最果ての航路   作:ばるむんく

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結成

「……寒くない?」

「北に行けば行くほど寒いのは自然なことだろう」

「それは、そうなんだけどさ……」

 

 鉄血艦船を新たに加えた新生アズールレーン一行は、次なる目的地であるロイヤル本島へと向けて移動している最中だった。息も白くなるような程寒くなってきた海を見ながら、クリーブランドは服を変えずに突っ立っている恭介の言葉に白い息を吐いた。

 

「それで、ロイヤルに向かう目的は何か聞いていいかしら」

「……俺が聞きたいぐらいだ」

「は?」

 

 恭介達についていくことを決めたプリンツ・オイゲンではあるが、基本的にはロイヤルの艦船とあまり関わりたくないと思っているので、ロイヤル本島へと向かうと言われて一番最初に反対したのはプリンツ・オイゲンだった。優雅を尊ぶ文化を根本的に理解できないと思っているプリンツ・オイゲンだが、鉄血への執念とも言える程の敵意を見せる、国そのものが信用できない面もあった。

 納得できる答えが聞けると思っていたプリンツ・オイゲンだったが、恭介から返ってきたのは苦笑と曖昧な言葉った。

 

「前々からこっち来い、ってクイーン・エリザベスには言われてたんだけどな」

「結構熱烈に来てたよね」

 

 恭介の言葉に瑞鶴は一人で納得して頷いていた。恭介宛にロイヤルから手紙が来ていることはプリンツ・オイゲンも知っていたが、まさか熱烈に勧誘しているとまでは思っていなかったので、プリンツ・オイゲンは眉間に皺を寄せることしかできなかった。

 

「そう心配するな。悪いことではないだろう」

 

 そう言いながら海の方へと指を差した恭介につられて、甲板にいたクリーブランドとプリンツ・オイゲンと瑞鶴が視線を向けると、そこにはゆっくりと艤装を起動させずに近づいてくるニューカッスルの姿があった。過去の戦いを思い出して露骨に嫌そうな顔をしたプリンツ・オイゲンを無視して、ニューカッスルは恭介の方へと頭を下げた。

 

「随分と、いい目をするようになりましたね」

「……そうだといいがな」

「ふふ……さぁ、こちらへ」

 

 ロイヤル領海と鉄血領海の間に存在する空白海域にもかかわらずニューカッスルが現れたことに、恭介は特に疑問も持たず、先導するように先を走り始めたニューカッスルを追うように船へと指示を出して舵を切った。メンタルキューブによって恭介の思考一つで動き出すその姿に、ニューカッスルはまるで艦船になったようだと苦笑していた。

 

「……一つ、重要なことを思い出した」

「なによ」

「まだなんかあるのか?」

 

 ニューカッスルの先導に従うことに不満を持っているのか、嫌そうな顔をしたままのプリンツ・オイゲンはぶっきらぼうに返事をし、クリーブランドはこれ以上の隠し事があるのかと呆れていたが、瑞鶴は過去の経験からこんな顔をしている時の恭介の口から出てくる言葉は、案外どうでもいいことなのを知っていたので、先にため息を吐いた。

 

「この船の名前、決めてない」

「知るかっ!」

 

 心底どうでもいいことを真面目な顔で呟く恭介に対して、プリンツ・オイゲンは青筋を浮かべながら手に持っていたコンパスを投げつけた。

 

 


 

 

 ニューカッスルに連れられるままロイヤル本島へとやってきた一行は、隠れるように船を停泊させてから本島へと降り立った。ロイヤル海軍本部がある場所から少しだけ離れた内海に通された新生アズールレーンの面々は、地上でも案内を引き受けたニューカッスルが海軍庁舎へと通されていた。

 

「流石に歴史を感じさせる建物だ」

「そういう国だからな」

 

 ユニオンのような最新鋭的な基地ではないものの、長い歴史と伝統を感じさせるロイヤル建築の海軍庁舎にエンタープライズは一人で感心していた。新生アズールレーンの代表として、恭介、エンタープライズ、長門、プリンツ・オイゲンだけが廊下を歩くニューカッスルを後ろを追いかけていた。

 

「ここです。どうか礼などは気にせずに、普段通りのままで構いません」

「助かる」

 

 ニューカッスルの言葉に礼を言ってから扉を開けて中に入ると、豪華な装飾がまず第一に目に入り、続いて正面に座って紅茶を飲んでいる少女の姿が目に入った。

 

「随分と久しぶりに感じるな。クイーン・エリザベス」

「世界会議以来ね。敵対している以上無理もないけれど」

 

 姿だけ見れば少女と言えるクイーン・エリザベスだが、全身から滲みだすカリスマと優雅さを見て、彼女がただの年端もいかない少女だと考える人はいないだろう。背後にはオールドレディと呼ばれるウォースパイトが護衛の為に立ち、ウォースパイトと逆側にはクイーン・エリザベスが最も信頼しているメイド、ベルファストが立っていた。

 

「ベル、人数分の紅茶をお願い」

「かしこまりました」

 

 クイーン・エリザベスはベルファストへと指示を下してから、恭介達に座るように促した。重桜で神子として敬われることが多かった長門と恭介は自然な形でソファに座り、プリンツ・オイゲンは不機嫌さを隠しもせずに座り、エンタープライズは少し緊張しながら座った。

 

「それにしても……バラバラな顔ぶれで面白いわね」

「そりゃあどうも」

「約束通り、指揮官を説得したぞ」

「約束した覚えはないけれど……本当にやるとは思わなかったわ」

 

 実際に世界会議で神代恭介の危うさを確認したクイーン・エリザベスだが、エンタープライズが本当に彼を動かすとは思わなかったし、彼がこんな目をするようになるのはもっと先のことだと考えていた。故に鉄血よりも初動が遅れてしまったことは事実ではあるが、クイーン・エリザベスとしては目の前にいる新生アズールレーンへの協力を惜しむつもりはない。

 

「それで、俺はここにきて何すればよかったんだ?」

「本当はロイヤルで指揮官をやって欲しかったけど……今の貴方にそんなこと頼むのは世界の損失ね。ロイヤルからも人員を出すわ」

 

 ロイヤルに勧誘してからゆっくりと彼の歪みを正そうとしていたクイーン・エリザベスだが、思ったよりも立ち直るのが早かったのを確認して、ロイヤルからも人員を送ることを決めていた。これから彼ら新生アズールレーンが良くも悪くも世界の中心になることは明白であり、その中心にロイヤルを一枚でも噛ませることができなければ、ロイヤルの未来そのものがないことをクイーン・エリザベスは理解していた。

 

「と言っても主力を貸し出せる程余力もないのは事実だろう?」

「そうね。けど、主力として動いていない艦隊ならいくらでも貸し出せるわ。ふふん、海軍強国を舐めないことね」

 

 得意げに鼻を鳴らすクイーン・エリザベスの姿に、見た目相応の年齢ではないのだろうかと思いながらも、恭介としては人員が少しでも増えるのはありがたいことだった。

 

「それで、誰を貸し出せるのよ。役に立たないのはいらないわよ」

「そう噛みつくなオイゲン」

「うむ……我らの今の戦力から考えると、メイド隊、か?」

「そうだろうな」

 

 全体的には空母と重巡が多くなっている現状では、軽巡洋艦として戦闘経験を積んでいる優秀なロイヤルメイドが欲しいという長門の言葉に、恭介は同意するように頷いた。それを聞き届けたクイーン・エリザベスは、ニューカッスルを手招きした。

 

「今メイド隊で動けそうで仕事が無い……丁度こっちに来てるハーマイオニーにしかいなくないかしら」

「そうですね……私も動けますが」

「そうね……わかったわ! ならロイヤルメイドとしてはまだ見習いだけど、戦果はきっちりあげているハーマイオニーと、貴方となにかと関わりが強いニューカッスルを派遣って形で送っておくわ」

「……アンタが来るの?」

「そのようになりました」

 

 再び露骨に嫌そうな顔をしたプリンツ・オイゲンに、ニューカッスルは見惚れるようないい笑顔を浮かべていた。プリンツ・オイゲンのロイヤルメイド嫌いもなんとかしないとと思いながらも、恭介は感謝の言葉をクイーン・エリザベスに述べながらニューカッスルと握手を交わした。

 

「よろしく頼む」

「貴方様の期待には応えて見せましょう」

「あ、貴方様だと!? し、指揮官を篭絡するつもりか?」

「はぁ……」

 

 ニューカッスルの言葉に過剰反応したのは、プリンツ・オイゲンとは指揮官と長門を挟んで逆側に座っているエンタープライズだった。紅茶のカップを揺らしながら動揺する姿に、長門は一人でため息を吐いた。

 

「助かる。なら話し合いはこれぐらいで充分か? やるべきことが多くてな」

「まだよ。メイド隊二人で人員が足りる訳ないでしょ」

 

 話は終わったと言わんばかりに立ち上がろうとした恭介を止めたクイーン・エリザベスは、プリンツ・オイゲンを一瞥してから笑みを深めた。

 

「フッドを、貴方に預けるわ」

「反対よ」

「まぁ待て……フッドと言えば、ロイヤルを代表する様な戦艦だったと思うが、俺の気のせいか?」

「そうね……フッドはロイヤルの中でも有名どころと言えるわ」

 

 クイーン・エリザベスの出した名前に、プリンツ・オイゲンは不機嫌そうな顔を瞬間的に怒りに満ちた顔へと変えた。かつてビスマルクとティルピッツを死に追いやりかけた艦船の名前を出されれば、新生アズールレーンとして各陣営の艦船達と協力しようと考えていたプリンツ・オイゲンでも、冷静さを保つことができなかった。

 プリンツ・オイゲンを片手で抑えながら、クイーン・エリザベスのフッドを預けるという言葉を上手く咀嚼できていない恭介は、ただ悪戯に鉄血勢へのヘイトを稼ぐだけの行為にしか聞こえなかった。

 

「そこの反応を見ればわかる通り、鉄血とロイヤルは今過去最悪と言っていい程の関係にあるわ。その下手人って言うのは少し違う気もするけれど……フッドは鉄血との関係に罅を入れた象徴と言ってもいいわ。そんな艦船を貴方の下で対等に扱ってほしいのよ」

「……内部で分裂する可能性があるとしてもか?」

「リスクは百も承知よ。でも、荒療治でもしなければ時間が足りないのは事実でしょう?」

 

 クイーン・エリザベスの言葉に、恭介は苦笑することしかできなかった。彼女の言う通り、ユニオンとロイヤルは既にレッドアクシズの制裁に動き始めている一方、鉄血もまた怪しい動きを見せている。北連とサディア、ヴィシア聖座も目立った動きを見せている訳ではないが、色々と黒い噂が絶えない状況になっている。世界中全てが一触即発のこの状況を黙って見過ごせる時期は、とっくに過ぎ去っていた。

 

「…………わかった。フッドを受け入れよう」

「感謝するわ。どちらにせよ、フッドはビスマルクとの戦いで動けない状況が続いていたから、問題は特にないのよ」

 

 片目を閉じながら言うクイーン・エリザベスに、恭介は危ない橋を渡るものだと感心しながらも頷いた。

 

「ついでに、そこで盗み聞きしてる二人も連れて行っていいわよ」

「……盗み聞き?」

 

 笑っているクイーン・エリザベスの言葉に従って全員が視線を扉の方へと向けると、紫色の髪と灰色の髪が恭介の視界に映った。

 

「……フォーミダブル様、ジャベリン様、陛下から別室で待機を命じられた筈ですが」

「あ、あはは……」

 

 容赦なく扉を開けたベルファストは、部屋を覗き込んでいたフォーミダブルとジャベリンを見て呆れていた。クイーン・エリザベスがこの母港まで移動するまでの護衛としてついてきたはずのフォーミダブルとジャベリンは、本来ならば今は別室で新生アズールレーンの他の艦船達と共にいるはずだったのだが、興味本位で盗み聞きをしていたのだ。

 

「何度目かわからないが……本当にいいのか?」

「いいわよ。今はロイヤルもユニオンも及び腰になって戦闘なんて起きる訳でもないし」

 

 重桜との戦いが思いのほか上手くいかないユニオンに引っ張られるようにして、鉄血への警戒を強めるばかりで日和っているロイヤル上層部に呆れた様子を見せながら、クイーン・エリザベスは美しい所作で紅茶を飲んだ。

 

「フッドは何処にいるんだ?」

「ニューカッスルが貴方を見つけた時に連絡したから、ハーマイオニーと一緒にそろそろ着く頃よ」

「そうか……俺達はこれから一度重桜の方へと帰る。何かあったら、連絡をくれ」

「わかってるわ。本当に大変なことになったら、貴方達に助力を求めるわ。ロイヤルの女王として、ね」

 

 可愛らしくウィンクしているクイーン・エリザベスを見て、抜け目のない女王だと思いながら、恭介は紅茶を飲み干してから立ち上がった。

 

「武運を祈るわ」

「ありがとう」

「ふん……」

「わわ、フォーミダブルさんどうしましょう?」

「どうって……ついていくしかないですわ」

 

 クイーン・エリザベスに一言だけ感謝を言葉を述べてから恭介は扉から出ていった。居心地悪そうにしていたプリンツ・オイゲンは黙って恭介の背中を追い、ニューカッスルもクイーン・エリザベスへ一礼してから恭介の後へと続いた。扉の外で盗み聞きしていたジャベリンとフォーミダブルは、女王陛下の命令であれば逆らうこともできないので急いで恭介の後を追った。

 

「私からも礼を言わせてくれ、ありがとう」

「全くよ。貴女がこんなに早く彼を動かすとは思わなかったけど……結果的には良かったわ」

「それでもだ。本当にありがとう」

「余たちを……恭介を信じてくれてありがとう」

「……むず痒いわね」

 

 普段から政治家やら海軍のお偉いさん方と腹の探り合いばかりをしているクイーン・エリザベスとしては、エンタープライズと長門の純粋な好意がむず痒く感じてしまった。実際にロイヤルの艦船を新生アズールレーンに派遣するのも、打算があればこそなのだが、二人はそのことを承知の上でこうして好意を向けているのだからクイーン・エリザベスとしては一番やりにくいのだ。

 

「ふふ……陛下、好意は素直に受け取っておくのが良いかと」

「わかってるわよ……世界のこと、頼んだわよ」

 

 ウォースパイトが微笑みながら助言のようにクイーン・エリザベスへと意見を述べ、それに対して彼女も打算無しの言葉をエンタープライズと長門へと返した。二人はクイーン・エリザベスのその言葉を聞いて、笑顔を浮かべながら頭を下げて部屋から出ていった。

 

「……私も、もう少し頭柔らかくしようかしら」

「よいと思います。時には柔軟性も必要でしょう」

 

 クイーン・エリザベスの言葉に、ウォースパイトは再び微笑みながら自分の意見を述べた。

 

「……ジュリア」

「なんですか?」

 

 紅茶がなくなったことに気が付いたクイーン・エリザベスは、カップを片手で触りながら、隣の部屋で待機していた女性の名前を呼んだ。金色の綺麗な髪を後ろにひとまとめにしている女性は、白い軍服を多少着崩したままクイーン・エリザベスの前に現れた。

 

「貴女もそろそろ実戦指揮をさせられるでしょ?」

「え!? そうなんですか!?」

「はぁ……ジュリア様、ロイヤルは今現場指揮をする者が減っている状況です。貴女も戦場に駆り出されることがあるでしょう、と陛下は仰っているのです」

「そ、そうなんですね……」

 

 先程クイーン・エリザベスの前に座っていた恭介よりも更に若い女性は、ロイヤルで艦船指揮を専門とする軍人として教育を受けてきた人間であった。クイーン・エリザベスのことをただの艦船だとして、執務に関わらせないようにしようとする上層部に対抗する為に、女王陛下自ら育て上げた艦船指揮のスペシャリストだが、未だに実戦経験はない。

 

「貴女、そのうちさっき来てた新生アズールレーンのトップ……神代恭介の下に行ってもらうわ。今決めた」

「……え?」

 

 端的に用件だけ言ったクイーン・エリザベスに、ジュリアは固まることしかできなかった。艦船を完璧に指揮する恭介と言えど、全ての艦船を一人で指揮するのは不可能だろうと考えての発言だが、ずっとロイヤルネイビーを指揮すると思っていたジュリアは、突然の言葉に固まったまま動かなくなっていた。

 

「……先が思いやられるわね」

「全くです」

 

 ウォースパイトとベルファストの呟きも聞こえていないジュリアに、クイーン・エリザベスはため息を吐いた。

 

 


 

 

「はぁ……艦船をひとまとめにするのも楽じゃないな」

「それは……当然、と言うと悲しいが当然のことだな」

 

 フッドに対して睨みを利かせているプリンツ・オイゲンを遠目に、恭介はエンタープライズと共に艦船全員が揃うのを待っていた。先に乗り込んでいた重桜とユニオンの艦船達も、ロイヤルと鉄血の一部がいがみ合っている姿を見て思い思いの表情を浮かべていた。

 

「早くしろ。さっさと帰るぞ」

「……ふぅ……全く、仲良しこよしはしないわよ?」

「それは好きにしていい。だが必ず協力はしろよ」

「わかってるわよ。そこまで子供じゃないわ」

 

 恭介に釘を刺されたプリンツ・オイゲンは不機嫌そうに船に乗り込み、その後ろを追いかけるようにライプツィヒが走った。

 

「ごめんなさい。オイゲンには悪気はないのよ」

「私も貴女も、そして彼女も……かつては己の所属する陣営の為に戦った。それ以上も以下もありません……彼女が私に向ける感情も、家族を傷つけられた者として当然のもの。私には受け止める義務があるのです」

「そうか……ありがとう」

 

 フッドが苦笑を浮かべながらそう言うと、ティルピッツは微笑みながらフッドと握手を交わした。Z23はその高潔とも言えるフッドの精神に感心し、尊敬の目を向けていた。度々無茶振りをしてくるプリンツ・オイゲンに比べたら、Z23の中ではフッドの方が理想の上司なのだろう。彼女もまた自分の妹のように可愛がっているシグニットを着せ替えしている、悲しい現実をZ23は知らないが。

 

「指揮官様、ロイヤルメイド隊ダイドー級のハーマイオニーと申します。これからよろしくお願いしますね」

「こちらこそ……正直食事情が怪しかったから、メイド隊が来てくれて助かった」

「ふふ……お食事ならメイドの私と、ニューカッスルさんにお任せください」

 

 仕事ができると聞いて目を輝かせるハーマイオニーを見て、恭介はメイド隊の変わらなさに笑みを浮かべながら、全員がようやく船に乗ったことを確認して目を閉じた。

 

「さて、さっさと基地に帰るか」

「……これが神代恭介の力、ですか」

 

 彼の声に応じて船そのものがぼんやりと光を発してから、動き始めた。艦船のように大型の船を一人で動かす恭介の姿に、フッドは感嘆の声を上げながらも彼の背中を見ていた。

 ユニオン、重桜、鉄血、ロイヤル、それぞれ四大陣営の艦船を味方に付けた新生アズールレーンは、ようやく組織として動き出そうとしていた。恭介の目指す人と艦船が分かり合える世界の為に、一歩でも世界を前に歩ませる為に、恭介はようやく動き出した。

 

「新生アズールレーン、ようやく結成だな」

「ちょっと遠回りはしちゃったけど……指揮官なら大丈夫でしょ?」

「うむ。恭介、お主ならば……世界を正しき方向へと導けよう。その為なら、我らは幾らでも力を貸すぞ」

 

 エンタープライズ、瑞鶴、長門の言葉に背中を押されるように、恭介は薄く笑みを浮かべて頷いた。人と艦船の未来の為に、恭介は自分の信念を貫くことを決めた。

 かくして、新生アズールレーンという恭介が掲げる希望の船は進み始めた。例え行く先に嵐が待とうとも、そらすらも超えて、その先にある真実の楽園を目指す為に。




ようやく四大陣営が揃いました。
ジュリアちゃんはそのうち新生アズールレーンに指揮官として加わってもらうつもりです。
一人で全部こなしてたら普通に指揮官の頭壊れちゃからね。
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