アルベド二人旅   作:神谷涼

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 PT構成が淫魔、淫魔、淫獣だった。



8:スゴいね人体♡

 そこには多数の村人が、不安と好奇心と……隠せぬ色欲によって集まり、遠巻きに見ていた。

 二柱の女神と、漆黒の神獣。

 そして足元に転がる女。

 これらの傍には、女神らを呼んで来た娘――エンリもいる。

 

「やりすぎだバカ!」

「そうよ、反省なさい」

「MU~~gen~~」

 

 モモンガが叱るが、クロマルは不服そうにいなないた。

 主たるアルベドが、特にどうとも思っていないとわかるからだ。 

 彼はあくまでアルベドに召喚された魔獣であり、モモンガに服従しているわけではない。アルベドを介して、一応は命令を聞いているに過ぎない。

 

「不純を司るバイコーンが、ここまで淫獣だったとは……」

「まあ、私たちもヤられましたし……」

 

 肩を落とすモモンガに、アルベドがあっけらかんと言う。

 これもまたサキュバス脳ゆえか。

 村はずれに転がる女を、二人はしげしげと見た。

 

「で……これは、まだ生きてるのか?」

「今、鼻提灯ができましたし生きているかと」

 

 白濁粘液が鼻腔から泡となって膨らむ。

 元の容姿は悪くないだろうに。

 何とも酷い有様である。

 

「腹部が膨らんでるように見えるが、妊娠したのか?」

「寄生型のローパー等ならともかく、いくら魔獣でも、孕ませて即座に成長させる能力はありません。単に子宮と胃腸に、大量の液体を流し込まれたせいかと。じきに排出されて戻りますよ」

 

 凌辱モノのエロゲみたいだな……とは思ったが言わないモモンガである。

 よく考えなくても実際、彼女は凌辱されたのだ。

 

「脚とかおかしな方に曲がってないか?」

「股関節脱臼ですね。骨折ではないため、回復は容易かと」

 

 他にも擦り傷や粘膜裂傷が多数。

 しかも、ぽっかりと開いた穴から止めどなく粘液が溢れだしている。

 

「血といっしょに、なんか黄色っぽいのが大量に出て来てるんだが、大丈夫なのか?」

「血はともかく、他は全て出されたものです。当人の体液や内臓ではありません。子宮破裂の様子もないため、回復は難しくないでしょう」

 

 アルベドの声は冷静だ。

 彼女としては正直、人間の惨状などどうでもよい。

 

「お、おう……そうなのか。いろいろすごいな」

「まあ、出産を前提とする以上、容易には壊れませんよ。モモンガ様も、私の体を乱暴に扱ってくださってもかまわないのですが……」

 

 そう言われても、一応ノーマルなモモンガとしては興味のない世界。

 今だって、あまり痛そうなこと言わないで欲しいと思っているくらいだ。

 アルベドが兜の中で歪んだ笑みを浮かべているのも、わからない。

 

「いや、アルベドは私の最も大事な存在だ。こんな扱いはとてもできん」

「……っ! あ、ありがとうございます!」

(うぉっほぉ~っ! これ実質プロポーズじゃね? 最も大事! 最も大事だぜぇ!? 他のギルドメンバー連中とか、どうでもいいってことですね! タブラのクソが現れても私を渡したりしないってことですねぇ!? 私が一番! 私が最高! シャルティア、アウラ、プレアデスやメイドのみんな、ごめんねー! 顔も見たことないパンドラズ・アクターちゃんも、パパを奪っちゃってごめんね~? モモンガ様、私が一番大事なんだってさー! 私はモモンガ様と新天地で、みんなの分まで幸せになるから! たまには思い出してあげるから許してね! モモンガ様には、絶対に思い出させないけどね! けぇどぉねぇ~~!)

 

 びくんびくんと震えて、中で変な汁まで出しているアルベドは、暴走しかけているようにも見えた。

 

「おいアルベド」

(やっぱ人間は玩具にして、モモンガ様と面白おかしく暮らせるように……いや、でも先日の情熱的な求め方を考えると、小虫が邪魔できない僻地で二人きりで暮らすのも……迷うわぁぁ! 夢がひろがりんぐ~~!)

 

 幸福過ぎて、トリップしたまま戻ってこないアルベド。

 己を抱きしめ、身をよじらせる様子には、異様な迫力があった。

 

「おい、アルベド! 大丈夫かっ!?」

「はっ! 失礼いたしましたモモンガ様っ!」

 

 大きな声で言われて、びくっと、正気に戻る。

 

「まったく……お前の頭脳がなければ、こうした事態は処置できんのだ。しっかりしてくれ」

「も、申し訳ありません」

 

 アルベドとしては恐縮するしかないが。

 一方で、頼られているとの自負が、身を熱くする。

 そんなアルベドに、モモンガが身を寄せ、囁くように話しかける。

 周りを囲む村人に、聞かせたくない話なのだろうか。

 

「お前が何か喜んでいるとはわかるのだが。ひょっとして私を……お前自身の体を、ああいう風にしたいのか?」

「えっ?」

 

 同じ体で転移してきたため、二人の精神はつながっている。

 アルベドが大きな歓喜に襲われているとは、わかったが。

 何にそんなに喜んでいるのか、モモンガにはわからなかった。

 

「どうしてもというなら考えるが……私としては、お前にはやさしくしてほしいぞ……」

「ぷひー」

 

 近隣都市の都市長がよく出すような声と共に、アルベドは鼻血を出していた。

 兜の中なので、誰も気づいていない。

 

(さささ最高やぁ、うちのモモンガ様は最高やでぇ……ずっと唯一絶対最高の御方と思ってたけどっ。さんざんソロプレイで妄想シミュレーションしてましたけどぉっ! さすがモモンガ様ッ! 私の妄想なんて、井の中の蛙でしたぁ……高みっ! 圧倒的高みっ! やっぱ妄想はクソだぜリアルが一番、電話は二番! 三時のおやつにリアルモモンガ様最高……ぉ!)

 

 ふらりと倒れそうになってしまう。

 

「おいっ、本当に大丈夫かアルベド」

「だだだ大丈夫ですぅ~♡」

 

 ぜんぜん大丈夫じゃなさそうである。

 

「と、とりあえず、この女について、どう思う?」

「は。村を探っていたそうですし、近隣国の斥候かもしれません」

 

 目の前の問題について、意見を求められれば元守護者統括として、冷静な頭脳が戻る。

 アルベドは己を切り替え、主に答える。

 

「近隣国……つまりは王国、帝国、それに法国か……おい、お前――何と言ったか。こっちに来い」

「は、ニグンと申します!」

 

 モモンガは、城塞の門前でひたすら立っていたニグンを呼んだ。

 彼はアルベドに瞬殺され、高位アンデッドたる地下聖堂の主(クリプトロード)として蘇らされたため、生前の記憶と自我を保持している。

 

「この女だが、知らないか?」

「……さすがにこの状態では判別できません。偉大なる主のご期待に沿えぬ、この身の不足を――」

 

 かしこまって言葉を述べるニグンを留める。

 モモンガとて、よく考えればこんな状態の知り合いを見て判別できまい。

 

「うーん……それはそうだな。アルベド、回復してやれ。それにエンリと言ったな、お前もこれの顔を拭いてやるがよい」

 

 己を呼びに来た娘にも言いつける。

 アルベドは少し不服そうに。

 エンリはおっかなびっくりで。

 生臭い粘液まみれの女を回復させ、粘液を(ぬぐ)う。

 確かに、女性としてあまり触れたい状態ではあるまい。

 体はまだまだドロドロとしており、口の端からも白濁が溢れているが。

 女の顔が、ある程度は見られるものになった。

 

「どうだ、ニグン。知っているか? 持ち物についても見てもらうべきかな」

「これは……! 我が主よ、漆黒聖典です! 漆黒聖典第九席次“疾風走破”ですぞ」

 

 と言われても、モモンガもアルベドも、何なのかわからない。

 

(なんだその厨二っぽい名前は……真面目な顔で呼んで、恥ずかしくないのか)

 

 その程度の感想しか出てこない。

 説明させたところ、法国にある六色聖典なる特殊部隊の中で最強の部隊らしい……が。

 

「で、ニグンは六色聖典の中の、陽光聖典の隊長なのか」 

「は、その通りであります!」

 

 胸を張ってドヤ顔で言うニグンは、アンデッド化で隷属させていてもうっとうしく感じる。

 

「で、神や世界に匹敵する装備を彼らは与えられていると」

「はい! 私もガゼフ暗殺において、これを持たされておりました!」

 

 ニグンが、魔封じの水晶を取り出し見せる。

 

「む……これはユグドラシルの……〈道具上位鑑定(オール・アプレイザル・マジックアイテム)〉」

「他にもプレイヤーかNPCがいるのでしょうか?」

 

 アルベドも困惑した顔だ。

 

「……込められているのは〈第七位天使召喚(サモン・エンジェル7th)〉だと? 第十位階まで封じ込められるはずだろうに」

「い、いえ、確かに最高位天使です。我々が儀式によって用いれる最高位の魔法です。第八位階以上は、神の領域とされており、確認すらされておりません!」

「「第七位階が?」」

 

 ニグンの説明に、二人の言葉が重なった。

 

「そ、そうか……確か先日のアレが、王国最強の戦士だったな」

「こそこそしなくても、問題ない気がしてきましたね」

 

 モモンガは第十位階の使い手、さらに上の超位魔法も使える。

 アルベドとて聖騎士系クラスの副次として、第六位階までなら信仰系呪文が使える。

 クロマルすら高位呪文同様の効果を生む能力をいくつか、取得しているはずだ。

 今後をある程度は用心もすべきかと思わぬではなかっただけに。

 二人は徒労感を感じていた。

 まあ、実際には十分派手に行動しており、まだ何の用心もしていないのだが。

 

「世界に匹敵するアイテムとやらが、世界級(ワールド)アイテムだった場合のみ、用心すべきか」

「モモンガ様には通用せずとも、私やクロマルはやられるでしょうから……」

 

 アルベドをじっと見る。

 クロマルは別に見ない。

 

「お前は魔法で造ったクローンの肉体だ……本来なら、破壊されても、この私が使っている体に精神は戻ってくる。だが、世界級(ワールド)アイテムの効果を受けた場合、どうなるかわからん。お前を失うなど、私には耐えられん……だから、いいか。ここからは、少し慎重に動く。情報収集手段を増やすぞ」

 

 ぴくんとアルベドが震えた。

 

「……はい。では、先日の陽光聖典の死体を利用しますか?」

(失うなど耐えられん……失うなど耐えられん……あ゛ーーーーー! しゅごい! マジ玉音。モモンガ様と会話してたら毎秒が涅槃。録音しときてぇ! つうか録音しとかなアカンやろ! なんで録音録画用のクリスタルとか持ち物に入れとかないわけぇ!? あークソっ! はータブラほんまつっかえ!)

 

 何とか冷静に返答するアルベドだが。

 アルベドの内心は、高まる喜びと苛立ちとして伝わり。

 何か不満を抱えさせているのだろうか……と、モモンガを不安にさせた。

 もちろん、陽光聖典の死体は、三日間忘れていたため、少々まずいことになっている。

 

「ああ、もちろんだ。だが、その前にアルベドよ」

 

 モモンガが、ちらりと“疾風走破”――クレマンティーヌを見る。

 ちょうど彼女は身じろぎし、起きようとしつつあった。

 

「この女の首をはねよ」

「承知いたしました」

 

 何の迷いもなく、アルベドはバルディッシュを一閃し。

 クレマンティーヌの首をはねる。

 村人が悲鳴をあげる――よりも早く。

 血が激しく噴き出す――よりも早く。

 

「〈上位アンデッド作成〉」

 

 血は流れず。

 村人は唖然とし。

 クレマンティーヌは、血色すらもそのままに。

 高レベルの首無し騎士(デュラハン)――首無しの剣聖(デュラハン・フェンサー)として起き上がった。

 

 体内に残っていた黄ばみ白濁を大量に垂れ流しながら……。

 




 クレマンさんの話題の回だったのに彼女のセリフ皆無。
 モモンガ&アルベドが、ひたすらいちゃついてるだけになりましたな。
 話が進まず申し訳ない……。
 それにしても、原作アルベドさんが妄想してそな内容そのままな話ですね(汗)。

 クレマンさんは、爆レベルアップしました。
 ユリと同じく、ぱっと見はデュラハンとわからないデュラハンになってます。
 
 ニグンは外見はほぼそのまま。
 クリプトロードの特徴で、なぜか頭に王冠乗ってて、ぼろぼろの紫マントつけてます。
 指揮能力に優れたアンデッドなので、モモンガさんから武将ポジ与えられる予定。

 タブラさん、登場してないのにやたら名前が出てきます。
 アルベドの作者だから仕方ないですね!
 たとえマイナス感情でも、アルベドさんは彼について常に考えてしまいます。
 実はモモンガさんの方が、あまりタブラさんを思い出してません。
 (思い出すとアルベドといちゃつきづらいので)

 そしてモモンガさんは自主的に動き出すNPCをアルベドしか知らないので、他のナザリックNPCのこと、人間として思い出したりはしません。戦力としてアイツがいればなー程度で思い出すでしょう。
 現状では情報収集役が必要なので、能力きちんと把握してるキャラとしてパンドラが最も思い出されるはず。
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