Saint Snowと無口の居候。   作:七宮 梅雨

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いつもに比べたら少しだけ長文。

少しだけ伊吹の過去に触れます。


7話「怖い」

ちとせ「えぇ、来週の火曜日に我が校の学校行事である1泊2日のオリエンテーション合宿が始まる。配った冊子をよく目に通しておくように!!以上だ!!解散!!」

 

 帰りのHRで、ちとせんは私達に冊子を配り、そう言ってから教室から出て行く。

 

 オリエンテーション合宿とは、私達が通う学校の学校行事の1つで、クラスメイトの子達と親交をよりよく深めるのを目的として行われるらしい。私が嫌いなタイプの行事だ。

 

 その後、他のみんなは部活へと赴く。私もダンス部の練習があるため、行かなくてはならないが、その前に冊子の方をペラペラとめくり、目を通す。

 

 うわぁ………、どれも面倒くさそうなイベントばっかりだ。特に1日目の夜にやる予定の肝試し大会とか。

 

 んー、仮病だと偽って休んじゃおうかしら………。こんなことしてるぐらいだったら、家の手伝いかダンスの練習していたほうが100倍マシよ。

 

 『それは、ダメですよ。理亞。』

 

 ………ん??なんか、頭の中で頭の上に金色の輪っかを浮かばせて白いビキニを着ている姉様が現れたんだけど…………。なんで、ビキニ??

 

聖良(天使)『私は天使の聖良です。理亞、貴方は友達を作りたいという気持ちがありながらも、それをクラスの子達に打ち明けずに過ごしていることを私は知っています。なので、この合宿を機に話しかけてみてはいかがでしょうか??理亞ならきっと、良き友達を作ることができます!!』

 

 天使の姉様は母性溢れる優しい声で私に言葉を出す。なんだろう…………。それを聞いて自分の心が温かくなるのを感じる。合宿………参加しようかしら。

 

 『いいや、休むべきです』

 

 …………んん??今度は、頭に角と腰に黒い尻尾を生やして、黒いビキニを着た姉様が現れたんだけど…………!?。だから、なんでビキニ??

 

聖良(悪魔)『私は悪魔の聖良です。理亞、その合宿がもし、無駄だと思ったら絶対に休むべきです。無理に友達を増やす必要はありません。今現在、貴女が友達と呼べる子達を大切にしていきましょう!!それに、理亞がいないと家や部活にも迷惑がかかってしまいます!!』

 

 悪魔の姉様はウヒヒと不気味(だが、可愛い)に笑いながら私に声を掛ける。確かに、姉様(悪魔)の言う通りかもしれない。無理に友達を作ったところで、多分、関係はそんなに長くは続かない気がする。やっぱり、休んじゃおっかな。

 

聖良(天使)『貴女、一体何を言っているんですか??勝手なことを言わないで下さい。理亞は合宿に参加するべきです!!』

 

聖良(悪魔)『貴女こそ、勝手なことを言わないで下さい。私は今後の事を踏まえて理亞に警告しているのです。なので、理亞は合宿を休むべきです!!』

 

 頭の中で、天使の姉様と悪魔の姉様が睨み合って討論をし始めちゃった。ちょ、ちょっと。やめて!!

 

聖良(天使)『理亞はですね、いつも斎藤さんが朝、昨日あったことを話しているのを、さりげなく聞いて、とても羨ましそうにしているんです!!合宿を機に、斎藤さんと良き関係を築き上げるチャンスなんです!!』

 

 何で知ってるのよ!?やめて!?なんか、とても恥ずかしいから!!

 

聖良(悪魔)『それがなんです??理亞はですね、同じクラスの山谷さんがクラスメイトの悪口を陰で言ってて、それを偶然聞いてしまった理亞は心を痛めてしまったんです!!もしかしたら、自分の悪口も言われているかもしれない………と、いつも不安になってるんですよ!?そんなことになるぐらいなら、作る必要はないです!!』

 

 どうして、それも知ってるの!?もう、本当にやめて!!恥ずかしくて、死んでしまいそうだから!!

 

 

 私は顔を赤くし、背が熱くなっているのを感じながら立ち上がり、荷物を持って教室へと出る。

 

 

 もう、とりあえず参加するかしないかについて考えるのはやめよう。

 

 

 そう思い、ダンス部の部室へと向かうのだが…………

 

 

聖良(天使)『参加すべきです!!今後の理亞の為にも!!………チェックメイト!!』ギャーギャー

聖良(悪魔)『いえ!!休むべきです!!それこそ、理亞の今後の為になると思います!!………ぐぬぬ』ギャーギャー

 

 

 あ、まだいるのね……。てか、私の頭の中で口論しながらチェスしないで。

 

 

 この後、ダンス部の練習が終わるまで私の頭の中で空想の姉様達は口論し続け、いつの間にか消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日の放課後、1年生はオリエンテーション合宿が近くなっているということなので、ダンス部の練習が1年生だけ休みになってしまった。

 

 私はそんな必要はないと主張し、参加させてもらうように先輩達に頼む。

 

 しかし、先輩に合宿に持っていく荷物で足りないものがあったら買いに行きなさい。その為の休みです。と言われてしまい、部室から優しく追い出されてしまった。

 

 足りないものなんて…………普通にあるわね。

 

 歯ブラシセットと持参用のシャンプーとトリートメントが無かった気がする。

 

 仕方がない。ここは先輩たちの言葉に甘えて買いに行くことにしよう。

 

 そう思い、下駄箱の方まで行くと

 

聖良「理亞〜」

 

理亞「姉様」

 

 姉様が下駄箱の前に立っていた。そして、私の姿を見て、微笑みながら手を振る。

 

理亞「どうして、ここに??」

 

聖良「今日の買い出しをですね。少し手伝って欲しいと思いまして……」

 

理亞「伊吹は??」

 

聖良「伊吹にも声を掛けようと思ったのですが………、探しても見当たらなくて。下駄箱を見たら靴がもう変えられてたので、もう帰ったんだと思います」

 

 伊吹め………。何勝手に早く帰ってるのよ。

 

聖良「お願いしてもいいでしょうか??無理なら無理で全然いいんですけど………。」

 

理亞「いや、大丈夫よ。姉様。私も買い物に行く予定だったし。」

 

聖良「本当ですか!?それは、良かったです。お礼に1つ好きなお菓子を買ってあげますからね♪」

 

理亞「あ、ありがとう…………。」

 

 姉様にとって、まだ私はお菓子をあげると喜ばれると思っているのだろうか??まぁ、普通に嬉しいけど。HAR○BOにしよう。

 

 

 それから、私と姉様は並んでショッピングモールへと足を運び、食品コーナーへと向かう。

 

 

 途中、歯ブラシセットと持参用のシャンプーとトリートメントが置いてある棚を見つけたので、私は姉様に声を掛ける。

 

 

理亞「姉様、先に私の買い出しだけぱぱっと終わらせてきていいかしら??すぐに終わるから………」

 

聖良「分かりました。こっちは食材選びで時間がかかると思うので全然大丈夫ですよ。」

 

理亞「ありがとう。じゃ、行ってくるわね」タッタッタ

 

 

 姉様とひとまず分かれ、私は歯ブラシセットとシャンプー、トリートメントが置いてあった棚へと早足で向かう。そして、何事も問題なく、目的の物品を手にしてレジの方へと行く。

 

 

 「ありがとうございました〜」

 

 

 よし。これで、私の買い出しは終わりね。すぐに姉様の所へ戻ろう。

 

理亞「……………ん??」

 

 

 姉様の所へと戻っていると、道中にあった玩具コーナーにて見知った白髪頭の男が視界に入る。

 

 

 うん、伊吹だ。どうして、ここに??

 

 

 あ、よく見たら伊吹の手には買い物袋がぶら下がっており、中から歯ブラシセット的なものが見える。

 

 

 きっと、伊吹も私と同じようにオリエンテーション合宿の持ち物で足りないやつを買いに来たのだと分かる。

 

 

 それにしても、ずっと何かを見てるわね。何を見てるのかしら。

 

 

 伊吹が見ている方に視線を移すと………

 

 

 ”仮面ライダー変身ベルト。DXゲーマドライバー”

 

 

伊吹『……………』ジィー

 

 

 えぇえぇえぇえ!?まさかの仮面ライダーのベルト!?嘘でしょ!?

 

 私は余りにも驚愕すぎて、口をあんぐりとさせてしまう。

 

 普段、伊吹は部屋に籠ってることが多いからあいつが何が好きで何が嫌いなのかは余り分からないでいたけど…………。

 

 ちょ、えっ…………えぇ………(困惑)。なんか、知ってはいけないものを知った気がする。

 

伊吹『…………』スッ

 

 伊吹はポケットから財布を取り出して中身を確認し始める。まさか………嘘よね??だって、もう中学生なのよ??

 

伊吹『……………』ウーン

 

 めっちゃ悩んでる!!顎に手を付きながら財布の中身を確認してめっちゃ悩んでる!!

 

伊吹『……………』チラッチラッ

 

 伊吹が周りを見始める。周りに知人がいないかを確かめるためかしら??私は咄嗟に隠れる。

 

伊吹『……………』フム

 

 周りに誰も居ないのを確認した伊吹はもう一度、ベルトの方へと視線を戻す。買わないよね??

 

伊吹『……………』ガシッ…、タッタッタ

 

 

理亞「いや、買うんかい!!!!」

 

 

伊吹『………………』ビクッ

 

 結局、購入するのを決意したのか、伊吹はベルトを持ってレジの方へと向かうのを見た瞬間、私は思わず声を出してしまった。

 

 

 当然ながら、伊吹は私の存在に気付いてしまい…………

 

 

伊吹『……………』

 

理亞「……………」

 

 

 

 お互い、気まずい状況へとなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理亞「だから、ごめんって」

 

 あれから、伊吹はベルトの購入を断念し、姉様の買い物を手伝ってくれるそうなので2人で姉様の所へと向かっているのだが………

 

伊吹『……………』

 

 伊吹は両手で顔を覆っていた。きっと、自分が変身ベルトを購入しようとした所を知人………いや、それ以上か。同じ屋根の下で暮らしている同居人に見られて恥ずかしくなっているのだろう。

 

理亞「みんなには内緒にしておいてあげるから………ね??」

 

伊吹『……………』

 

 励ましの言葉を送っても、伊吹は反応しない。

 

 なんだか、こういう姿の伊吹をあまり見ないから新鮮ね。少しだけ可愛いかも。

 

 だけど、そろそろ立ち直ってもらわないと食品コーナーへと着いてしまうわね。

 

 伊吹には申し訳ないけど、少しだけキツく言おう。

 

理亞「ねぇ、伊吹。そろそr」

 

 

 

 「何度言ったら分かるの!!!!」

 

 

 

理亞「ーーーーッッ!?」ビクッ

 

 突然、誰かの大声が響き渡る。

 

 聞こえてきた方に顔を向けるとそこには、明らかに怒っているであろう1人の女性とその女性の娘らしき女の子がビクビクと震えていた。

 

 

 

 「全く!!アンタって子は!!どうしてそんなことをするの!!ママ、それ許可した!?してないよねぇ!?」

 

 

 

 母親らしき女性はここが公共の場であることにも関わらず、声を張って女の子を責める。

 

 

 「だ、だって…………」

 

 

 「だっても糞もない!!アンタはママの言う通りにしてればいいの!!分かった!?」

 

 

 うわぁ………、あぁいう親、いるわよね。どうして、自分の大切な子供にあんなこと言えるのかしら。神経を疑うわ

 

 

理亞「嫌よね、あぁいう親」

 

 

伊吹『……………』

 

 

理亞「伊吹??」

 

 

 「ふぇ…………」ヒックヒック

 

 

 女の子は泣き始めてしまった。

 

 

 

 

 

 「泣くんじゃないわよぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

 それを見た女性は、怒りで我を忘れたのか発狂しながら女の子に目掛けて手を出そうとする。

 

 私は思わず、その場で目を閉じてしまった。

 

 

 ーーーパァン!!!

 

 

 目を閉じて、すぐに叩かれたであろう音が響き渡る。

 

私は恐る恐る目を開けると…………

 

 

理亞「ーーーーッッ!?」

 

 

 そこには信じられない光景が広がっていた。

 

 

 「何よ………アンタは………」

 

 

伊吹『……………』ヒリヒリ

 

 

 片方の頬を赤くし、女の子を庇うように多いながら伊吹は女性を睨みつけていた。

 

 

 「え?え?………え?」

 

 

 女の子は突然の出来事で唖然していた。それは、私も同じ。何してるのよ、あいつ!!

 

 

 「アンタ一体、なんのつm…………」

 

 

伊吹『……………』ギリッ

 

 

 「ーーーーッッ!?」

 

 

 伊吹は凄い形相で女性を睨みつける。ただでさえ、濁っている瞳が更に濁り、鋭い目線が女性を貫く。それによって怖気付いてしまったのか言葉が途中で切れた。

 

 数年間、一緒に暮らしてきて少なくとも1度も見たことは無い伊吹の姿に私は震え動けなくなってしまう。

 

 

 

 怖い………。

 

 

 

 この感情のせいで、止めたくても止めれないでいた。

 

 

伊吹『……………』タッ………タッ

 

 

 伊吹は睨み付けながら、女性の方へと近づく。

 

 そのまま、彼女に手を出してしまいそうな勢いだ。

 

 

 

 やめて!!伊吹!!

 

 

 

 

 そう言おうとしても恐怖で声を出すことが出来ない。

 

 

 そして、そのまま伊吹が女性の前に辿り着こうとした所で…………

 

 

 

 ーーーガシッ

 

 

 「辞めてください、伊吹」

 

 

伊吹・理亞「ーーーーッッ!?」

 

 

 1人の女性が伊吹の腕を掴んで止めさせる。おっとりとした穏やかな表情が特徴的でサイドテールにしている私が最も尊敬してる人である…………

 

 

 

 

聖良「伊吹。そんなことしたら、聖良姉さんは悲しいです。勿論、理亞も同じ気持ちだと思います。」

 

 

 

 

 姉様である………鹿角 聖良が悲しそうな表情を浮かべながら伊吹の腕を掴んでいた。

 

 

伊吹『……………』

 

 

 姉様の言葉を聞いて、伊吹は私の表情を見る。きっと、今の私の顔は涙で酷いものだろう。

 

伊吹『……………』シュン

 

 伊吹は力を弱めて、その場で足を止めた。それを確認した姉様は女性の元まで行き、

 

 

聖良「うちの家族がご迷惑をかけてすみませんでした。これ、良かったらどうぞ。せめてのお詫びです」

 

 

 姉様は女性に頭を下げたあと、店のクーポン券を女性に渡した。悪いのは、ほぼ女性の方なのに………。

 

 

聖良「理亞、伊吹。もう今日は、帰りましょう。買い物は夜、行くことにします」

 

 

理亞「………はい」

 

伊吹『……………』コクリ

 

 

 その後、私たちは何も話さずに帰宅した。

 

 

 どうして、伊吹があんなことをしてしまったのかは分からない。

 

 

 けど、一つだけ分かることは確実に過去に何かがあったはずだ。

 

 

 

 だけど、聞けない。なぜなら、怖いから。

 

 

 

 この日以降、私は伊吹に声を掛けることが出来なくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、そんな状況が続く中、オリエンテーション合宿が始まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




自己紹介

・天草 伊吹……実は大の特撮大好き少年である。密かに仮面ライダーの玩具は購入しているがベルトだけは管理が大変なのと聖良と理亞にバレたくないため、買わないでいた。しかし、欲望が抑えきれずに本格的に買おうとしたところで理亞にバレてorzとなる。女性と娘のやり取りを見て、何を思ったのかは謎だが、聖良が止めるまでは本気で女性をぶん殴ろうとしてた。その後はナイーブ状態へと陥る。

・鹿角 理亞……相変わらず学校行事を嫌う。頭の中では天使の聖良と悪魔の聖良が生息しているのを確認。伊吹が特撮好きと知って内心、少しだけ馬鹿にしてる。豹変した伊吹の姿を見て以降、伊吹に話しかけるのが怖くなってしまう。

・鹿角 聖良………ポンコツにて有能な鹿角家長女。因みに、伊吹を止めた時、内心かなりビビってたのはここだけの話。



高校生編で今放送しているゼロワンにしたかったため、3年前に放送していたエグゼイドにしております。ご了承を

姉様のポンコツ具合

  • 現状維持
  • 控えめ
  • いいぞ。もっとやれ
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