アルベド二人旅   作:神谷涼

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 冬コミ帰宅後、風邪ひいてました……。
 2020年ですね、本年もよろしくお願いします。
 もっとも、マヤ暦によれば今年の3月に――



29:人類は滅亡する!

 アルシェ・イーブ・リイル・フルトは没落貴族の令嬢であり。

 帝国魔法学院中退者であり。

 幸いにも仲間に恵まれ、何とかワーカーとして生計を立てている。

 実家について悩みは尽きないが。

 魔力を視認する生まれながらの異能(タレント)によって、多くの危機や強敵を見破ってきた。

 きっと明日は、今日よりいい。

 そう信じていた。

 信じていたが。

 

「……帝都はもうダメかもしれない」

「はっ?」

 

 神官のロバーデイクは、仲間の突拍子もない言葉を問いただした。

 

「帝国が……世界がもう……ダメかも」

「えっ?」

 

 さらに広がってしまった。

 

「いや待ってくださいアルシェさん。何を言ってるんですか。何かあったんですか?」

 

 酷く憔悴――いや、衰弱したとさえいえる状態で、歌う林檎亭へ逃げ込むようにやって来たアルシェを、ロバーデイクは介抱し、いくつかの回復魔法さえかけた。実家で何か深刻な事態が……と、心配していたのだが。

 ようやく発した彼女の言葉が、先のものである。

 

「神……魔王……? どちらにしても、あれは世界自体を滅ぼすほどの……」

 

 思春期特有の病気かと思える言葉だが。

 ガクガクと今も震える彼女の様子は、真剣そのものだ。

 

「怖い夢とか……ではありませんよね。アルシェさんの生まれながらの異能(タレント)によるものでしょうか」

「は、早く帝都から逃げないと……ヘッケランとイミーナが来たら、い、妹たちを……」

 

 しがみついて恐怖に顔を歪め、震え続ける彼女は、尋常ではない。

 そんな時、ちょうど店の扉が開き。

 聞き覚えのある、仲間の声がした。

 

 

 

 

「ここが、私たちの拠点の酒場だけど……こんな店でいいの?」

「言っちゃなんだが、あんたみたいな御方が来るようなトコじゃないと思うが……」

 

 イミーナとヘッケラン。

 ロバーデイク、アルシェにとって誰より信頼できる仲間だ。

 仲間、だが。

 

「年期は入っているが、よく磨かれているではないか。雰囲気も悪くない。そのように卑下するものではないぞ」

「ええ。モモンガ様が認められているのだから、気にする必要はないわ」

「そーだねー。冒険者向けでも汚い店が大半なんだから、たいしたもんだよー」

「露店とはまた別の、食欲をそそる香りがします」

 

 親し気に連れてきた二人。

 いや、二柱。

 さらにその従者らの存在に、アルシェは恐怖に固まったまま気を失った。

 

「ヘッケラン、イミーナさん、そちらの方々は……アルシェさん!?」

「アルシェどうした!?」

「家で何かあったの?」

 

 ヘッケランとイミーナも慌てて駆け寄る。

 

「むむ、取り込み中だったか?」

「あー、いやあの子、さっき広場の隅っこで吐いてた子じゃないかなー?」

 

 クレマンティーヌがチラと店の虚空に目を向け頷き合うようにしつつ、言う。

 モモンガを煩わせないようにと、護衛に配置された高位アンデッドらの報告はクレマンティーヌに与えられるのだ。今も今とて、店内には不可視化した青褪めた乗り手(ペイルライダー)が1体、店の周囲はしっかりとその他のアンデッドで上空から護衛されている。

 

「昼間から呑み過ぎか?」

「いやー、どっちかというとモモンガちゃんを見てびっくりしたみたいだったけど?」

「私を? イミーナの様子を見る限り、あの下劣な男の関係者とも思えんが……アルベド、それにエンリよ、とりあえず精神回復系の呪文をかけてやれ」

 

 慌ただしく囲まれ、仲間の神官からさらに呪文を受けている様子に。

 とりあえず回復を助けるよう指示を出すのだった。

 

「ふむ……イミーナに一杯奢ってもらうだけのはずが、思わぬイベント発生となったな」

 

 エルヤーに恥をかかせ、奴隷を解放させたモモンガを。

 イミーナは喝采し、食後の一杯を奢らせて欲しいと言ったのだ。

 それに対し、モモンガはイミーナの普段の酒場にと頼み。ワーカーチーム、フォーサイトの拠点たる歌う林檎亭へと来た次第である。

 

「あ、あの……私たちも来て、よかった、ですか?」

 

 おずおずと、後について来ていた森妖精(エルフ)たちが言う。

 エルヤーから解放された彼女らも、そのまま連れて来られていた。

 

「腹が減っているのだろう? 露店でも少しは買ったが、せっかくだ。私たちの代わりにここの料理を味わうがいい……ああ、一口ずつくらいは私ももらうぞ? カルネ村に帰る前に、様々な味を体験しておきたいからな」

 

 そう言って、取り込み中のイミーナたちを他所眼に。

 モモンガは彼女たちの食事を亭主に頼んでいた。

 

 

 

 

 なお、店の入り口には戦用双角獣王(ウォーバイコーンロード)クロマルが立って威圧を放ち。

 野次馬らの入店を止めていた。

 

「私は中に用があるの! 中に入れなさい!」

「MUUUGEN」

 

 とある帝国四騎士の一人が何とか入ろうとしていたが、100レベル魔獣の威圧には敵わず。また頭上からも異様なほどの威圧を受け、抗議に留め続けるのだった。

 

 

 

 

「はーっ……はーっ……すっ、すごすぎて……目に入れるのが、こわい……」

 

 ようやく目を覚ましても、アルシェはモモンガを直視できなかった。

 

「そう怖がられても困るのだが……」

「そうよ。モモンガ様に失礼でしょう!」

 

 モモンガとしては初対面の少女に卒倒されても、困惑するしかない。

 人間への態度が軟化していたアルベドも、不快感を生じている。

 

「とりあえず、アルシェの目にはどう見えてるの?」

 

 イミーナが心配げに聞いた。

 

「も、モモンガ様は、たぶん……神。帝都というか帝国を消し飛ばせる。私と同じ魔力系で第10位階とか余裕で使えると……思う。もっと上も」

「「えっ」」

「ほう」

 

 アルシェの言葉に、他の三人が固まった。

 モモンガは興味深げにアルシェを見ている。

 

「アルベドさんは……まだ普通。信仰系でロバーのだいたい倍……第6位階か第7位階」

「普通じゃないですよ!」

「あら。そんなことまでわかるの」

 

 驚愕するロバーデイクに対し。

 アルベドはきょとんとした顔になる。

 

「剣士の人は魔法、使わない。僧侶の人はたぶん第2位階。けど、表にいる魔獣は信仰系でアルベドさんと同じくらい……つ、使える。それに広場でその……魔力系を第9位階まで使える何かが、いた。他にも信仰系をロバーより使えるのがいっぱい……今もここに、1体いる」

「えっ」

 

 アルシェが虚空に目を向けた。

 慌てて他の三人が周りを見回すが、わからない。

 

「素晴らしい! アルベドやクレマンティーヌの実力がわからないなら、魔法能力のみ。だが不可視化していても看破可能だと? アイテム……ではないな。パッシヴということは、それも生まれながらの異能(タレント)か? すごいぞ! 第0位階から見当をつけ、魔法詠唱者(マジックキャスター)の才能ある者を見つけたりもできるのか?」

「ぴぃぃぃぃ!」

 

 興奮して肩を掴み問い詰めるモモンガに、アルシェが言語崩壊した悲鳴をあげる。

 

「も、モモンガさん、こわがってる、アルシェこわがってるから!」 

「っと、すまないなイミーナ……しかし、これは本当に思わぬ縁だ。不可視化された我がシモベも見破ったのだぞ。相手が相当の脅威でも、斥候系としてすばらしい意味を持つ。帝都には半ば思い付きで来たのだが……ふふ、私の運も捨てたものではないな! 素晴らしい出会いだ!」

 

 嬉しそうに興奮し、無邪気に喜ぶモモンガ。

 

「ええ、本当によかったですね」

「さすがです、モモンガ様!」

「確かにすごいよねー。そうそういないよー」

「「お、おめでとうございます」」

 

 他の面々とエルフたちも祝福の言葉を送る。

 不可視化した青褪めた乗り手(ペイルライダー)も盛んに祝うように踊っているのが、アルシェにだけは見えていた。

 

「クーデ……ウレイ……どうなっても私たちはいっしょ……」

 

 既に死を覚悟した顔でハイライトも消えている。

 

「え、えっと……何。雇いたいってこと?」

「帝都とか吹っ飛ばせるってことは脅されてるんじゃないのか?」

「神とのことですが、本当なのでしょうか……」

 

 イミーナ、ヘッケラン、ロバーらは今一つ状況がわからず、戸惑うばかりだ。

 

「重ね重ねすまないな、イミーナ。ああ、亭主殿、彼女らに四人にまずは一杯を。予定と異なるが、彼女と会わせてくれただけで感謝せねばならん。私にも奢らせてくれ!」

「あ、私からも」

 

 この騒がしく華々しすぎる新参に、不審な目を向けていた亭主が、黙って四つの杯を出す。

 続けてイミーナの注文に追加で七つ(森妖精(エルフ)らを含め)。

 全員に一つずつ、杯が配られた。

 

「良き出会いに乾杯だ!」

 

 モモンガはテンション高く杯を持ち上げ、全員と打ち合わす。

 白いドレスがめくれ、膝上まで露になるが当人は気にしない。

 視線を引き寄せられるヘッケランの足を、イミーナがきつく踏みつけた。

 

(……なるほど。彼女は安心できる人材ね)

 

 二人の様子に、アルベドが内心の警戒度をゆるめる。

 杯に口をつけ。

 運ばれてきた料理を森妖精(エルフ)らに食べさせながら。

 モモンガたちと、四人のワーカーチーム――フォーサイトは自己紹介をした。

 

 さらにイミーナが、アルシェとロバーデイクに、エルヤーとの経緯を説明し。

 共に食事する三人の森妖精(エルフ)の境遇にも触れる。

 そんな話題に対し、おずおずと。

 母国に帰りたくない、行き場所がないと、森妖精(エルフ)らが言い出せば。

 

「彼女らについてはお任せください。王国でも、虐待されていた方々を多く保護しています。私はモモンガ様の神官としてまだまだ至らぬ身ですが、これでも多くの方の面倒を見ていますので」

 

 エンリが胸を張って、彼女らの保護を保証し。

 

「そうだな。エンリはよく村をまとめてくれている。王国では、彼女らより酷い状態の者も多かったが……今はようやく、わずかながら笑顔を見せてくれるようになってきた」

「そ、そんな! 全てはモモンガ様の加護あってのことです!」

 

 女神の言葉に恐縮するエンリは。

 その邪神官風の衣装を除けば、実に微笑ましく。

 崇める対象と心から信じ合える様子は、ロバーデイクには眩しくすらあった。

 

「さて、村の話が出たところで……お前たち、フォーサイトについてなのだが。どうか我が村に来てはくれまいか? イミーナは我が友であり、アルシェはカルネ村にとって大きな希望だ。ヘッケランとロバーデイクにも頼みたいことはいくらでもある」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。手下になれってことか?」

 

 馴れ馴れしいとも言える態度で、微笑む女神。

 窓から差し込む光に照らされる姿は、幻想的な美しさだが。

 さすがに、リーダーとして、ヘッケランも鼻の下を伸ばしてばかりいられない。

 アルシェは未だにモモンガを正視できずいるのだ。

 

「モモンガ様の配下となれることに不満でも?」

 

 黒衣の女神――アルベドがじろりと睨みつける。

 クレマンティーヌとエンリからも、冷たい視線が浴びせられた。

 以前戦った、どんな怪物より遥かに恐ろしい眼光だ。

 

「いやいや、配下ではないぞアルベド。お前たちはワーカーと言う、組合に所属せぬ冒険者なのだろう? 私に雇われて欲しいのだ。ちょっと……その、長期の仕事になるが。最低でも数年くらい、か」

 

 最後の方は小声で。

 申し訳なさそうに言うモモンガに、威圧する気配はない。

 

「いくらもらえる話なんだ?」

「それが申し訳ないが、我々は金銭についてあまり余裕がなくてな……。今回とてさほど豪遊できる金額は持っていない」

 

 ビジネスライクに問うヘッケランに、モモンガがチラリと財布役のクレマンティーヌを見た。

 

「うん、持って来たのは金貨で30枚だねー。さっきから服とか買って残り20枚ちょっとかなー。たいした額って言えば額だけど、村に戻ったらお金は使わないし。他のお金は特にないねー」

「さすがにその額で数年はないだろ……」

 

 ヘッケラン達のワーカーチーム、フォーサイトはそれなりの腕利きである。

 一週間程度の仕事ならともかく……という金額だ。

 

「いや、わかっている。だからだな、その……私なりに可能な範囲でとなるが。お前たちの望みを叶えよう。それを以て、支払いとさせてもらえないか? イミーナには友達料金にしてくれると嬉しいが……図々しいかな?」

 

 再度申し訳なさそうに、チラチラと顔色を伺ってくるモモンガは、もの知らずな貴族令嬢のようだ。

 が。

 

「お、お待ちくださいモモンガ様、それは!」

 

 邪教めいた神官エンリが慌てた。

 

「いやいや、要はニニャちゃんと同じ扱いってことでしょー。四人全員はサービスしすぎーって思うけどー、あの漆黒の剣ってチームより格上だもんねー。ワーカーだけに世慣れしてるし、神官さんはエンリちゃんより格上だよー? 保護した人たちだってー、ンフィーちゃんの薬に頼るのは、限界あるんじゃないかなー?」

 

 クレマンティーヌがゆらゆらと、椅子を斜めにしたまま絶妙なバランスを保ちながら説く。

 アルベドは冷たく見定めるに留め、無礼な願い事をしなければ見過ごすつもりらしい。

 女神の力を最も実感しているアルシェが、目を伏せたまま発言した。

 

「……願い事って何でもいい?」

「私の土地に来てもらうのだから、立場や財産を築く類は少し困るな。たとえば、お前を皇帝にしてやってもいいが、それでは我が元に来てもらうため、すぐに退位してもらわねばならん」

 

 その例えに、ぶほっ、とアルシェを除くフォーサイトの面々が酒を噴き出した。

 女神にかからなかったのは僥倖と言えるだろう。

 

「あの……家のこと、助けて。あなたなら、解決できる、はず」

 

 青い顔で、顔を上げ。

 女神を正面から凝視し、アルシェが最初に願いを言った。

 悪魔に生贄を捧げんばかりの覚悟をにじませ。

 目の前の圧倒的魔力の持ち主に、説明する。

 アルシェの家庭事情、妹たちの立場。

 没落を認められぬ親。

 人相の悪い借金取りたち。

 ほのめかされる奴隷への身売り。

 

「………………」

 

 モモンガは、帝都に来て初めて。

 冷たく憮然とした顔になった。

 エルヤーを懲らしめた時などより、もっと恐ろしい何かを感じる。

 自分たちに向けられたものではないとは、わかる。

 わかる、が。

 機嫌を損ねたかと、イミーナが横から言葉を発した。

 

「モモンガさん、私からもお願い。アルシェを――」

 

 手をかざし、アルベドが言葉を封じた。

 

「……アルベド。どう考える」

「皇帝は非常に有能な人物かと」

 

 モモンガの意図を読み、そう答えた。

 

「クレマンティーヌ。お前の見てきた王国貴族に比べてどうだ」

「王国じゃよくいる――いや、よくいたタイプだねー。権力と領地があれば、私が始末した連中と同じコトしてたんじゃないかなー。どっちも奪われたから、現状ってことだねー。今、カルネ村に来てる子たちにもー、アルシェちゃんや妹ちゃんたちと同じ立場の子、けっこーいると思うよー」

 

 モモンガが、アルベドの顔を見る。

 

「私も同意見です」

 

 敢えて己の感情は出さず、アルベドが頷く。

 

「アルシェ。率直に言おう。お前の妹たちを連れ出し、生涯にわたって面倒を見ること、我らにとって何ら負担ではない。同じ境遇の子らもいる。友人も作れるだろう」

「……そう」

 

 その後に続く言葉を予感し、アルシェの返事は少し遅れた。

 

「だが、お前の両親は駄目だ。彼らは、もはや己の在り方を変えられまい。没落は、彼らが正しき道を歩む好機だったろうが、彼らは何も学ばなかった。お前の苦労や危険も理解せず、当然の権利の如く金を受け取っていたのだろう?」

「…………」

 

 頷くしかない。

 

「私は帝都を楽しんだ。ここは良き街だ。人々の多くは良き人だった。彼らは希望を持ち、明日が今日より良き日だと信じている。この点だけでも、私はこの国を高く評価しよう」

 

 王都の様子を一度見ておこうかと言った時は、ニグンとクレマンティーヌはもちろん、アルベドまで止めてきたのだ。

 

「少なくとも王国とは比べ物にならないねー」

「ええ、良き隣人たりうるかと」

 

 そんな意図を感じてか、クレマンティーヌとアルベドが言葉を補う。

 目を閉じ、少し考え。

 モモンガは口を開いた。

 

「アルシェは両親の愚かさを理解してはいても、彼らを憎んではいないのだろう」

「……」

 

 アルシェが小さく、頷いた。

 

「その情は決して間違っていない。だが、皇帝が彼らを切り捨てたように、私もまた……彼らを迎えはできんのだ。同様に、彼らを貴族に戻すのも断る。我々にも、お前たちにも、悪い結果しかもたらさんだろうからな」

 

 アルシェは目を伏せた。

 彼女の仲間らも、反論はできない。アルシェは仲間だが……その両親の素行を受け入れられるとは、思っていないのだ。

 女神は言葉を続ける。 

 

「お前の両親を殺せと言えば殺そう。精神支配もできるだろう。お前と妹を、記憶から取り除きもできるだろうな。だが、それらを望まぬのなら……私個人としては、妹たちと共に全てを放り出し避難して欲しい。両親がいらぬ手出しをせねば、私から彼らに害も与えはしない。彼らは己の行いの報いを、今のままに受けるだろう」

「…………そう。少し、考えさせて」

 

 沈痛な面持ちで、アルシェは俯いた。

 モモンガもまた、痛ましげに視線を伏せ。

 他の三人を見た。

 

「イミーナ。それに他の二人も。お前たちの願いを言うがいい。ただ……具体的に、な。詳細まで都合よく私が解釈すると思わないでくれ。わかってもらえたろうが、私は気配りができるわけでも、機転が利くわけでもないのだ」

 

 悲しげに笑うモモンガに、アルベドがそっと身を寄せ。

 その髪をやさしく撫でていた。

 




 モモンガとしては、最大限の誠意をもってアルシェに対応したつもり。
 現段階でのアルシェの問題は、親をどうにかして即解決……というのも微妙なところなのですよね。ウーデとクレイが売られちゃった後だと、また答えは違うのでしょうが。原作ナザリック挑戦より、かなり前ですので、現状まだ即座には親を切り捨てられません。
 あと、モモンガさんは帝国を高く評価してます。
 ニグンが帰ってきてから、いろいろ迷惑かけたし王都に観光に行ってみようかってふと言ったら、みんなにめっちゃ止められました。帝国については、特に止められず。

 本作においてフォーサイトはかなり贔屓されます。

 イミーナは「モモンガの能力を知らず親切で警告してくれた」人なので、すごく好感度高いです。というか外見も能力も主従関係も抜きで、親切で話しかけられるのがモモンガさん初めてなので……。
 アルベド視点でも、ヘッケランとくっついてるの見え見えなので安牌。

 本作ではアルベドボディに、最低限装備だけで転移してきたため、ンフィーレアのタレント評価そこまで高くありません。ニグンやニニャの方が高評価。
 使わせてみたいアイテムも特にないですし。
 現地で得たレアアイテムって「魔封じの水晶(第7位階入り)」「叡者の額冠」「死の宝珠」くらいですが、モモンガさんの分析ではどれも微妙。高位アンデッド作成の方が便利ですからね。死体あれば永続ですし。現状ロクなものを見てないので、法国の世界級アイテムについても半信半疑になってます。アルベドが洗脳されたらヤだから、警戒は怠りませんが。
 そんなわけで、初めて見た超便利系タレント持ちのアルシェは、高い評価を得てます。

 村人で回復魔法使えるのが現状、エンリとダイン(どっちも第2位階程度)。
 ニグンは支援バフと召喚はあっても、アンデッドなので回復なし。これはアンデッド系の基本的共通項とします。
 アルベドとクロマルも自己バフ中心。いくらか回復があってもたいしたものじゃないし、アルベドはモモンガが離してくれません。
 このためロバーデイク(たぶん第3位階使える)の人材的価値は高いです。
 なんせ王国の違法娼館や各地貴族から、キズモノの子たちを大量に保護してますから……。死を撒く剣団から保護した人らもいますし。肉体ケアはンフィーレアの薬でなんとかしてますが、精神ケアは魔法頼りかなと。
 ラキュースも、村にいる間はいろいろ協力させられたでしょう。

 ヘッケランは、他3人との関係性、チームとしての完成度から、必要とされるでしょう。
 世渡り能力も彼が最も高いはずですしね。
 リーダーとして指揮能力をちゃんと持っている点で、ブレインより価値高いです。
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