ダンジョンに俺が出会いを求めるのは間違っている…。   作:仁611

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1話 終焉と起源 離別と邂逅

 

 

———俺の名前は鈴堂白夜(リンドウビャクヤ)

 

俺の実家は岡山県にある長船町福岡と言う場所で

福岡一文字派と言う、刀鍛治の家に生まれた。

 

小さい頃からお爺さんには小太刀を握らされてい

たのだが、刀術も仕込まれており刀を知らずにど

うして、良い刀が打てる…。

 

 

3歳から必死に刀を学び刀術も懸命に学んで居た

が、俺は高校2年の時に普通とは違う家だとやっ

と気付くのだった。

 

それからの俺は刀術は既に身体の一部になってお

り、今更過ぎて辞めなかったのだが刀の勉強はし

なくなった。

 

 

———東京へ

 

俺は親の反対を押し切り、東京の大学に進学して

しまうと、実家とは殆ど連絡も取らなくなってし

まって居た。

 

大学在学中に知人の勧めで偶然にもエキストラの

バイトを紹介され、その時に撮影中の映画の中で

一言だけ喋る役の人が来られ無く成って、俺の背

格好が近いと言う理由で、ワンカットだけ出演し

たのだ。

 

それが俺の人生の大きな転機となり、当時は映画

とは別でドラマの役者を探して居たプロデューサ

ーは、俺に何かを感じアプローチされる。

 

切っ掛けは凄く些細だが、それを機に俳優として

デビューをした。

 

あれから3年、俺は俳優として様々な役を演じて

居るが、一番多いのは刀を使う大河ドラマや戦隊

モノのヒーロー側の役など、今が旬だと言われ俺

も気合を入れて頑張って居た。

 

 

———収録後の公園のベンチ

 

 

 

俺は疲れてしまってベンチで休憩を取ってから帰

ろうと思い、マネージャーが自販機に飲み物を買

いに行って居たのだが…。

 

目の前で女性が躓き、ヒールが折れた見たいで声

を女性に掛けた。

 

 

「大丈夫ですか?怪我とかしてませんか?」

 

 

俺の声を聞いても女性は一向に振り向く様子が無

いので、怪我してるのだろうと思って俺は、彼女

の横に行き顔を覗き込もうとした…。

 

 

ドスッ……。

 

 

俺は急に彼女に突き飛ばされ何故と思うと、胸部

が急に熱くなって俺は胸元を見る。

 

「何で…」

 

「貴方が悪いの、いつも違う女をテレビで抱きし

めるから、だから一緒に死にましょう」

 

 

彼女は俺のファンの子だろうか、ドラマなんかで

色々な女優さんとの恋愛模様の描写がある、それ

を彼女は言って居るのだろうか。

 

 

ふと彼女の方を見ると、小さい頃から良く見てい

た備前刀に見えたそれを、自分の首に当てて引こ

うとしていたので、咄嗟に彼女の持つ刀の刃を両

手で挟み刃先を彼女の首と反対に向けた。

 

 

そう反対とは俺が居る方だった、挟む力より引く

力の方がいくら女性でも強い…。

 

 

その状況を分かって居ない彼女は、渾身の力を込

めて引き抜くと、挟む力を失った刀は大きく外に

膨らむと、俺の首を斬り裂いた。

 

 

胸部の出血は小太刀を抜いて居ない為、そこまで

酷くは無いのだが、首はかなりの量が出て居るよ

うで、俺は膝から崩れ後方に倒れ頭を打つ。

 

 

頭部も痛むが次第に熱は失われ、遠くから毎日聞

いて居たマネージャーの声がする。意識は既に朦

朧で手足は動かない……両親に……。

 

 

———ごめん、親不孝で……。

 

 

 

 

 

俺が意識を戻したのは3歳の時だった『俺』の名は

ベル・クラネルと言う名に成っている。

 

 

両方の記憶が存在すると言うちょっと、俺は自分の

頭を心配した。普通に考えて前世の記憶など持って

居るのが異常だ…。

 

 

お祖父ちゃんは俺の変化に気が付いて居るのだろう

かは怖くて聞けない、お祖父ちゃんの前では努めて

僕を演じては居るのだ。

 

 

俺の知る『ダンまち』と言うアニメにラノベの世界

だと、ベル君はこうだと言う明確なイメージに沿っ

て役を演じる。

 

 

3歳と言う年齢は、自我が少しずつ出来上がって行

くので、俺は普通よりは賢いと言う感じで、勉強を

行う子だと印象付けして行った。

 

 

ベル君で有るので英雄譚が好きで、英雄に憧れて居

ると言う事は貫いた、俺が憧れたのは『僕』と言う

本当の主人公が居たので嘘では無い。

 

 

 

———英雄になる為

 

 

 

俺は最初は、真っ直ぐな木の棒で素振りをして居て

お祖父ちゃんには、僕がお祖父ちゃんをモンスター

から守ってあげるんだと言っていた。

 

 

事実俺はお祖父さんに凄く感謝している、だからこ

そ本気で守りたいと思っている。そう思うといつも

以上に力が湧いて来る。

 

 

———その時はやって来る

 

 

アニメなどでも見るお祖父ちゃんの死…。アニメで

は生きて居るけど、本当に生きてる保証などどこに

も無い、そう思うと俺の心が叫び自分の無力を痛感

した。

 

 

俺は居ないお祖父ちゃんのお墓を家の側に作ってか

ら、大好きだった団子を御供えして涙を拭う。

 

 

家の中に有る貴重品を探して、全て持ち出す事にし

ていたのだ。家自体は管理して来れるそうで、安心

は出来るのだが、欲しい人が現れたら仕方ない。

 

 

荷物は10歳の時の誕生日に貰った刀と、2万ヴァリ

スに宝石が3個と、お祖父ちゃんが良く眺めて居た

ブレスレットと日記帳に手入れ道具。

 

 

馬車は初めてで正直快適とは行かない、途中でモン

スターが出て来ると『俺』が倒す。今回の乗り合い

馬車の護衛をする事で、無料にして貰ったからには

勤めははたす。

 

 

1週間の道のりで、俺は護衛の為に夜間は起きて居

るので日中は眠って居る。夜間は暇で日記を読んで

居ると思ってしまう、大切にされて居たのだと。

 

 

———迷宮都市オラリオ

 

 

1週間の間にはミノタウロスまで出現して、正直か

なり焦ったが、普段の鍛練通りを連想して気持ちを

落ち着かせて斬り伏せた。ダンジョン外は弱いと言

うのだが確かに、強くは無かったかな。

 

 

どうにか無事に着いて来れて本当に良かった、以外

に多くのモンスターに出会ってしまい、無事だった

のだから自分を褒めたいぐらいだ。

 

 

そう思って居ると、馬車の御者のおじさんが、今回

無事に来れたのは俺のお陰だと言って、3000ヴァ

リスを駄賃として受け取った…。

 

 

俺は自分の見た目では、他のファミリアは無理だろ

うと理解している、髪は肩口まで伸びてお祖父ちゃ

んが女性に上げる筈だった、髪留めは綺麗で結構高

価な物だろう。

 

 

始めはお祖父ちゃんに言って切って貰う様に頼んで

居たのだが、お祖父ちゃんが「駄目じゃ」と言い切

って来れなくなった…男の娘だよね…まさか…。

 

 

(違うよね……違うと言ってよお祖父ちゃん……)

 

 

現実逃避は辞めて、じゃが丸くんの屋台に向かって

歩いて行く。ここでヘスティア様に会えるはずだと

思って、遠回りルートをせずにここに来た。

 

「いらっしゃいませ〜」

「すみません塩味1つ貰えますか?」

「はい!ありがとね〜」

 

「すいません【万神殿】(パンテオン)はどう行けば良いですか」

「君!?冒険者志望かい?」

 

そこにはアニメに登場するヘスティア様よりも、実

物の方が可愛いヘスティア様が目の前に居た。纏う

気配はやはりお祖父ちゃんと一緒だな。

 

「え?はいそうです、先程着いたばかりです」

 

「そうかそうか〜君に是非、僕のファミリアに入っ

て欲しい」

 

「えっ良いんですか?こんな俺で良ければ宜しくお

願いします神様?」

 

「おばちゃんごめん!少しだけ外して良いかい?」

「仕方無いね〜折角の勧誘成功だ今回だけだよ」

「ありがとおばちゃん、では少し良いかい?」

「はい、あの神様?大事な事忘れてますよ」

「何だい?まさか辞めるとか言うのかい?」

「いえ、俺はベル・クラネルです」

 

 

———書店の2階

 

 

「じゃあ、今からベル君に【神の恩恵】(ファルナ)を刻むよ」

「俺はどうしたら?」

「そこに上を脱いで、うつ伏せになってお来れ」

「はい、神様」

 

 

ヘスティア様は俺を見るなり「へ?」って顔してる

よね…。絶対に女の子だと『俺』っ子だと思った顔

を俺が見つめると、ゆっくり目を逸らす。

 

 


 

 

ベル・クラネル

 

Lv1-■■■人

 

力-I0

耐-I0

器-I0

敏-I0

魔-I45

 

 

《魔法》

 

【白夜】(アルバノクティ)

・光属性…付与魔法、光速移動可能、認識阻害

超短文詠唱:【精霊の威厳】(ジンディニタス)

 

【】

【】

 

《スキル》

 

【羨望一途】

・早熟する

・想い焦がれる程、効果は上昇

・運命の裁断、運命を超える事で【経験値】(エクセリア)上乗せ

・副次効果で精神干渉【魅了】(チャーム)などが効かない

 

【精霊の家】

・護りたい者を守る時、全アビリティ超上昇

・直感、本能が上昇し危機を予感する

・護りたい者への想いで効果上昇

 

 


 

 

ヘスティア様は何とか誤魔化せた、そう思ったのだ

ろうが、俺は忘れないだろう恩恵を授かったこの日

の出来事を…。

 

「なっなんだいこれは!?」

「どうしたんですか神様?」

 

「ベル君、初めから魔法があるんだ、それに初めか

らスキルが2つもあるんだ…それに」

 

【神聖文字】(ヒエログリフ)で読めるので、見せて下さい?」

「神様…俺って人ですよね……」

 

 

2人で悩んでから、スキルも種族も周りには黙って

居た方が、俺の為だとヘスティア様に言われて、納

得したので了承する。

 

 

まだ昼前なので、ヘスティア様は早くバイトに戻ら

ないと行けないから、ホームである廃協会の場所だ

けは案内して貰うと、俺が用事等が済んだら戻って

おいでとヘスティア様は言うと、手を振って仕事に

戻る。

 

 

時系列で言うと、『ダンまち』より3ヶ月は早くオ

ラリオに来て居る筈だ、俺がベル君の様に出来るか

不安で、早くやって来たのだ。

 

 

———【万神殿】(パンテオン)

 

 

ギルドの受付は、見目麗しい人員を配置して居るの

だろうか?誰を見ても綺麗な人か可愛いのだ。

 

 

受付カウンターに向かい、話し掛けて見ると振り返

った人物は、エイナ・チュール他の人よりも圧倒的

に美人だと思った、眼鏡が無い方が可愛いだろうな

 

 

「すみません、冒険者登録をお願いします!」

 

 

「はい…ではこちらにお名前に所属ファミリアをご

記入下さい…はい確認しました。では今後担当させ

て頂きます、エイナ・チュールです」

 

「宜しくお願いします。ベル、ベル・クラネルです

ね!これからお願いしますエイナさん…後は喋り方

普通で良いですよ」

 

「うん、宜しくねベル君…ダンジョンについての情

報収集をしてたりするの?」

 

「はい、情報は生き抜く為の装備ですから、モンス

ターなんかの情報とかは、手に入るんですが、地図

だけがどうしてもオラリオに来ないと無くて」

 

「若いのに偉いわね、地図以外には何か分からない

事はあるの?」

 

「情報の異なりが無いかの確認って出来ますか?」

 

「ええ良いわよ、見た目が頼りないのにしっかりし

てるのねベル君って」

 

「それ褒めてる様でプラマイゼロですから」

「そっそうねごめんね」

「では宜しくお願いします」

 

 

その後、資料と地図の写しを上層全てを貰い、バベ

ルのへファイストスの新人向けのお店で、ヴェルフ

・クロッゾの【兎鎧】(ピョン吉)を買うと、早速ダンジョンに

向かう事にした。

 

 

ここから【眷属の物語】(ファミリアミィス)が俺の物語が始まる

 

 

その前に屋台で昼食を摂ってから、バベルのダンジ

ョン入り口を目指す。昼食時と言う事もあり他の冒

険者は、誰も居ないので気兼ね無く戦える。

 

 

俺の心は高揚と程よい緊張感が身体を巡る、いつも

通り以上に動けるのは、恩恵による一般から冒険者

の能力値が上がったからだろう。

 

 

1〜3階層はゴブリンとコボルトだが、最弱でも集団

になると油断は禁物だ、俺はアビリティの上昇を最

大限に上げる為に、多彩な動きでモンスターを斬り

裂いて行く。

 

 

「そりゃ…ちょっと来過ぎたかなぁ〜」

 

 

それもそのはずだろう、初日で5階層まで隈なく走

ってモンスターを狩って来た。手で持って運んでい

たバックパックも、真っ直ぐ地上を目指したとして

も一杯になるだろうから、ここで引き返そうと踵を

返し地上を目指した。


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