ある世界のある女の子達の話   作:グレイプニル

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3時 黒薔薇少女の円舞

私は弱い。

それなのに私は期待される。

それが嫌で嫌でしょうがない。

他の人に比べて魔力量は少なく体も弱い。

成長速度も遅く身長は変わらず。

こんな私にも友達はいた。

彼女がいたからこそ私は私でいられた。

だが、そんな彼女は私を残して飛び立っていた。

分からない。

なんで私を置いて先を行ってしまったの。

 

 

私は七属性龍を崇める家系の内、黒星龍を主とし崇める家に生まれた。

黒星龍は主に舞を奉納する事によって力を授けられるという。

舞、と言っても形式自体はなんでも良いらしく時代が移ろう事でそれは多種多様なものとなった。

しかし、私は体が弱い事もあり奉納を行う事ができず他属性の龍を崇める者達に虐げられる事も少なくはなかった。

魔力量が少ないため魔法もろくに使えず日々死にたくなるような生活。

だが、そんな私にも友達が出来た。

彼女は親を目標に頑張っているがどうしても追いつけず挫折しそうになっていた。

初めて顔を合わせたのは親同士での交流の時。お互いに言葉にしなくても通じるものがあったのだと思う。

それから暫く交流があり、今は切磋琢磨し合う仲として日を決めて彼女と共に夜トレーニングをしていた。

そしていつからだろうか。

彼女と連絡が取れなくなった。

そして今日、私は初めて彼女の家を訪れた。

やたら大きい洋館の玄関に立つと、身なりにどこか可笑しなところがないか確認して、緊張故か早く鼓動する心臓を感じつつ彼女はインターホンを鳴らす。

暫くしてドアが開く。

「こ、こんばんは。あの私だけど連絡取れなくなっちゃったからつい来ちゃ」

「ど、どちら様でしょうか」

初めて見る少女がいた。血のように紅い瞳と黒髪。彼女によく似た特徴を持っているところを見ると妹さんだろうか。

「あ、あの。私ここに住んでる女の子に用事があって」

「あ、ああ、はい。でも出掛けていて」

「そう、ですか」

「もしかして友達の方ですか?」

「そ、そうです!」

すると急に手を捕まれ赤目の少女はまるで獲物を見つけたような目で私を見て。

「あ、あの良ければお話しませんか⁉︎」

「え、あ、え? 私で、良ければ?」

そう言って私は彼女に洋館へと引きずりこまれた。

 

 

とある森に少女はいた。

「あ、あれ、私なんでこんな所に……。シオンという女の子から話を聞いてそれから……」

ふと思い出す。

彼女が二人の女の子を助け再びどこかに出て行ったのだと。

私と一緒に頑張っていた彼女は二人も人間を助けられる程強くなっていた事に焦って、私はこの森に来たのだと。

時駆ける森。

そう呼ばれたこの森は朝と夜の時間がランダムになっており、とうの昔に絶滅したはずの生物や見た事のない生物。

そして未来、過去から来た人間が迷い込む事のある時間と空間が複雑な森となっている。

その理由は森の奥深くに刻の魔導書と呼ばれる禁書があるからだと言われていた。

それを手に入れようと幾多の魔導士が挑んだが帰ってくる事は無かったらしい。

「やめよう。帰って来れなくなったら意味がない」

先程から目まぐるしく朝と夜が入れ替わっている。

それだけでも気分が悪いというのに、ここまで歩いてきた事で私の体力も限界だ。

そう後ろを振り向いた時。

「え?」

壁だった。

「な、なんでここ森でしょ!」

急いで周りを見渡す。

鬱蒼とした森の景色はなく、そこにはつい先程みた景色が広がっていた。

「洋館……」

少女がいたのは彼女の住む洋館だった。

訳がわからないまま、少女は外に出ようと玄関の方へと歩く。不意に玄関が開く音がし、思わず隠れてしまう。

暫くして聴き馴染みのある声が少女の耳へと届く。

「今日はちょっと大変だった。油断したら私も持ってかれてた」

そう黒髪の女性がいう。

あまりにも聴き慣れた声に思わず覗き見る。

「え、なんで……」

そこにいたのは少女によく似た女性だった。

「うっ。多少持ってかれていたのは認めるわ。でもまさかあんな事になるとはおもわなくて……」

隣に誰もいないはずの女性は一人でずっと喋っている姿はとても恐怖を感じる。

私もいつかはああなるのだろうか?

いやいや、まだ決まった訳ではない。

そこでふと女性が立ち止まり白銀の懐中時計が嵌められた分厚い本を取り出す。

「ごめんなさい。ちょっと用事が出来たわ。先行ってて」

そういうと女性は再び玄関から外に出る。

それを追うようにして少女は身を乗り出した時、此方に向けられる視線を感じてそちらを見る。

「誰も、いない」

誰もいないはずなのだが、確かにそこに何かいる。

見つかる危険性など忘れて少女はホールの真ん中へと歩き出し、真ん中で止まる。

すると。

「大丈夫だよ。焦る事はない。君は彼女にとってずっと大事な親友でライバルだよ」

そう聞こえると共に優しくとても暖かい何かが少女の頭を撫でた後抱きしめられるような感覚が身を包む。

「行っておいで。待ってるよ」

「……わかった」

そう告げて少女は玄関から出る。

そこで少女を待っていたのは、先程の女性であった。

「全く……」

女性は少し懐かしむようなそれでいて悲しむような顔を浮かべいた。

 

 

私の名前を呼ぶ声がした。

「フランちゃん!朝だよ!急がないと遅刻だよ!」

ユウカが扉をノックする。

「ふあぁ……ごめんなさい、今向かうわ」

昨日魔導書の作成と調整に時間かけすぎたかと重い目蓋を擦りながら少女は身を起こす。

軽く身支度を整えて学生証を手に取る。

フラノワール・パメイソン。そう書かれてあるのを確認してフランは扉を開ける。

すると目の前には彼女がいた。

「久しぶりね」

「久しぶり、フラン。少し遅めのモーニングだよ」

久しぶりに会う彼女は笑顔で私の手を握り、歩き出す。

「相変わらずね」

そう私は呆れたようにいった。

彼女は私のライバルであり最愛の人は元気なようで。


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