アルベド二人旅   作:神谷涼

48 / 53
 ちょっと初期のノリに戻ります。



44:天下三分の計

 会議は手短に終わり、黒い城塞は再び二柱のみの場所となる。

 外の穢れを払うように、彼女らは浴室に向かい。

 広い浴槽にて、身を寄せ合っていた。

 

「お疲れだったな、アルベド。私の我儘に付き合わせてすまなかった」

「そんな……モモンガ様のお役に立てる以上の喜びはありません。それに、すべては今までの行いあればこそ。私では、命令はできても自主的な協力を得られなかったでしょう」

 

 アルベドが自ら交渉の中心となったのは、ラナーの相手をして以来。

 ツアーがあっさり納得したのも、ジルクニフが自ら仲介役を無償で買って出たのも。

 モモンガのこれまでの行ないゆえ。

 

「……ありがとう」

「ぁっ♡ え……?」

 

 水音すらたてずに、ぴったりと密着して頬ずりし、首筋にくちづけるモモンガに。

 アルベドは“なぜか”過敏に反応してしまう。

 そんな反応に、アルベド自身が戸惑い、慌てる。

 

「どうした? アルベド」

「い、いえ……ひゃうっ!?」

 

 互いの乳房の先端が触れ合うだけで、びくりと身が震えて小さくのけぞる。

 湯の中でかくかくと腰を使ってしまう。

 軽く気を遣ったのだ。

 高い知性を持つはずのアルベドにも、何が起きているのかわからない。

 

「らしくないな。混乱しているのか?」

「はっ♡ はっ♡ も、申し訳ありませ――んぃぃひいいいいいい♡♡♡」

 

 モモンガの指が、湯の中で踊った。

 それだけで正体を失い、激しく反応し……果ててしまう。

 冷静に分析する余裕すらない。

 

「昨夜は重い雰囲気で、キス程度しかしなかったからな……そのまま服を着て互いに抱きしめあい眠ったな」

「そ、そうですが……も、モモンガ様、もしや私に何かし――ああああああ♡♡」

 

 指先で簡単に鳴かされ、よがらされてしまう。

 

「私は何もしていないぞ? さんざんしたのはお前だろう?」

「えっ、ひょおおおぉほぉ♡♡♡」

 

 冷静に言葉の意味を考えようとしても、アルベドの体は絶えず襲う快楽に抗えない。

 主の前で見せるべからざる、蕩け――というより獣じみた表情を見せてしまう。

 対するモモンガは、見たことのない嗜虐的な笑みを浮かべていた。

 

「この世界に来て一か月以上……お前と体を別にしてから、ずっと二人で交わっていたな」

「あっ♡ ひゃい♡ ひょうれふっ♡」

 

 モモンガの指使いが激しくなり、ぱちゃぱちゃと湯が波打つ。

 アルベドは全身をひくつかせ、小さな絶頂の連続に襲われながら、必死で答える。

 実際、大半の時間を触れ合い、貪って過ごしていた。

 

「互いに貪り合う……というよりは、随分とお前に貪られていた気がする」

「しょ、しょんなつもり、あああああああああ♡♡♡」

 

 抗弁を、快楽で押しつぶされる。

 実際、衝動のままモモンガをしゃぶり尽くし、奉仕と称して快楽を与え続けたアルベドである。この一か月以上、モモンガはほぼずっと受け身であり、アルベドから奉仕という名の愛撫と攻めを受けていた。

 己が至高の御方に奉仕させるなど……と考えるアルベドは、たとえ始まりがモモンガの積極的行為であろうとも、すぐに攻めへと転じたのだ。モモンガに己の思いつく限りの快楽を与え、また自身の衝動のまま体を貪ってきた。

 攻めのSもSMのSも、サービスのS。

 寝食不要の肉体ゆえに、眠る時間すらなく。

 失神しても、さらなる絶頂で起こされて。

 わずかな外に出た時間以外はひたすら、アルベドの淫魔攻めでドロドロのぐちゃぐちゃにされてきたモモンガ。痛みすら適量なら快楽と感じるようにされ、穴という穴をかき混ぜられ、ほじられてきたのだ。

 そしてそれは同時に、全てアルベドの本来の肉体に行われた行為。

 人間ならば狂い死ぬほどの快楽調教。

 

「その体はよく感じるだろう? お前がずっと開発してくれたのだからな」

「ひっ♡ ひへっ♡ そんにゃっ♡」

 

 ただでさえ淫魔の体は感じやすく、しかも性的成長性が異様に高い(らしい)。

 性的変化は、ユグドラシルのシステムに“存在しない”分野。

 攻め一方かつ不変の複製体(クローン)だったアルベドとは違う。

 モモンガの――そして本来のアルベドの肉体は感度が上がり、反応が艶めき、性癖が広がり、弱点が増やされていた。

 そう、モモンガはシステム外での“成長”を身を以て味わっており。

 今、その成果をアルベドに見せつけているのだ。

 

「私をずっと気持ちよくしてくれたお前への、せめてもの礼だ。今日から私が、お前をよくしてやろう♡」

「あっ♡ あおおおおおっ♡♡」

 

 にやぁっと意地悪く笑うモモンガの表情だけで。

 アルベドは魂まで果ててしまう。

 今までの精神的な服従ではない。体そのものが快楽を、主からの愛撫を期待している。

 すべてを以て主に屈する悦びに狂わされながら……アルベドはさらに下品に鳴きわめくのだった。

 

 

 

 

 一方、そのころ。

 バハルス帝国帝都、帝城奥。

 城砦を出て転移した各首脳陣が、対外政策のすり合わせをしていた。

 

「確かに、森妖精(エルフ)王の今の在り方を問題視するのはわかるよ。直接滅ぼしたり暗殺するなら一言ほしいけど……交渉材料に使うくらいなら問題ないね」

「ありがたい。帝国も、森妖精を奴隷とする制度を近く廃止する。債務奴隷と同じ扱いとし、人権を与えること約束しよう。まだあらゆる種族とはいかぬが、評議国とは仲良くしたいし……女神の元にいる森妖精への姿勢にも影響する」

山小人(ドワーフ)との国交を回復されてはいかがですかな。意図せずとはいえ、王国北部の大貴族は粛清により消えました。アゼルリシア山脈北部を我々が平定すれば、両国による北部掌握は容易でしょう」

 

 ツアー、ジルクニフ、ニグンの三人である。

 ジルクニフの後ろには秘書官のロウネが控え。

 ニグンの後ろには帝国の事情にも詳しいレイナースが控えている。

 万が一にもスレイン法国に知られぬよう、会議室にはニグンとレイナースによって、強固な対占術結界が張られていた。

 そもそも帝城内に直接転移してきた以上、この極秘会談を知る者など帝国にもほとんどいない。

 

「帝国は私が行った粛清により、未だ変革の最中。多種族化へ進めるにも、困難はあるまい。帝都では女神殿の降臨で、亜人へのイメージ自体上昇している。闘技場でもトロールがチャンピオンとなっているのだしな」

「ちょうど森林の蜥蜴人(リザードマン)に外を知りたいという者もおりました。彼らを帝国に留学させてもいいですな」

「いいね。帝国の豊かさは、僕も聞いているよ。評議国からも、適任と思える者たちを送ろう」

「文化や思想に合わせて、互いに技術なども入るはずだ。魔法学院への留学という体裁をとってもいいな。こちらから、希望者を評議国に送ってもいい」

「我々が持ち掛けた話ゆえ。互いに人員と準備を決めていただければ、私が《転移門(ゲート)》で両国をつなぎましょう」

「本国の評議会に持ち帰る必要はあるけど、問題なく通ると思うよ。希望者を審査して、なるべく多彩な種族で交流させたいね」

 

 評議国にとってみれば、人類圏を多種族化させる一歩。

 提唱者は“ぷれいやー”でもない、人類の君主だ。反対する理由も、うがった見方をする理由もない。ニグンの言葉も、この世界に根付いたものであり、異様な発案や、規格外の技術でもなかった。

 評議国と帝国は、間に王国と山脈を挟むため、直接交流が難しい。《転移門》の使用も、乱用でなければ時間の短縮と安全確保の範疇と言えるだろう。

 

 帝国にとってみれば、これは技術や文化の推進。

 しかも、問題発生時には女神の戦力と魔法が味方となってくれる。何より、評議国と太いパイプを得れば、狭量な法国に利用され続けるよりよほど大きな国益となる。

 それに、帝国としては国際的に聞き出すべき話は多い。

 たとえば。

 

「そういえば竜王国について、評議国と女神殿はどのようにお考えなのだろう? 彼の国がビーストマンによって陥落すれば、次は我が帝国が矢面となる。法国はこの事実を必ず突いてくるだろうからな」

 

 帝国と評議国の関係について、話が一段落したところで。

 ジルクニフはなにげない風に切り出した。

 竜王国は帝国に隣接しており、目下ビーストマンによって滅ぼされんとしている。滅べば、次は帝国がビーストマンと領土を接するのだ。

 

「ドラウディロンには悪いけど、評議国としても私としても動けないね。あの国に起きているのは、単なる弱肉強食。自然現象だよ。種族間での文明の興亡は古くからあった。ビーストマンに味方はしないけど、人類に味方もできない」

「なるほど。多くの種族を抱える評議国であれば、当然だな」

(予想通りか……評議国にとって大きな存在でなければ、我々も助けは得られまい。これはお互い様だろうが、な)

 

 予想通りの答えに、ジルクニフは頷く。

 

「モモンガ様も現状では手を出しますまい。女神は自ら御前にて願い訴える者がいれば、その願いを吟味し、叶えるのです。竜王国が直接に救いを求めねば、手出しはいたしませぬ」

「ふむ……」

(つまり、助力を歎願させればよいということか。あの女が、無駄な若作りをしなければ通りそうだな)

 

 無難な答えだなと思案する皇帝だが。

 

「え? じゃあ王国に手を出したのも、望まれたからなのかい?」

 

 ニグンの言葉に、ツアーが首をかしげた。

 

「はい。王国に手を出したのは、あくまでモモンガ様に貴族の専横を訴えた者がいたゆえ。また今回、森妖精王を懸念するのも、先日に帝国で保護した奴隷たちの言葉ゆえです」

「へぇ。じゃあその訴えがなかったら、キーノとリグリットが騒いでた王国の事件もなかったんだ?」

「とはいえ、遠からず徴税吏なり討伐軍と衝突していたでしょうな。その意味では、やはり今回の方が無駄な犠牲を出さずに済ませられたと信じております」

「そういえば、レイナースも直接に願ったのだったな」

 

 ふとかつての部下たるレイナースを見る皇帝。

 

「はい。モモンガ様は願いの叶え方をまず説明し、よく考えて決めるようおっしゃいましたわ。その上で、己の仕事を放り出さず、きちんと引継ぎをせよとも」

「ん? しかし、引継ぎはしていなかったのではないか?」

「はい……この通りアンデッドになりましたし、思わぬ美貌をいただいたため、混乱させるのではないかと思い、避けました。モモンガ様はその代わりとして、陛下に多くの人材を提供なされたのですわ」

「…………聞いておらんな」

「モモンガ様は、恩に着せたくなかったのでしょう」

「…………」

 

 六腕もカジットも、帝国に大いに役立ってくれている。

 さらに追加が送られた死者の大魔法使い(エルダーリッチ)も同様だ。

 正直言って、忠誠心に問題のあったレイナースより役に立っている。

 邪教団や裏組織を掃討し、帝都の膿を払えたし。皇帝の仕事量もかなり減った。

 六腕の内、五人には表の地位を与えてみようとも考えているほどだ。

 

「ああ、しかし例外がありましたな」

 

 ニグンが思い出したように言う。

 

「皇帝陛下、それにあのフォーサイトというワーカーチームには、モモンガ様が自ら積極的に動いておりました」

 

 そして、エンリやクレマンティーヌから聞いたという当時の状況を、ツアーにも語る。

 帝都に始めて現れ、フォーサイトに出会うまで。

 皇帝と出会うまでの話だ。

 帝都での散策、イミーナとの遭遇、エルヤーの撃退、アルシェの事情……皇帝を褒めたたえたことなど。フールーダについては皇帝のために伏せつつ、説明する。

 

「へぇ。モモンガはかなりの善人なんだね。完全な信用はまだできないけど、好感は持てるよ。差別主義者をこらしめたっていうのもいいね」

 

 ツアーが少し嬉しそうに言い。

 

「…………政治の舞台には触れさせぬようせねば、な」

 

 ジルクニフは真剣な顔で、呟いた。

 

 

 

「最後となるが、あのカルネ村は名目上のみであれ、未だ王国領だ」

「帝国から王国への、内政干渉になるということですな」

 

 今後の方針もおおよそは決まって。

 ジルクニフは最後の――そして最大の懸念を口にした。

 ツアーは既に己の分野は済んだと、半ば聞き流している。

 

「帝国が強引に接収したことにしてもよいが……できれば独立国となってもらいたい」

「……おそらく、モモンガ様やエンリ殿は独立にあまり積極的でないでしょう。いえ、国際政治の場に立つことを望まれぬと言うべきか」

「あー、うん、王様になるってめんどくさいもんねぇ」

 

 ツアーも同情半ばに頷く。八欲王の如く自ら王になろうとはせぬからこそ、モモンガへの警戒心は薄い。個人で責任を負ったり、面倒を抱えたくない……というのは、ツアーが評議国を今の政治形態にした主たる理由の一つでもあるのだ。

 

「女神は御二方の国ならばともかく、法国や王国との交流は望んでおりませぬ」

「それはそうだろうが……」

 

 そのために、この会議は行なわれているのだ。

 確かに法国と交流せねばならぬ立場など、望むまい。

 とはいえ、帝国が口出しするにも名分が必要だ。

 帝国へのエ・ランテル割譲を強制し、カルネ村を帝国領とするは可能。だが、問題視される法国側の使節来訪へは間に合うまい。強引にするならば、先日の略奪を帝国軍によるものとして泥をかぶる覚悟が必要だ。

 軍事行動により、既にカルネ村は占領下にしていたと強弁せねばならない。

 女神のためとはいえ、今後を考えれば帝国としては避けたい。

 そんな皇帝の内心を汲むように、ニグンが言葉を続ける。

 

「ゆえに、提案ながら……別に首都を構えた上で、カルネ村を別の国家の一部にできればと考えます」

「別の首都だと? 都市まで一夜で築けると言うのか?」

「あまり大規模な力を振るってほしくはないんだけどね」

 

 ニグンの言葉に、ジルクニフが疑問を、ツアーが苦言を呈する。

 

「いえ。カルネ村は元より、森の賢王なる高知能の魔獣によって守られておりました。これにより、彼の魔獣殿に、まずカルネ村の支配権があったこと主張いたします」

「む? さすがに魔獣を王としては、法国の反感が強かろう」

「魔獣って言っても、モモンガほど強くないだろ?」

 

 意図がわからず、首をかしげる二人。

 

「森の賢王は、新国家の将の一人にすぎませぬ。先ほどの話題にも出たアゼルリシア山脈、およびトブの大森林すべてを領土とする、“人類が知らなかった”多種族連合国家を名乗るのです。法国はある程度の戦闘行動はしてきたものの、どちらの詳細も把握しておりませぬ。首都は森林奥か山小人の都とすれば、時間を稼げましょうぞ」

 

 山脈と大森林は、帝国と王国を隔てる要害。

 これらがまるごと一つの国家として多種族国家として宣言すれば……両国の軍事バランスは崩壊する。

 人類圏から見れば帝国は孤立し、王国は評議国と新国家という多種族圏に挟まれるのだ。人類全体の危機であり、人類に友好的に見える女神を刺激するなど不可能な状況が発生する。

 

「なるほど……なるほどな。ははは! 最後の最後でよくもしてやってくれたものよ」

「ははぁ。これで評議国が支持する理由ができて、帝国は新興国を警戒しているように見えるわけだね」

 

 ジルクニフが思わず笑い。

 ツアーが一気に関心を向け、身を乗り出す。

 

「元より偽装した法国兵に荒らされた地域だ。ろくに守れなんだ王国に対し“認知されていなかった大国”が、村を守ったという名分も立つ。適当な“王”が別にいれば、モモンガ殿が前に出ずともよかろう。帝国は領土を接する身として混乱して見せ、消極的な日和見の姿勢を見せればよいわけだな」

 

 帝国はただ被害者の立場でいればよいのだ。

 皇帝として上機嫌に言う。

 

「森の賢王殿を名目上のカルネ村を含む領主とし、政治的立場を持たせます。モモンガ様は……まあ、彼の国の知られざる神という立場でかまいますまい。君主が別にいるというのに、神が政治の舞台に立つなどおかしな話ですからな」

「そうだね。モモンガには今の立場でいてもらった方が、私も助かるよ」

「陽光聖典も漆黒聖典も、領土侵犯による不幸な衝突の結果、殉職したというわけだな」

 

 三人が悪辣な笑みを浮かべた。

 

「いいね! 私としても、それなら文句はない。モモンガが過度の干渉をせず、多種族国家として人類圏に楔を打ち込んでくれるなら、何よりだ。できれば本当にそういう国家を築いてくれると嬉しいよ。百年もすれば、王国だって多種族化するだろうしね」

 

 ツアーにとってみれば、王国と帝国がじきに評議国同然と化すということ。

 竜王に征服欲はないが、人類種が醜く争い続けるよりは似た価値観を共有する範囲を広げた方が、世界だって守りやすい。人類圏の改竄された十三英雄の物語だって、しっかり訂正できるだろう。なによりモモンガや帝国が、消極的にでもツアーに賛同してくれれば百年後に来るプレイヤーの察知も容易になる。

 

「未来を考えれば、異種族の浸透を避けるべきかもしれんが……山脈と森林すべてに防備など不可能だ。しかも未知なる新たな神が降臨し、帝都にすら現れる。既存の神を捨て、彼の神に祈る民すら現れかねんのだ。こんな絶望的状況で、彼の国を刺激したりできるはずもない」

 

 おしまいだぁ、とジルクニフが両手をあげておどけて見せた。

 既に百年ごとに現れるプレイヤーについては聞いている。

 ならば法国よりも評議国に付いた方が確実。モモンガという神にも、国家としていち早く恭順すべきだ。女神と竜王が、皇帝の後見人になってくれるのだ。百年後の皇帝が凡夫であろうと帝国は繁栄できるだろうし、暗愚が生まれる可能性も摘める。

 

「お二方が帝国の多種族化に賛同くださればこそ、この案を持ち出せた次第。無理ならば、女神殿にはしばし帝都に避難いただかねばなりませんでした」

 

 不敵に笑いつつも、軽い様子でおどけるニグン。

 

「おや、そちらの方が私個人には魅力的な話だったな」

 

 ジルクニフが心底残念そうに言う。

 実際に個人としては女神の傍にいたかったが……当人の心境や立場、帝国の未来を思えば、この上ない正解を引き当てたはずだ。

 

「さて、忙しくも楽しくなりそうではないか。ツァインドルクス殿、内幕についてはくれぐれも……」

「うん。一部の古い竜王以外には言わないよ。多種族国家が生まれるだけで、評議国としては応援するには十分だ」

 

 竜王が楽しげに頷く。

 

「書類関係はこちらで用意した方がよかろうな。国法などは、多種族を擁する名目で、評議国に倣うべきではないか? いきなり王を決めるのも面倒だろう。複数の評議員がいるとし、適当な奴を随時増やした方がよい」

「そうですな。まずは森の賢王殿と……蜥蜴人の代表。他にも適当な者を見つくろっておきましょう」

 

 こうして女神の知らぬ内に、新たな国家が生まれるのだった。

 

 

 

 

 なお。

 己も知らぬ内に政治的立場を与えられた魔獣は……。

 

「アーーッ!! クロマル殿ッ! 激しすぎるでござる!!」

 

 女神の淫気に充てられた雄に蹂躙されていたのだった。

 

 とはいえ、これはカルネ村多くで散見された状態。

 ハッスルしたモモンガと、受け身に回ると弱かったアルベドにより、いつも以上にたいへんなことになっていたのだ。

 

「ひぎぃぃぃぃ! エンリ! ちぎれちゃうよぉぉぉ!」

 

「ちょっ! クレマンティーヌさん、何イラだってんすか! あひっ!?」

 

 おかげでいろいろと汚い悲鳴も聞こえるが、平和なカルネ村であった。

 




 体をもとに戻した真の理由がコレ。
 (まあ、後から思いついたんですけど)
 原作コキュートスが証明した新たな成長を、身を以て知った二人。
 しばらくモモンガ様が攻め攻めモード。
 当人がずっと受け身だったので、労いのつもりでめいっぱい(性的に)かわいがります。
 アルベドとしては主が欲望を愛情と嗜虐心を込めて、自分の奉仕してくれてるので実際ご褒美。
 しばらく二柱は爛れた日々に溺れて、何もしません。
 新たな快楽探求の旅をしてます。

 今回はニグン、ツアー、ジルでがっつり国際政治スクラム組みました。
 少なくとも他の原作諸国はじわじわ飲み込む気満々です。
 まさしく勝手に天下三分の計。
 ラナーが察するでしょうが、今の彼女には手札がありません。

 モモンガとニグンを介してですが、ツアーとジルもかなり仲良くなりました。
 普通に個人間でのやりとりも始めるでしょう。
 (人類側の賢い君主は、ツアーとしてもそれなりに役立つ人材)
 世界級アイテムの探索なども、ある程度は情報共有しつつ始めるかもしれません。

 今回を見ると、ニグンが有能すぎるように見えるかもですが、今回の各種政治的発案は彼一人でしてることじゃないです。
 もともと、カルネ村の幹部&準幹部で話し合って青写真つくってました。
 (大領地での新興国家宣言などは、ニグンの発想ではないです)
 タイミング的には漆黒聖典倒した直後、幹部で集まって対法国の姿勢とか固めてたのでしょう。

 ハムスケが種付けされている間にも、世界は変わっていくのだ……。
 そういやハムスケ、未だモモンガに会ってないから個人名がない……どうしよ。

追記:7月8日19時20分、地理的状態などわかりづらいと思えたので一部追記しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。