アルベド二人旅   作:神谷涼

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 かなり難産。
 細かく書いても今一つだった箇所は、軽く流してスキップしてます。



38:来ちゃった

「あの……儂らで本当によろしいのでしょうか」

「…………」

 

 カジットが不安そうに言い、デイバーノックも深々と頷いた。

 存在自体忘れられているだろうと思っていたところ、女神直々に呼ばれたのだ。

 事情説明をされても、力量不足では……と不安でならない。

 

「単なる魔術の力量ならば、残す連中で問題ない。魔法の深淵に臨み、新たな呪文を編み出さんとするお前たちが、今回は必要なのだ」

「おお……儂如きにそのような……」

「あちらが受け入れるか次第ではございますが。最大限の尽力を捧げましょう」

 

 デイバーノックは他の六腕と段違いの境遇に、女神への忠誠を高めていた。

 かつての八本指では、ほぼ監禁された戦闘兵器扱い。

 今では同じ志を持つ魔術師仲間がおり、より上位の術師と話し合う機会も多い。

 他系統の魔法詠唱者(マジックキャスター)も多数いるため、彼らとの談義から大きなヒントも得られる。

 そして今回。

 女神は魔法知識探求に熱心な二人を、帝国魔法省に派遣したいというではないか。

 バハルス帝国、彼の“逸脱者”フールーダ・パラダインとて、女神から派遣された者を疎かにできまい。二人にとって願ったり叶ったり――どころか、都合がよすぎて心配になる。

 

「よいか。今回の派遣は、お前たちの探求を深め、新たな呪文開発を進める目的がある。帝国で未知の新たな呪文を見つけたなら、自ら習得するか、あるいはスクロール等を手に入れて弟子たちに教えよ。役に立つ、立たぬの判断は不要だ。また、開発においても探求する分野はお前たち自身が望むものでいい。応用次第で使える術もあるだろう。思わぬ呪文がさらなる新呪文の切っ掛けともなりうる」

 

 女神の言葉に、二人は真剣な顔で頷く。

 判断は自らの習得かスクロール購入かで選べということだ。

 そして、己らの呪文収集と呪文開発に、女神は期待をかけてくれている。

 

「お前たちが新たな術を手に入れて来ること、期待しているぞ。また、彼の皇帝を主君として誠心誠意仕えよ。密偵じみた真似などするな」

 

 功名心など考えず、探求に専念せよとの言葉。

 二人にとってはまさに望むところである。

 

「「ははっ、承知いたしました!」」

 

 二人でひれ伏す。

 かつて死者の大魔法使い(エルダーリッチ)になろうとした男、カジット。

 人の社会で知識を求めた死者の大魔法使い(エルダーリッチ)、デイバーノック。

 カルネ村で魔法探求に没頭する二人は、奇妙な友情を育みつつあった。

 

 

 

 ことの始まりは、ツアーとの会談から一週間ばかりが経った夜。

 久しぶりに現れた女神の食事の折。

 エンリとンフィーレアをはじめ、多数のカップルが食事中の女神の前で婚姻の誓いを立て、夫婦となった。

 たくさん夫婦になるものだなと、感心していたモモンガだが。

 アルベドからの熱視線を受け、その場の勢いで結婚したのだった。

 

 無論、アルベドはすさまじい喜びようであり。

 いろんな場所から忠誠心が溢れ出していたが。

 モモンガとしては、とっくに夫婦以上だったのに……という気分である。

 ともあれ、せっかく結婚したのだからと。

 新婚旅行に、再び帝都に行くことにした。

 そしてついでにと、モモンガはアルシェに声をかけ。

 また、カジットとデイバーノックに声をかけたのだ。

 

 

 

 そして翌朝。

 栄えある女神の同行者は前回と同じくエンリ、クレマンティーヌ。

 そして新婚旅行つながりでンフィーレア。

 帝都で実家の妹らの様子を見に行くアルシェ。

 さらに魔法省へ派遣させるカジットとデイバーノックである。

 クロマルはいないが、不可視化した高位アンデッドは数体を連れている。

 

「さて、今回は少し寄り道もしていこう。あの皇帝に土産も渡さねばならん」

「普通にお金を無心しても、問題ないと思いますが……」

「アルベドよ、ジルの金は帝国民の税金だ。我らが安易に奪ってよいものではない」

「私たちが行けばそれで十分価値はあると思うのですが……」

 

 実のところ、カルネ村に現金はあまりない。

 いくらかの財貨についても、エ・ランテル等で生活必需品購入や非常時の貯蓄とすべきと、女神自ら宣言している。村人の数も増えている以上、金属製品その他のために現金での購入が必須。王国貴族のような搾取をしては、モモンガとしても本末転倒なのだ。

 モモンガは、道中で皇帝に必要であろうものを調達し、今回は直接皇帝の元に向かった。

 

 

 

「――というわけなのだが、どうだろう?」

 

 突然、〈転移門(ゲート)〉で執務室に現れた女神とその一行に、ジルクニフは驚愕で飛び上がらんばかりであった。

 というか実際、飛び上がった。

 同室していたロウネとニンブルも飛び上がった。

 

「ま、待っていただきたい、モモンガ様」

 

 素で“様”を付けてしまっているが、それどころではない。

 

「ああ、すまないな一方的に話をしてしまって。人の礼儀には疎い身ゆえ、どうか許してほしい」

 

 モモンガが頭を下げた途端向けられる、アルベドとエンリの殺意の嵐。

 精神防御のネックレスがなければ、恐怖状態に陥っていたこと間違いない。

 

「い、いやどうか頭をお上げいただきたい。私が問いたいのは後ろの方々についてなのだが……」

 

 ジルクニフは背後に多数いる人外について問う。

 彼らの存在で、広々とした執務室も狭苦しくなっていた。

 

「これがお前への土産だ、ジル。お前が働きづめでいなくてはならないのは、信用できる文官が少ないせいだろう」

「確かにそうだが……文官?」

 

 モモンガの背後にずらりと並ぶ死者の大魔法使い(エルダーリッチ)

 皇帝の執務室に来る前、モモンガはカッツェ平原にて〈中位アンデッド作成〉を行い、12体の死者の大魔法使い(エルダーリッチ)を揃えたのだ。

 

死者の大魔法使い(エルダーリッチ)が14体? いや、一体は似ているが人間か。これだけいると、じいでも勝てんのではないか?)

 

 数に含まれたのはカジットとデイバーノックである。

 

「魔法ばかりに目がいくだろうが、こやつらは知性においても優れている。身辺警護も兼ねて、お前の仕事を十分に補佐できるだろう。この12体の指揮権をジルに与えよう」

「あ、ああ……ありがとう」

(脅迫か? 脅迫なのか? いや、しかしそんな悪意のある顔には見えん……!)

 

 唖然としつつ、生返事で背後を見る。

 居並ぶ(ジルクニフ視点では)高位のアンデッド。

 執務室の中、護衛と呼べるのはニンブルだけ。

 身の危険を感じるべき状態だが。

 

(まさか御方の厚意を拒むと……?)

(モモンガ様に恥をかかせるようなら……)

 

 アルベドとエンリの視線の方が、遥かに恐ろしかった。

 

「し、しかし具体的に何ができるかわからん。最初は魔法省の仕事など手伝ってもらってもいいだろうか?」

(じいに丸投げしよう)

「いや、それについてはこの二人……カジットとデイバーノックを、魔法省で使ってやってもらえないか。彼らには、共同研究者という立場を与えてもらえるとありがたい。人材として活用してかまわんが、新たな呪文を開発した際に、我々にも共有させてほしいのだ」

「それは……」

(むぅ、どうなのだ? じいに任せきりだったからな……交換条件の価値がよくわからん。この場にじいを呼んで聞くべきなのだろうが、正直ろくなことになるまい)

 

 あの暗黒神官によって、フールーダが重傷を負って半月も経っていない。

 しかも、明らかにこちらが悪い状況であったし。

 同じことを繰り返す可能性が……かなり高い。

 

「そちらにも機密はあると思う。そうした呪文等を無理によこせとは言わん。だが、お前たち人間の英知が生み出した新たな呪文には、私も興味がある。何より私は彼らに、研究の環境を与えてやりたいのだ」

「も、モモンガ様……!」

「我ら如きをそこまで……!」

 

 カジットとデイバーノックが感動の涙を流す。

 アルベド、エンリがうんうんと頷き。

 他の死者の大魔法使い(エルダーリッチ)にも、もらい泣きする者らがいた。

 なお、クレマンティーヌは隅で欠伸をしている。

 ンフィーレアとアルシェは空気に徹していた。

 

(え……アンデッドって泣くのか……?)

 

 ジルクニフにとって、常識を超えた光景であった。

 ミイラみたいなホラー顔から涙が流れているのは、シュールを通り越してギャグである。集団で目頭を押さえて肩を震わす姿など見ていると、警戒するのが馬鹿らしく思えた。

 

(元より、宮殿内に直接転移して来る女神を疑っても意味は薄い……普通に厚意と受け取った方がいいだろう。帝国に敵意があるなら、密偵を潜り込ませる必要もない。この場で我々を殺すのもたやすいのだからな。受け入れて活用するのが、度量の見せどころか。先日にさんざん醜態を晒した以上、分の悪い賭けでもなかろう)

 

 皇帝として、冷静に判断した。

 

「あいわかった。カジット殿、デイバーノック殿を魔法省の研究員として迎えよう。他の死者の大魔法使い(エルダーリッチ)の方々は、事務能力を測らせてもらった上で活用させてもらうが……かまわないだろうか?」

「無論だ。それと、突然押しかけてすまないのだが、もう一つ頼んでよいだろうか……」

 

 上目遣いでモモンガが言ってくる。

 殺人的な色香と愛らしさだった。

 精神防御がなければ、魅了されていただろう。

 

「なんだろう。あまり無茶な頼みは聞けないが……」

(くっ、先日も言っていたが、やはり何か政治的条件を?)

 

 政治家として身構えるジルクニフ。

 

「実は、村では現金の蓄えがあまりなくてな……その、帝都で飲食したいので金貨で……何枚くらい必要だ?」

「うーん、こないだくらいで夕飯も食べるなら2枚で十分かなー。服も買うなら、10枚以上あった方がいいよー」

 

 クレマンティーヌが答える。

 前回の残りは、増えた村民の生活貯蓄となっていた。

 

「今回、服は買わん。だからその、金貨で2枚ほど……もらえないか?」

 

 本当に申し訳なさそうに言ってくる。

 

「金貨2枚?」

 

 呆気にとられて問い返すジルクニフだが。

 どうやら意図とは反対に受け取られたらしい。

 

「……露店だけなら銀貨でもいけるのではないか?」

 

 女神は気まずそうに背後を見る。

 

「金貨100枚とか1000枚要求しても、別にいいと思うんだけどなー」

「税金をそんなに使わせてはいかんだろう」

 

 小声だが、目の前なので丸聞こえである。

 

(子供か……?)

 

 皇帝は呆気に取られた。

 少なくとも皇帝として見る書類は、最低でも金貨数百枚単位の予算や事業ばかりだ。

 金貨数枚と言う端数は、ほとんど気にも留めていない。

 普通に考えて、執務室に転移して来るような身なら、脅迫半分に1000枚程度を要求してもまったくおかしくない。取引としても死者の大魔法使い(エルダーリッチ)を戦力として得られるなら、十分にお釣りがくる。

 ただ問題として。

 皇帝は基本的に現金を持ち歩いたりしない。

 

「……おい、ニンブル。持っているか?」

「あ、はい」

 

 似たような感想だったのだろう。

 ニンブルが懐から2枚の金貨を取り出す。

 

「ん? お前は……四騎士の一人だったか。いいのか?」

「は。陛下は現金を持っておりませんので……ひとまずの立て替えとして」

 

 2枚の金貨を手渡す。

 柔らかく美しい女神の手に触れて、ニンブルは初めて恋を知った少年のように顔を赤らめていた。

 

「おお、そうか! ありがとう!」

 

 金貨2枚で、女神が喜色満面となり二人に礼を言ってくる。

 いや、言ってくれる。

 ジルクニフとニンブルは、今までの驚愕、恐怖、警戒が溶け崩れていくのを感じた。

 ころころと変わる女神の表情は、宮廷に慣れた者にとってある種の毒だ。

 

(なるほど。一部の貴族が我が子や愛玩動物に夢中になるのもわかる。無防備な感情、仮面の無い反応がこんなにも心を癒してくれるとはな。あの日、私自身泣いて、眠ってしまったのも、これゆえか。もし、金貨2枚ではなく200枚なら……いや、そういう問題ではないか)

 

 ジルクニフが感慨に耽る間にも、女神は言葉を紡ぐ。

 

「しかし、ジルは現金を持ち歩かないのだな。自宅とはいえ、皇帝などしている以上、何があるかわからんのだ。最低限の現金は持っておいた方がいいぞ。あと、彼にはきちんと金貨を返しておいてやってくれ。私はあくまで、ジルにその、まあ金の無心に来たわけだからな。偉そうに言えることでないが、部下に支払わせて、返さぬような主君になってくれるなよ」

「…………あ、ああ」

 

 己を政治的に利用しようとした実母。

 帝国を第一として助言してくる愛妾。

 ただ一人、己を心配してくれる女神。

 ジルクニフの目頭が熱くなった。

   

(母か……アンデッドどもを笑えんな)

 

「前より顔色はよさそうだな……あれからきちんと睡眠はとっているか? 食事の時は仕事を止めて、食後も少し休憩をとるのだぞ。体が若いからと無茶をしてきたのだろうが、疲労は必ず溜まっている。週に一日、無理なら月に一日でも、日を決めてしっかり休め。病人になったつもりで、ただ寝転んでいるだけでも違うからな」

 

 顔が近い。

 煽情的な谷間が見える。

 だが、それよりも邪心なく己を思いやってくれる言葉が。

 地位も権力も財力も気にせず、ただ体調を思いやって見つめるまなざしが。

 欲情よりも、嬉しさや安心感を覚えさせるのだ。

 

(あ、だめ泣く)

 

 語彙が崩壊するのも無理はない。

 

「と……すまないな、今後の部下の前では甘えづらいだろう。また様子を見に来る」

 

 潤みかけた目に気づいてか。

 女神は皇帝の頭をやさしく撫でて、身を離した。

 

「あ……」

 

 追うように手を伸ばしかけ。

 ジルクニフは多数の視線の中と気づき、居心地悪そうに肩を戻した。

 

 女神は、カジットとデイバーノックにもう一度声をかけ。

 ジルクニフへと微笑み、子供にするように手を振りながら。

 アンデッドらを残し〈転移門(ゲート)〉で去った。

 

 女神の余韻を味わうように、ジルクニフはじっとその後を眺める。

 残されたアンデッドたち(一人は人間だが)もまた、同様であった。

 そこには奇妙な同調……あるいは連帯感があった。

 

 

 

「皇帝陛下、よろしいでしょうか」

 

 痩せこけた魔術師が、部屋の沈黙を破る。

 おそらく、ジルクニフの切り替えを待ったのだろう。

 

「儂はカジット・バダンテール……元スレイン法国神官であり、また元ズーラーノーン十二高弟の一人でございます」

「我はデイバーノック。元は王国の犯罪組織、八本指は警備部門の幹部です」

「何!?」

 

 ズーラーノーンは最悪の死霊系魔術秘密結社である。

 そして八本指は、帝国に麻薬を流す犯罪結社である。

 どちらも、超々警戒対象。

 ニンブルが慌てて剣に手を伸ばした。

 ジルクニフが手を伸ばし、それを抑える。

 ここで皇帝を襲えば、女神の面目は丸つぶれだ。彼らがそんなことを望むとは思えなかった。

 

「かつての立場にすぎませぬ。今の儂らはモモンガ様を崇める末席」

「モモンガ様が、御身に誠心誠意仕えるようおっしゃられた以上。我らは女神の前で口にすべきでない事柄を、御身に明かすべきと考えておりますれば」

「何……? どういうことだ」

 

 まさか、と思うが。

 ジルクニフは政治家の頭に切り替える。

 そうだとすれば……。

 

「ズーラーノーンは帝国で少なからぬ貴族や高位官僚を集め、邪神教団を運営しております。儂は異なる拠点にいたため、参加者の詳細まで存じませんが……拠点の場所と入り方、おおよその戦力については、お教えできましょう」

「八本指では麻薬部門と密輸部門、金融部門が、帝国に根を張っていました。生き残りは聖王国に拠点を移した様子ながら、未だ帝国内に末端組織が残るはず。可能な限り、その詳細をこちらに記して参りました」

 

 デイバーノックが、ロウネに書状の束を渡す。

 六腕で最も目端が利き、他部門にも通じていたサキュロントが軸となって用意した書状である。

 カルネ村で居場所を今一つ見つけられぬ六腕は、元同僚ながら優遇されている“不死王”を通じ、帝国に居場所を作ってもらえまいかと古巣を売ったのだ。

 

「……承知いたしました。直ちに記録し、信用できる衛兵を派遣しましょう。民へのアピールとして、四騎士も動かした方がいいですね」

 

 ロウネが緊張した顔になる。

 カジットの言う邪神教団の内情次第では、再び粛清の必要があるだろう。

 また、デイバーノックの情報は麻薬根絶の大きな鍵となる。

 

「真偽を確かめてからだが……まずは礼を言おう。協力、感謝する」

「これより魔法省に務めさせていただく以上、陛下は儂らの主君ですからな」

「もっとも、我らの神は不変ですが」

 

 ジルクニフの言葉に、カジットとデイバーノックが深々と礼をした。

 さらにデイバーノックが続ける。

 

「我も王都の闇で活動してきた死者の大魔法使い(エルダーリッチ)。アンデッドをいきなり表で使うのは困難でしょう。我は仮面なりをつけて正体を隠しますが……この者らの能力を知るなら、適当な書類倉庫などでまずは整理の仕事でもさせればよいかと。不眠不休かつ飲食不要で働ける文官は、陛下にとって役立つとわかるはず」

 

 元犯罪組織幹部ゆえの配慮である。

 人間社会で活動するアンデッドとして、彼もいろいろと苦労しているのだ。

 

「おお、気遣いありがたい。だが、モモンガ様も心配くださった通り、帝国は人材不足極まっている。信頼の証として相応の仕事を任せるつもりだ」

「それはそれは、モモンガ様も喜ばれるでしょう」

 

 ジルクニフが鷹揚に頷き。

 カジットが人相に似合わぬ、好々爺然とした笑みを浮かべた。

 裏にあるのは追従ではなく、女神への忠誠。女神を介したがゆえの、ジルクニフとの主従関係である。

 

「うむ。正直、お前たちを任された時はどうしたものかと思ったが……どうやらうまくやっていけそうだ。よろしく頼むぞ」

「こちらこそ」

「俗事には疎い身ですが、よろしくお願いいたします」

 

 和やかな様子に、十二体の死者の大魔法使い(エルダーリッチ)は跪いて皇帝の命を待つ。

 

((陛下……上機嫌なのは結構ですが……悪の帝王みたいな絵面ですよ))

 

 ロウネとニンブルは、その様子を少しひきつった顔で眺めるのだった。

 

 

 

 その後、魔法省責任者として呼ばれたフールーダが仰天し。

 女神と会談したという皇帝に対して、子供のような嫉妬を見せたり。

 死者の大魔法使い(エルダーリッチ)十二体の支配権を与えられたと聞けば、ジルクニフを凄まじい怨嗟の顔で睨んだりと。

 いろいろあったのだった。

 とはいえ、カジット、デイバーノックという人材を預けられた意味を聞くと、フールーダも奮起した。然るべき成果を見せれば、彼も女神に認められるだろうと。

 なお、今後も女神がフールーダを避けること、言うまでもない。

 ついでに、ジルクニフも、フールーダを少し避けるようになった。

 

 

 

 そして一方。

 女神たちは、先日も食べ歩いた広場へと転移し。

 上機嫌で露店で買い食いし、帝都民とも交流しつつ――。

 

「突然すまないな。先日の酒場――歌う林檎亭に行くから合流してもらえるか? その後の経過を聞きたいし、決断したなら答えも聞きたいからな」

 

 〈伝言(メッセージ)〉でレイナースを呼び出していた。

 




 金貨1枚の価値はだいたい10万円程度としています。
 今回は6人、ちょっとお高いところに行ったり、軽く買い物したくなった場合に足りないかな?ということでクレマンさんは2枚で進言。いざという時お金がないから……というのは、かっこ悪いですからね。皇帝にせびるのがかっこ悪くないかどうかはさておき。

 突然のエルダーリッチ大量贈与ですが、モモンガさんは善意100%です。
「ブラック業務たいへんそうだな……そうだ! ブラックでも働ける手下をやろう!」
 程度の考えですね。
 デイバーノックもいたので、エルダーリッチならそのへんにホイホイいるんだろうと考えてます。
 フールーダさん、エルダーリッチ12体は状況次第ではやばい、くらいかなと。
 魔法使い同士なら先制攻撃できるかどうかって感強いですからね。
 多方向から囲まれて遠距離魔法投げ合いだと、たぶん負けそう。

 スケリトルドラゴンはカルネ村にいます。普通にニグンさんの指揮下。
 このカジットさんは死の宝珠を普通に持ってますが、女神に逆らうとヤバいのを宝珠もわかってるので、おとなしくしてます。カジット操るより女神に普通にさせてた方が、常識超えたアンデッドが大量に湧き出すので……。

 結婚ラッシュ。
 正直、結婚式を書こうかかなり迷いましたが、アルベドさんが見苦しい状態になって、モモンガさんが妙に冷めてるだけなので、さらっと済ませました。
 ネームドの結婚は、モモンガ&アルベドとエンリ&ンフィーのみ。モブは10カップルくらいくっつきました。
 女神の結婚は、みんなの前で我々も夫婦だよって宣言した程度です。
 アルベドは感極まりますが、モモンガさんは今更でしょって気分。
 そして、この宣言で、基本的に一夫一妻がモモンガ信仰の軸になります。浮気、寝取りは悪。女神同士で結婚したので、同性婚はOK。
 離婚は非推奨ではあるけど、神官長(エンリ)に言って、OKもらえばできます。
 ヘッケランとイミーナは、まだ村に慣れきっていないので結婚は様子見。
 毎晩避妊せずに励んでるので、できちゃった婚になる可能性もあります。
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