超絶☆マイクラン 〜心の底からお前を見ている〜 作:エクセレント☆アックア
休日だ。
今節末には盗賊退治が待っている。だがしかし、俺は休む。何故なら俺はレベルがクラスの中で1番高いからだ。
因みにステータスもレベル相応のものである。ここまで言うと、なんで休むか不思議に感じる人もいるだろう。
他の人の経験値を取らないように? それもあるけど違う。
違うんだ。俺は……………命中の神になる!!
俺はさくっと仕事を片付け、とある男を探していた。
その男は、地形の不利もなんのその、威力こそ心もとないが、命中力はガルグ=マクでトップクラスの男。その名も……
「イグナーーーーーーツ!!!」
「な、何ですかスティーブ君」
イグナーーーーーーツは、おとなしめの男だ。しかし、コイツの個人スキル審美眼は命中力を20もアップさせる力を持つ。ちなみに俺の個人スキルは、命中率を含めた諸々を半額セールにする。激安です。
個人スキルはその人のものであり、伝授してもらえる訳ではないが、俺はイグナーーーーーーツの真似をする事によって、命中率をどうしても上げたかったのだ。
現在イグナーーーーーーツは食堂で1人ランチをしていた。隣の席から肉汁の痕跡を発見できた為、恐らくラファエルと2人ランチを取っていたに違いないが、イグナーーーーーーツは食が細いので、早く食べ終わったラファエルは「筋肉を育てるぞ」とか言って先に行ってしまったのだろう。
「スティーブ君は確か、ベレト先生のクラスでしたよね?」
「ああ、そうだイグナーーーーーーツ!! 今日はお前に頼みがあって来た!!」
イグナーーーーーーツは、ポリポリと頬を掻くと、
「え、頼みですか? 僕役に立てるかな」
何弱気な事を言っているんだ。お前は自分の目、命中率に自信を持って良いんだ。
俺が必死にイグナーーーーーーツを口説いていると、そこに沢山の食べ物を持った大男が近付いてきた。
「おう、イグナーツお前もおかわり要るか?」
その大男の学生服ボタンは「む、むりでしゅ」と、いつでも弾け飛ぶ準備が出来ている。
その男の名はラファエル。家族思いの良い兄貴である。
「お? お前はよく壁に張り付いている………誰だっけ?」
「ラファエル君! スティーブ君ですよ!」
イグナーーーーーーツのサポートにより、俺の名前を思い出したラファエル(今知った訳じゃないよな?)はイグナーーーーーーツの隣の席につくと、ランチを楽しみ始めた。
「で、スティーブ。イグナーツに何の用なんだ?」
かくかくしかじか。俺は自身のスキルにより低下してしまう命中率を鍛えたくて、イグナーーーーーーツの弟子入りしたいと言う事を伝えた。
「つまり、イグナーツの筋肉の使い方を学びたいって事だな」
「そうだ! イグナーーーーーーツ! 俺を命中率100の男にしてくれ!!」
イグナーーーーーーツは考え込んでいる。そりゃそうだ。今までロクに話したこともない男、しかも包帯で素顔が分からない、に対してハイ分かりましたとすんなり事か進む訳が無い。
「僕でいいなら喜んで!」
「イグナーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーツ!! ありがとう!!!」
「オデも手伝うぞ」
こうして、俺の命中率アップの修行が始まった。
俺は今節、授業時間以外ほぼ全てを修行に費やした。
ある時は、
「スティーブ君、この美術品は……」
「ZZZ」
「ZZZ」
人がものに込める魂を知り。
またある時は、
「スティーブ君、この本に載っている建築物は……」
「ZZZ」
「ZZZ」
建物が過ごしてきた歴史の重みを感じた。
そして……
「スティーブ! 命中しているぞ!!」
「やりましたね! スティーブ君」
俺達は訓練所で戦闘訓練をしていた。俺は、俺の命中率は向上した。時には仕事をサボり、毎日毎日イグナーーーーーーツの難易度ルナティックな修行を見事やりきった。
ちなみに、ルナティックとはファイアーエムブレムの最高難易度のことで、玄人も唸らせる事で有名だ。
「見てください! 弓100本打ち、最初は50本が平均でしたが…今回はなんと………」
なんと…
なんと……
なんと………
「55本だぞ!!」
いやったーーーーーー。上がった!! 5%分も上がった!!!
俺達は、涙を流しながら抱き合った。これが…成長か。
ん? 誰だ今ショボって思ったやつ………ぶっ殺すぞ!!
「スティーブ君、僕が教えるべき事は全て伝えました。後は君自身が自分で見つけるしか無いのです!!」
「ありがとうございます師匠! 俺はこれからも修行を続け、必ずや命中率を100にしてみせます!!!」
「俺もあと100パーセント筋肉を増やすぞ!!」
いや、それやったらただの筋肉ダルマになるぞ。
俺は青獅子の学級のメンバーが盗賊退治に精を出している間。先生から貰った俺に関するメモを必死にチェックしていた。
「ナニナニ、剣術は…苦手。槍術も、苦手。」
ーー雑魚だな。
「うるせぇ、槍はマイクランお前に任せる」
何かしら得意なものがあるだろ。
「ええと、斧術は…苦手。弓術は、普通!!」
ーーお前、弓が得意じゃないなら、一体何が得意なんだ?
「ぐぬぬ」
まだだ。まだ、技能は半分以上ある!!
「よし、信仰は…普通!! 理学は…クソ苦手!?」
ーーお前が魔法を使う事は無さそうだな。
「うがぁ、でも…俺には信仰がある! 神様! レア様! ソティス様!!」
ここからは一気に進める。
「重装は…苦手。騎馬は…苦手。飛行は…苦手!!」
ーービックリマークで誤魔化しても苦手は苦手のままだぞ。
くそがああああああ!! なんで得意なものが一つも無いんだよ! 俺は絶望した。俺は…俺は…逆イングリットだ。
説明しよう。イングリットはなんと…苦手技能が存在しないのだ。
ーーまだ続きがある
続き? あ、そうか俺には壁がある。原作には存在しないが、俺は特殊技能を持っていた!! これは強いぞきっと。
「壁は…普通!?」
ーーそれも普通なのか………
普通か、まあ…そうだよな。普通……だよな…俺。
諦めかけたその時、壁の下にもう一つ欄がある事に気がついた。
「盾……………得意!?!?!?!?!?!?!?」
その日の午後、青獅子のクラスメート達とベレト先生がボロボロの状態でガルグ=マク大修道院に帰還した。
俺は空気を読まずに、疲れ気味の先生のもとへ盾の技能について質問しに行った。
「先生!」
ベレト先生は疲労困憊で、フラフラだった。そんな難しかったっけ最初の盗賊退治?
先生は、俺に訳を話してくれた。
「え、なになに……盗賊がすり抜けて来たり、アーチャーが矢に毒を仕込んでいたですって!!!!!!!!」
これは…これは……冗談抜きで不味いかもしれない。
ーーどうした?
俺の動揺がマイクランまで伝わってしまった。それほどに俺は深い絶望を感じていた。
「この世界は……………………………………難易度ルナティックだ……」
以前予告とか言って色々書きましたが、今回消費できなかった為、残りは来節以降になりました。