最果ての航路   作:ばるむんく

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まだ重桜に帰れないのかよ(呆れ)


撤退

「さっきから逃げるばかり。時間稼ぎと言っておきながらもどんどんと母港へと近づくか……何を狙っているのか」

 

 キング・ジョージ5世はひたすら逃げに徹するプリンツ・オイゲンを追いかけながら、その真意を図っていた。先程時間稼ぎをして基地から遠ざけると言っていながらも全く反対の行動をするプリンツ・オイゲンに、自分が何かに誘い込まれているのだと理解しながらも、キング・ジョージ5世はそこから撤退することは絶対に選択しない。

 

「私が逃げると思うならそれは過小評価というものだ」

「……でしょうね。突っ込んでくると思ったわ」

 

 背後から副砲を牽制目的で撃ってくるキング・ジョージ5世を見ながら、プリンツ・オイゲンはただひたすら基地へと向かって全速力で動いていた。全く戦う気の無い動きだが、プリンツ・オイゲンに闘志が全く無い訳ではない。むしろ、今すぐあの戦艦を沈めたくて仕方が無いくらいにはプリンツ・オイゲンという艦船は戦闘に対して貪欲な艦船だった。

 

「もう少し……もう少しで……沈められる」

 

 プライドにかけて逃げる訳にはいかないキング・ジョージ5世と、今すぐにでも反転して敵を沈めたいプリンツ・オイゲンの逃走劇はすぐに終わりを迎えた。

 

「今っ! 全機発艦!」

「むっ!?」

 

 プリンツ・オイゲンが急に反転してキング・ジョージ5世へと向いた瞬間、号令と共に鉄血量産型空母が現れ、一斉に艦載機を放った。すぐさま対空砲を動かして艦載機を撃ち落とし始めたキング・ジョージ5世だったが、それを許す程プリンツ・オイゲンは大人しい性格ではない。

 

「さぁ、どっちが先に沈むかしらね!」

「ははっ! 臆病者かと思ったらとんだ野獣ではないか!」

 

 貪欲に相手の命を狙っている目をしている敵を見て、キング・ジョージ5世はとても楽しそうに笑っていた。プリンツ・オイゲンを相手にすればまともに対空砲を撃つことはできず、対空に警戒しすぎればすぐにでもプリンツ・オイゲンの主砲が直撃するだろう。絶体絶命の状況でキング・ジョージ5世は楽しそうに笑っていた。

 

「さぁ、私と踊ろうか!」

 

 キング・ジョージ5世が主砲を構えた瞬間、背後からソードフィッシュが一斉にプリンツ・オイゲンに向かって雷撃を放った。

 

「馬鹿なっ!? 対空攻撃のできないソードフィッシュを放つなんて、どんな奇策よ!?」

「何を言う。あれでアーク・ロイヤルの扱うソードフィッシュは、簡単に落とされたりはせん」

 

 雷撃を寸でのどころで避けたプリンツ・オイゲンは、キング・ジョージ5世に主砲を撃つこともできずに距離を取った。その間、キング・ジョージ5世は悠々と対空砲火によって鉄血の量産型艦載機を落としていく。

 

「策はこれだけか? なら我々の勝利だな」

「ちっ! これだけで沈められると踏んだ私が甘かったってことね……」

 

 ソードフィッシュを落とそうと躍起になっているプリンツ・オイゲンへと静かに砲塔を向けたキング・ジョージ5世は、楽しそうに微笑んでいた。まるで愛する人を見守るかのような穏やかな顔で、一人の艦船を沈めようとしていた。

 

「さらば。よい殺気だった」

「……勝利の瞬間が、一番の隙よ」

「ッ!?」

 

 突然背後から聞こえた声にキング・ジョージ5世が振り返ると、そこには冷たい目をした一人の艦船と、十本以上の雷跡が海に刻まれていた。ならば雷跡を刻んだ魚雷は何処にあるのか、キング・ジョージ5世がそう考えると同時に十回以上の爆発音が海上に響き渡った。

 


 

「指揮官、これからどうするの?」

「勿論、鉄血の艦船を助ける。同盟国としてこのまま黙っている訳ないだろ」

「……でもメイド隊とは」

「それとこれとは話が別だ」

 

 金剛、比叡、天城が待っているシェルターまで早足で歩いている恭介は、瑞鶴を諭していた。優しい性格である瑞鶴は敵と言っても先程まで一緒にいた艦船と戦うことを納得することはできないのだろう。それでも、同盟国としてこのままロイヤルを放置して身を潜めるなどということは恭介の頭の中にはなかった。

 

「戻った」

「遅いですわ! 早く指示して下さらないと」

「まぁまぁ、指揮官様。ご指示を」

「鉄血艦隊を援護する。ただし、ロイヤル艦隊も沈めるなよ。聞きたいことは山ほどある」

「全員生かせと?」

「一人で充分だ」

 

 時に指揮官として非常な判断を下さなければならない恭介は、心を痛めることがあっても、人類が手を取り合って恒久和平へと向かうことができると本気で信じることができるほど甘くも無かった。

 

「了解しました」

「この時を待っていましたわ! 金剛型高速戦艦一番艦金剛、出ますわ!」

「……」

「瑞鶴は零戦でソードフィッシュを落とせ。敵は攻撃しなくていい」

「……うん」

 

 とても悲しそうな顔をしながら、さっさと海へと出ていった金剛と比叡の背中を見て瑞鶴は艤装を展開して零戦を飛ばした。いくら敵を沈めたくないと思っていても、零戦を飛ばしてしまえば自分はただの艦船なんだと言い聞かせながら瑞鶴は視界を艦載機と共有して大空を駆けていた。

 

「指揮官様、彼女は」

「分かってる。もう瑞鶴は、ロイヤルを敵として見れない」

 

 いくら瑞鶴が自分はただの道具でしかないと言い聞かせたとしても、止めを刺す瞬間に絶対に手が止まるだろうことは恭介にも理解できていた。それが敵陣のど真ん中だったとしても、彼女は感情が表に出てしまうだろう。

 

「彼女は戦士としては、若すぎる」

「……貴方も、ですわ」

 

 悲しそうに呟く恭介に対して、天城は同じ感想を抱いていた。戦士としては若すぎるにも関わらず、特異な体質と神木に選ばれたせいで、その年齢には似合わない冷静さと冷徹さを持ってしまった。その歪さがいずれ彼の崩壊に繋がる危険を危惧しながら、天城は彼を見ていた。

 


 

「ッ!? キング・ジョージが!?」

「何があったんですか!」

「分からない。プリンツ・オイゲンを追い詰めた瞬間に雷撃を受けた。まだ無事も確認できていない」

 

 ドイッチュラントに対して二対一で戦ってたいエイジャックスとオーロラだったが、アーク・ロイヤルの焦った様な声にオーロラが反応してエイジャックスはそのままドイッチュラントとの距離を詰めて主砲を放った。あれだけキング・ジョージ5世との戦いで傷を負いながらも二対一でも全く劣らないその戦闘能力に、エイジャックスは若干苛立ちを感じていた。対するドイッチュラントは艤装のダメージによって多少の動きにくさを感じながらも、焦り始めているエイジャックスに若干の余裕が戻ってきていた。

 

「お仲間が、大変みたいよ」

「お黙りなさい」

 

 主砲が外れるとエイジャックスは距離を取って魚雷を放ち、ドイッチュラントに避けさせる。避けさせた方向へと向かって弾丸を放つが、当然の様に艤装を盾にして猛獣の様に距離を詰めてくるドイッチュラントに、下唇を噛んだ。

 

「あんたたちロイヤルはいつも優雅、優雅って大国の余裕を醸し出しているつもりで、舐めすぎなのよ。だからあの戦艦も、あんたもここで死ぬ」

「つくづく野蛮で不愉快な方ですわね。なりふり構わず全てを捨てて戦うなど獣も同じ。優雅を、余裕を捨ててしまってはそれこそ人の形をしている意味がありませんわ」

 

 真っ向から意見が対立する二人は殺気をぶつけ合いながら睨み合っていた。旗艦がピンチに陥っている艦隊の艦船と、防衛している艦隊の艦船ではどちらが余裕を持っているかなど決まっている。ドイッチュラントはエイジャックスが動き始めるのを待っていた。

 

「アーク・ロイヤルさん、ソードフィッシュでキング・ジョージさんの様子は分からないんですか?」

「やろうとしているのだが……零戦に撃墜されていく!」

「あら? 重桜が動いたみたいね。まぁ同盟国を名乗っているんだから動いてもらわないと困るんだけど」

 

 アーク・ロイヤルの言葉を聞いてではなく、こちらへと向かって飛んでくる零戦の姿を見てドイッチュラントは喋っていた。零戦を使っての空中戦だけを行っていることを見て、重桜が全面的に協力している訳ではないことを理解したドイッチュラントは、艤装を動かしてエイジャックスへと砲塔を向けた。

 

「さ、邪魔もいないみたいだし、続きを始めましょうか」

 

 メイド隊すら合流していないのに危機的状況へと追い込まれている事実に、エイジャックスは表情を険しくしていた。

 

「……零戦……神代恭介は動くことにしたのね」

 

 プリンツ・オイゲンは、空中戦でソードフィッシュを撃ち落としていく高練度零戦を見て、それが重桜海軍第五航空戦隊の片割れである瑞鶴が放ったものだと理解していた。何せ神代恭介の護衛で動いていた中で零戦を飛ばせるのは瑞鶴だけなのだから。

 

「さて、まだやれるのかしら? 騎士長サマ」

「ふッ……問題無い」

 

 十発以上の魚雷の爆発によって発生した水しぶきの中から、満身創痍とも言えるキング・ジョージ5世が現れた。辛うじて立ってはいるが、艤装のあちこちから黒煙を上げ、幾つかの砲塔が爆風によってひしゃげているのにも関わらず、キング・ジョージ5世は不敵に笑いながら剣を構えた。

 

「しぶといね」

「お疲れ様、U-47」

 

 プリンツ・オイゲンの横へと浮上してきた潜水艦U-47は、自分の装填できる魚雷全てをぶつけても沈まずに立っているキング・ジョージ5世を見て素直に称賛していた。あれだけの雷撃を受ければ普通の船ならば沈んでいる。それを気合か何かで立っているのだから、それだけで侮れない敵であると判断するには十分だった。

 

「ぐッ、ゴホッ……Uボートだった、とはな」

 

 吹き飛んだ艤装の破片が刺さり、身体中から出血しているキング・ジョージ5世は放っておいてもすぐに意識を失うだろう。実際、少し前に進んだだけで口から吐血してすぐさま立ち止まったくらいにはダメージが大きい。それでもそのダメージの中前に進んで、吐血してもなお一歩も後ろに下がらないのだから驚異的だが。

 

「一足先に、ヴァルハラへ行ってなさい」

「ふふ……簡単には、倒れられんな」

「私達がさせません」

 

 砲塔をキング・ジョージ5世へと向けたプリンツ・オイゲンだったが、横から放たれた弾丸を平然と艤装で弾いて視線だけを向けた。

 

「あら? メイド隊、ね……基地に潜り込んでいたのかしら?」

「えぇ。色々と調べさせてもらいました」

「そう……私には関係ないわね」

「ビスマルクさんもそう仰っていました」

 

 キング・ジョージ5世の前に立って二つの銃を向けてくるシェフィールドの言葉に全く興味が無さそうだったプリンツ・オイゲンだったが、ニューカッスルの言葉からビスマルクと言う名前が出てその動きを止めた。

 

「……ふふ。あははは! そう言うことね。なら、私があんた達を沈める必要は無い訳ね」

「手は出さないと?」

「そうは言ってないけど……一人だけ残ってもらうわ」

「それは私達の意見と合致しますわね」

 

 何かを察して楽しそうに笑ったプリンツ・オイゲンがメイド隊の二人へと主砲を向けると、横から金剛と比叡が現れた。まさか戦艦まで動かすとも思っていなかったプリンツ・オイゲンは、神代恭介も同じようにロイヤルの艦船一人だけを残そうと考えているのだと聞いて更に笑みを深めた。

 

「即興だけどチームってことね」

「えぇ。同盟国ですもの」

「お覚悟を」

 

 金剛型の戦艦が二人加わった戦局に、ニューカッスルは表情を険しくしていた。ロイヤルは既に戦闘することもできないキング・ジョージ5世を抱えながら巡洋艦二人で、戦艦二人と巡洋艦一人、そして足下からいつ現れるかも分からない潜水艦一人と戦わなければならない状況だった。

 

「……シェフィ旗艦の生存を第一優先にしなさい」

「待ってくださいニューカッスルさん。それでは」

「ロイヤルの為に最善を尽くしなさい」

「……分かりました」

 

 既に意識も殆どないキング・ジョージ5世が聞けば怒るだろうことは容易に想像できる判断を下そうとしているニューカッスルは、一人で砲塔を三人に向けた。

 

「一人で残る……賢明とは言えないですが、尊敬はしますわ」

「お褒めの言葉、ありがたく頂戴します」

 

 キング・ジョージ5世に肩を貸す形で支えたシェフィールドは一度だけニューカッスルへと振り返ってから、迷いを振り切るように全速力で海域から離脱していった。

 

「さぁ、ここからは元メイド統括、ニューカッスルがお相手いたします」

「まぁ、悪くない獲物ね」

 

 ニューカッスルのカーテシーを見てから、プリンツ・オイゲンは艤装を構えた。

 


 

「ちッ、艤装が限界ね」

「それ程の無理をすれば当然ですわ」

 

 エイジャックスと真正面からやり合っていたドイッチュラントは、オーロラが再び参戦したことで再び危機的状況に追い込まれていた。加えて、連戦で無理をさせていた艤装がここにきて悲鳴を上げるように不快音を鳴らして黒煙を上げ始めた。それでもエイジャックスやオーロラからすればやっと敵が止まりそうになっていることに驚いていた。

 

「これ以上はッ」

「お姉ちゃん!」

「ッ、シュペー!?」

 

 横からエイジャックスとオーロラの間に割り込んできた艦船は、巨大な手の艤装を持った見た目凶暴そうな艦船だった。実際、その見た目通りの強さを持つ艦船なのだが、エイジャックスとオーロラからしてみれば最悪のタイミングで乱入された形だった。

 

「……エイジャックス」

「アドミラル・グラーフ・シュペー……ここにきて敵が増えるとは」

「アーク・ロイヤル様!」

 

 アドミラル・グラーフ・シュペーの乱入に警戒心を高めたエイジャックスだったが、アーク・ロイヤルへと近づいてくるシェフィールドと力なくもたれかかるキング・ジョージ5世の姿を見て、撤退の二文字が頭を過った。

 

「ニューカッスルさんは?」

「……私を逃がす為に、重桜の戦艦二人とプリンツ・オイゲンの囮に」

「そんなっ」

 

 ニューカッスルの名前を出されて、辛そうな顔して告げるシェフィールドに、その言葉が真実なのだと理解したエイジャックスは腹立たしく舌打ちをした。

 

「……撤退する」

「そんなっ!? 待ってくださいアーク・ロイヤルさん!」

 

 旗艦であるキング・ジョージ5世が意識を失った場合に、誰が指揮を執るかは事前に決まっていた。だからこそアーク・ロイヤルは歯ぎしりしながらも撤退を選択しなければならなかった。キング・ジョージ5世の代わりを務めると言うことは、旗艦の代わりを務めると言うこと。一人でも無事に国へと返すことが旗艦に与えられた使命なのだ。

 

「お姉ちゃんも、基地に戻らないと」

「……えぇ。流石にどれだけ強がっても動かないわ」

 

 四肢も既に麻痺し始めていたドイッチュラントは、妹の言葉に従うことにした。互いに警戒しながら離れていくが、ドイッチュラントとシュペーには余裕があり、エイジャックス達には悔しさが滲み出ていた。仲間を見捨てて帰らなければならないことに傷つきながら、彼女達はロイヤル本国まで戻っていくのだろう。

 

「……シュペー」

「なに?」

「わたしがどうしても戦場の中で動けなくなったら、見捨てなさい」

「……うん」

「嘘が下手ね……ちゃんと見捨てるのよ?」

 

 優しい妹は絶対に自分のことを見捨てずに守るために戦うだろうことは簡単に予想できていたからこそ、ドイッチュラントは同じ状況になったら絶対に見捨てるようにと言うのだった。これは戦争なのだから。

 


 

「…………空が、綺麗です」

「そうね」

 

 海上にボロボロのメイド服で倒れ伏しているニューカッスルは、空を眺めていた。圧倒的防御力を誇るプリンツ・オイゲンは、ニューカッスルとの戦闘が終わっても殆ど傷はなく、倒れ伏しているニューカッスルへとゆっくりと近寄ってきていた。既に指一本動かす気力もないニューカッスルは、ただ撤退していったシェフィールド達を心配していた。

 

「逃げおおせたみたいよ」

「そう、ですか……なら、悔いは無いですね」

「……メイドのそういうところが嫌いなのよ」

 

 シェフィールド達が無事に逃げきれていることを聞いたニューカッスルは、安心しきったように微笑んでもう一度空を眺めていた。さっきまでの戦闘も感じさせずに雲が流れているのを見て、ニューカッスルはただただ平和な世界で暮らしたかったと望んでいた。

 

「じゃあ、色々聞きたいこともあるから連れて行くわよ」

「それは鉄血である貴女の仕事ですわ」

「はいはい」

 

 ニューカッスルを持ちあげることを拒否した金剛に、プリンツ・オイゲンは肩を竦ませてからニューカッスルの肩と膝裏に手を回した。俗に言うお姫様抱っこの状態にニューカッスルもプリンツ・オイゲンも苦笑しながら、動き始めて、プロペラ音を聞いて振り返った。比叡も金剛も艤装を構えて空を見上げた。普段から聞き慣れている金剛型の二人は決して間違うことは無い。

 

「このプロペラ音は零戦のものではありません」

「まさか……ちっ!?」

 

 咄嗟にニューカッスルを放してプリンツ・オイゲンは横に回避した。特攻の様な超低空飛行でプリンツ・オイゲンへと迫っていた艦載機はそのまま上空へと急上昇して旋回していた。

 

「シーファイア……イラストリアス級ね」

「はい」

 

 旋回するシーファイアを見上げていたプリンツ・オイゲンは、透き通るような声のした方向へと視線を向けた。純白のドレスを身に纏う少し身長の低い艦船。その姿に、プリンツ・オイゲンは見覚えがあった。

 

「まさかネームシップが来てるとは思わなかったわ。お転婆の妹の方かと思ったから」

「ヴィクトリアスはそんなにお転婆かしら?」

「フォーミダブルの方よ。イラストリアス」

 

 イラストリアス級装甲空母一番艦イラストリアスは、静かに微笑みながら佇んていた。

 

「ニューカッスルさんを返してください!」

「ふふ……元とは言え、メイド統括を簡単に失う訳にはいかないんです」

 

 横からイラストリアスを守るように飛び出してきたジャベリンとハーディは、砲塔をプリンツ・オイゲンへと向けて威嚇し、穏やかな笑みを浮かべ巨大な砲塔を比叡と金剛へと牽制の様に向けてロドニーがゆっくりとイラストリアスの横へとついた。

 

「全く……あんた達の陛下は変なところで頭が切れるわね」

「そうでなければ、誰も付いて行きませんよ」

 

 ビックセブンと装甲空母の援軍によって、プリンツ・オイゲン達は少なくとも無傷でニューカッスルを捕らえることが不可能になった。それどころか本気で生け捕りを狙うのならば、誰かが沈む覚悟でなければならないだろう。そうなってまでロイヤルの艦船を捕らえる必要があるかと言えば、そうではない以上無理はできなかった。

 

「じゃあ今回はここまでしておくわ。重桜の艦に傷つけられたら鉄血としても困るもの」

「えぇ。御機嫌よう」

 

 プリンツ・オイゲンと比叡と金剛、そして潜航して好機を狙っていたU-47もゆっくりとロイヤル艦隊から距離を取って基地へと戻っていった。

 

「助けられましたね」

「ニューカッスルさん!」

 

 ジャベリンに勢いよく抱き着かれたニューカッスルは、微笑みながら優しく頭を撫でていた。撫でようと身体を動かすたびに激痛が走っているにも関わらず、誰よりも優しい手つきでジャベリンを撫でていることに気が付いているイラストリアスは、どこまでも優しいニューカッスルに苦笑しながら、丁寧な手つきで抱え上げた。

 

「さぁ、帰りましょう」

「はい!」

「護衛艦が勝手に先行してどうするんですか……全く」

 

 イラストリアスの言葉を皮切りに、ジャベリンが勢いよく先行していき、ため息を吐きハーディは苦言を漏らしながら追いかけていった。




まだ誰も死んでないけど、そのうち誰か死ぬのかな……割と行き当たりばったりで書いてます()
大まかなストーリーしか考えてないですから
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