終わる訳ねーだろいい加減にしろ!
そんな訳で中編です。ご査収ください。
「…………おぇっ」
「シロウくん、だ、大丈夫?」
「先輩の先輩さん、医務室に行きますか?」
「大丈夫、持病の発作みたいなモンだから、少し休んでれば治るから」
「ふふふ……士郎さん、具合が悪いのでしたら遠慮せずに私の御膝へどうぞ? ネクタイが苦しそうですね、捻じり切ってしまいましょうか」
「先輩? 先輩はこっちですよね? ねえ先輩、私が悪い人になったら、困りますよね?」
「せーんぱい♡ 面白い事になってますねぇ? BBちゃんも仲間にいれてくださーい♡」
「うわすごーい! これが修羅場なんですね。マスターさん、がんばれーがんばれー」
「あーらあらあら、なんて無様だこと。どうしようかしら血が騒いできたわ」
「…………グエッ」
「先輩、先輩の先輩が白目を剥いて吐血しましたっ!」
「……マシュも成長したねえ。わたし嬉しいよ? けどね、死体蹴りはいけないと思うんだ」
「先輩、部屋の入口からさらに先輩の先輩を見てる人が! リップさんにプロテアさんまで!」
「マシュ、それ以上いけない。もうシロウ君のライフはゼロだよ?」
ふう、暫く意識が飛んでいたが何があったというのか。
あれ? せっかく帰国できるからっておニューのスーツを着ているのに、なぜかゲロ塗れだが……。
まあ茶番はさておき、カルデアなる場所に、オルガマリー・アニムスフィア嬢の執事としてやってきたオレ。
そこから約1年前後、オレはここに縛られる事となった。
けれど冬木やその後の事を全部まるっと含めても、ここでの1年間の濃密さに比べればカスみたいなモンだったろう……。
薄氷を踏む様な、なんて言い回しがあるが、オレの北斗神拳やその他諸々を持ってしても、何かひとつボタンを掛け違えたなら、本当の意味で世界が終わっていたのだ。
大げさだと思うか? オレもこれが酒の席で久しぶりにあった友人にイキる為に吹いたホラ話だったらよかったって思うよ。だが現実だ。
北斗の拳は世界規模の核戦争の結果、人類が死滅寸前に追い込まれ、残った人類の中は暴力によるヒエラルキーに支配された話だった。
そのね、核戦争で人類が滅びた状態まで突き抜けた状態、それに似た状況に地球は一度追い込まれたんだ。
その流れでオレは、冬木でセイバーを呼んだ実績から、このカルデアの一員として雇われる事になる。
まあ元々マリーがオレの雇用主だったわけで、彼女がカルデアの主人である事から、契約事項にいくつかの内容が追加された、ってのが正解なんだけどさ。
とは言えノーと言う選択肢は存在しないんだけどな。
だってカルデアの外に出られないんだもの。
そんな訳で茶番もそこそこに、前回の続きといこうじゃないか。
聞くも涙、語るも涙な喜劇、オレ主観では悲劇!
話を戻すと、時計塔で偉そうな連中に囲まれたのは、例のルーマニアの一件のドサクサの最中にオレ、時計塔から派遣された魔術師を何人もボコってたみたい……。
いや知らんし。
襲ってきたから返り討ちにしてただけだし……。
そう主張するもダメ。
結果的には悪の魔術師とか根絶やしになってたっぽいからワンチャン情状酌量っぽいが、何せ上から目線でさー。
それで一番偉そうな爺の言い方にカチンと来てさ、「なんだァ? てめぇ……」とプチ切れたオレは、そいつをネックハンギングツリーで吊し上げたんよ。
爺に北斗使うほど畜生ではないのだ。
そのまま「どうすっかなーオレもなー」なんて考えてたら、なんか向こうから「士郎!!!!」ってめっちゃ聞き覚えのある声で呼ばれた。
見れば遠坂だったわ。
なんか青い顔して「その人はとても偉い人だから無礼な真似はやめ……いけませんのよオホホ」って。
あ、そうなの……。つか急に猫被るのやめーや。お前以外全員知ってるから本性。
まあそうして久しぶりに遠坂の顔を見たわけだが、長くなったけどもこれがカルデア行きに繋がったんだな。
とは言えオレも「やー久しぶりだねー」なんてフレンドリーに言ったらおもくそグーで殴られたし。
涙目でさ「士郎あんたね、何も言わないで消えんな! 私がどれだけ桜の対応に苦労したか……うっ、頭が……」って。
いや気が付いたらあれから随分経ってたんだなって。
遠坂も聖杯云々のゴタゴタも区切りがついて留学してきたんだと。
一応ってか、実は旅の途中で何度かイリヤ姉には現状を伝える為にエアメールを送ってるんよ。
それで一応オレが死んだりとかじゃなく、何らかの理由で海外にいるってのは桜に伝わってた様だ。
もちろんオレは逃亡中だから常に移動しているし一方的に送り付けるだけで、会いにこれないのは分かった上でだが。
それでも流石に罪悪感からイタリアで電話は一本いれたけど。なのでイリヤ姉にはあれよ。正しい意味で事情は知ってるんだな。
東京で酷い目に遭って命からがら逃げたんだって。
そしたら流石はイリヤ姉よ。伊達に魔改造された魔術師じゃないね。
トーコサマに絡まれている件でピンときたらしい。久しぶりの会話でキャッキャしてたイリヤ姉が、急に「あっ(察し)」ってなったもんよ。
だって「アオザキかー……シロウご愁傷さま、お姉ちゃん応援してるよ!」って。
掌返しが早いっ。姉ェ……。諦めんなよ……。
でもさ、流石に年単位で経過してるとか思わんやん。
逃亡中ゆえスマホとかもねえし、気が付くと放浪旅楽しんでたオレが悪いんだけれども。
まあそれで遠坂の留学は、聖杯の件が功績として認められたとかで良い空気吸ってるらしい。
例の冬木の聖杯な。
前回の生き残りの魔術師がさ、ここの講師なんだと。
魔術師としてはポンコツなんだけど、教師としては優秀とかで、自分の講座を持ってるんだって。すごいねえ出世したんだねえ。
その彼が直接やってきて、結局色々あって解体されたらしい。
ただあれってガチでヤベー奴らしくてさ。
魔術協会とクソ神父のいた聖堂教会と、どっちがどれだけ手に入れるかってのが今でももめてるらしい。
ってのもさ、魔術師ってのはコンゲン? ってとこにいくのが目的なんだと。
遠坂は違うらしいけどな。
あいつは魔術師の家系としての遠坂家を、父親の時かそれ以上に盛り立てたいって。それも自分の手でって言う男前だし。
で、その聖杯をちゃんと使うとコンゲンとやらに行けるかもって程にスゲーらしいんだ。
けどさ、教会はそうじゃない。
あそこは一神教で、全知全能の神の代弁者が例のメシアやん。
つまりさ、聖杯が発動して神以上の奇跡なんか起こされたらたまったもんじゃない。
教会の教義の真っ向からの否定だもんな。
使いようによっちゃ。
だからそういう意味で危ない代物だから回収したいしするべきってのが教会の主張。
聞けばあのクソ神父の親父さんが、そういうヤベー遺物を回収する部署にいたとかなんとか。
なので解体して、その部品的な奴は互いが監視できる中立的などこかに安置してあり、現在は政治的な駆け引きの最中だとさ。
難儀なこって。
そういうアレだから、冬木を仕切れる名家で、あまつさえオレがパスしたセイバーを連れている遠坂の面目も保たれたって寸法だ。
遠坂の家はセカンドオーナーとか言う立場? らしいが、ようはあの街の魔術的な燃料みたいなのは、遠坂家の権利なんだと。
だからそこで他の魔術師が何かをするなら筋を通すのがルールってなるんだって。
ああ、だから校庭で詰め寄られたときに「モグリの魔術師め」とか最初切れてたのか。
それで聖杯の権利も遠坂が一番強いって訳だ。イリヤ姉の中にあった奴じゃなく、洞窟にある方は土地にくっついてるから、その土地の権利者な遠坂は必然的に権利を有する的な。
それを時計塔に絡ませた事で時計塔って組織の中での遠坂は出世する権利があるって流れ?
まあ専門用語多すぎて話半分しか理解してないが……。
例の生き残りの先生もさ、そのおこぼれに預かった形かね。
元々遠坂が約束していた報酬の件もロハでいいってさ。
解体の陣頭指揮を任された時点で相当ハクがついたとか。それで充分ペイするとか。
でもオレは解放されんかったんだわ。
まだ事情聴取は続くとかで。と言うよりも、時計塔の魔術師をボコった件がまずかった……。
遠坂曰く、生身でさーばんとを倒すって部分を危険視されているとか。
なのでそれっぽい身分を与えて時計塔の紐付きにする算段をしてんだと。
面倒くせえなあ……とか思わなくもないが、遠坂の知り合いってバレちまったし、彼女にこれ以上迷惑かけたらイカンでしょ。桜の事で彼女の胃がアレだし……。
なので時計塔が宛がってくれたアパートに住みながら暫くロンドン暮らしだわな。
電話も引いてくれたしな。
だから早速ビビりながら電話したわ。
桜に……。藤乃さんの方は結果的に放置。だって電話番号知らんもん。
桜にはめっちゃ泣かれた上にこっち来るとか言ってるし。
まあでも暫くここから動けんし、これるなら来いって言っといたわ。
謝らなきゃいけない事が山ほどあるし……胃がこわれそう……。
だからとりあえず桜と藤ねえだけに連絡したわ。
イリヤ姉は……裏切り者だから放置で。
ただし再会は叶わなかったけどな。
そらそうよ。この後カルデア入りしたわけだし。
と言うのも、時計塔でのオレの処分が決まるまで、結構時間がかかるのよ。
でも部屋とかそういう滞在に最低限必要な物は用意してくれたけど、当然のごとく金までは面倒を見てくれない。
遠坂曰く、ここに通う連中ってのは大なり小なり古くから続く資産家ばっかだから、庶民のサイフの感覚ってのがわかんねえんだってよ。
そうなると日々の食事もだけど家賃とか電話代が払えない。くっそ高いねん。ポンドって何円やねん……。
そもそもこれまでは金が無くなりゃカレーの露店でどうにかしてきたからさ。
でも時計塔の管理下にいる今、品位を下げる様な露店とかダメーって言われてよ……。
そしたら寮に住んでる遠坂が「べ、別に知らない仲じゃないし、ここに住めばいいじゃない」とか善意で言ってくれたけどさ。でもぶっちゃけ遠坂の家もいう程に裕福じゃないからな。
なのでそこは固辞させてもらった。
遠坂の親友っぽいポジの縦ロールお嬢様にも誘われたけど、見知らぬ金持ちのヒモとかもっとねーわ。
やー、金持ちのイリヤ姉に頼るのもアリだけどさ、せっかく身体も安定してきたっていうし、ならあんまり世話をかけるのもなあって事で却下。
そんな時よ。バイトの話が出たのは。
相手はなんか偉そうな貴族の子なんだけどな。
彼女の家では表であまり言えないけど、とっても大変な家業を営んでいるらしくてね。
けど親父さんが死んじゃって、彼女、遠坂と同じくらいの年なのに、貴族家の当主様になっちまったんだと。
大変だねえ。
その子が家業の関係で現場まで行かなきゃなんだけど、守秘義務の観点から使用人とかは連れていけないんだってさ。
機密だらけの研究所みたいなとこだからって言うし、なるほど納得。
で、彼女はオレの事情ってか状況を知っていて、なら腕っぷしもあるし料理も出来るし紅茶も淹れられるって事で、是非雇いたいってさ。
報酬も一月で100万ちょいとか浮世離れした金額なんだぜ。貴族ってすげー、そう思った。
彼女がこっちの事情を知っているのは、彼女の死んだ親父さんが時計塔のロード? とか言う教授っぽいポジで、政治的なヒエラルキーが高い地位にいたと。
現在は亡くなっているけど、その関係のコネとかで現在も影響力はあるんだって。
だから知ってたって言うか、そういう情報戦に強くないとここでは生き残れないんだって。サツバツ。
けどそんな話をする切っ掛けはさ。
なんかその、あんま言いたくないんだけど彼女ってボッチっぽいのよ。
この頃のオレは、日中は大概時計塔の中のオレが入れない区画以外の場所を散歩して過ごす。
ほかにする事もねえしな。時計塔ってか魔術協会って一般人に教えたらダメな組織らしく、外でバイトとかもできんし。
そしたら明らかにいいとこのお嬢さんっぽい娘がさ、中庭みたいなとこでポツンと座ってるんよ。
銀髪をサイドアップにした勝気そうだけど綺麗な子。
時計塔は広いからさ、散歩してても結構な距離を歩く。
なのでオレはよく小休止って感じでその中庭でティータイムをするんだな。
遠坂の親友っぽい縦ロールお嬢様に、「シェロ、英国にいるのですから紅茶くらい嗜めないと恥ですわ」って言われてな。
暇な時間に習ったんだよな。
彼女が手配してくれた英国紳士っぽいオジサマに。
で、中庭つっても相当広いもんで、その端っこで旅で使い込んだバーナーとクッカーでお湯を沸かす訳。
沸いたらベンチに座って茶器を出して淹れる。ミルクも事前に準備してな。
驚いたのは、英国の本格な紅茶ってストレートティーよりミルクティーのが多いんよ。カルチャーショックだわ。
そしたらその子、オルガマリーが目に入ってさ。
と言うかこっちチラチラ見てるんだよ。
けど見た目通りプライドが高いから向こうから声をかけてはこない。
だから面倒になってな。こっちから「どうも~」なんつって挨拶してさ、一人で何してるのなんて声かけた訳。
そしたら奴さん、別に意味なんかないですけど、静かに休憩してるだけですけど? とか震え声で言うんだ。
色々察したオレは、「せっかくこうして出会ったのですから、紅茶を振る舞わせてくれますか? レディ」とかカッコつけて道化を演じたわ。
それも縦ロールからの薫陶?
とにかく淑女を立てるのが英国紳士なんだと。
外国人とは言え、遠坂の様な貴種の係累なら、遠坂がヘンな目で見られないようにちゃんとしなさいって。
貴方自身はそうじゃないにしても、周囲はそう見ますのよだって。
慈愛の微笑みでオレを撫でながら言うんじゃないよ。お前はオレのオカンかよ。
まあそれで話す様になって、自己紹介を交わしたら、貴方がシロウ=エミヤですのねって繋がった訳だ。
バイト代の賃金は驚くほどに多かったな。
結局仕事を受ける事にしたのは、仕事内容的に数か月拘束されるけど、時計塔のいまの軟禁状態もいつ終わるかわかんないっていうからだ。
けど彼女の仕事にくっついてボディーガードをしてくれるなら、その期間は時計塔で知名度のある彼女がお目付け役と言う体を装ってくれるし、それに必要な根回しもするってさ。
具体的には仕事で出先にいる間の、アパートの管理とかそういうのとか、時計塔からの許可とか。
なるほどな。
金も貰えるし、この窮屈な生活を強いられなくて済むと思えばアリか?
遠坂とか縦ロールにも相談したら、あそこの家とコネを持てるのは僥倖。
数か月の労働で済むなら行くべきって。これが決定打だな。
だから遠坂のせいでもある訳ヨ……。
しかし遠坂のお嬢様然とした立ち居振る舞い、カッコいいぜ……。
けどその後、縦ロールお嬢様との謎のマウントの取り合いから、ガチ過ぎるキャットファイトに発展するとか聞いてないけどな……。
石畳の床におもくそバックドロップを食らった遠坂、お前涙目で済むとかゴリラかよ……。
いくらオレが北斗系男子でも引くぞ?
周囲で見ているお坊ちゃんたちに聞いたら、割としょっちゅうやってるらしく、様式美みたいなもんだよって横にいた金髪のショタガキがニッコニコで教えてくれたわ。
まあそれでオルガマリーお嬢様の仕事を請け負ったオレ。
肩書としては臨時雇いの執事って感じで。
桜とかにも連絡して、時計塔の偉い人絡みで数か月仕事しなきゃいかんと伝えたしな。
なので遠坂に鍵を預けとくから、もし来るならオレの部屋で待っててといった。
怒られるかな? とか思ったけど、なんかムフーと鼻息荒くご機嫌だったからヨシ!
ちなみに冬木のさーばんと関係だけど、セイバーとメディアおばさんはイリヤ姉が契約した状態だってさ。
ライダーは座に還ったってさ。
桜が無事ってなったし、魔力を貰い続けるのもアレだからって自分から戻ったらしい。
遠坂がセイバーを連れてこないのは、時計塔だと狙われて面倒くさい事になるからだって。
そりゃそうか……アーサー王がロンドンにとか笑えねえ。
本人も王様の選定をやり直したいって願いでやってきてるし、未来のブリテンをみるのは複雑なんだろ。
そんな流れで謎の雪山にやって来た訳だ。
もし神様が見ているなら、こんなオレに楽させる訳ないんだよなぁ……。
クズムーブし過ぎたわ。インガオホーやね。
そう、つまりだ。
今までとは比べものにならんレベルの出来事に遭遇したんだわ。
なんつーか今まではさ、オカルトチックではあったけど、おおむねその発端はオレ自身の女難のせいだ。
人外バトルもしてきたけどさ、規模的には街単位で収まってたさ。
まあルーマニアの一件を果たして街レベルと言って良いかはこの際置いといてだ。
けどなあ……。世界レベルて……。
仕事の現場にマリーの執事として赴任したオレ。
なんか守秘義務があるとかで、目隠しされたまま飛行機に乗ったんだけど、到着したのが雪山だったの。
もちろん施設の中で解放されたけどな。
なんでも標高がクッソ高い場所にあるとかで、その施設でまず高度順応訓練を1週間くらいやらんとダメなんだって。だからここが目的地じゃなくて、ここで身体を慣らしたら初めて現地に行ける。
マリーは何回も来てるっていうけど、速攻でヘロヘロになってた。
もしかしてこの娘、ポンコツなのでは?
そんなこんなで上に到着したんだ。
いきなりキナ臭い感じよな。
マリーが世話になっている教授? にまずは紹介されたんだが。
そいつ、レフ何とかっていうチリチリ頭の紳士風の奴でな。
何というかマリーは絶大の信頼を置いている感じだけど、例の冬木の神父みたいなうさん臭さを感じるんだよな。
糸目でさ、顔は笑ってるし柔和な雰囲気なんだけど、顔は笑ってるけど目は笑ってない。
北斗神拳をなんやかんや扱う様になって結構経つけどさ、感覚が鋭くなるって言うの?
ほら北斗神拳って気を多用するじゃない。
闘気が具現化してたりさ、それで秘孔ついたりとかもする。
多分その影響だと思うんだよな。
これって貰いモンの力だけど、逃亡旅の最中に野営した時とかね。
原作のケンシロウ達みたいに座禅しながら瞑想してたんよ。
力を自分の物にするには馴染ませないとみたいな感じで。時間だけは山ほどあったから……。
そうすっと経絡を流れる不思議な力が、どう流れてどう集まってるかとか理解できたんだな。
それが感覚をどんどん鋭くしていくっていうか。
そのセンサーでさ、この糸目の男は信用ならねえって感じた訳。
まあ顔見せはそれで終わって、どこかSFっぽい雰囲気のある施設をマリーに紹介されながら、オレが寝泊りする部屋を与えられたんだな。と言うかマリーの部屋だわ。
そもそもオレの仕事つったって、ぶっちゃけるとマリーお嬢様の世話だけだわ。
紅茶淹れたり、服を着せてやったり。
後は眠るまで添い寝して寝物語を聞かせたり。
年頃の娘がそれでいいのかと突っ込んだんだけど、彼女曰く、貴族の家じゃ当然で、異性だろうが使用人風情に頓着しないんだと。
なるほど、一般人のオレには理解できん世界だけど、高いギャラ貰ってるからやるさ。
その翌日以降は彼女の後ろを影の様に歩きながら、何かあったら身を護る様にって感じさ。
まあ何も無かったけど序盤は。
なんかチョビ髭の胡散臭いニーチャンが何か因縁つけて来たけどな。ホント糸目ってロクなのいねーわ。
まあ殺気を込めて睨むとそれ以降絡んでこなくなったけども。
そんな時におもしれー女に話しかけられた。
淡いオレンジ色の髪が似合う、遠坂やマリーとかと同年代風の日本人。
藤丸立香って名前で、マリーが会議とかで傍に居なくてもいい時に、暇だからカルデアの広いカフェラウンジでパンケーキを突いていると横にいたんだな。
外国人だらけで不安だったから、日本人の君がいて安心したとか。
あーわかるわ。
オレも中国に入った頃そんな感じだったもの。
言葉とかコミュニケーションは慣れればどうにかなるけど、ホームシックはなあ……。
案の定メニューの日本食が乏しかったり、英語は話せてもヒアリングで苦労したりとストレスが多いとさ。
だからお互い頑張ろうぜと鼓舞し合い、それ以降はよく話す様になったな。
なんでもレイシフト? とか言う訓練があるとかで、毎日ヘロヘロになってたね。
そう言えばいつも立香の横にいるマシュとかいう女の子が最初オレを敵視してきて笑った。
と言っても剣呑な様子でもなくて、どうも立香を尊敬している様で、先輩先輩と見るからに懐いている。
だから急にやってきて立香と親し気に話している異性なもんだから警戒されたって感じ?
毒のある感じじゃなくてさ。
子供が癇癪起こしてるみたいな感じでほっこりする。
なのでオレにはステディなハニーが故郷で待ってるんやとドヤ顔で言うと警戒されなくなった。
むしろマシュ曰く、オレの武勇伝とやらを聞きたがってきたな。完全に年の離れた親戚の子みたいなノリで。
まあ要は冬木での無知過ぎる聖杯戦争から始まり、女難の日々を送り、無様に逃亡し、また別の聖杯戦争に巻き込まれ、何やかやあってロンドンに至る旅の話だな。
冷静に考えたらオレ、何やってんだろう……自己嫌悪になるわ。
マシュ曰く、私は外の世界を知らないのですだって。
まあ望んで、では決してないが、オカルト系修羅場の場数は踏んでいるオレだ。
そんなオレが見てもマシュって娘は普通じゃない。
純粋そうだが無知過ぎな。
日々生きる為の最低限な常識は知っているし、さーばんとの元である英雄達の話には妙に詳しかったりするけれど、彼女の見た目的な年齢までの人生を歩んだ事で自然と手に入る自己ってか我みたいなもんが一切ないんだもの。
ある種のデジャヴュ?
オレの身近にとんでもなく似ている人がいるからね。
誰ってそりゃ……イリヤ姉だ。
今でこそホモなんとかの短命はクリアしてるけど、出会った頃はアレだったもんな。
オレが北斗系男子じゃなかったら死んでたぜ?
聞けばあのでっかいの、イリヤ姉のさーばんと。
ギリシアの大英雄で、死後は神様の一柱にもなったヘラクレスだってよ。
なんかヘラクレスの逸話に関連して、あのバーサーカー状態でも12回だか殺さないと倒せないんだって。
ヘラクレスは名前の通りヘラの栄光って意味で、ゼウスの妻で大御所女神のヘラに気に入られ、試練と言う名の無理ゲーを強いられたんだな。
試練って言ったら聞こえはいいが、ぶっちゃけ全殺しを12回クリアしたみたいなモンで。
生まれながらに英雄の資質があって、ヘラの乳を吸った時の吸い方が痛いからって突き飛ばされて天の川が出来たり、それでキレられてエグい毒蛇をけしかけられたら絞め殺したり。
やがて王様になるってんで妻も子もできたのにヘラに狂気を吹き込まれて子供も殺し……。
そうやって酷い目に遭いつつも10の試練をクリアせえ言うて神託が下り、神のいう事は絶対やし逃げられんからクリアはした。まあ追加されて12になったらしいが。
で最後はハッピーエンドかと思いきや、嫁をケンタウロスにNTRされそうになったからヒュドラの毒で殺したら、逆恨みされて死に際に奥さんにウソを吹き込まれ、その毒をパンツに仕込まれ発狂せんばかりの酷い死に方。
可哀想すぎてなんもいえねえ……やっぱ神話の神ってクソやな。
まあその無理ゲーをクリアしたってのがミソで、12回倒すにしても、一度倒した方法は一つの試練をクリアした認定をされるだけなんよ。
つまり同じ倒し方は通じない。
これアレだな。708ある経絡秘孔を利用した暗殺拳である北斗神拳だからあっさり倒せたけど、これがセイバーとかだったら詰んでたやん……。
剣しかねーんだもの。いやそういう意味じゃヘラクレス相手にしたら他のクラスは全部アウトやね。
なんか話それたな……。
まあそんなエグい英霊と契約していたイリヤ姉は、聞けばゴルゴ切嗣と、ホモなんとかのアイリスさんと言う母親の間に生まれた子なんだな。
けどね、イリヤ姉の家のアインツなんとかの宿命とかで、生まれてすぐに魔改造されたんよね身体。
そうしないとヘラクレスなんって大物をさーばんととして維持できんのだと。
だからこその魔改造だった訳で、じゃなきゃ契約した途端死んでるってさ。
あのポロンと飛び出た聖杯があったでしょ。
あれはシステム的に聖杯戦争に呼ばれたさーばんとが死ぬとその中身がプールされる充電池みたいなモンなんだと。
山の洞穴にあったグロい方が本体でさ。
だからまあ本体がサーバーで、イリヤ姉が端末みたいな? アイポンみたいなもんだって。
で、魔術師としての素質を底上げして、聖杯を埋め込んで、最終的に聖杯の化身みたいなモンに覚醒して、最後はアインツの悲願である魔法を得る為の道具だったと。
だから短命なのはどうせ死ぬから寿命なんかいらないよねみたいな考えの下らしいぜ。
オレも使える解析とかコピーとか強化が出来る魔術と、連中が言う魔法の違いがオレにはわからんのだけどね。
なんかスゲー説明されたけども。
ドヤ顔のイリヤ姉に。可愛いかよ。
だからまあ、本来ポロンと取れるはずも無かったんだと聖杯。
そこは北斗スゲーって事で結果オーライ。
そのイリヤ姉もさ、マシュと同じく必要な事しか知らんかった訳。
聖杯戦争の宿命から外れた途端、生真面目メイドとアホメイドと3人で目キラッキラさせながら毎日のように冬木観光してたもんな……。
魔術に特化してるけど、それ以外の事をなんも知らない。
そのくせ年齢は見た目のロリさからは信じられない年数生きてる。
オレよりも2つとか上とか言ってなかったっけ……。
まあそんなんでさ。
マシュを見てるとイリヤ姉を彷彿とさせんだよな。
その辺の倫理観とかは知らんよ。
現実としてイリヤ姉もマシュも存在してるわけだし。
いるもんを今更になって是非を考えてもしゃあないべ。
非だったら殺せって出来ないでしょう実際。
そもそもね、前世のオレも身近に外国人結構いたんだよ。仕事関連で。
その中にはドイツ系アメリカ人とかイタリア人とか、アイルランド人とかいたわな。
要は白人系の外国人。
で、それぞれの容姿に違いはあるけど、共通してるのは割と産毛が多かったり、そばかすが目だったりするのよ。
彼等の肌は白いからね。
紫外線から守るためにだと思うけど、結構毛深いんだよ。
色素の兼ね合いで目立たないだけで、近くで見ると金色の産毛がもっさりとあったり。
毛穴も結構目立つしなあ。
けどさ、イリヤ姉もマシュも、肌が綺麗すぎんだよ。
体毛自体少ない感じ? むしろ無いレベル。
これってアルビノだったとしてもおかしいレベルだぜ。
不自然過ぎる。イリヤ姉とは一緒に風呂に入ったってか、入れてやった時に全身見たけど、やっぱちょっと違うもんな。ガチでシミひとつない。
それを突っ込もうと思ったけどやめた。
そりゃそうだ地雷要素だったらヤベーもん。
とりあえずは無知なお子様と思って接する事にしてだ。
そんで夜にマリーに聞いたんだな。
あのマシュって子、普通じゃないよなって。
そしたらお前、マリーってば生まれたての小鹿みたいにプルプル震えながら目が泳ぎまくった。
ビビり過ぎやろ……。
ガタガタ震えながらオレにしがみついてさ、何かあったら絶対に守ってとか絶叫してんだ。
なので泣いてる子供をあやすみたいにして宥めて、とりあえず事情を聞いた。
やっぱ地雷だったわ。
なんでもマリーの父親ってのがこの近未来施設カルデアを作った。
そこでいろんな実験とかやってんだけど、オレが知るさーばんと的な奴を人間に合体さすみたいな事もやってたんだと。……邪教の館かよ。
けどいきなり人間にやったら失敗しても目も当てられんってなり、そこで「せや! だったら失敗してもいい人間っぽいの作って実験すればええんや!」って思い付き、それに最適な肉体を設計して作ったのがマシュ達デザインチャイルドなんだって。
あれだな。
巫女の神降ろしをガチでやるやつだな。
このマシュ達っての達ってのが意味深でな。
ほとんどが失敗して、残ったのがマシュだけみたいな。
つまり他の奴は死んでるみたいな。
えっぐ……。
だから外道過ぎる親父の所業の結果、それを逆恨みされているのでは? とマリーは怯えているって訳。
結果がどうあれ、マシュの中に何かインストールされてるのは間違いないし、殺しに来るとか思ってたらしい。
まあでもその心配はねえだろ。常識的に考えて。
だってあの無知っぷりだぜ?
あれ、子犬みたいなもんだろ。
でもなぁ……付き合いが長くなるごとにはっきりしてきたが、こいつコミュ障だしな。
普通に話せばそんな訳ねーって気が付きもするんだが。
けど出来ないからこうなってると。
つかさ、こいつ何かにつけて貴族マウント取ってくるけどさ、ちょいちょいチラチラこっち見ながら、小声で構ってちゃん発動するってか、割と強気の癖に弱点を自爆するからな。
その中でやたら死んだ親父にガキの頃に褒められた話とか急に大声で行って来たりするんで。
察したわ。こいつ典型的なネグレクトの子供やって。
貴族って割りに人間臭いってか。
他に味方おらんから、ビビッて周りにキャンキャン吠えるタイプの犬みたいな。
そう思うと普段の情緒不安定な感じも気にならんくなるわな。
そう言うもんだって理解しとけばさ。この辺は中身が元オッサンのオレの利点やね。
で、もうすぐレイシフトとやらの大規模実験が近いとかで、施設内もピリピリしてるしさ。
なら今のうちにその辺はスッキリさせとこうやって事で、翌日立香たちがランチしている所を狙って、喚くマリーを丁寧にお米様抱っこしながら運搬して一緒に飯食ったんだよ。
なんかテンプレツンデレキャラみたいで大量の草が生えたが。
まあなんにせよ、どうにかマリーは逆恨みされてない事が分かったようでスッキリしたな。
そう言えばダ・ヴィンチとかいう巨乳に絡まれ、レイシフトの適性とやらを調べられたな。
けど微妙だったわ。出来なくも無いけれど、存在証明の演算が面倒臭いレベルとか。
魔術師としての才能ってか、魔術回路? とか言うのも太いみたいだが、数は大した多くないっていうし。
けどさーばんとを殴り殺すとかどうなってんのキミとか興味持たれて色々調べられたわ。
あれだな、マッドってこういう奴よな。
そのせいでマリーに余計懐かれたんだわ。
マリーは魔術師としてはかなり凄いらしいんだけど、オレとかわんねーか、それ以下のレベルでレイシフトの適性が無いとか。
そのせいで実験に参加できないんだと。
すげえ必死に「シロウも残念ね。出来なくはないですか。設備に負担をかけてまでする事はないのだから、貴方は大人しく私の護衛に専念しなさい」って、嬉しさ爆発って感じで。
これにはオレも思わず吹きそうになったけど、雇い主に恥をかかせらんねえからまあ、顔を逸らして誤魔化した。
ドクターはおもくそ吹いて腹パンされてたけど。
そのレイシフトってのは、なんか過去の歴史とかにいけるらしいぜ。
タイムマシンかよ。ドラえもんかな?
まあそれだけじゃなく、なんか色々理由があってやってるらしいけどオレは護衛だから関係ねえわ。
むしろギャラ以上の仕事はしたくないな……。
でだ。そろそろ本題に……。
カルデア生活も2か月が過ぎたころか。
そろそろ桜もロンドンのアパートに来てるかなと部屋でぼんやりしていた。
ここの立地の関係と、魔術的な結界云々で、ここから気軽に電話とかもできんからな。
その日は大規模な実験をやるとかで、リツカちゃんやマシュも集められたな。
だから余計にすることもなくてさ。
そしたら実験を仕切ってる筈のマリーが部屋に飛び込んできたんだな。
聞けば実験はスタートしたらしいんだが、彼女はレイシフトとかいうのを出来ない。
だから演説みたいな事をした後、他の人らはカプセルみたいなのに入ってレイシフトをするんだと。
そしたら彼女は管制室ってとこで監督するわけだが、なんかAチームとかいうエリート連中の中のヴォーナントカって男に「所長とか言いながらレイシフトも出来ないのか。お可愛い事ですな」的な目で見られたとかで、シロウ慰めてと来たらしい。ああ、貴公子っぽい奴か。あいつすげえ良い奴だったけども。
でも、え、ちょ、え? それ言われてませんやん。
ぶっちゃけマリーの被害妄想やん。
とか思ったけど、それを口にする程オレはお可愛くないのだ。
女難ってのはな、こういう時に思いついたまんま喋ると起こるって学んだんだよ!
まあマリーを慰めたり甘やかしたりすることも、どうやらアニムスフィア家の執事の仕事と主張しているし、仕方ないなと頭をナデナデしてたんだ。
そしたらお前、ドーン!言うて。
あちこち照明も消えるしやね。
地震みたいにグラグラ揺れてるわ。
マリーってば生まれたての小鹿みたいにプルプル震えながらベッドの下に潜るしやね。
これアカン奴やと思ったオレは、急いで騒動の原因だろう方向に走った訳。
ああ、マリーが騒ぐから独りで行こうとしたら、それはそれで無理とかいうんで、しゃあないからお米様抱っこで走ったわ。こいつクソ軽いからいいんだけどさ。
そしたら分厚い扉が降りててそれ以上行けないんだわ。
なんかアナウンスで安全確保のために隔壁をおろしたとかなんとか。
とは言えリツカちゃんとか心配やし、まあ行くわな。
分厚い鉄の扉とは言え、南斗水鳥拳の前ではナイフでバターを切るようなもんだわ。
いちいちリアクションのデカいお米様はスルーして現場へ。
そしたら誰もおらん。
あちこち血だまりがあるけどな。
あとから聞いたら、爆破テロだってよ。
だもんでバックアップの職員さんも含め、マスター候補なる魔術師連中の大半か重傷か死亡かみたいな状態。
まあカプセルに健康維持機能がついてるとかで、ほとんどはそこで落ち着くまで保存しとくとかなんとか。
そしたらドクターとかダ・ヴィンチがマイクでこっち来い言うから行ったら、20人くらいの職員とドクターとダ・ヴィンチが唯一の生き残りで、リツカちゃんとマシュは、謎の場所にレイシフトをしたとかでさ。
連中は必死でリツカちゃん達をバックアップしてるんだと。
ただ所長が見当たらないとかで大騒ぎよ。
ま、肩に乗せてるしな。
ヘイっ! パスっ! ってなもんで、椅子に降ろして見たら、白目剥いて気絶してて草。
その後はまあ……目まぐるしかったな。
リツカちゃんとマシュは、その後特異点Fって名づけられた場所で無事だった。
オレも管制室のモニターから見てたけど、マシュがハレンチ過ぎる姿になってて草。
巨大な盾持ってさ。
で、よく見ると見た事ある光景なんだわ。
Fって冬木のFかよ。
燃えてるしガイコツとか不良さーばんとしかおらんけども。
そこでなんやかやあって、リツカちゃん達は最後に待ってた黒いセイバーとガチンコして勝った。
つっても、オレが冬木で最初に倒したクーフーリンの別バージョンが味方になってて、そいつがトドメ刺したんだけどな。
まあ勝てば官軍負ければ賊軍言うし、終わりよければなんとやら、だ。
そしたらさー例の糸目の紳士が出てきてさ。
糸目だったのにすげえドヤ顔で、お前らもう終わりやーいうて。
地球燃えとるし未来はもうねえ!! とか大騒ぎよ。
そしたら急にキョロキョロし始めてさ。
なんか首傾げてるし。
マリーいなくね? みたいな。
いやマリーならそこで白目剥いて気絶してるし。
それオレがマイク経由で教えてやったら、すげえキレてて草。
ワンピースのエネルみたいな顔芸してたぞ。
まあその後、リツカちゃん達は戻って来たけど、マジで外に出られなくなってたんだよ。
外をモニターしたら、よくわかんない空間みたいになってるしやね……。
で、リツカちゃんが黒いセイバーから聞いた、グランドオーダー云々。
要は特異点Fみたいなんが後7つあるから、それらをどうにかして未来を取り戻せ的な。
だから今後、オレ達にはそれをどうにかする以外選択肢が無くなったんよ。
規模大きすぎて草。
ただ生き残った奴らが全員そこに集まってシリアスな会話してんのに、マリーだけが間抜けな顔で気絶してるだろ?
仕方ねえからビンタしてたたき起こして、お前まとめろや所長やろ言うたら、なんかすげー偉そうなことを言った後、ここは適材適所で行く方が建設的とか言い出して、結果ドクターとダヴィンチに丸投げしたわ。
いっそ清々しいわな。
で、部屋に戻ったらボロボロ泣いてレフに裏切られたーシロウ、貴方は捨てないでーみたいな。
はい、マリーがその後、あんなことになった分岐点はここでしたね……。
それでもほら、一応は年頃の少女だし?
見捨てる選択はねえだろ。オレじゃなくてもそうじゃね? 知らんけど。
まあそうして、カルデア危機一髪を結果的に切り抜けたオレ達は、7つの特異点を巡る旅に出たって訳だ。
ここでオレの契約も切り替わる。
マリーの護衛もそうだが、カルデア側で何かあった際の防衛担当的な役割として。
もちろん情はあれどロハではやらんぞ。
マリーにはきっちりと報酬の割り増し交渉をした上でだ。
何より、やっと桜と会えると思っていたけど物理的に外が燃えている。
オレにしても、ここでイモ引く訳にはいかんのだ。
悪いが、こんな状況にしやがったクソは、奥義を開帳する事も辞さない思いですよ……。
そんな決意を新たにしたオレだったが、まさかこの先、最悪の展開が待っているとは思ってもみなかったぜ……。
あの蒼崎姉妹が子供の喧嘩に思える連中に囲まれるとか想像できる訳ねえだろ……。
後半へつづく。
FGOのボリュームあり過ぎて前後編で終わりませんでした……。
ボリュームありすぎなんだよなぁ……一部だけでも。
私得意のダイジェスト商法で駆け抜ける予定なのに無理だった。
おそらく次か、その次くらいで終わると思う。