

 可能性の話…………、つまり、来年度から共学になるという訳でもないのか。

 

 『いきなり、共学化したところで、互いにいい事は何一つないことは私たちも把握しております。ですので、今年度、テスト生として1人の男子生徒を入学して頂くことにしました。』

 

 

 「「「ーーーーッッ!?」」」

 

 

 さらに周りはざわめき始める。つまり、私たちの中に男子が1人混じるということになる。嘘でしょ?気まずいんだけど。

 

 

 『早速ですが、そのテスト生を紹介したいとおもいます。………入ってきてください』

 

 

 学園長が横を向き、そう言葉をかけると舞台の袖から1人の男性が入ってくる

 

 

理亞「はぁ!?」

 

 

 その男性を見て、思わず私はそう言葉を零してしまった。隣にいた女子が驚いてこっちを見たが、そんなのどうでもいい。

 

 

 どうして………どうしてあいつが!!

 

 

 『それでは、自己紹介をお願いします』

 

 

 そいつはいつも見る綺麗な白髪を揺らしながら、手元にある大きなスケッチブックを開いてペンでカキカキと文字をダイナミックに綴り、そしてーーー

 

 

 

 

伊吹『皆さん、始めまして。この度、テスト生としてこの学校に入学させていただきました天草 伊吹といいます。互いに戸惑いだらけだと思いますが、どうぞよろしくお願いします。』

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーSaint Snowと無口な居候……高校生編開始。

 

 

 

 

 

 

 

 「………………………」




次回は半年以内に投稿できるようにがんばります(白目)

姉様のポンコツ具合

  • 現状維持
  • 控えめ
  • いいぞ。もっとやれ
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