衛宮士郎で逃亡者   作:朧月夜(二次)/漆間鰯太郎(一次)

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ボチボチ書いてるんですが一話に収まる気配がないので少し投下
相変わらずアホみたいな内容です
頑張ってイキっていきませう


神か悪魔か!? 地獄にあらわれた最強の女

「なあ藤乃さん」

「なんでしょう」

「このカレー美味いですね」

「それは嬉しいですね。頑張った甲斐がございます」

「なあ藤乃さん」

「はい士郎さん」

「そろそろ帰った方がいいんじゃないですかね。年頃の娘が独り暮らしの男の家に入り浸るのは倫理的によろしくないと言いますか」

「私、士郎さんをお慕いしております」

「おっと流れをぶった切っての告白ゥ」

「士郎さん。士郎さん。――――私、もう抑えられません」

「なにが!? おっと藤乃さん、ステイステイ。ぐいぐい来てるけど貴女のキャラは清楚でしょう!? そ、それに俺、何というか故郷にステディなガールがいるんだよなぁ。正直藤乃さんの気持ちは嬉しいけど」

「ふふっ、ふふふふっ、士郎さん、倫理観……でしょうか? 貴方を慕う誰かがいる。ですが……それは問題ではありませんね。番が一組である必要など無いのですから。ですが……もし問題だと言うのなら……はい、捻り切ってしまいますね」

「(アカン)わかった。カムダウン。カムダウンだぞ藤乃さん。貴女が知る俺、けど見えてない俺の本質が見えたらどう思うかな? 俺はな、藤乃さん。故郷のステディに膝枕をされながらおっ●いを吸いつつ頭をナデナデされて喜ぶド変態野郎なんだ。どうだァ……? 気持ち悪いだろう? 藤乃っぱいも差別せずちゅーちゅー吸ってしまうクソヤロウなんだぞっ!」

「………………」

「ん? 何だって?」

「あはっ、それがどうしました? あはははっ、士郎さん、士郎さん!! 動かないでください。服が上手く脱がせられないじゃないですか。ああもう、このジッパーがっ、もうっ、凶れええぇぇっ!!」

「うっそだろオイ…………」

 

 テーブルを挟んで向かい合ってたはずが、何故か藤乃さんに馬乗りされている。

 おかしい……北斗神拳伝承者相手にマウントだと?!

 あまつさえお目目グルグルからのジッパーがねじ曲がって砕け散り、気が付けば全裸に剥かれている。

 ついでに藤乃さんのシスターみたいな制服も消し飛んだ。

 ちょっと待って、それケンシロウが怒りで全身がパンプアップした時の表現やろ……。

 最終的にはいつぞやの桜の時と同じく、全裸の俺が膝枕で乳を吸っているだと?

 どういう事なんだ…………おぎゃあ。

 

 しかしパターン化というのは得てしてマンネリ化というか、退屈を慢性化させる。

 例えば映画の初作が爆発的なヒットを飛ばし、それがシリーズ化したが、パート2以降が酷評されるみたいな。

 だがそれはエンタメにおける常套手段というか、ファンが一定の金を出す限りは続けられると言うビジネスモデルだから仕方がない。

 

 だがしかし俺の場合は如何ともしがたい。

 同じパターンを凝りもせず繰り返している訳だが、それはあくまでも俺の現実であり、進行形で流れていく日常という事柄なのだから。

 俺には女難の相でも出ているのだろうか?

 これでは着々と罪を積み重ねていくばかりじゃないか。

 近未来、この溜めこんでいくばかりのツケを払わされる時が来ると思うと思わずエズいてしまう。

 ふっ、このシロウにもまだ良心が残っておったわ……。

 

 では何故こんな事になっているのか語る必要があるだろう。

 ましてや間桐桜という素敵なヒロインがいるこの俺が、何故別の女とこんな事になっているのかを。

 

 さて現在俺がいるのは東京圏の観布子市。

 桜とライダーに絞られ物理的な身の危険を感じた俺はとにかく東に向かった。

 このままではミイラになってしまう!

 その危機感からだ。

 

 そこで! 桜とライダーにパックンチョされながらも必死に捻り出した妙案がある。

 俺はちょっと特殊な北斗系男子だが、この世界の住人の一人としてよりよい未来をと考えている。

 遠坂はイギリスの時計塔って所に留学をするらしいが、俺の場合は前世と同様に理系の国立大を出て、どこか無難な企業に就職をと考えているのだ。

 つまり現在の俺は受験生。

 

 ならば現在の穂群原学園も悪くないが、ガチでトップの国立を狙うなら、大阪や兵庫、或いは関東圏の進学校に通う方が正しいだろう。

 うちも私立だが、私立にも偏差値はピンキリであり、ガチ勢の進学校は予備校が鼻くそに見えるレベルだからな。

 それを逆手に取ったのがこの作戦である。

 

 つまり関西圏である冬木市とは距離的にも相当離れている関東の進学校に編入する。

 なにせ金はあるのだ。

 親父が遺してくれた財産と言う。

 

 そこで書置きを残して勢いのまま飛び出した風を装い、隣町に辿り着いた所で俺は例の弁護士に連絡した。

 内容は俺の代理人として関東の進学校への編入手続きをしてくれと言う物だ。

 その他の生活に関わる手続きも含めて。住居の準備とかな。

 

 当然藤村組の親分や大河にも電話で話してある。

 俺は本気で東大を目指しているが、そこにいては色々足りない。

 だから応援してほしいんだ藤ねえ! これで彼女は堕ちた。

 彼女は常々俺の大河呼びが気にいらないから姉と呼べとしつこかったからな。

 不意打ちで呼んだことではにゃーんってなってた。

 藤ねえマジちょろい。

 

 ついでにイリヤの事もあるので連絡してある。

 将来の為にを強調し、姉さんを守る一環であると。

 結果、お金が足りなかったら助けるからね! だってイリヤはシロウのお姉ちゃんなんだから!

 と鼻息あらく応援をしてくれた。

 受話器から伝わる幼女のドヤっぷりに……ほぼイキかけました(通算二回目)

 

 いやしかし、前世と今世は似て非なる日本。

 しかも時代が微妙にズレている。

 でもそれが逆に俺に味方しているネ。

 だってスマホどころかPHSや携帯が普及してないもの。

 つまり固定電話全盛期! ネットもISDNが精一杯! 最高や!

 なので電話に縛られない! 携帯が出始めてもしばらくは「あ、地下にいたから電波来てなかったわ」が通用する! やったぜ!

 

 ……そんなこんなでやってきました東京に。

 丸一日走りっぱなしだったぜ。交通機関は足がつくから避けた。いやー北斗マジ北斗。

 そしてビジネスホテルに取りあえず泊まり、弁護士からの情報を待つ。

 すると数日後、現在の状況で数校だが編入試験を受けられる所があった。

 もちろん穂群原学園よりも偏差値はかなり高い。

 その内の一校を選択し、見事編入完了である。

 

 そこに通うのに丁度良かった場所が観布子市なのだ。

 東京までのアクセスも良いし、東京圏なのに家賃が安い。

 近所にスーパーマーケットも複数あって生活面も安心である。

 

 まあそうして舞台は冬木から観布子市へと移った。

 とは言え桜がキレたら怖いので、準備が全て整った後に連絡した。

 ちょっと怖かったけれど、「桜との将来を考えるからこそ!」と強調した結果、許された……。

 まあ真・聖杯の事とか諸々の用件があるから定期的に戻ると言う条件は必要だったが。

 

 新たな学校生活は楽なもんだった。

 進学校ってのは全員が明確な目標を持っているから、苛めみたいな物はほぼ存在しないしな。

 そんな暇があるなら、テキストを埋める方が合理的、そう考えるのだ。

 

 そして俺の新たな城。

 小川マンションって言うんだが、円筒状のオサレなデザイナーズマンションっぽい感じ。

 内装もモダンでカッコいい。

 何よりこんな高級そうなマンションの癖に家賃が5万だぜ。

 マジかよ。

 

 キッチンも最新式で広い。

 いやー受験勉強の息抜きに料理なんかするんだけど、キッチンが多機能だと色々捗って楽しいわぁ。

 つー訳で生活も順調って訳よ。

 そんな時だった。浅上藤乃と言う少女と出会ったのは。

 

 夜になるとさーばんとが襲ってくる修羅の国である冬木と違って、ここは平和だ。

 なので授業が終わって志願制の特別講習を終えると19時を回ったりするが、暗がりも鼻歌混じりに歩いて行ける。

 平和って素晴らしい!

 

 そしたらお前、胸糞の悪いシーンを見ちゃったんだな。

 暴走族ほど突き抜けてないが、中途半端に悪ぶっているクソガキの集団が、腹を抑えて虚ろな目の女の子を囲んでる訳。

 これはマジで強姦する5秒前って感じさ。

 

 ふむ、これは行くしかないよな。

 また逆恨みされてバイクで撥ねられるかもしらんが。

 まあ悪ぶっているとはいえ所詮はキッズである。

 北斗神拳を使う訳にはいかん。

 

 ただねえ。

 中途半端なヤンキーはとてもタチが悪いんだよな。

 暴走族とかならまだ一応哲学は持っている。

 彼らなりのルールを作って、そこから外れるのはかっこわるい的な美学があるのだ。

 そうじゃないのもいるけどさ。

 

 けどただグレただけのヤンキーは、キレると何でもするからね。

 ほら目の前で女の子に絡んでいるけれど、誰も罪悪感を持っていない。

 互いに悪乗りを続けた勢いで、流れで彼女はレイープされるのだろう。

 まるで一方的な交通事故の様に理不尽。

 

 その後冷静になった彼らは追いつめられるまで開き直り続けるだろう。

 だってレイープまでした実績を作ったんだ。

 感覚がマヒして、レイープ程度ならセーフという謎の価値観が生まれるゾ。

 だからタチが悪いって言ってるんだ。

 故に喰らうがいいヤンキー共。

 てめえらに今日を生きる資格はねぇ!

 

『怒拳四連弾!!』

 

 ――――これは下校中に胸糞悪いシーンを見せられた俺の分

 ――――これは講習で疲れたストレスによる俺の分

 ――――これはコンビニで買った人妻モノムックをうっかり担任に没収された俺の分

 ――――そしてこれは……えっと、特に思いつかないけど、俺の怒りだァ!!!!

 

 まあ、うん。

 ジャギを追いつめたケンシロウが使った技だけどね。

 秘孔を突かずにただ殴ったり蹴ったりしたアレ。

 なので勢いはあるけど普通に追い払っただけよ。

 

 そんなんでヤンキーをKOした俺は、件の女の子、浅上藤乃を背負って病院に行ったのだ。

 脂汗が酷いしな。実は女の子の日でとても重いみたいな感じでも無い。

 まあ正解だったネ。

 診察結果は盲腸だもの。放置してたら腹膜炎になるぜ。

 

 まあそれで彼女との接点が生まれた訳だが、こっちとしては偶然見かけただけの出来事だ。

 なので麻酔で昏睡する彼女と、医者の家族に連絡をした発言からもう大丈夫だなと普通に帰った。

 良かったネくらいのノリで。

 礼なんかいらない。衛宮士郎はクールに去るぜ。

 

 そうして受験生という日常に戻った俺だが……。

 どうもこの街も冬木と同様に修羅の国だったかもしれない。

 具体的には我が家となった小川マンション、ここがどうも事故物件臭い。

 そう、幽霊が出る的なアレだ。

 

 だってここに住んでいる住人が全員うつ病みたいなノリなんだもの。

 あー死にたいとかならまだいいんだけど、急に奇声を発したりとか怖すぎィ!

 住人が軒並み人形っぽいというか。

 いかにも働き盛りのサラリーマン男性にしか見えないのに、廊下をゾンビみたいに徘徊してたりとかさ。

 あ゛~~とか言いながら。

 

 これには俺もハットオフである。

 そりゃ家賃5万だわ……。

 あの弁護士変な物件宛がいやがって……。

 

 これでムシャクシャした俺は、見かける住人達におせっかいを焼いた。

 いやまあ通りすがりザマに健康になる秘孔をつくのさ。

 そうやって善意の押し付けを2週間くらいやった頃かな?

 全員満面の笑みでどこかに引っ越していったわ。

 まるで憑き物が落ちた様な感じで。

 

 いやー凄かったね。

 一日中引っ越し業者のトラックが停まりっぱなしだぜ。

 家族連れの話し声を小耳に挟んだが、「なんでこんな辛気臭いマンションに住んでたんだろう?」だって。

 

 そうして平和になった我がマンション。

 いいねえ平和が一番だ。

 でも終わらなかったんだな。

 事故物件、その確信を得たって言うのかな?

 悪霊が襲って来やがったんだ。

 

 さーばんとと違ってもっとヤベー感じの。

 バトルアニメだと思って視ていたら、ホラーだったみたいな。

 学園モノだと思っていたら、実はシャベルを持って戦うポストアポカリプスなゾンビパニックホラーだったみたいな。

 

 というのもその悪霊さ、どっからでも出てくるんだよ。

 壁とか天井とか、酷い時は窓ガラスとか。

 とにかく神出鬼没でよ。

 お前のせいで云々と妙にイケボで因縁をつけてくるんだよなぁ……。

 まるで冬木のクソ神父の様な不快さ?

 

 ふざけんなこっちは正規の手段で契約しとんねん。

 出ていけじゃねえんだよバカヤロウ。

 居住権は保護されてしかるべき!

 絶対出て行かねえぞ!

 

 そしたらお前、家でくつろいでいるとこっちを小ばかにする様に出てくる。

 完全にこっちを煽ってやがる。

 だが殴ろうとすると消えるんだ。

 クソァ……。

 

 だがしかしだ。

 風呂で頭を洗っていた時に、目の前の鏡から出て来やがった。

 あのさぁ……風呂は命の洗濯って言うだろう?

 こっちはさぁ、一日きっちりと勉強に勤しんだんだ。

 このひとときは大事なんだよ。

 

 それをお前、オッサン声で「出ていけっ」じゃねえんだ。

 ここで俺の怒りは有頂天に達した。

 粘着っぷりが異常過ぎる。

 これがキレるって感覚か……。

 仏の顔を三度までという名セリフを知らないのかよ。

 

 俺は恐らく無意識に無想転生を発動していた。

 ほあたぁ!! と悪霊に察知される前に秘孔を突いた。

 その名前は激振孔だ。それも闘気マシマシでついてやった。

 これはアミバが使っていた秘孔で、血管が破裂するほどに心臓が超鼓動する物だ。

 その結果アミバは本来の肉体からは考えられない程に巨大化してた。

 

 さてこの秘孔をアミバレベルじゃなく、世紀末救世主クラスが突くとどうなるか?

 しかも闘気マシマシ、マシマシマシマシくらいで。

 無意識に奴の露出している両肩の激振孔を突いたが、バカな!? とか狼狽えた後、10秒ちょいでアベシった。

 んー? これ幽霊じゃ無かったネ。血が飛び散ってたし。

 まあグロく爆散したあとに溶けるように消えたから人間では無いんだろうけど。

 

 その後、小川マンションはクリーンになったのである。

 悪は去った。とても清々しい気分である!

 でだ。これで終わったら苦労は無い。

 ここが冬木とは別のベクトルで修羅の国だと言ったのは。

 

 また別の日の事だ。

 その日は日曜で、補習の予定も入っていない。

 俺は午前中、桜に電話をしてご機嫌をとったり。

 遠坂に電話してご機嫌をとったり。

 イリヤに電話をして――――俺、人のご機嫌取りしかしとらんがな! 

 まあいい。男はマメさが大事だ。

 じゃないと痛い目を見る……。

 

 まあそんなんで家事と電話で午前中を潰し、午後は一週間分の買い物をし、夕方頃に漸く暇になった俺は、天気が良い事もあって街を散歩していた。

 ここはひとつ、ハイカラなカフェでシャレオツなティータイムでも、なんてね。

 いやあ完全に油断してたネ。

 

 夕方ってのもあるが、気を抜いてた俺の背後から突如迫るバイク! 

 そう、またである。

 懲りない連中よ……。

 北斗神拳は一度見た技はきかないのだ。

 つまり、冬木での失態で身体が覚えている!

 

 ヒョウ!

 俺は南斗六聖拳「義星」の男、レイの様に華麗に空中に飛び上がりバイクを躱した。

 きっとバイクを運転していたヤンキー小僧は「おお、ふつくしい……」と見惚れた事だろう。

 綺麗にスルーし、優雅に着地を決めた俺である。

 

 ところが、バイクはなんと2台いやがった。

 着地と同時にもう一台が突っ込んできた。

 す、隙を生じぬ二段構えだとォ!?

 結果、前回の様に脱臼こそしなかったが、勢いよくすっ飛んだ挙句、どこかの雑居ビルの入り口にぶち当たり、モダンなデザインの扉どころか枠まで派手に破壊してしまった!

 小僧どもはバーカとばかりに逃げ去っている!

 

 ついてないぜ……なんて日だッ!!

 だが俺の不幸は止まらない。

 いてて……と頭を掻いていた俺を見下ろす影がある。

 見ると赤毛でポニテの綺麗系おばさんがいる。

 眼鏡が知的な感じ?

 

 このオバサンと言う呼び方を俺はすぐに後悔することになる。

 調子に乗っていたんだろうな。

 北斗神拳万能説。

 チート転生万歳。

 そんな風に。

 

 この時点で俺は一言も喋ってはいない。

 だのにこのオバサンは知的だった印象の象徴であった眼鏡をチャっと外すと、ヤクザ以上のドスを利かせた台詞で俺を恫喝したのだ。

 トラウマがよみがえるので割愛するが、人の事務所を壊しておいてただで済むと思うなよ。

 きっちり修繕費を回収出来るまでお前バイトな?

 それに、今失礼な事を考えていただろ? それも上乗せな。

 

 受験生衛宮士郎。

 民法も労働基準法も関係なく、ブラックな企業に就職が決定した瞬間である。

 あれだな……類は友を呼ぶって言うだろ。

 地元で超能力ならぬ魔術を知った。

 

 で、魔術師の知り合いと言えば遠坂とかイリヤか。

 さーばんとだけどメディアおばさんもいるな。

 けどそんなチャチなもんじゃ断じてない。

 彼女たちは害が無かったからな。

 

 ――――トーコはヤバい、それ一番言われてるから。

 

 オバサンのパシりの先輩であるシキが、後に冷めた目で言ったのがこのセリフである。

 たまげたなぁ······。

 結局この日以降、俺はこの謎の事務所でのバイトを続けることになる。

 

 いやね、うちのマンションに出て来た悪霊。

 どうもトーコ様の同級生だったらしい。

 時計塔ってとこで。

 あれだな、遠坂が行くって言ってたとこだな。

 結構懐かしむように言ってた。

 

 待てよ。

 つーことはだ、トーコ様の年齢は……。

 

 ――――変だな、俺、今なに考えてたっけ?

 

 あれ、おかしいな。トーコ様のねんれ……うっ、頭が……。考えるのはよそう。

 で、まあその悪霊を除霊した事を彼女は知っていた様で、人でも殺せそうな悪辣な表情でお前やるじゃないかと褒めてくれた。

 コクトーパイセンがカットインしてくれなかったらションベンちびってたかも。

 

 そうだよ。コクトーパイセンだよ。

 この事務所唯一の癒し枠。

 この人がいるおかげで何とかやれてんだ。

 だってお前、バイト関連の人間を教えてやろうか?

 

 トーコ様→クソ外道。バイトの俺に酒代たかる。酔った勢いでルーン魔術を乱発し、こっちの自由を奪って逆レをしてくる。

 シキ→メンヘラ。服装のセンスが壊滅的。急に殺しにくる。

 アザカ→メンヘラその2。腹黒い。リアル近親相姦を目論むヤベーやつ。

 コクトーパイセン→器でかい。男だけど確実にヒロイン枠。メガネだし。上記二人に振り回されると大概助けてくれる。

 

 バイトするのはいいんだ別に金は一応くれるしさ、でもそのバイトの内容が酷い。

 活動時間は主に夜。

 俺が北斗神拳使えなかったら過労で死ぬぞ。

 んであそこに行ってあれをボコれ、とか。

 この事件の犯人を捕まえて来い、とか。

 いやいやいや、違うでしょ。

 探偵事務所じゃなくてデザイン事務所でしょ?

 

 なんか倉庫にリアルなラブドール並んでいたけれども。

 とにかく普通の高校生がやる様な内容じゃない。

 でもお前、アレを殺したんだろう? ってトーコ様に凄まれたらね。

 断れないんだな……。

 

 で、仕事するじゃろう?

 不思議! いくら仕事しても借金が減らないよ!

 それを聞くと、士郎、お前利息って知っている? って。

 俺に救いは無いんですか……。

 

 しかもだ。

 最近気が付いたんだけど、これにはコクトーパイセンも含まれるんだが……。

 ここの連中……酷い中二病を患っている。

 何というか会話についていけないんだ……。

 理解できないから説明も出来ないけれど、強いて言うなら、ダン・シモンズの有名なSF小説。

 ハイペリオンの四部作を小学生に読ませるみたいな感じ?

 俺が小学生よ。無理。こいつら何を言っているのかぜんぜんわからん。

 

 なので事務所の中の会話についていけないんや……。

 まあそれでもバイト内容以外はまあ、アットホームな感じだし。

 冬木のアレやコレを考えなくてもいい時間は、それなりに楽しめていたんだ。

 

 そう、謎の猟奇殺人事件の犯人を見つけろというオーダーが来るまで……。

 

 

 つづく。

 

 

 




設定はおそらくかなりガバいし、空の境界みたの5年前とかなのでうろ覚えで書いたのでお兄さん許して

次回はまたそのうち(すぐにとは言っていない)

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