新世紀エヴァンゲリオン takeⅡ   作:周小荒

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第22話 勧誘

 

 シンジとレイは第十一使徒イロウルについては完全に開き直り、自分達の思い出を作る為に熱心であった。

 言葉を変えれば対策を諦めてイチャつく事に熱心であった。

 

「たく、二人でイチャイチャと色ボケしおってからに!」

 

 ミサトが残業しながら書類に八つ当たりする。

 

「まあまあ。葛城さん!」

 

 日向も苦笑するしかない。ミサトが残業して仕事も減り、ミサトの細かい指摘にも慣れて日向は定時で帰れる事も増えた。

 ミサトとしては残業代も稼げるし、家に居る時間が少なくなるので酒量も減り健康的なので良い事ばかりなのだが、それでも不満はある。

 

「まあ。明日はMAGIの定期検診があるから仕方ないですけど、実験が終わったら早めに帰宅されてはどうですか?」

 

 日向にしたら、善意からの言葉だったが、ミサトには別の意見がある。

 

「はあ。日向君は、あの二人のバカップルぶりを知らないから言えるのよ」

 

 ミサトの言葉に日向は色々と想像してしまった。

 

「それなら、尚更、葛城さんが帰宅するべきでは!」

 

「何を想像したか聞かないけど、健全な付き合い方だから、見ている方が恥ずかしいくらいよ!」

 

 ミサトには、日向の頭の上にハテナマークが浮かんで見えた。

 

「まあ。一度、日向君を我が家に招待するわ!」

 

 その頃、ミサトにバカップルと言われたシンジとレイは二人で手を繋ぎ仲良くテレビを見ていた。

 

(はあ。何でテレビを見ている時に手を繋ぐ必要があるのかしら?)

 

 アスカはペンペンの相手をしながら、二人を見て呆れていた。

 

「ちょっと、そこのバカップル。今日は早く寝なさい。明日は特別なテストもあるんだから!」

 

「「はい」」

 

 返事が見事にユニゾンをしている。

 

(はあ。私は世界一不幸な美少女だわ!)

 

 アスカも二人が自室に入るのを確認すると自身も就寝するのであった。

 翌日、パイロット達は放課後、家に寄らずにネルフ本部に直行する。

 本部に到着すると入浴させられる。

 

「全員、綺麗に全身を洗うのよ!」

 

 三人は言われるままに全身を洗うと、新しい下着を用意され、一人が立つ程度の部屋に入れさせられる。

 

「ここで下着を脱いでね。もう一度、綺麗に消毒します」

 

「ここから、先は超クリーンルームなの。シャワーを浴びて下着を替えた程度では済まないわ」

 

 ミサトとリツコの二人に言われてアスカも文句を言えないまま黙って従うしかなかった。

 その後、エアシャワーとシャワーの洗礼を受けると横の壁と正面の壁が消える。

 

「どう。お望み通りに17回も垢を落としたわよ」

 

「では、そのまま部屋を通り抜けて、そのままエントリープラグに入って頂戴!」

 

 これには、流石にアスカも抗議した。

 

「ちょっと、何を考えているのよ!」

 

「カメラは切っているから、プライバシーは守られているわ!」

 

「そういう問題じゃないでしょ!」

 

「アスカ、命令よ!」

 

 ミサトが伝家の宝刀を抜き、アスカも渋々ながらも従うしかなかった。

 

「ミサトさん。命令には従いますがエントリープラグにプラグスーツの用意をお願いします。もし、事故とかあった時は困ります」

 

「その、シンジ君、ちょっと待ってね」

 

 数分後、ミサトからエントリープラグ内にプラグスーツを用意したと伝えられた。

 

 シンジとレイにすれば、これから始まる騒動を知っているのでプラグスーツ程度は欲しいのである。

 実験は何事もなく順調に進んでいく様に思えた。

 突然、レイの悲鳴が実験室に響くと、マヤが緊迫した声で報告する。

 

「レイの模擬体が動いてます!」

 

 レイの模擬体の左腕が攻撃をする寸前に安全装置が働き模擬体の腕が肘間接から千切れる。

 その後、エントリープラグが緊急排出されて、パイロット達は地下湖に脱出させられる。

 アスカは地下湖にエントリープラグが浮かぶとプラグスーツに着替えて隣のシンジのエントリープラグまで、泳ぎノックする。

 

「アスカ?」

 

「シンジ。無事?」

 

「うん。大丈夫だよ。綾波も居るよ」

 

 エントリープラグの扉が開くとシンジとレイが中に入れと手招きをする。

 アスカは、これからの事を相談するのかと思いプラグ内に入る。

 

「アスカも無事な様だね」

 

「まあね」

 

「これから、アスカには僕達の秘密を話すから仲間になって欲しいんだ。もし、アスカが嫌なら仲間にならなくても構わない。でも、秘密は最後まで守って欲しい」

 

 シンジとレイの真剣な眼差しにアスカも瞬時に覚悟を決めた。

 

「あんた達と私の仲じゃない!」

 

「アスカ。僕は、僕はね。ウルトラセブンなんだ!」

 

 次の瞬間、レイの平手打ちがシンジの後頭部に炸裂した。

 

「碇君。いくら私でも怒るわよ!」

 

 シンジの胸倉を掴んで凄むレイにシンジもアスカも流石に怯えた。

 

「ごめん。つい」

 

「分かったなら、いいわ」

 

 シンジは再び真面目な顔を作ると深呼吸してから、口を開いた。

 

「僕は人類が滅んだ未来から来たんだ」

 

 アスカはレイの平手打ちが再びシンジの後頭部に炸裂するかと思ったが、今度は炸裂する事はなかった。

 アスカは反射的にレイを見たが、レイも真剣な表情をしている。

 

「どういう事よ。説明しなさい」

 

「綾波の事は個人のプライバシーに関するから言えないけど、僕が既に一度、体験した事と僕が後で知った事を教えるね」

 

「分かったわ」

 

「最初は、前の世界で初めて、この街に来た時の話をするね」

 

 シンジの長い話が始まった。

  第三使徒戦の時にレイを半ば脅迫の材料に使われて初号機に乗せられた事。

 その戦いでトウジの妹に重傷を負わせた事。

 その後で家出した事やアスカとミサトと三人で暮らした事。

 シンジのシンクロ率がアスカを抜きアスカから憎まれた事。

 第十三使徒戦で自分の消極的な態度からトウジに重傷を負わせた事。

 アスカが使徒の精神汚染攻撃でシンクロ率が下がり始めて、レイがシンジを救う為に零号機を自爆させた事。

 その後、アスカが廃人化した事。

 最後の使徒が人間でシンジと友達になり、シンジが乞われて殺した事。

 その後、戦自の無差別攻撃でネルフ職員が大量殺人の犠牲になった事。

 その最中にアスカが復活した事。

 そして、ミサトが未来を自分に託して戦自の凶弾に倒れた事。

 シンジは初号機に乗る事を拒否して量産型のエヴァに弐号機が蹂躙されるのを見過ごした事。

 その後、人類補完計画が発動して人類はアスカとシンジを残して全滅した事。

 生き残った世界でシンジを拒否したアスカをシンジが扼殺した事。

 そして、シンジ自身も衰弱死する寸前に第三新東京市に来た日に戻っていた事。

 レイはシンジと会った日から断片的に前回の記憶を夢で見ていた事。

 レイが決定的に過去の記憶を取り戻したのはアスカとシンジのユニゾンキックを見た瞬間だった事。

 

「まあ。レイが嫉妬深いのは知っていたけどね」

 

 アスカがレイを見る目に呆れた感情が混じるのは仕方がない。

 

「それから、これから話す事はネルフでも一部の人間しか知らない事なんだ」

 

 シンジは前置きをしてから、アスカにエヴァの秘密を話した。

 

「エヴァのコアの中には、初号機の中には碇ユイ。僕の母さんの魂が眠っている。そして、弐号機のコアの中にはアスカのお母さんの魂が眠っている」

 

 アスカは衝撃的な事実に無反応であった。

 

「アスカ?」

 

 心配したシンジが呼び掛けるとアスカは復活した。

 

「説明してくれるわね」

 

 アスカは静かだが力強い言葉で聞いてきた。

 

「その事は私から説明するわ」

 

 シンジの代わりにレイが説明を始める。

 

「エヴァは使徒をコピーしたものなの。しかし、肉体をコピーしても魂が無ければ動かないわ。人間の魂をコピーさせる筈だった。でも、魂をコピーさせるなんて、出来なかった。肉体も魂もエヴァのコアに呑み込まれたの」

 

「それで、ママが弐号機の中に居るわけね」

 

 レイは頷く事しか出来なかった。

 

「ママを助ける事は出来ないの?」

 

「それが、碇司令の目的なの。碇司令はエヴァの外に出せないなら、自分がエヴァの中に入れば良いと考えたの」

 

「それって、後追い自殺じゃないの!」

 

「そうね。アスカの言う通りだわ」

 

 アスカは大きく長い溜め息をすると複雑な表情を見せた。

 

「女としたら、そこまで愛してもらえて、嬉しいけど、母親としたら息子の事を忘れないでと思うわよ」

 

 忘れられている息子も苦笑するしかない。息子はレイという愛する存在を得て、既に親離れをしてしまっている。

 しかし、シンジは自分がゲンドウの立場ならゲンドウと同じ事をするだろうと確信していた。

 

「まあ。貴方達の与太話として聞いておくわ。因みに次の使徒は、どんな奴なのか教えなさいよ」

 

「次の使徒は白黒の西瓜みたいな奴だよ」

 

「はあ!?」

 

 シンジもアスカの反応に苦笑しながらも第十二使徒レリエル戦を詳しく説明した。

 

「あんた、バカァ!?」

 

「バカって、なんだよ。アスカ」

 

「当たり前でしょう。前も成功したからといって、同じ事を繰り返すなんて!」

 

「仕方ないだろう。他に策が無いんだから!」

 

「有るわよ」

 

 アスカが簡単に言うので、シンジとレイは驚くしかなかった。

 

 

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