Saint Snowと無口の居候。   作:七宮 梅雨

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姉様ポンコツ化計画……始動

結構年数経過してます。


2話「中学入学式の朝」

 伊吹が私たちの家に住み始めてから数年の時が経過した。

 

 最初はやはり、お互いに新生活が慣れなかったためか、色々と戸惑いがあり、ぎこちない時期はあった。

 

 だけど、1年ほどで私達も伊吹も新しい生活に慣れ、何気なく一緒に過ごせるようになった。

 

伊吹『おはよう。理亞ちゃん』

 

理亞「おはよう、伊吹。」

 

 朝、起きてリビングに向かうと先に伊吹がテーブルに座って真顔で朝食を食べていた。

 

 声を掛けても、未だに伊吹は喋る事はなく表情も真顔だが、手話を駆使して答えてくれる。

 

 それに対して、私も手話を駆使して彼とコミュニケーションを取る。

 

 最初の頃は、まだ覚えきれず、ぎこちない動きをしていたが、今ではまるで呼吸をするかのようにスムーズよく出来るようになった。

 

 それは、私だけではない。

 

聖良「理亞、伊吹。おはようございます」

 

理亞「おはよう、姉様」

 

伊吹『おはよう、聖良姉さん。』

 

 姉様もリビングにやって来て、私たちを見て手話を駆使しながら言葉を出した。姉様も同じく手話をマスターして伊吹とコミュニケーションを取っていた。

 

 伊吹は一応、歳上である姉様を『姉さん』と呼んで本当の姉のように慕っていた。私としては、『姉様』と呼ぶようにと頑張って修正を心掛けたが、失敗してしまった。

 

 その後、3人で朝食を食べ終わってから、私は部屋に戻ってシワが1つもないビシッとした制服を身に纏う。

 

 袖に手を通したあと、私は再びリビングに行くと私と同じく新品の制服を身に纏った伊吹と着慣れている制服を着た姉様の姿があった。

 

 姉様は私達を見て、ニッコリとしながら

 

聖良「今日から2人とも中学生ですね。とても、似合ってますよ」

 

 

理亞「ありがとう、姉様」

 

 

伊吹『ありがとう、姉さん。』

 

 

 今日から、私と伊吹は姉様が通っている地元の中学校へと入学する。

 

 

聖良「伊吹と同じ学校に通えて、私は嬉しいですよ!!」

 

 姉様は「わーいわーい」とその場で何度も何度もバク転して万歳をする。姉様の言う通り、伊吹はとある事情で小学校は私達が通っている所より少しだけ遠い別の小学校へと通っていた。

 

 

 いつも、私と伊吹と3人で並んで通学路を歩きたいとぼやいていた姉様にとって、今日という日は楽しみで仕方がなかったのだろう。喜びをどうしてバク転して表すのかが謎だが。

 

聖良「理亞も伊吹と一緒に通学できるようになって嬉しいですよね!?ね!?ね!?」

 

理亜「え!?ちょ、姉様!?近い近い!!」

 

 姉様は自分の鼻が私の顔に当たるか当たらないかのギリギリの距離まで顔を近づける。姉様の天使のような顔が視界いっぱいに映って幸せな気持ちだが、少しだけ鬱陶しく感じる。

 

 それに、伊吹と一緒に学校に通える件については確かに嬉しい気もするが、姉様ほどではない。

 

 学校では、私はそこまで伊吹とは関わる気は無かった。それは、きっと伊吹も同じ気持ちだろう。

 

 どうせ、多分………。私は小学校と同じように1人で過ごすことになると思う。

 

理亞「まぁね。」

 

 

 姉様の問いに、私は適当に答えておいた。それに対して、姉様は「ですよね!!」と目をキラキラとさせて言う。どんだけ、嬉しいのよ、姉様……………。

 

 

 

聖良「それじゃあ、3人で記念写真を撮りましょう!!本当なら、家の前で並んで立って撮りたいところではありますが、母様と父様は仕込みで忙しいです。なので、自撮りで撮りましょう。ささ、2人とも私に近寄って来てください!!!」

 

 

 グイグイと姉様は私と伊吹を近付けさせ、スマホを構える。てか、姉様!?さっきもだけど近すぎじゃない!?私の頬がもう姉様の頬に触れてるんだけど!?それは、伊吹も同じ。だが、伊吹は相変わらず真顔だった。なんなの、コイツ。

 

 

姉様「行きますよー。はい、チーズ!!」

 

 

 姉様の言葉に一応、私は顔を赤くしながらもピースをする。伊吹は何故か、キツネポーズ。どうして、それにしようも思ったのよ。

 

 だが、チーズと言われても何も起きない。

 

 まさか…………これは………

 

 

聖良「これは動画です♪」

 

 

 やっぱりぃ………。何してんのよ、姉様。そんな、私たちを騙せて嬉しそうに微笑まないで。

 

 

伊吹『………』ジィー

 

 

 ほら!!伊吹もいつもより増して、目を濁らせながら姉様をジト目してるわよ!!謝って!!

 

 

聖良「冗談ですよ。今度はちゃんとやりますから、近づいて来て下さい。…………あ、伊吹!!嘘じゃありませんよ!?ちゃんと撮りますから!!撮りますから鞄持って玄関に向かわないで下さい!!お願いしますぅ!!」

 

 

 どこで鍛えたのだろうと疑問に思うほど綺麗な姉様の土下座を披露し、何とか伊吹を戻らせたあと、同じようにスマホを構える。

 

 

聖良「今度はちゃんと撮りますからからねぇ。はい、チーズ!!」

 

 

 ーーーパシャ

 

 

 今度は、ちゃんとシャッター音が鳴り響く。

 

 

聖良「ほら、ほら………ね!?ちゃんと撮りましたよ!!」

 

 姉様は「ね!?ね!?」と撮った写真を見せながら嬉しそうにする。いや、それが当たり前だからね、姉様………。

 

伊吹『……………』

 

 伊吹はやれやれ……、と溜息をつきながら、鞄を持って玄関へと向かう。ついでに、私もその隣にいる。考えることは同じようだ。

 

聖良「今度は、学校の門の前にある入学式の看板の前で3人並んで撮りましょう!!その時には、私の友人に撮ってもらうようお願いします!!さぁ、2人とも!!早く学校に行きますよ!!」

 

 互いに靴を履き終わり、家を出たところで突然、姉様が私達の手を引っ張り走り出す。

 

理亞「ちょ、姉様!?」

 

伊吹『……………』アセアセ

 

 私と伊吹は驚きながら姉様に引っ張られる。振り払おうとして、力を入れても解くことはなかった。どんだけ、力を入れてるのよ!?

 

 

 

 結局、私と伊吹は学校に到着するまで、姉様に引っ張られるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに、学校の門の前にある入学式の看板の前で並んだ時、嬉しそうに両手ピースしている姉様の隣には顔を青くしてグロッキーにしている私と伊吹が写っていたのは言われなくても分かるだろう。

 

 

 

 

 




こんな感じで、暫くはほのぼの系の話が続いていきます。

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