Saint Snowと無口の居候。   作:七宮 梅雨

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あけましておめでとうございます。
年内中は間に合いませんでした!!すいやせん!!
だから、この話はお年玉だと思って読んでみてください。
今年中に無口を完結出来たら嬉しいですね(白目)

遂に……って感じになる話です。


26話『やりましょう!』

理亞「ただいまー」

 

 高校生活初日を無事に終え、校門で伊吹と合流してから私達は我が家へと戻る。私が自己紹介を上手く出来たのと、クラスメイトの子達と少し話せたことを伊吹に言うと、伊吹は自分の事のように喜んでくれた。

 

 対する伊吹は、中学の時と同じようにはいかなかったようで、喋れないと伝えた瞬間に何だか冷たい空気を感じたという。中学の先生やクラスメイトは本当に良い人たちで溢れていたから高校でも上手くいくと思っていたが、そうでも無かったらしい。

 

 まぁ、伊吹のことだし、上手くやってけれるだろうけど。もし、伊吹に何か嫌なことでもあったら、その時は全力で助けに入ることにしよう。

 

理亞「あれ?姉様、帰ってきてる?」

 

 玄関に、姉様の靴があった。姉様が学校終わりにこんな早く帰ってきてるなんて珍しいな。店の手伝いでもお願いされたのだろうか。

 

 「あら、おかえりなさい。2人とも」

 

理亞「ただいま、ママ」

 

伊吹『………』ペコリ

 

 靴を脱いでいると、ママが出迎えてくれた。けど、なんだか忙しそう?

 

 「帰って早々、悪いんだけど店の手伝いお願いしてもいいかしら?今日、アルバイトの子が熱出しちゃって休んじゃったのよ」

 

理亞「それは別にいいけど、姉様は?帰ってきてるんでしょ?」

 

 姉様が1人いれば、空いた人数分なんて余裕で埋めることができると思うんだけど。

 

 「それがね、あの子ったら帰ってきてから部屋にずっと閉じこもっちゃって声をかけても反応しないのよ。」

 

理亞「え!?」

 

 「今さっき、最後の手段として秋刀魚焼いてその匂いで部屋から出そうとしたんだけど、結局効果無くて………。こんなこと1度もなかったのに。これが噂の反抗期というやつなのかしら」

 

 ママは姉様のことを猫か何かだと思っているのかしら。しかも、最後の手段って言ってたから過去にそれで成功してたって事なのよね?何してんだ、あの人は。

 

 しかも、それだけしても出てこないってことは何かあったのかな?それはそれで心配になる。姉様のことだから余計にだ。

 

伊吹『理亞ちゃん』

 

理亞「ん?」

 

伊吹『僕が店の手伝いに行ってくるから、理亞ちゃんは聖良姉さんのとこ行ってきなよ』

 

理亞「伊吹………」

 

伊吹『僕も聖良姉さんのことが心配だからさ。』

 

 確かに、伊吹はホールは無理だけどキッチンに入ったらほとんど無敵だ。キッチンにいる人をホールをやって貰ったら私がいなくても仕事は回ることができる。よし!伊吹の言葉に甘えさせてもらおう。

 

理亞「分かった。お願い、伊吹」

 

伊吹『………』コクリ

 

 そう言って、私達は各々、目的の場所へと足を運ぶ。あの姉様が部屋に引きこもる理由なんて未知数だけど、きっと何かをしているに違いない。

 

 とりあえず、姉様の部屋の前までやってきた。なんか………秋刀魚の匂いがするなと思ったら近くに案の定、七輪と秋刀魚があった。しかも、何気なく1口齧ったあとがある。犯人は恐らくママだろう。

 

理亞「姉様ー!!」ドンドン

 

 私は部屋の扉を叩きながら、姉様を大声で呼ぶ。しかし、反応はない。いつもならすぐに出てくれるのに。

 

理亞「姉様ー!!」ドンドン!!

 

 今度はさらに力を入れて扉を叩き、さらに大きな声を上げて姉様を呼ぶ。しかし、これも無反応。本当に何をしてるんだろうか

 

理亞「姉さ…………ん?」

 

 あれ?よく見たら姉様の部屋の鍵………かかってないっぽい?恐る恐るドアノブを捻り、前に押し出すと………

 

 ーーーキィィ………

 

理亞「ーーーッッ!!」

 

 思った通り、開いた。なので、そのままゆっくりの部屋の中へと入る。

 

 すると、目の前には部屋を真っ暗にさせている中でテレビに張り付くように観ている姉様の姿があった。

 

 一体、姉様は何を観てるんだろうか。

 

 テレビの映像はど真ん中に姉様が独占しているせいで見えないが、なにやら音楽やら、歓声らしいものがひたすら聞こえてくる。

 

理亞「姉様?」

 

聖良「…………」

 

 ゆっくりと姉様の隣に座り、顔を除くが姉様はまるで私が隣に来て声を掛けていることに気付いていないかのように反応をせず、ずっとテレビの画面を眺めていた。こんな姉様は初めて………ではないけどかなり珍しい。

 

 姉様をここまで釘打たせるなんて………。どんな映像なんだろう………。

 

 私は姉様からテレビの画面に視線を移した瞬間ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理亞「………………ッッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まるで、世界が変わったかのような衝撃を受けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 テレビに映っていたのは、とあるライブ映像だった。3人の女性が音楽に合わせて踊り、歌っている。それだけのライブ映像。

 

 

 そう、それだけ。それだけなのに。

 

 

 

 ーーーどうして、ここまで衝撃を受けるのか

 

 

 

 ーーーどうして、ここまで見いいってしまうのか。

 

 

 ーーーどうして、ここまで全身に鳥肌が立つのか。

 

 

 分からない。分からない。分からない。

 

 

 

 一体何なんだ、これは!!

 

 

 

 だけど、一つだけ言えることがある。それは………

 

 

理亞「凄い」

 

 

 とても安易で率直な一言だと思う。けど、それしか言葉が出てこないのだ。逆に、これを言葉でどう表現すればいいのかこっちが聞きたい。

 

 

 どうして、姉様が今日、ずっと部屋に引きこもっていたのか今なら分かる。だって、姉様と同じ気持ちだから。

 

 

 こんなの見せられたら、ずっと見てしまう。時間を忘れてしまうぐらいまでに。

 

 

 今、凄く気持ちが昂っているのが嫌でも理解してしまう。こんなの………生まれて初めてだ!!

 

 

 中学最後のダンスコンクールで味わった感動を余裕で超えてしまうぐらいのこの昂りが堪らない!!

 

 

 映像だけで、こんなに衝撃を受けるんだ。もし、生で。実際に自分の目で見たら………

 

 

 そんなの…………恐ろしくて想像がつかない。

 

 

 ただ、この映像を最後の最後まで見て最終的に思ったことは………

 

 

 

 "私もやってみたい"

 

 

 

 その気持ちだけが、ひたすら私の中で何度も何度も響いた

 

 

 

 

 ♤♤♤♤♤

 

 

 映像が終わった。映像が終わってもなお、鳥肌が立ち続けている。

 

 姉様が近くにあるリモコンに手を取り、画面を消す。すると、未だに衝撃を受け唖然としている私の表情がテレビの画面に映った。

 

聖良「いやぁ、凄かっ…………うわぁ!?」

 

理亞「え?」

 

 姉様がぐいっと2つのメロンが強調するぐらいまで背伸びをし、視線を落としたあと、その先に私がいるのを知り、驚きの声をあげた。まさか、本当に気付いていなかったの?

 

聖良「りりりり理亞!!いるなら声を掛けてください!!びっくりしちゃうでしょ!!」

 

理亞「私は何度も声を掛けたわよ!それに気付かなかった姉様が悪い!」

 

聖良「ぐぬぬ………」

 

 姉様は納得したのか、何も言わなくなった。けど、表情が悔しそう。何で?

 

理亞「それより、姉様。さっきの映像は何だったの?」

 

 私は気になったことを姉様に聞いてみた。

 

 

聖良「スクールアイドルのDVDです。この間、掃除してたら出てきたので気になって………」

 

 

理亞「スクールアイドル?」

 

 姉様は私に1つのDVDのパッケージを見せる。すると、そのパッケージには先程の映像に出ていた女性3人が写っていて、大きく『A‐RISE』という文字が書かれていた。

 

 

 『A‐RISE』。

 

 

 きっと、この3人の女性で結成されているスクールアイドル名なのに違いない。

 

聖良「それにしても、凄いですね。彼女たち。」

 

理亞「姉様?」

 

 姉様はパッケージを見て言葉を呟いていく。

 

 

聖良「ライブ映像が始まる前に、少し彼女たちを含めたスクールアイドルの歴史について解説されてたんですが………どうやら、この『A‐RISE』ともう1つのグループを筆頭にスクールアイドルというコンテンツが大いに盛り上がるきっかけになったそうです。」

 

 

 へぇ………。この3人はスクールアイドル界では凄い人達なんだ。

 

 

聖良「そんな歴史を大きく変えるきっかけを作ったスクールアイドル………。それは正しく、頂点に立っていたといっても過言ではない」

 

 

理亞「姉様?」

 

 変なことを言っている姉様の名前を呼ぶと、姉様はニヤリと微笑みながら私に声をかける。

 

 

 

聖良「理亞、貴女は気になりませんか?」

 

 

 

理亞「え?」

 

聖良「この3人が見ていた景色を」

 

理亞「景色……?」

 

 この『A‐RISE』の3人が見ていた景色。それはつまりーーー

 

理亞「それって!!」

 

 

 

聖良「えぇ。"スクールアイドルの頂点"のです!!」

 

 

 

 姉様は言葉をさらに続ける。

 

 

 

聖良「私は見てみたい。この3人が繰り出した最高の歌や踊りで数多くのスクールアイドルの皆さんを蹴散らし、頂点に立ったときの景色を。そして、一体………それがどんな景色なのかを!!」

 

 

 

 姉様はまるで本能に従っているみたいに言葉を吐いていく。こんなに熱く語っている姉様は初めてだ。

 

 

 

聖良「もう一度聞きますね、理亞。貴女は気になりませんか?」

 

 

 

 姉様は先程、言った言葉をもう一度私に放つ。

 

 そんな姉様の質問に、私は気づいたら頷いていた。きっと、私も本能に従って故の行動だろう。

 

 それを見た姉様は優しく微笑み、そして決意が孕んだ声で私にこう言った。

 

 

 

聖良「決まりですね、理亞。やりましょう!!スクールアイドルを!!」

 

 

 

 拝啓、数時間前の私へ。

 

 

 私、姉様とスクールアイドルやることになったわ。

 

 

 

 




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姉様のポンコツ具合

  • 現状維持
  • 控えめ
  • いいぞ。もっとやれ
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