新世紀エヴァンゲリオン takeⅡ   作:周小荒

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 テレビのOPのラスト部分のシンジ君の笑顔を期待された方も多いと思います。
 視聴者の期待は映画で見事に裏切られましたが、それに納得されない多くの人々が二次創作の世界ではハッピーエンドを書かれてます。
 拙作もハッピーエンドを前提した物語になりますので安心して下さい。
 但し、第二話で役人根性を発揮したミサトさんには、多少のお灸を据える事になります。


 


プロローグ

 

 既に時間の経過も分からない状態でシンジは夜明けの無い赤い海を漂っていた。

 既にアスカも赤い水に還元していた。

 シンジは自分だけの世界を望んでいたが、人類の命を代償にする事は望んではいなかった。

 

(ごめん。綾波。ごめん。アスカ。ごめん。ミサトさん。ごめん。みんな)

 

 これで、何回目であろう。数百回、数千回かもしれない謝罪を繰り返していた。

 シンジは過去を思い出しては何万回にも達する後悔をしていたのである。

 

(あの時に、もっと積極的に行動していれば、いや、その前の段階で違う行動をしていれば、こんな結末を迎えなかったのに)

 

 意識が朦朧としてきた。

 シンジは今度こそ、安らかな死が訪れる事を期待して意識を手離した。

 

「碇君。碇君。起きて!」

 

 懐かしい声がシンジを呼ぶ。シンジが目を開けると、懐かしい声と共に懐かしい顔が視界に映り込んだ。

 

「あ、綾波?」

 

「ごめんなさい。碇君に辛い思いをさせて」

 

「何故、綾波が謝るんだい?」

 

「全ては、私が無に還る事を望んだ結果だから」

 

「そんな事はないよ。本当に悪いのは僕なんだから、それに綾波は、こうして僕を迎えに来てくれたんだろ?」

 

「ごめんなさい。違うの」

 

「まだ、僕は赦されないの?」

 

 シンジの声には納得と絶望が同居していた。

 

「そうじゃなくて、また、碇君に辛い思いをさせる事になるから」

 

 シンジにはレイの言っている意味が理解が出来なかった。現状より辛い思いというのは想像が出来なかったからである。

 

「一度だけなら、碇君の魂だけを過去に帰す事が出来るわ」

 

「魂だけを過去に帰す?」

 

「そう、もう一度だけ碇君の魂を過去に帰す事が出来るわ」

 

「綾波は?」

 

「私は無に還るわ」

 

 シンジはレイが無に還る事を渇望する気持ちを理解していた。自分がレイの立場なら、同じく無に還る事を選ぶであろう。

 

「ありがとう。綾波」

 

「どうして?」

 

「綾波は僕に、やり直しのチャンスを与えてくれた」

 

「そう。良かったわね。もし、碇君がやり直しを望むなら、お願いがあるの」

 

「何?」

 

 レイは少しだけ躊躇ってから、望みを口にした。

 

「過去の私を救ってあげてね」

 

 レイの頬が朱に染まった。シンジも頬を朱に染めてから返事を口にする。

 

「僕が一番、やり直したい事だから」

 

 シンジの言葉を聞いてレイは頬だけでなく耳まで紅くする。

 

「綾波。真っ赤だよ」

 

「い、碇君も」

 

 シンジは自身の頬の火照りを誤魔化す為にレイを優しく抱き締めた。

 

(温かいなあ)

 

 シンジは全身に温もりを感じると心地好い眠りについた。

 

 

 

 


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